『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

平和の伝え方・さくまゆみこさん講演会

2017-06-09 17:43:45 | 講演会・勉強


『明日の平和をさがす本 戦争と平和を考える絵本からYAまで300』
〈編・著〉宇野和美・さくまゆみこ・土居安子・西山利佳・野上暁
2016年 岩崎書店 272頁


JBBY理事で、大好きな翻訳家でもある、さくまゆみこさんの講演会@銀座教文館に行ってきました。平日の夕方・・・旦那さまに早退してもらってまでも行きたかったのは、テーマが“戦争や平和の本を子どもに手渡すときに”だったから。自分の中でもとっても知りたいテーマでありました。

さくまゆみこさんのお話を聞くのは初めてだったのですが、まず、さくまさんがとっても素敵な方で、嬉しくなっちゃいました。世の政治家たちへ、さらっと皮肉を言うもぜーんぜん嫌味がないの。それってどうなの?ということは、とはっきり言うけれど、そこに“私が正しい!”というやっかいな正義感や押しつけがないんだな(←これできる人案外少ない)。だから、こちらも素直に聞けるのです

今回は、昨年の11月に出版された戦争と平和をテーマにしたブックガイド『明日の平和をさがす本』を中心にお話されたのですが、このブックガイド素晴らしいです
大人の考えの押しつけではなく、子どもたちが考えるきっかけになるような、考えるヒントを与えるブックガイドを作りたいという思いから始まったそう。

≪この本のポイント≫

◆ 2000年以降に刊行された子どもの本・約5万冊から厳選した最新版

◆ 対象年齢・読みどころが、子どもの本のプロにより、しっかり紹介

◆ ブックトークに役立つよう、キーワードをたくさん掲載するなど工夫満載

◆ 本の舞台となった地域MAPや舞台となった時代年表・索引が資料として添付

読まなきゃ“いけない”、読む“べき”ではなく、読んで楽しいものにしよう、と編著者のみなさんで議論を重ねながら進めていったそうです。編著者のみなさんは、他の方が紹介している本でも自分が読んだことがなければ、何日も図書館にこもりっきりで、とにかく読んで読んで読みまくったそう。気合の入れ方、半端ないです!けど、正しさの押しつけではナイ


■ 正しさを押し出したスローガンは響かない

さくまさんのお話で印象的だったこと。
さくまさんの大学時代は学生運動全盛期で、学内にはありとあらゆる党派が戦っていたそうです。それらのどこもが、“○○すべき!”っていう正しさで迫っていた。でもね、そういう正しさ主張のスローガンは心に届かなかったそうです。自分の言葉で語ってない。どうして、みな組織上層部の人の言葉をそのまま使うの?って。

だからね、戦争ってこんなに悲惨だ、という風に迫っても子どもたちは読まないんじゃないか、って。
分かるー!!!
私は小学校2,3年の頃、なぜか“知らねばならぬ”という強迫観念のようなものにとらわれて、広島の原爆、アウシュビッツに関する本を読みまくりました。でも、元々怖がりなので気持ち悪くなってしまって。恐怖感だけが募り、残ったのは無力感だったんですね、希望ではなく。それ以来、この手のものは敬遠・・・。このブックガイドに紹介されている本たちは、そういう状況の中でも、生きる力につながる本たちが紹介されています。


■ 戦争の悲惨さよりも、いま生きる喜びを!

また、“大人がダメだから、子どもたちの世代に期待するのは違うよね。それは責任放棄”という言葉にも、ハッ!とさせられました。ともすると、過去の過ちをあなたたちは犯しちゃいけないよ、と子どもたちに伝え、彼らに希望ある未来を作ってもらうことを期待してる自分が・・・いたーーーー!

それより大事なのは、子どもたちに今生きていることの喜びを十分に味わってもらうこと。今生きてることがつまらなかったら、それをひっくり返したくなるのが人間。そして、それは全てをひっくり返す戦争につながりかねない、と。

そう!!!あきらめの気持ち、どうせ何もできないという無力感、思考が停止し、ただ従うほうが楽になっていく(← 今の画一的な教育はむしろそれを狙ってるのかもしれませんね)。
だからね、戦争ダメを伝えるのも大事だけれど、それより生きる喜びを培うほうが先!そっちが先!生きる喜び知ってる子は、教えられなくても、自分の頭で戦争がいかに間違ってるかが判断できるから。自分で判断できる力、感性を養うことが大事なんだな

まず“生きる喜び”を。遠回りのようで、根っこの部分を育ててる
私の場合、3.11のあと、自分にできることを模索し続けて、やっと見つけたのが児童文学の素晴らしさを伝えることでした。だって、それがひいては平和につながると思ったから。やっぱり、これからもコツコツ発信していこう!と思わせてくれた素晴らしい講演会でした

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