[作]エリック=エマニュエル・シュミット
[演出]森新太郎
[翻訳]岩切正一郎
[出演]橋爪功 / 井上芳雄
[あらすじ]
ノルウェー沖の孤島で、一人暮らしをしているノーベル賞作家アベル・ズノルコの許へ、地方新聞の記者と名乗るエリック・ラルセンという男がやってくる。ズノルコの最新作、恋愛小説「心に秘めた愛」についての取材のためだ。ラルセンは、屈折したズノルコに手を焼きながらもインタビューにとりかかる。
ある男と女の往復書簡に実在のモデルは存在するのか? なぜ突然ぷっつりと、この手紙のやりとりは終わってしまったのか? 記者嫌いのズノルコが特別にラルセンの取材に応じた理由とは? ズノルコにとっての愛とは?
すべてが謎であった。
まさに白夜が終わり、夜の季節に移り変わろうとするその日の午後、こうしたラルセンの意味ありげな質問は続き、やがて二人をめぐる衝撃的な真実が次第に明かされていくのであった。
ミュージカルという枠を軽々と飛び越えて、いろんなジャンルに挑戦するプリンス井上芳雄。今回もまた、見たこともない井上くんを見せてもらいました。
何せ二人芝居の相手は名優中の名優、橋爪功氏。どんな化学反応を起こすのか、楽しみでたまりませんでした。
背景となるのはノルウェーの孤島。レコードから流れる静かな変奏曲、白夜を思わせる空が微妙に変化していくところが本当に美しい
何故ラルセンがここに来たのか、出版された往復書簡とは一体・・・
アガサ・クリスティーばりの幾重にも重なる謎。もしかして、「エニグマ変奏曲」14の変奏曲の分だけ謎は存在するのか息を呑む展開。。
ええっ?!と何度もどんでん返しに驚きながら、一幕最初はズノルコに圧倒されていたランセルがじわじわと形勢を逆転させていく面白さにわくわくし、驚きの真実に度肝を抜かれました。この作品、あちこちのサイトで感想やネタバレがありますが、これからご覧になる方はまっさらな状態で行かれることをお勧めします。
最後はもう、「愛」ってなんだ。。。とあまりの感動に落涙
76歳の橋爪功氏。膨大な台詞よどみなく、彼自身がノーベル賞作家 ズノルコその人としか思えないような素晴らしい演技でした。全てが台詞ではなく内から湧き上がる言葉のよう。これに対峙する井上くんもまた、陰影のあるラルセンを捨て身で。昨夜のTBSラジオ「BY MY SELF」で、「喉がガラガラで声帯が心配」と言っていた意味がよ~くわかりました。星の王子様の時にも、「こんな井上芳雄みたことない」と驚きましたが、更にまた進化していて度肝を抜かれましたどこまでいくんだプリンス!
こうして名優の胸を借りて、どんどん大きくなってほしいです。「黒蜥蜴」も楽しみ!
橋爪ファンでしょうか。客席には高齢の方も沢山いらっしゃいました。