ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは何番にしようかな。

第96回天皇杯決勝鹿島アントラーズvs川崎フロンターレ@吹スタ20170101

2017-01-04 21:15:34 | サッカー

新年明けましておめでとうございます。

サッカーマンにとって元日は、行くシーズンと来るシーズンのスクランブル。

第96回全日本サッカー選手権大会天皇杯決勝。

合いまみえるは、鹿島アントラーズと川崎フロンターレの神仏集合決戦となりました。

われらが小金井のスーパースター中村憲剛選手にとって、人世初の元日決勝。しっかり見届けたいと思います。憲剛さんの初の戴冠を願って。

万全の川崎対策で臨んだ鹿島を川崎も変態して迎え討ちましたけど、心理戦を絡めた鹿島の巧妙が勝りました。

鹿島はベスト4とほぼ同じ布陣で臨みます。シフトは4-2-3-1。GKは曽ヶ端。CBは昌子と直通。SBは今日は右に大伍左に修斗。ボランチは満男と永木。WGは右に康左に岳。トップ下は聖真。1トップは赤崎です。

川崎はエドゥアルド・ネットがサスペンションで不在です。シフトは今日も3-4-2-1。GKはチョン・ソンリョン。3バックは右から田坂、エドゥアルド、谷口。ボランチは今日の憲剛の相棒は僚太。WBは右にエウシーニョ左に車屋。2シャドウは右に悠左に登里。1トップはこれがおそらく川崎ラストマッチとなった大エース嘉人。

先月から観続けてきた風間川崎の集大成の形態は、ポゼッションスタイルの極みの先にある、高速アタックです。鹿島の川崎対策はここに打ち手を施してきました。

鹿島の基本的な守りかたはフォアチェックを基調としたプロアクティブなものだと思います。今日は、非常に静的でした。4+4+2の3ラインを整えることを最優先します。これはもとより、川崎のアタッカー四人が欲するスペースを完全に消す意図です。

これに対し川崎は、試合に入った時点では、鹿島のリトリートの威力を確認するためか、通常モードのスタイルで攻撃します。このため、川崎の弱点である両サイドにスペースができやすくなります。

鹿島はやはり、ここを狙います。試合開始からワンプッシュをかけるのは鹿島の常套。今日見せたサイドアタックもまた、見慣れた鹿島のオリジナルスタイルです。鹿島の攻撃は、右加重気味です。康にボールを集めて基点として、大伍と聖真のサポートを得て崩していきます。大伍の場合は縦に深い仕掛けからのクロスに、逆サイドから入ってくる赤崎、学、修斗が合わせます。聖真はインサイドのサポート役です。

鹿島の作戦を確認して、川崎がアジャストします。さすがに川崎ですから、鹿島のワンプッシュで動じることはありません。おそらく鹿島も織り込み済だったでしょう。この試合の流れは、川崎の対応を受け、決定します。

川崎は、決勝まで上り詰めたスタイルをあっさりと捨てます。遅攻モードに入ります。CBの間に入った僚太を含めた後ろの三人でゆったりボールを回して、攻撃ルートを伺います。遅攻モードの川崎は、外側を鍋のように囲い、なかを流動的にします。高めに置いた憲剛を軸にして、嘉人、悠、登里がスペースメイクを繰り返します。

遅攻であっても、縦を狙うこととサイドを基点にする、川崎の基本的な攻撃方法は変わりません。なので、エウシーニョと車屋の位置取りはとても高いです。鹿島を左右に揺さぶるなかでサイドに効果的な基点ができた場合は、ゴールの匂いが漂います。遅攻に入った川崎は、クロスをCBの裏に送り、そこに飛び込むアタッカーに合わせるフィニッシュパターンに活路を見出します。

鹿島の川崎対策はもう一つ。鹿島らしく中盤のコンタクトがとてもタイトです。ハードコンタクトは、鹿島が目の前にタイトルがぶら下がった試合で無類の強さを発揮する理由で、通常の試合よりも数段ハードだと思います。とくに嘉人に対して永木、僚太に対して満男のマークの強さが目立ちました。

川崎も一歩も引きません。鹿島は比較的長めのボールを前線のサイドに当てにきますので、川崎は起点を消す守りかたをします。このため川崎のコンタクトポイントは大伍や永木です。

中盤の競り合いが激しくなったところを利用して、鹿島が心理戦を仕掛けます。憲剛をターゲットにした満男のブラフは、もちろんインプレーではありません。でも、キャプテン対決は、平安の世の一騎打ちを想わせる古風な演出であるとともに、川崎の選手に囲まれながらも獅子奮迅する猛々しい姿を鹿島の選手に魅せたことでしょう。同時に、川崎の選手に対しても、勝利の哲学の象徴として、その壁の高さを感じさせたことだと思います。

