飛び込みの弁当屋さんの【タダで、尚且つそっと、お試し弁当を置いて行く】
という策略にまんまとハマってしまった当社経理担当重役。
以来、欠かさず注文している。
今や、社員達までもがその一党に与するようになっている。
重役の出社は毎日始業5分～10分後である。
なぜそんな微妙な遅刻をするのかは、未だに聞いていない。
なぜなら、猛烈な反撃が返ってくるのは、火を見るより明らかだからだ。
それはいい。
たまたま、外でたばこを吸っていると、いつもの時間に重役が出社してきた。
すると工場の中から、重役に向かって、
「あ、弁当お願いします。」（社員Ａ）
「俺も。」（社員Ｂ）
にこにこしながら
「お！弁当ね。わかった。」（経理担当重役）
何がそんなに嬉しいんだか。
いつの間にか弁当屋の御用聞になってしまったようである。
「おっちゃん、弁当は？」
出社一番の挨拶がそれか。
「どうすっと？」
『いらん。昼はラーメン食べに行く。』などと言える筈もなかろう。
えーと、塩サバ弁当で。
気弱に答える私であった。
昼休み。
んじゃ、塩サバ弁当食べよっかな～
ん？
お前、何食ってる。
「家から持ってきたパン。」
・・・てめえ
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