被災地支援プロジェクトチームEn

東北の中長期的な復興を目的としたボランティア任意団体です。活動のご報告をしていきます。

【学習サポート】2016年度第6回:社会に広げたいリーダーシップ

2017-01-25 22:31:01 | 日記


12月、1月の学習サポートは、中学生たちが受験に向き合う姿勢に変わるために、
まずは私たち自身が変わることを求められた回でした。

それがEnの伝えたかった「リーダーシップ」という考え方そのものであり、メンバーにとって、
組織としての考え方、自分と相手のあり方を考え深める機会としてもらえました。

チームの目的に当事者として臨むこと、それを可能にするチームとしての意識。
その心地よさが、Enの活動を超えて社会に広がってくれたら。

前回の12月メンバーの投稿に続けて、1月メンバーが「リーダーシップ」について考えを深めてくれました。ぜひお読みください。

-----------------------------------------

「リーダー」あなたの思うリーダーとは、どんな人でしょうか。

「リーダーシップ」そう聞いて、どんなことを想像するでしょうか。

Enでのリーダーとは、チームのメンバー全員。
リーダーシップとは、ある目標を達成するため、チームのために貢献すること、自分のできることを実践すること。

リーダーシップと言うと、頼り甲斐のある1人のリーダーがメンバーを引っ張る、というイメージが強いかもしれません。
Enの活動では、
①お互いを尊重すること
②相手の話をしっかり聴くこと
③メモをとること
④コミュニケーションに努力すること

これら4つをルールとして、1つの目標に向かってメンバーひとりひとりがリーダーであることを強く意識し、
主体性を持って活動していました。

全員が同じ負担で仕事をしなければならないという訳ではなく、できる人ができる時にやる。
でも人任せにはしない。常に周りを見渡し観察して、「今自分に何ができるか」「誰か困っていないか」
「今自分が何をしたらメンバーが助かるか」を皆が考えていたと思います。
こうした「主体性」と、常に相手に寄り添って考えること、聴くこと、がメンバー内に信頼関係や団結力を生み、
活動をより活気あるものにしたのだと感じます。

しかしこのEnのリーダーシップは、Enの活動内だけではなく、社会のあらゆる場面においても応用できると考えます。
学校、会社、組織、政治等々、このEnのリーダーシップがスタンダードになったら、日本社会はどんなに活気あるものになるでしょうか。
ひとりひとりが主体的に参加をしたら、議論をしたら、耳を傾けたら、どれだけたくさんのアイディアが生まれ、
どれだけたくさんの解決策が導き出せるでしょうか。

今回のEnの活動を振り返って、「不満」というものが生まれなかった、と感じました。
それは他人事にせず、そこにある問題に当事者として向き合ったから、そして全員がリーダーだったからだと思います。
「何でやってくれないの」「何でこうなの」。私たちが一般に想像するリーダーシップでは、どこかで溝が生まれ、不満が生まれます。
「どうしたらより良く変えられるか」「自分には何ができるか」。
全員がこの視点に立てたとき、その問題が、組織が、社会が変わっていくのだと思います。

リーダーシップ。少々重荷に感じる言葉かもしれません。
でも、チームのために自分ができることで貢献すること、と捉えると少し肩の荷がおりるのではないでしょうか。
このリーダーシップが社会に広がることを願うとともに、まずは私自身が身の回りで実践していきたいと思います。

(あゆみ)

【学習サポート】2016年度第6回:1月学習会活動報告

2017-01-21 22:30:02 | 日記
1/6〜1/9で学習サポートを行いました!

先月は受験に向けてこれまでの勉強の姿勢から受験生に求められる高い水準の勉強の姿勢に中学生を引き上げることを目的として活動しましたが、今月は受験というゴールに向けて中学生が全力を出し切るという目的で活動しました。

今回の学習会には、ミーティングで「中学生を本気にしたいならまずはスタッフ全員が本気になることが必要だ」という気付きを得て、自分たちが変わる意識を全員が持って臨みました。



私たちの学習サポートの目的のひとつは「中学生が自主的な学習ができるようになること」なので、今回でそのゴールが達成された状態で中学生を送り出せるよう、具体的には以下のことを自分たちが体現するよう意識しました。

①中学生が「自分は伸びる」と信じられるようになる
②中学生が自分から課題を持とうとするようになる
③中学生が課題に対し自分で動けるようになる

中学生が自信を持てるようにポジティブな言葉をかけたり、自分の力で解ける経験を積ませたところ、だんだんと自分から積極的に問題に向き合おうとするようになり、スタッフや周りの友達に質問して理解しようとする姿勢が見られるようになりました。

