『ナタリーはひみつの作家』(2003年)アンドリュー・クレメンツ作
田中奈津子訳 伊東美貴絵 講談社文学の扉 229頁
THE SCHOOL STORY, 2001
今日の一冊はコチラ!児童文学ピクニックの次回テーマが“秘密”なので、秘密に関する本を・・・きゃ~、まだあまり読んでません。そんな中、こちらはタイトルに“ひみつ”の文字があったので、迷わず、手に取りました。
うん、いい意味でカラっとしてて、アメリカーンなサクセスストーリー。いつもいつも単館上映系の重い映画観てたら疲れちゃって、たまには、分かりやすくてカラっとしたハリウッドものも観たくなるのですが、読書も同じで。そんな感じのハリウッド的な物語(←伝わります?)
≪『ナタリーはひみつの作家』あらすじ≫
6年生のナタリーの母親は児童書出版社の編集者で、ナタリー自身も物語が得意な女の子。ある日、母親が学園ものの児童書で良いものがないと困っていることを知り、こっそり物語を書き上げるナタリー。それを、親友のゾーイに見せたところ、その才能に驚いたゾーイは、出版クラブを秘密で立ち上げることに。果たして母親にばれずに、ナタリーの物語は出版にこぎつけることができるのか。ニューヨークを舞台にした、知恵と勇気と友情、そして親子の物語。
≪ここがポイント≫
■ 読みやすい文体で、展開が気になるので、本が苦手な子もグイグイ読めそう
■ 揺れ動くナタリーの心情が感情移入しやすい
■ 子どもだって、知恵を絞れば何とかなるという励ましをもらえる
■ ゾーイのバイタリティと考え出すアイディアに脱帽
■ 出版社の内情や、出版への流れも分かって興味深い
■ 素敵な大人もいるんだな、と思える
■ 爽やかに軽やかに、夢を実現するために必要なことを教えてくれる
うん、軽やかなのがいい。変に熱くなったり重たくないのがいい。(まあ、ゾーイは修造なみに熱いんだけど)
主人公のナタリーは交通事故で父親を亡くしているのですが、お父さんのことを忘れたくなくて、物語に親子の場面を入れるんですね。表面的には学園内での友情の物語ということになっているのですが、ゾーイには“ひとりの女の子と、そのお父さんの物語なのです。まるで、ナタリーからお父さんへの、別れの詩のようでした”(P.65)ということにちゃあんと気づくのです。だから、なんとしてでも出版させたい!と。
何か好きで得意なものがあるけれど、ともすると“私なんて・・・”と自信を失いがちな人におススメです。