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作曲をするpocknが週1以上ペースで通っているコンサートの感想録を中心に、クラシック音楽を追求します。

N響12人のチェリストたち

2016年11月07日 | pocknのコンサート感想録2016
11月5日(土)NHK交響楽団 12人のチェリストたち
Vc:藤森亮一、向山佳絵子、藤村俊介、桑田 歩、銅銀久弥、山内俊輔、西山健一、三戸正秀、村井 将、宮坂拡志、渡邊方子、市 寛也
彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
【曲目】
1. クレンゲル/賛歌
2.クレンゲル/組曲ニ短調Op.22~第1、2曲[二重奏]
3.ヨンゲン/4本のチェロのための2つの小品Op.89[四重奏]
4. オッフェンバック/ボレロ[六重奏]
5. レノン&マッカートニー/三枝成彰編/イエスタデイ、ミッシェル、抱きしめたい、ヘイ・ジュード
6.三枝成彰編/日本の歌(おぼろ月夜、ずいずいずっころばし、荒城の月、こんぴらふねふね、てんさぐの花)
【アンコール】
藤満 健 編曲/アメイジング・グレイス

N響の12人のチェロの名手たちによるコンサート。2014年に埼玉会館で行った演奏が評判になって、このアンサンブルでの今回の演奏会を迎えたとのこと。上手いだろうし、楽しそうだし、もうずいぶん前になるが、NHKでベルリン美術館を特集したとき、ペルガモン博物館の神殿風の階段でベルリンフィルのチェリストたちが演奏する映像に偶然接し、音楽と演奏に引き込まれ、是非実演で聴きたいとずっと思っていたクレンゲルの「讃歌」がプログラムに入っていることで益々引かれ、夫婦で出かけた。

プログラム最初にその「讃歌」が置かれた。解説によればこの曲は、「ベルリンフィル12人のチェリストたち」が結成されるきっかけとなった曲だそうで、世界的に活躍するチェロ集団と深いゆかりがある曲だということを知った。

曲は静かに厳かに始まり、いくつにも分かれた声部が折り重なり、祈りを歌い上げていく。柔軟で熱く、じっくり熟成させる懐の深い演奏に、テレビでの感動がN響のメンバーによって蘇ってきた。曲は思っていたより短く、もっと長く聴いていたかった。

この後は12人のメンバーがそれぞれ1回ずつ出演して、2重奏、4重奏、6重奏の曲を披露。藤森&向山夫妻のデュオによる同じクレンゲルの曲は、重音を多用して多声部の貫禄のある響きを出し、バロック的な風格を感じさせた。藤村、渡邊、山内、宮坂各氏が取り上げたヨンゲンの「2つの小品」は、厳かな雰囲気の1曲目と躍動感溢れる2曲目で、プレイヤーの高い腕前を披露。あとの6人が演奏したオッフェンバックのボレロでは、高音から低音まで幅広い音域を駆使して、生き生きとした情熱的な音楽を楽しませてくれた。

人間の声の音域をカバーするチェロだけが集まってアンサンブルを行うためだろうか、とても人間的な情緒や深い味わい、熱さが増幅されて伝わってくるのを感じた。普段はオーケストラの1つのパートの音として聴いているメンバー一人一人のチェロによる「声」が聴けるのもこのコンサートの魅力。

プログラム後半は、12人が勢揃いで三枝成彰のアレンジによるビートルズのナンバーと、有名な日本の歌の数々を演奏。こういうプログラムだと、1曲進むごとに演奏者も聴衆も和やかな空気のなかでだんだん興に乗ってきて、ステージと客席に一体感が生まれ、加速度的に盛り上がってくることが多いが、今日の演奏会は、和やかで楽しく進んでは行ったものの、そこまでの盛り上がりを実感するまでには至らなかった。

三枝氏のアレンジは原曲のイメージと大分異なるものが多く、原曲に親しんでいるだけに、それとの違いに戸惑うこともあった。プログラムの解説で、ビートルズのアレンジに際して「「ビートルズ」の持っていたリズムを全部捨てて、メロディーを新しく美しいハーモニーに置き換えた」との三枝氏の言葉が紹介されていたが、とくに「抱きしめたい」や「ヘイ・ジュード」で、原曲のビート感を捨ててしまうと、曲の良さそのものが失われてしまうように感じるだけでなく、前半の2曲と似たような雰囲気になってしまう。著作権ではいろいろとうるさいと言われているビートルズの曲を、よくこのようなアレンジにできたものだ。

プレイヤーの面々は、ビートルズも日本の歌も、楽しそうな表情で演奏していたし、途中で藤森さんのMCでメンバーの声を聞くこともでき(市さんはドイツに1年間留学するとのこと)、場の雰囲気を和ませてはいたが、もっと楽しいMCが入ってもいいし、後半のような曲目では、もっと思いっきり歌ったり、少々大げさなパート間のやり取りをしたり、エンターティナ―的なパフォーマンスをやって欲しかった。少々真面目すぎる演奏になってしまったように思う。
CDリリースのお知らせ
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~

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