また、今月で学習会は終わりですが、生徒には自分たちが来月も学習会をやりたいと思うなら自分たちで先生に相談するように伝えました。私たちを頼るにしても自分たちで頑張っていくにしても、自分たちのことは自分たちで決め、自分の力で未来を切り開いていってほしいという願いからです。それがこれから先の彼らの人生で大切なことだと考えます。

学習会の最後には「学校やクラスで、みんなで勉強するという雰囲気をつくりたい」「受験生としての意識を持ったクラスをつくりたい」など、これから迎える受験という壁にみんなで向き合っていこうとする姿勢が見られました。

Enが彼らにとってどのような存在だったかに対しては「勉強が楽しいと感じられた場所」「自分にとって助かる存在で、自分が変わることができた存在」などという声を聴くことができ、私たちの役割である勉強への動機付けや、彼らにとっての居場所になるということができたのではないかと思います。

最後に振り返りの結果をご報告したいと思います。(5:とてもそう思う、4:そう思う、3:わからない、2:そう思わない、1:全くそう思わない)

Q1.学習会で、これまでよりも勉強をやりきれましたか?
→5が75%、4が25%

Q2.学習会でできた学びを、これからも続けることができそうですか?
→5が92%、4が8%

今回の学習会では、スタッフも「相手を変えたいたいならまずは自分たちが変わることが大切だ」という学びを得ることができました。学習サポートは中学生だけでなく私たちにとっても学びの場であり、中学生から学ぶこともたくさんありました。このような機会をつくっていただいた地域の方、学校の先生方、そして私たちを信じて学習会に参加してくれた中学生に感謝の気持ちでいっぱいです。ここでの学びをこれから先の人生で多くの人に還元していきたいです。

【学習サポート】2016年度第5回:ESD教育レクチャーを受けて

2017-01-19 22:16:09 | 日記


今回、12月のEn災害研修において、学習サポート先の学校の教頭先生によるESD教育と防災教育について実際に行われている取り組みを例にレクチャーを受けました。そこから私自身が感じたことをお話ししたいと思います。

ESDとはEducation for Sustainable Developmentの略であり、国連で発信された考えでありここ最近では文部科学省がESD教育を推奨し日本の学校でも持続可能な教育が推進されています。レクチャーの例として挙げられた学校は、教育委員会や地域の方々と提携してESD教育の取り組みの1つとして、防災教育を行っています。大規模な地震が来れば90%以上の確率で津波が到達するというデータや過去の災害史に基づいて先生は生徒たちに自主的な防災の必要性を説くことをしました。実際に避難シミュレーションを何度も行い、そのたびに反省を繰り返しました。仮設トイレ・テントの設置、ハザードマップの作成などを含め「わたしたちは未来の防災戦士」というテーマで50時間の防災教育を受けていたといいます。
そして、実際に3.11が起こりました。津波の到達地点はシミュレーション通りであり、生徒たちは訓練を踏まえて避難行動を取ることが出来ました。また三つの奇跡があったといい、【①干潮時であり、もし満潮時あったら津波はあと2m高かった②3月であり、小学校低学年の児童もしっかり訓練を受けていた③昼間だったこと】があるといいます。結果、犠牲者が比較的少なく、市内でも同じような傾向が見られました。しかし、大切な生徒の命が失われたことに変わりはありませんでした。
その学校は、体育館が避難所として使われていて生徒たちも運営に協力していました。そこで彼らは日ごろの防災教育で得てきた自立性や地域の方々とのつながりを生かしました。先生がいない時も生徒たちが率先して地域住民の方々に対応するケースもありました。まさにESD教育をベースとした教育が生きたとも言えます。

ここまで、教頭先生が語られた話を簡単に要約してきましたが、ここからはそれを受けて私個人として感じたことも交えて話したいと思います。話を聞いて思ったことは、「正しいことを正しくする」ということです。土地柄上、津波が来れば大きな被害が受けることを想定していたからこそ防災訓練、防災教育の必要性を先生・生徒が一体となって感じていましたし、アンテナの高い先生が多かったからこそ生徒もそれを素直に受け止められたのだと感じます。自分が小学生の時にここまで防災学習をしっかりやっていたといえば嘘になります。正直、その時の自分はその必要性すらも感じていませんでした。ESD教育に立ち返ってみると、二つの観点が大事にされています。【①人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むこと②他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、「関わり」、「つながり」を尊重できる個人を育むこと】つまり、外部環境の変化に対してもしっかりと対応していける自立性を持った人間になることが基本とされています。そのうえで災害とは私たち人間と切っても切り離せないものであり、いつか必ずやってくるものです。この学校はその意識が浸透していて、だからこそ「いざ来た時に対応できるために今何をするべきなのか」が重要視されていたと思います。それが日常的な防災訓練や自主的な防災教育に繋がっていたと思いますし、ある意味で緊張感を持った実践的な教育が行われていたように思います。

