ポケットの庭 ~ 大人が読む児童文学 & 時々Natural Life~

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
大人が読む児童文学日記と日々の生活あれこれ

先住民族版『大きな森の小さな家』

2016-10-15 05:30:01 | アメリカ文学


『スピリット島の少女 オジブウェー一族の物語』ルイーズ・アードリック作・絵 福音館書店

これは、出会えてよかったと思える素敵な物語!!!なのに、やはり絶版なのかしら?今中古ではナント4円(!?)から売り出されてる~。安いのは手に入りやすくて嬉しいけれど、でもこの本の正当な価値が認められてないような気がしてちょっと悲しくもある。私が買ったときは150円でしたが、これは個人的にはもうもう手元に置いておきたい一冊でした(先住民族好きなので)。


≪『スピリット島の少女』あらすじ≫

冬の間丸太小屋に住んでいたアメリカ先住民の少女オマーカヤズの一家は、春になると樺の木の樹皮で作った家をつくって移り住み、豊かな季節を楽しみはじめます。メープルシュガーを集め、トウモロコシを育て、野生の米を収穫し……。しかし少女の村に白人のもたらした恐ろしい病気、天然痘が発生し、オマーカヤズは最愛の弟を亡くしてしまいます。そして、やっと乗り切った冬には飢饉が少女の一家を苦しめますが、とうとう氷の解ける春が来ました。オマーカヤズは祖母からヒーラー(治癒する者)として薬草の見分け方や治療の仕方などを学んでいましたが、ある日、祖母のように精霊の声を聞くことができるようになりました。
先住民の血を引く著者が自らの先祖をたどる調査をもとに、当時の生活の細部を丹念に描き、先住民の少女の一年間を生き生きと再現した物語です。(福音館書店HPより転載)


先住民族側から見たアメリカの開拓史と言われていますが、ナルホド。最初のほうは少し退屈するかもしれませんが、だんだんとこの少女の目線から見た生活に引き込まれていきます

自分とは違って、美人なお姉ちゃんアンジェリン、やんちゃ過ぎてどうしても好きになれない弟のピン、そして目に入れても痛くないほど愛おしくてたまらない赤ちゃんのニーウォ

自然との共存は冬場は特に厳しいけれど、温かい家や仲間たちと、イキイキと楽しい生活。モカシン作りなど先住民族ならではのところもありますが、兄弟に抱く感情なんて、今でも通じる、いい意味でどこにでもいるような普通の家族のお話。いつまでも、この幸せな生活が通づくと思っていたのに・・・この頃の天然痘は本当に恐ろしい病気なのですね。ついさっきまで楽しかったのに、突然襲いくる恐怖。突然世界が一変してしまう。でも、そこを変にドラマチックに描くのではなく、割と淡々と描いていますが、ぽっかりと心に穴があいてしまって、笑うことを忘れてしまったオマーカヤズの悲しいが何ともいえず切ないです。

ところで、この主人公のオマーカヤズは、クマの声が聞けたり、将来ヒーラーになるであろうと思われる、いわゆる選ばれた人間でなのですが、徐々に草たちからの声が聞こえるようになるところなど、個人的には興味深かったです。この家のおばあちゃんがヒーラーなのですが、このおばあちゃんがとってもいいんです!!!時々つぶやく言葉が深いんですよねえ。またまた、大好きなこちらの本とリンクしました↓


『森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて』 星野道夫著 世界文化社

クマが人間にとって特別な存在であること、薬草を取りに行くときの心構えなど共通するところがたくさんです。クマの(心の)声を聞く、植物の声を聞く。この「聞く」という姿勢に個人的には感銘を受けるんですよねえ
大地と共にある人々の暮らしは、とてもスピリチュアルなのに地に足のついた暮らし。ラストのオマーカヤズが自分の出生の秘密を知るところには感動しました。あ~、この本の良さをうまく伝えられないのがもどかしい!!
読んだ後にあたたかいものが流れ込んでくる、残しておきたい、そんな物語
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