『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

児童養護施設のイメージって?

2017-03-20 22:31:08 | 日本文学


『チャーシューの月』村中李依作 小峰書店 222頁 2013年

我が家でホームステイを受け入れている里子ちゃんの児童養護施設での進級&出立式でした。

というわけで、今日の一冊は2013年に読書感想文コンクール中学生部門の課題図書にもなった『チャーシューの月』。

≪『チャーシューの月』あらすじ≫
今日は、6歳の明希が「あけぼの園」にやってきたのは、うすい雪が舞う2月のはじめだった。春から中学生になる美香の目を通して〈児童養護施設〉で暮らす子どもたちの日々の生活や子どもたちに寄り添う大人の姿が語られる。(出版社の内容紹介より転載)


変にドラマチック仕立てにせず、淡々と描いているところはよかったです。
ただ、個人的にはこれが児童養護施設一般だと思わないでー、という思いも。
なんだかこの物語を読むと、決して児童養護施設に対してワクワクしたりはできないんですね
悲惨な場所でもないけれど、なんというかやっぱり暗くなりがち・・・

でも!我が家が関わった児童養護施設はたったの二つでしたが、その二つともとおっても素敵なところで、この物語に出てくるところは全然イメージが違うんです。施設のクリスマス会に近所の子を連れて行ったら、“私もココ入りたい!”とうらやましがったくらい

現在、児童養護施設に入所している子どもたちの90%以上は生きている実親がいます。
引き離されている理由は、虐待かネグレクト。子どもたちは、心に傷を負っています。
なので、もちろん、里親の私にはいいところしか見えていなくて内部では色々あるでしょう。
けれど、本当に愛情を持った大人たちにたくさん囲まれているという施設もあることを知ってもらいたい。

今日も進級&出立式に参加してきたのですが、その場の雰囲気を一言で表すのなら“あったかい”んです
みんなが、一人一人(他人の子)の成長の喜びを分かち合っている。これ、感動的です。
もうね、出立(高校卒業=施設を出て独立)する子たちのメッセージを聞いていると、鼻の奥がツーンとして涙腺抑えるのに毎年必死(笑)。背負ってるものが一般家庭の子とは全然違いますからね・・・。

出立していったOB、OGたちがね、結婚したら自分の子ども連れてきたりするんです。
隠したい過去ではなく、誇れる過去。帰れる居場所なんです

幼稚園の先生も、クリスマス会や進級式、最低年2回は顔を出してくれて、それが高校卒業まで続くんですね。普通の家庭の卒園生たちよりも絆が深い。
ボランティアの人たちも、一過性ではなく、もう何十年もやってる人たち。
もはや大家族。親戚わいわい、って感じなんです

殺伐とした施設と何が違うんだろう?
と考えたとき、一つ出てきた答えが“宗教”でした。
今の里子ちゃんの施設はキリスト教、その前の里子ちゃんのときの施設は立正佼成会。

どの宗教か、というのはあまり関係なくて、でも理不尽な思いを抱え、誰も自分を理解してくれないと思っている子たちにとって、

“人間を超えたおおいなる存在は見ててくれている。分かってくれている存在がある”

ということは、とても大きな気がします。
昔の日本人だったら“おてんとさまが見てる”というあの感覚

私が児童文学にハマるきっかけをくれたのは、我が子ではなく里子ちゃんでした。
こちらが何かをしてあげるというよりも、本当にあちらに与えてもらったギフトの多いこと

そんな愛情に囲まれた児童養護施設の物語も、誰か書いてくれないかなあ。
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