ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2017J1リーグ第21節大宮アルディージャvsFC東京@NACK520170809

2017-08-10 15:13:09 | FC東京

暑というよりも熱と言ってよい日中も、陽が陰ると風も通り過ごしやすくなりました。

お盆前に酷暑のなかでの三連戦は、移動がまだ楽な大宮でございます。You'll Never Walk Alone♪

大宮の作戦変更に、前半とは真逆の展開となりながらも、両エースの揃い踏みで第14節清水戦以来の二ヶ月ぶりの勝利です。

東京は連戦ということもあり、ベストマッチングを模索する布陣のアジャストです。シフトは3-3-3-1。GKは彰洋。3CBは右からカズ、おかえりヒョンス、まる。WBは室屋と宏介。アンカーは洋次郎。IHは右に拳人左にヨネ。トップ下は翔哉。1トップは遼一です。

大宮も連戦のアジャストと新加入選手のマッチングの布陣です。シフトは4-2-3-1。GKは順大。CBは河本と菊地。SBは右に諒左に和田。ボランチは茨田とカウエ。WGは右に横谷左にマテウス。トップ下はマルセロ・トスカーノ。1トップは江坂です。

大宮は、順位から連想する未成熟はまったく感じません。むしろ、エッジの効いた攻撃で特長付けした、洗練されたサッカーを展開します。

守備は、渋谷さんが作りあげた大宮らしいやりかたを踏襲します。大宮の回帰すべき場所として確立していると言っていいでしょう。大宮は4+4の2ラインを10mほどの間隔で保つことを優先します。コンパクトな守備網はけして下がりすぎることはありません。なのでトランジションポイントは中盤です。いくぶん左右に振られたときにバランスを崩すことがあったように見えました。新加入選手がいることもあって、まだ昨年終盤のころのコンディションには戻っていないのかもしれません。

もうひとつ守備の特長はセットプレーです。CKのような横からのセットプレーでは、5+3のフルゾーンで守ります。最近同じ守りかたをするチームが増えていますのでトレンドなのかもしれませんね。

マルセロと江坂のチェックは、前線から守備のコースを作り出す役割を果たしています。なので大宮は、中盤の低めの位置でトランジションして、攻撃の体勢を整えてからビルドアップに入っていくかたちを志向しています。昨年までの大宮のイメージは守備優先のカウンター志向でした。今年は、キャンプからより攻撃的なサッカーに取り組んできたようですけど結果が伴わず、伊藤さんに変わったことで守備志向に回帰しているのかと思ってました。大宮の攻撃志向は良い意味で期待を裏切ってくれました。東京も攻撃的に臨んだこともかみ合って今日はとても面白いオープンな試合になりました。

というわけで、伊藤大宮の攻撃プランは、もしかすると渋谷さんが描いたチームの正常進化なのかもしれません。とてもユニークな攻撃を見せます。いくつかの特異な作戦を見ていきます。基本プランはサイドアタックに置いていますから、特長の多くはサイドにあります。まず攻撃時にSBがWGとクロスオーバーしてとても高く位置取ります。諒と和田のスピードを活かす意図だと思います。このためWGが比較的低めの位置を取り、SBにパスを供給する基点となります。

WGの役割は左右アシンメトリーです。横谷はコンダクターです。和田よりも諒のほうがより積極的な姿勢を見せていたのは横谷と組んでいるためだと思います。横谷はときに中盤中央に入ります。このことでボランチが攻撃に参加する際のリスクマネジメントができます。一方マテウスはスピードを活かして、スペースに抜け出しパスを引き出す役割を担います。

大宮のサイドは、縦のポジションチェンジだけでなく左右のポジションチェンジも頻繁に見せます。瀬川が入るとより顕著で、マテウスと瀬川が同サイドでコンビネーションを見せる不思議な光景が見られます。これは、大宮のアタッカーのポジショニングの流動性を表しています。WGだけでなく、マルセロも広範囲にポジションを変えます。そこでスペースギャップの発生を予防しているのが横谷であり江坂です。言い換えると、横谷と江坂がチームのリスクをコントロールしていると言って良いと思います。