さすがに川崎はいささかも怯みません。逆に幾分ヒートアップしたように見えました。少しプレーを急いだ感があって、それが川崎らしからぬクロスやシュートの精度に現れたと思います。むしろ満男が狙ったのはそっちかもしれませんけど。

リトリートする鹿島に川崎が攻めあぐねる展開のなか、試合は膠着します。そこに一閃を投じた先制ゴールが生まれます。

42分。康の右CK。鹿島はユニークな配置です。斜めに2列三枚ずつの平行陣を組みます。斜角は、キッカーの康に対しオープンです。ニア側は手前から大伍、昌子、直通。ファア側は手前から聖真、赤崎、修斗。川崎はハイブリッドです。マーカーは田坂、谷口、エドゥ、僚太、エウシーニョ、車屋です。ストーンはニアに憲剛と悠の二枚。康のキックモーションと同時に、赤崎、大伍がニアに飛び込みます。これでエウシーニョ、田坂が引っ張られます。さらに昌子をスクリーンに使って直通もニアに入ります。これでエドゥが置いてけぼりにされ、谷口が直通を見ます。なのでファアに下がった昌子がまずフリー。この時中央では、やはり康の蹴り出しのタイミングで、修斗が一度ファア側に体重移動するフェイク一発で車屋を置いてけぼりにします。これで修斗もフリー。三つ同時進行のサインプレーで康の選択肢は三つ。選んだのは修斗でした。どフリーの修斗は難なく当てるだけ。鹿島1-0川崎。

付ききれなかった車屋は悔やんでも悔やみきれないミスになりました。前半は鹿島リードで終了。

後半頭から、石井さんと風間さんが同時に動きます。まず石井さんは、先制ゴールの修斗に代えてファン・ソッコを同じく左SBに投入します。意図はちょっとわかりません。修斗にコンディションの問題があったのか、エウシーニョ対策か、はたまた右サイドに比して左からの攻撃が不足気味だったためか。

次に風間さんは、登里に代えて三好を同じく左シャドウに投入します。アタッキングサードでボールを持って仕掛けられるタイプのアクセントマンを入れて、攻撃の基軸としたかったのだと思います。

この同じタイミングでの作戦変更は風間さんに軍配が上がります。

54分。ハーフウェイを過ぎたあたりの右サイドでボールを持った僚太が、受けに来た悠にパス。満男と永木を省略して、局面は一気にアタッキングサードでの最終ライン対決になります。悠は昌子を引っ張り出し、このパスをスルー。これがとても効きました。悠がスルーした先にいたのは三好です。左足で受けた三好は、直通が寄せてきたのを感じて、一度左アウトで体勢を立て直し、直通に正対します。これがまた効きました。これで直通が三好に引きつけられます。三好は、そうしておいてペナルティエリアに入りこむ悠にリターン。悠はソッコの寄せをものともせず、右足でゴール左隅に流し込みました。鹿島1-1川崎。

ここからしばらくの間、このゴールを象徴するように三好が攻撃を引っ張ります。登里にしろ悠にしろ、ラインの裏で勝負するタイプです。ラインに向かって仕掛けられるのは嘉人だけです。結果的には、このことが川崎の敗戦につながった理由のひとつだと思います。言い換えると、嘉人を隠せてリーサルウェポンとして使えた、三好が活きていたこの時間帯こそ、川崎の勝機だったと思います。

そこで石井さんが動きます。赤崎に代えて優磨を左WGに投入します。岳が1トップに入ります。夢生が体調不良で離脱してから組織で勝負することが基本的な攻撃プランとなっているなか、唯一個で勝負できるのが優磨です。CWCで自信をつけた感のある優磨のスピードとパワーに期待して、鹿島はボールを集めます。

川崎も同調するように、前線にはやめのボールをつけるようになります。川崎の敗因がもうひとつ。エース嘉人のシュートは120分間を通じて結果的に前半の二本だけでした。観た目の印象も、ペナルティエリアに仕掛ける選手が直接シュートすることが多く、ゴール前でチャンスを待つ嘉人にパスが入りません。誰でもゴールできるのが川崎最大のストロングポイントではありますけど、やはり二人でリーグ戦合計30ゴールの嘉人と悠に最終的にシュートさせることがもっとも合理的だと思います。ゴールのすぐ脇で観ていても、嘉人が呼んでいるにもかかわらずで、シュートが外れたあとに寂しそうな嘉人が印象的でした。たぶんアタッカーは周囲が見えていなかったのではないかと思います。川崎はきっと、あの川崎にして攻め急いだのでしょう。

