指のリハビリテーション~こんなことやってます

指のリハビリってどうするの?作業療法ってなに?ただ動かすだけじゃない!他とは違う、一作業療法士の理論展開!

糖尿だよ!全員集合!

2005-11-26 22:11:08 | 指のはなし
 前回の「指が…落ちそうです!再・手術です!」で、メインの指が結局つかなかったことよりも、オチの糖尿の方(しかもYさん糖尿じゃなかったし)に反響があったので、新しく記事にしてみました。しかも自分のコメント丸写し、という手抜きぶり。

初登場、ハルカさんのコメントに、
>糖尿の方に関しては、自覚を持つことはかなり困難なことでだと思います。患者さんのおっしゃる通り、美味しいものを食べて死んでもいい、という言葉に尽きるような気がします…。ホントはいけないんだけど…。
それと、指のケガでは治癒やリハビリにどう影響するか、との質問。

ゆう星☆さんのコメントに、
>「美味しいものを食べて死んでもいい」という人生観.本当にいけないのかな...
医療に関わっていると,どうしても治(直)したくなる.
いい悪いは,その人の周辺,背景も合わせて考えないといけないのだろうけれども,好きなことをやって人生楽しんで終えられれば,それはそれで幸せなのでは...

 糖尿ってほんとに困りもので、指に関しても治癒にめっちゃ時間がかかるように思います。リハビリも大変で、何が大変かといったら、「指とお酒とたばことケガと」で血管や神経について書いたように、血管がボロボロになって健康な血管よりも弱いですし、肝臓や腎臓が悪くなれば循環が悪く、腫れも引きにくいのです。

 ハンドセラピィの考え方では、まず腫れを引かせること。腫れがあることで関節の動く範囲が少なくなってしまいには曲がった状態でカチカチになったり、手の中で腱が骨や周りの組織に癒着しやすくなってしまうんです。
 そうなるといくら他人が曲げて指がよく曲がっても、自分の力で曲げることができず、物を持っても落としやすかったり、力が入りにくかったり…と生活に支障をきたします。
 糖尿は万病の元と言いますが、指にとってもそうみたいです…。

 好きなもの食べて、死んでいっても…。個人的には好きなことして死ぬんだったらそれはそういう生き方なんだし、楽しんで死んでくれ!とも思うのですが、それにはリスクが伴いすぎるな~と。
 ぽっくり死ねたらそれでいいけど、チョコさんのおっしゃるように、
>大好きだった美味しいものも、糖尿のせいで美味しく思えなくなったりするから それからの人生がかわいそうです。
だったりとか、脳卒中で重篤な障害を持つことになってしまったりとか…。
 自分でなんとか生活できるくらいかもしれないし、家族のつきっきりの介護が必要かもしれない。
 それがきっかけで、病院めぐり(悪く言えばたらいまわし)の余生を送ることになるのかもしれない。

 そのリスクをどう考えるか。

 Yさんのような人でしたら、一度家族と真剣に話し合いをしてから、食べまくり生活をするのがいいのかもしれないかも。そんな話し合いがすんなりできるくらいなら、誰も苦労しませんけどね。

 かくいう私の父親も、家族が止めるのも聞かずに甘いもの大好き糖尿親父ですから…。
 父親が一番!世代なので、誰が何言ってもダメです…。今はいいけど、そのうちどうにかなったらどうしよう~とはらはらしています…。
 ひよっこOT、父親の考え方は変えられず!お父さんのあほ!ぴよぴよ。
 あ、でも母親情報によると、最近ジムに通うように努力はしているみたい。
 その調子で正常範囲内になってくれ!

ピアノの演奏会に行ってきました(久しぶりの指話をからめて)

2005-11-20 19:53:30 | 指のはなし
今日久しぶりに演奏会に行ってきました。アレクサンダー コブリンという人です。
私はピアノは多分小学校低学年のときに数週間?数ヶ月?通っただけで、記憶にあることといえば  ・先生が怖かった ・クリスマスパーティーに近所のスーパーの雑貨屋さんで女の子の貯金箱を買っていった   しかありません。
でも楽器をするのは好きなので、せっかく誘ってもらったし、行ってきました。

案の定一部は半分寝てしまったのですが(心地よい暖かさで…)、一緒に行った人が双眼鏡を持ってきていて、二部は少し借りてみました。
そしたらなんと!ただ聴くだけよりも俄然おもしろくなったんです!

コブリンさんが弾いている指の動きを見ていたのですが、その動きの種類がまたおもしろい。そのうえセクシーなんです!

①まず、細かく繊細な表現をするところは、指の形が「グー」に近くなっています。からだは少し丸まっていたりします。
②次に、だんだんと強く表現していくうちに、指の根元が「グー」から真っ直ぐに伸びていきます!(第1、第2関節はやや曲がっている)小指は横へと伸びていきます。
③更に激しい表現になってくると、もっと指の根元が上がって今度は水平よりも上に上がります!このときの手の甲に浮き上がるスジがとっても!セクシーなんです☆
④最高潮になってくると、上半身が真っ直ぐに伸び、肘も使って叩きつけ(ちょっと違うかも)るように!でも脇はしめたままです。

ここでハッと!これって表現によって使う指の筋肉の数が増えてるんじゃないの!?

①「グー」で柔らかく細かに弾くときは、虫様筋(指の根元の更に下、ぼこっとへこんでいるとこの下に続く長めの骨たちの間にいる、にょろっとした小さい筋肉)
②指伸筋(肘のあたりからくる長いやつ。指(主に指の根元)を伸ばす)が加わる。小指は小指外転筋(小指の、ぼこ、の下の骨の外側にいる筋肉。小指を横へ伸ばす)
③指伸筋ががんばって最大限働いている
④腕の筋肉いろいろ(上腕筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋…など)と、広背筋(背中の真ん中からばーんと下につく大きい筋肉)も加わる!

こんなふうに、筋肉の足し算で音のダイナミクスの幅が広がって、表現に変化がつくのかな、と思いました。

こういうことですか?と帰り道すがら尋ねてみたら、「そらそうやろ」だって。
「繊細な動きは手内在筋(手の中だけにいる筋肉)で、強く弾こうと思ったら外来筋(手の外、腕の方からやってくる筋肉)も使うんや。脇をしめることで広背筋を使うねん。肩の周囲の筋肉を使わないのは、力を入れると疲れるから。肩を固定すると安定して弾ける。野球選手でもそうやろ?肩に力を入れるなっていうやん」

ふ~ん、そうかぁ~。 …ここらへんで、あ、と思った方もおられるでしょう。そうです、大先生と行ってきたんです。(またかよ)

「ピアノは虫様筋で決まんねん。でもそれは、小さい頃に虫様筋を鍛えていたかだから、僕はもうあかんねん」

それは知らんかったわ。さすが大先生。でもピアニストの夢、破れたり、だったんすね。
こんなふうに音楽と同時に指の動きをみるのも臨場感があっておもしろいな、と思いました。

大先生は洗濯とお掃除とごはんと勉強と…で忙しく、急いで帰っていきました。それにしても新しくていいホールでした。たまにはこんな息抜きもいいですね。