序盤こそ、攻撃的な東京のWBの背後を狙って諒とマテウスがアタッキングサードに入る有効な攻撃を見せていましたけど、次第に大宮の攻撃は停滞します。理由は東京の攻勢が強かったので、作戦を変えてバランスを取るようになったためです。それから、マルセロにポストが収まらず、チームの重心を押し上げることができなかったことも影響していました。前半のマルセロは、中央のポジションを保ちます。序盤は最前線にはっていてポストプレイを担いますけど機能せず、中盤に下がってビルドアップに加わるようになります。

さて今日の東京は、新潟戦と同様に攻撃的な志向で臨みます。作戦は基本プランの通り。中心ラインでボールを前に運び、最前線にはったWBに出してクロスを供給します。今日は遼一が入りましたけど、ポストの安定感はさすがです。遼一にしっかり収まるので中央に洋次郎と翔哉の縦の関係が成立します。ここは大宮のゾーンとの綾かもしれませんね。洋次郎のポジションはゾーンの前ですからフリーになりやすく、ラインの間に入る翔哉に対しても、大宮はバイタルエリアから前に出ない限りはプレスをかけないので、比較的自由にポジショニングできてました。

中盤の関係も良くなってきていると思います。洋次郎が前に出るときは拳人とヨネが下がり、バランスを保ちます。案外中盤がはやくフィットできたのは、フィッカデンティさん時代の財産のたまものかもしれませんね。

大宮のオープニングブローをいなすことができた後は、ほぼ一方的に東京がイニシアチブを握ります。前半にCKが集中していたことが象徴しています。そして5本目にしてようやく先制ゴールが決まります。

30分。宏介の右CK。大宮は例によって5+3のフルゾーンです。東京はゴールに向かって五枚の平行ラインを並べます。ニアから拳人、ヒョンス、カズ、遼一、大外にまるです。宏介は、巻いてくるクロスを、拳人をスクリーンに使ってニアに飛び込むヒョンスに合わせる狙いです。でもクロスはヒョンスとカズと順大を越え、菊地の足に当たります。それが遼一の足に当たりました。J1通算400試合出場を祝う、ラブリーゴール。大宮0-1東京。

東京の圧倒的な安定感と攻勢は、大宮に攻撃の糸口を見つけさせません。大宮は出しところの無いまま、中盤でパスミスを連発します。リードした東京は、5+3のラインを保つことを優先します。完全に東京がオーガナイズする展開になります。前半はリードのまま終了。

後半から伊藤さんが作戦変更を施します。中央にはっていたマルセロをサイドに流します。サイドでも最前線付近に位置取りますから、ようやく高い位置で基点を作れるようになります。さらにサイドのアタッカーをフリーにし、パスの供給源となります。大宮のサイドアタックが活性化します。

それからボランチを縦関係にします。カウエがアンカーに入り、茨田が攻撃に加わります。茨田は、江坂と横谷と絡み、中央の高い位置でハブの役割を担います。このアジャストの恩恵を一番受けたのはマテウスです。マテウスのスタート位置が高くなりますので、ゴールとの距離が近くなります。大宮のシュートアテンプトにゴールの香りが漂うようになります。

伊藤さんがさらに策を加えます。二枚同時代えです。横谷に代えて瀬川を同じく右WGに、茨田に代えて大山を同じくボランチに投入します。瀬川は、マルセロが基点になれるようになったので、チャンスメーカーよりもフィニッシャーアタッカーを増やす意図だと思います。

瀬川は頻繁に左サイドの攻撃に加わります。前半はマテウスが横谷と諒に絡んで右サイドに厚みを加えていました。後半は室屋との関係からマテウスサイドに優位性があると見たのだと思います。

ボランチは縦関係を保ちますけど、カウエを前に出します。大山は中盤のバランサーを担います。これで前線にパワーが加わります。大宮の攻撃オプションが多彩になります。そしてこの一連の作戦が奏功します。

70分。マルセロの右FK。東京はストーンとして室屋とヨネの二枚を置いて、ペナルティエリア内にゴールに平行して七枚のラインを並べます。ニアから拳人、遼一、ヒョンス、カズ、まる、洋次郎、宏介。大宮はオフサイドエリアに瀬川を置き、主力はこれまたゴールに平行する並びで、ニアから菊地、河本、カウエ、江坂、マテウスです。マルセロのクロスはシンプルにニアの菊地に合わせるものでしたけど、カズとヒョンスと競った菊地に当たってこぼれます。そこにいたのはカウエでした。カウエはこれを右足ダイレクトで豪快に合わせました。大宮1-1東京。