ただそれは、本当にその必要性を一人一人が認識していたからこそであり、教育機関の連携、先生たちの教育に向けた姿勢があったからこそ成しえたことだと思います。教育とは、教える側の影響を多分に受けるものですし、ましてや小学校にもなると先生が子供に与える影響はとても大きいです。それこそ、教師という仕事の尊さだと思いますし、だからこそ誇りを持って先生たちは日々子供と向き合っているのだと感じます。

言いたいことは、必要だと認識した上で、そのために必要なことを把握し、一つ一つ丁寧に実践していくことがこの学校では出来ていたのかなということです。正直、必要なことは目に見えませんし、それを認識することも出来てないケースは多くあります。ただ災害という中で皆がいざ来た時のことを意識して、避難シミュレーションを行えていたのは皆に共通認識があったことの賜物であると思います。
  
                                                               (なかじ)

【学習サポート】2016年度第5回:リーダーシップとそれを支えるのに必要なこと

2017-01-18 23:14:33 | 日記


Enにおけるリーダーシップとは、「チームの目的のために率先して行動する」ことを指します。

Enに参加する以前は、リーダーシップとは統率力のことで、それこそ特定の人にのみあるカリスマ性の事だと思っていましたが、参加して実際に活動してみると、今まで考えていたリーダーシップとは少し違うということを体感しました。

これには自分の認識、そして周りの意識が大きく関わっています。前述のリーダーシップを発揮するには、
・自分を年齢や経験で位置づけしたりせず、目的達成のために積極的に関わって行くこと。
・周りは、チームメイトとお互いに積極的に協力し合えるように、互いを対等な立場と考えて行動すること。
の二つが必要不可欠だと考えます。

実際にそのリーダーシップをメンバー全員が発揮し、チームワークがあったEnのルールには、「互いを尊重する」というものがあります。目上目下に関係なく、ただ相手のことを考えて行動する。この考えが根底にあったからこそリーダーシップは初めて発揮され、逆にこのような考えがなければ、リーダーシップは発揮されないのだと思いました。

リーダーシップを惜しみなく発揮するには、
自分も含めた集団のメンバー全員が、互いを考えながら行動する姿勢が必要なことだと思いました。              
                                                                (とーや)

【学習サポート】2016年度第5回:助けを求める力

2017-01-18 22:58:31 | 日記


Enの学習サポートでは、中学生が「自立学習」ができるようになること、を最終的な目標にして、サポートを行なっています。では、「自立」するためにはどんな力が必要なのでしょうか。

「自立」とは、1人で何でもできること、では決してありません。もちろん自分でできることは自分ですることが大切です。でも、人には得手不得手があります。苦手なことがあったときには、人に助けを求め、人の助けをうまく借りながらその事柄に取り組んでいくことも必要です。この「助けを求める力」こそが「自立」するうえで必要なのではないかと、私はEnの活動を通して考えるようになりました。

Enの学習会に参加している中学生たちは、「英語が苦手だ」「数学が苦手だ」と、大学生に助けを求めることができています。問題を解きながら、「ここがわからない」とはっきりと言える力が、Enの中学生にはついてきています。わからないことをわからないと言えることは、当たり前のようで実は当たり前ではありません。とてもすごいことであり、「自立」をする上では欠かせない力なのです。

私はある壁にぶつかったとき、人に助けを求める力がなかったためにやり遂げられなかった経験があります。「助けを求める」というのは簡単なようでとても難しいのです。なぜなら、助けを求めすぎると相手の重荷になってしまう一方で、相手の重荷になることを恐れて助けを全く求めなければ、自分自身がつぶれてしまうからです。

勉強に置き換えて考えれば、「英語が全くわからない」と言われたら、指導者はどこから教えればいいのか判断しかねます。でも、「三人称単数がよくわからないから教えて欲しい」と言われたら、英語が得意な人なら喜んで教えると思います。

Enの中学生が、自分がどこを理解していないのかをもっと分析して、ピンポイントで助けを求められるようになることが、彼らに「自立」をさせる上で私たちがこれから目指していく「助けを求める力」になると思います。この力があれば、将来受験以外の壁にぶつかった時にも、ここで培った力を活かしてきっと立ち向かえると思うのです。

受験を乗り越えたその先の人生においてもきっと役立つ力を、Enの学習会で助けを求めることを通して、彼らに身につけてほしいと願っています。

                                                                 (りょん)