ロングカウンターの出し合いの果ては、コンサバティブです。鹿島は戦いかたのスタイルもあって当初から延長も視野にしていたと思います。その点川崎は90分で勝負をつけたかったでしょう。でも攻め手が次第に閉ざされるなか、矛先を緩めます。両チームとも延長やむなしのムードになります。これも川崎の敗因のひとつ。

そこで石井さんが動きます。満男に代えてファブリシオを投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。ファブリシオは優磨と並んで2トップです。ボランチには岳が回ります。ロングカウンター要員を増やすことがひとつ。もうひとつは、中盤の攻防が少なくなったので、満男のコンディションを考慮できると踏んだところだと思います。

ある意味鹿島の思惑通りに、試合は最終決戦、延長に入ります。

延長に入り、やおら鹿島が攻撃のギアをトップに入れます。優磨とファブリシオがかわる変わるゴールを目指します。これで川崎も攻め手に出られるようになりますので、試合がオープンファイトの様相を呈します。そして、いきなり決勝ゴールが生まれます。

94分。康の右CK。大伍のヘッドはクロスバーに当たって、跳ね返りを頭で拾った車屋が憲剛に渡し、憲剛がクリアします。ロブとなったクリアボールの落下点にいた永木は、頭で前線に戻しますけど、これも高いロブになります。ボールの落下点にいたのは川崎の四人だけでしたけど、左側から優磨が勢いをつけて落下点に入り、誰よりも高くはやくボールに辿りつきます。優磨が前方にフリックしたボールは、谷口の脇をすり抜けます。そこに大伍がいました。大伍は拾おうとしますけど、これは谷口が阻みます。でもこぼれたボールがファブリシオの目の前に転がります。ファブリシオは右足ダイレクトで叩き込みました。鹿島2-1川崎。

これを受け、風間さんが動きます。田坂に代えて森谷を投入します。同時にシフトを4-2-3-1に変更します。森谷はボランチに入ります。トップ下は憲剛。悠が右三好が左のWGに回ります。憲剛を上げて高めの位置で基点を作る意図だと思います。

これで鹿島はふたたびリトリートモードに移行します。延長に入ってすぐの失点ですからまだ時間はあり、川崎は焦る必要はないのですけど、やはり最後の局面でシュートを急いでいた印象です。時間がジリジリ過ぎていきます。

そこで風間さんが動きます。僚太に代えて森本をトップに投入します。同時にシフトを3-4-1-2に変更します。森本は嘉人と並んで2トップ。前線にアタッカーを増やして、シュートアテンプトの可能性を広げる意図だと思います。ただ、森本と右WBに入った悠にボールが集まるため、ますます嘉人が影を薄くします。

今日は悠にシュート意欲がありました。実際に結果も残しましたし。でもクロスバーに嫌われるシーンなど、サッカーの女神に微笑まれた印象はありません。調子が良かっただけに、自分が決めたい気持ちが優っていたのでしょう。

最終盤は、風間さんも美しさと強さの同居を捨てます。エドゥを前線に上げてパワープレーにでます。致しかたないなと思いました。結果は、エドゥがやはり自分でなんとかしようという意思が勝り、孤立気味になってしまいました。

そして、歓喜と無情が交錯する、ノックアウトでもっとも美しいときが訪れます。このまま試合終了。鹿島2-1川崎。

鹿島アントラーズが第96回天皇杯を征しました。鹿島サポのみなさまおめでとうございます!。

鹿島に、とりたてて顕著な勝負強さの象徴を感じませんでした。でもそれこそが鹿島の強さなのかもしれません。決勝のために仕掛けたスペシャルプランは、アクシデントを含めて三つ。それを躊躇なく試合中に繰り出すことができ、かつチームのコンセンサスがオートマチックにできることこそ、鹿島が積み重ねた時間の成果なのかもしれませんね。

風間川崎はとても楽しいサッカーを魅せてくれる魅惑的なチームです。プロスポーツとして極上のエンターテイメントを提供してくれます。今日の決勝はJリーグを象徴する組み合わせでした。川崎あっての鹿島、鹿島あっての川崎。リスペクトというのはまた違うかもしれないけど、互いの存在意義を分かち合えることは、将来を通じてJリーグの美徳としてあり続けて欲しいと思います。

中村憲剛とチームは、まだ無冠です。表彰式の間中ずっと俯いたままだった憲剛が、一度だけ空を仰いで大きくため息をつきました。悔しさにあふれる姿がとても寂しかったです。でも、たび重ねる試練は最上の喜びの過程。新しい2017年シーズンは、川崎にとってリビルドとなる難しいシーズンです。プレイヤーとしてマネージャーとして、憲剛の肩にかかる荷はますます大きくなります。どうか、憲剛らしくサッカーを楽しんでくれることを願います。

今年もぽちごやブログをよろしくお願いします。すべてのサッカーを愛するみなさんにとって幸福な一年になりますように。

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