同点になったことを受けて篠田さんが動きます。遼一に代えて嘉人を同じくトップに投入します。意図は言わずもがな。そして嘉人は実にあっさりと仕事をしました。

77分。マテウスのクロスをキャチした彰洋のスローインを受けたヒョンスから。ヒョンスは前線から下がってきた嘉人に当てます。嘉人は洋次郎に落とします。洋次郎はタメつつセンターライン付近まで上がります。これによって全体が押し上がります。大宮陣に入った付近の左寄りにヨネが上がり、洋次郎からのパスを受けます。ヨネは左ライン際を高く上がったまるに渡します。まるはルックアップ。この時前線では、宏介が諒と河本の間を狙って脱け出そうとします。これを見たまるはスルー。ゴールライン際で追いついた宏介は、ままよどうにかなりまっしゃろのマイナスのクロスをゴール前に折り返します。このボールが待ってましたの嘉人に渡ります。ボールを持った嘉人は冷静に順大の状況を確認して、ゴール左隅に決めました。大宮1-2東京。

この風景は、何度も味わいました。得点後の10分間の危険な時間帯。既視の風景と違うのは、失点ではなく得点ということ。東京の夏の逆転攻勢を予感させる流れだと良いなと思いました。

ふたたび東京がリトリートしながらカウンターを狙うモードに移ります。反動のように大宮が攻め込みますけど、後半のアジャスト後とは異なり、能動的にストロングポイントを使ってイニシアチブを握るというよりか、東京に攻めさせられているような印象を受けました。

そこで伊藤さんが動きます。諒に代えて岩上を同じく右SBに投入します。大宮はまだ武器を持っていました。岩上の、強くて高精度なキック力とロングスローに期待する作戦です。大宮は意図的に岩上にボールを集めます。ゴール前にクロスが次々と供給されます。

それでも東京の安定感は変わりません。ヒョンスが加わることで、ウィークポイントだった裏のスペースのケアが充実します。ヒョンスは強さよりも守備の上手さが格別に増していますね。もともと、ティピカルな韓国人ディフェンダーのストロングスタイルとは異なり、守備技術を強みにする異質な選手でしたけど、タイミングと読みも向上して、レベルアップして戻ってきてくれました。

リベロにヒョンスが入る効果は3CBの確立にも貢献するのではないかという予兆が今日は伺えました。それは何度か見せたまるの攻撃参加です。象徴的なプレーは追加点のシーンです。3CBは左右の選手が攻撃に加わることでサイドアタックの厚みを増しますし、ゴール前に人数をかけることもできます。まるは今日のように基点になるだけでなく、シュートも狙えるようになるとさらに魅力が増すのではないかと思います。それから、今はクローザーである右サイドも攻撃に加われるようになると攻撃のバリエーションが増えると思いますので、チャレンジしてほしいところです。

篠田さんが動きます。翔哉に代えて慶悟を同じくトップ下に投入します。中盤の攻守の運動量を補強する作戦だと思います。

最終盤に篠田さんが〆にかかります。ヨネに代えて山田を投入します。同時にシフトを4-2-3-1に変更します。山田はカズと並んでCB。まるは左SB。ヒョンスがボランチに上がります。拳人が右WG。

大宮にセットプレーの機会が増えてシュートを受ける展開になりますけど、守備の安定感が損なわれることはありませんでした。このまま試合終了。大宮1-2東京。

前半と後半で展開がガラッと変わり、充実した飽きのこない試合でした。時間が経つのがあっという間でした。お互いに攻撃マインドで臨んでくれたので、テンポもよくワクワクできました。眠らない街♪WE ARE TOKYO♪嘉人のシュワッチ

試合ごとに新システムで表現したいことが実現できています。システム変更以降、1勝2分の負けなし。クリーンシートはありませんけど、三試合連続で最小失点に留めていますし、流れのなかでの失点はゼロですから、名実ともに安定感が出てきたと言って良いでしょう。注文は、失点が三つともセットプレーだったこと。それでも、今日は新潟戦と川崎戦とは異なりミスではなかったですから、強化してきているのだと思います。

二ヶ月前の勝利はアウェイでした。ホームの勝利は4月30日まで遡ります。リーグ戦では三ヶ月以上、ホームのサポーターは眠らない街を歌えていません。次節こそ、もやもやを吹き飛ばす快勝を魅せてほしいと願います。


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