秋・冬にかけて読みたい絵本2冊。こちらはぜひ大人に読んでもらいたいな~。
まずは、コチラ↓
『カラス笛を吹いた日』ロイス・ローリー著 バグラム・イバトゥーリン絵 島式子・島玲子訳 BL出版
まず、丁寧に描かれた絵に心奪われます。作者の自伝だそうです。地味な絵本かもしれません、でも、じわじわきます。
主人公の女の子のお父さんは戦争帰り。娘と一緒にカラス狩りにでかけます。長く家を留守にしていたので、親子なのに二人の間にはある種の壁というか、微妙な距離があるのです。どこかよそよそしい。
私の好きな食べ物(チェリー・パイ)も覚えてないなんて、長く家を留守にしてたせいよ、女の子は心の中で小さく不満をつぶやきます。寂しかった、そんな言葉じゃ説明のつかない、複雑な思い。お父さんも寡黙なところがいいです。
戦争のことは、直接的には描かれてはいないけれど、女の子が質問し、それに対するお父さんの回答が心にしみる。ああ、戦争なんて嫌だって思わされます。全く押しつけがましくなく。寒空と空をカアカア飛び交うカラス・・・凛と張りつめた空気を感じる、大切にしたくなる絵本。
そして、カラスといえばコチラ↓
『からすたろう』八島太郎作・絵 偕成社
これはね、もう名作中の名作!
実は、ちょっと表紙が不気味?で、知ってはいたけれど、なんとなく手にとっていなかった時期がありました。でも、子どもが「借りて」と選んできたので、読んでみたら・・・読めない。涙で読めない。嗚咽しちゃって読めない。ブログ書いている今も、思い出して涙ぐんじゃう。だから、学校の読み聞かせでは、読みたくても読めないんです。
きっと日本人の原風景を描いているのだろうな。こういう田舎に暮らしたことはないのに、郷愁にかられる。
見守るってどういうことなのか、受け入れるってどういうことなのか、大人は考えさせられる。
この絵本をじいじに紹介したところ、じいじの俳句仲間の間でものすごく評判になったそうです。昭和のこの時期を生きてた人たちには、余計にグッとくるんだろうなあ。そして、ある方は「これは、文学です!」と言い切ったそう。
『からすたろう』に出会ってから、からすの鳴き声に耳をすませるようになりました。
ぜひ、一度出会ってもらいたい物語です。