ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

奈良公立博物館特別展『快慶 日本人を魅了した仏のかたち』

2017-04-20 23:42:04 | 仏教彫刻探訪

4月13日(木)、吉野からどこに行くか考え抜いた末、近鉄奈良駅に戻ったのが14時41分。
途中、飛鳥や壺坂寺・當麻寺も行き先候補に挙がったが
せっかくなら本番前に予習をしておいた方が良いのではないかとの結論に達し
奈良国立博物館に行くことにした。
当初の目論見では、特別展『快慶 日本人を魅了した仏のかたち』(以下、『快慶展』と略す)には
14日(金)の博物館開館前に並んで入るつもりでいた。
前売り券は買ってあった。
しかし、せっかく来たのだから1回の来館ではもったいないと思うようになり
予習をすれば、2回めがさらに充実したものになるのではないかと思い至ったのだった。
博物館に向かう途中で食事を済ませ、興福寺の境内を通り、博物館へ。

どおおお~っ
行く前から興奮。

おおーっ
これはこれは。
東大寺俊乗堂の阿弥陀様がお出迎えとは、恐れ入りますな。
この時既に15時40分。
17時の閉館まで1時間20分しかないが、ええい、行ける所まで行ってみよう。


時刻も時刻だったからか、館内は人気もまばら。
前売り券はコンビニエンスストアで出力された味気ないチケットだったので
『快慶展』のチケットを入手するには、当日券を買う必要があると考えたが
受付で前売り券を渡すと、なら仏像館の入館券が付いたチケットと交換してくれた。

それがこちらのチケットで、さきほど入り口で出迎えてくれた阿弥陀様が
截金文様をバックに崇高な面持ちで来館者を招いているようだ。
音声ガイドを借りて、展示室の中へと進む。

どわ~

のっけから目を見張る。
これからいらっしゃる方のことを考えると、あまりいろいろと書くことは控えるが
とにかくすごいの一言に尽きる。
快慶の彫刻のみならず、モデルとなったであろう像や絵画が紹介され
像内納入品や墨書銘、さまざまな史料から裏付けられた快慶の造像の様子がわかる。
ああ、展示を企画し、快慶所縁の品々出陳のために各方面へ交渉をしてくださった
奈良国立博物館の学芸員の皆さんに、心から感謝します。
ありがとうございます
音声ガイドを聞きながら、人が少ないのをいいことに、展示ケースの前に張り付く。
展示ケース越しにも、快慶の作品特有の理知と崇高の極みオーラが放出されており
それだけでも忘我の境地なのに、露出展示の前では
自分をしっかり保たないと失神しそうなくらい、魂を揺さぶられるものばかり。
そして、いよいよ東大寺の僧形八幡神にまみえる時がやって来た。


八幡様はなんと、丹塗りの柱と白壁を模した場所におわして
まるで社殿でお祀りされているお姿のようであった。
なんと威厳に満ちたお姿よ
そして、そのお顔の神々しいこと

やっと、やっとお目にかかれました~

人がいないのをいいことに、思いきり泣く。
像からは、重源と快慶の東大寺の再興に懸けた思いが溢れているようだ。
彩色が鮮明に残っているお姿からも、この像がいかに大切にされてきたかがわかる。
ところが、回って横顔を見た時、ぴすけには八幡様がとても寂しそうに見えたのだ。
正面からは窺い知れないその表情を見て、また泣く
しばらくそこから立ち去れないでいると、像を前に涙している人がいた。
そうだよね、涙が出ちゃうよね
するともうここで閉館10分前。
警備員がカウンターを持って、館内を回り始めた。
えーっ、まだ半分も見ていない
仕方がない、明日また来よう。


…と、再びやって来た、4月14日(金)10時20分。

13日(木)に職員の方に混雑具合を確認しておいたので、並ぶこともなくすんなり入館。
前日より人はいるが、十分ゆっくり見て回ることができた。
時間切れで観ることができなかった、というか、存在すら気づかなかった映像コーナーで
「祈りを刻んだ巧匠仏師 快慶」を観る。
このアニメーションも大変よくできていて、立ち見で1回、座って1回観てしまった。
この日もまた音声ガイドを聞きながら、食い入るように展示を見る。
食い入るように史料を読んだ結果、大発見
東大寺の修二会(お水取り)で読み上げられる『二月堂修中過去帳』に
北条義時の名前を見つけたのだ
義時
『二月堂修中過去帳』には、東大寺や二月堂に縁のある人々の名前が記されており
平安時代末期から鎌倉時代に当たる部分には
後白河天皇や源頼朝、重源、栄西、陳和卿、源実朝、快慶などとともに
「平(北条)義時左京権大夫」とあるではないか。
「これ、『左京権大夫』ではなく『右京権大夫』だよね」
と思いながら、義時に一方ならぬ興味のあるぴすけは、一人悦に入ってニヤニヤする
さらにもう一つ。
これはぴすけが無知なだけなのだが、長谷寺は度重なる火災に見舞われており
1219(建保7)年閏2月の炎上後、本尊再興において仏師集団を率いたのが快慶であった
『長谷寺再興縁起』を食い入るように読むと
「佛師法眼快慶 号安阿弥陀佛 當世殆無並肩之人 云々、其身浄行也」
(当世で肩を並べる人は全くいない)
と評されていたのであった。


夢心地で展示室を後にして、快慶グッズの物販所で図録を購入。

そして、なら仏像館の帰りに地下のミュージアムショップで
「これ買ってどうするんだろうな」
と思いつつ、僧形八幡神坐像のポスターを買わずにはいられなかったぴすけであった。

『快慶展』、最高

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なるほどすごいや! (芝刈り爺さん)
2017-04-21 19:44:42
やっぱりすごそうですね、、、。妻殿がお茶の用事で京都に行くかもしれないので、、その時でもいけたらいいんですけど。。。5月中、6月4日までですね、、。いいですねえ、、。羨ましいであります。
行けると良いですね (ぴすけ)
2017-04-22 15:43:20
芝刈り爺さん、奈良に行けると良いですね。
快慶展は、4月25日から醍醐寺三宝院の弥勒菩薩がお出ましになるので、一気に混むかと思います。
私は2014年9月に奈良国立博物館で開催された特別展『醍醐寺のすべて』でお目にかかっているので、お出まし前に行くことはまったく気にしませんでしたが、この仏様を目当てに来る方は多いと思います。
また、三尺阿弥陀と呼ばれる阿弥陀様も、5月9日以降の後半には2躯増えて、7躯がズラリと並びます(前半は5躯)。
おそらく後半は混雑するのではないでしょうか。

ただ、奈良国立博物館は、金曜日と土曜日の開館時間が延長になっています。
夕方から夜に行くのも選択肢の一つに加えてみても良いかもしれません。

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