王様の絵日記

猫好き漫画家の毎日のあれこれ

神戸行ってきました

2007-07-23 01:47:51 | お仕事
無事行って参りました神戸。

お昼どきに着いたので、まずは腹ごしらえ。目的地の近くでカフェ飯。

神戸らしく、焼きたてパン10種類ぐらいが食べ放題でした。ランチのメインはダンナ様は冷製ジェノベーゼ、碧也はサーモンの香草焼き。焼きたてのパンはどれも美味しくて満足。皆さんお皿を片手に何度もパンが並ぶテーブルに通っては山盛りにパン取りまくり食べまくり。神戸っ子は本当にパン大好きですね。

お腹いっぱいになったところで、本日の目的地へGO


こちら、神戸市立博物館で昨日から開催されている特別展↓


「西洋の青~プルシアンブルーをめぐって~」であります。

「非常ノヒト」1巻をお読みになって下さった方なら「ベレインブラーウ」という言葉に聞き覚えがあるでしょうか。「物類品隲」にもその項があり、源内が拘っていた西洋顔料「ベレインブラーウ」とは、ずばりこの「プルシアンブルー」の事なのであります。

源内が描いたのであろうと言われる油彩画「西洋婦人図」、小田野直武の「蓮図」、佐竹曙山の「燕子花にハサミ図」、司馬江漢の「異国風景人物図」などを所蔵しつつ常設していないという神戸市立博物館ですが、プルシアンブルーの特別展にこれらを展示しない筈はない!と意気込んで行ったのですが、ばっちりありました。

そればかりでなく、秋田の千秋美術館でもついに本物が見られなかった、直武の「唐太宗図」や「児童愛犬図」までもが一緒にならんでるじゃありませんかっ…!!がふっ!!
いやもう、前にのめり後ろにのけぞり喜ぶわたくし

源内の隣に直武、直武の隣に曙山、一人挟んでその隣に江漢の絵がずらりと並ぶそのエリアは、今現在のわたくしにとってはわさわさと全身の毛が逆立つほどの喜びの空間でして、そんなにめちゃくちゃ混んでもいない事もあいまって、数時間ほどうろうろと徘徊しては絵に張り付いて(ガラスケースのせいでちょっと遠かったんですが…)眺めるという幸せな時間を過ごしてきました。

(神戸市立博物館HPより)

本当に源内の作なのかどうか、博物館の学芸員の方ですら微妙に疑っている感じの「西洋婦人図」ですが、今回まじまじと近くで眺めて、勘ですが、やはりこれは源内の手によるものじゃないかなという印象を受けました。ちょっと素人臭い絵で、でも何とも器用で小奇麗な彩色や、全体的に漂う可愛らしい印象のフォルムが、志度の源内博物館のお神酒天神を思い出すんですね。絵の根本的な癖みたいなものは人間あまり変化しないので、お手本(向かいに展示されてました。西洋男女図)があっても、そういう部分は残るんじゃないかと思ったりします。

(神戸市立博物館HPより)

ずっと見たかった直武の「蓮図」は、生で見ると本当に繊細で美しく、陰影の細かさや暈しの美しさはやはり群を抜いていました。近くで見ると、彼のあの細い細い線で蓮の茎の毛の一本一本まで細かに描き込まれているのがよく分かるんですが、離れてみると今度は葉や花の色の微妙な陰影や色彩の変化が際立つという。淡い背景もあいまって、なんとも幽玄かつ写実的な美しい画でした。横に並ぶ曙山の絵や江漢の絵と比べてみても、この人の陰影や細かなディティールに関する拘りは徹底しているなと思いますね。江漢なんてすぱんと明るくてダイナミックで陽な感じがするんですが、直武の絵は本当に柔らかに静かに力強く、陰な感じで美しい。写真じゃよく分からないのが残念ですが。

ああ、代表作の「不忍池図」が見たい。見たいよう。この絵に見え隠れする源内の影の話なんて聞くと、ますます見たい気持ちが倍増であります。碧也につきあううちにどうやら秋田蘭画や直武の画にハマったらしいダンナ様ともども、「また秋田に行くしかないのかのう…」と話しております。

(上に並ぶ名前の方々は、曙山を除きウィングス本誌にはもう登場してますが、コミックス派の方はもうしばらくお待ち下さい。2巻には出てます)

それにしても、そのあたりに3時間ほど張り付いていたせいで、一般の方々の源内に関する会話が色々聞けて面白かったです。ほぼ全ての方が口にしたのはやはり「うなぎ」と「エレキテル」。



「あーこれ、これや!『土用の丑の日』や!日本のマーケティング界の魁になった人やで!」(50代ぐらい・男性)

…ちょっと違うですかね…

「あー、平賀源内。あれやな、日本で最初に蒲焼食べた人!!」(40代女性)

…ち…ちがっ…

「それとあれやろ、カミナリさんおこす人やろ!?えれきてる!」(その友人らしい女性)

…源内本人も「雷の理」つってるから、それでもいいのか…しかしまるで超能力者…

「知らんわ。誰それ。聞いた事もないわ」(40代ぐらい・女性)

…マジっすか!?きょ、教科書に載ってませんでしたか?


と、面白く聞きつつ彼らの絵をしっかりと眺め、展示物のいくつかを見て「あ、嘘描いた…」と軽く落ち込んだりしながらも(図の資料が無く、文章から想定して描くと実際の形状やサイズと違ってる事がままあります)有意義な数時間でした。
幾つかの図録を買って美術館を後にしましたが、近所なら何度でも行きたい特別な特別展でした。


夕飯は例によって南京街の「楽園酒家」へ。オードブル、メイン2種、お粥、デザートの「お粥コース」を注文。
エビチリ~
鶏のから揚げ香味ソースがけ
〆はやっぱりお粥!

美味しく頂いて、イスズベーカリーのパンと観音屋のチーズケーキを買って、満足して帰りました。

おまけ。神戸のベイエリア。綺麗でした。


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むしむしですね

2007-07-21 23:11:18 | お仕事
梅雨が明けそうで明けないのでやたら湿度が高い、このむしむしな日々。我が家の場合、いっそ窓を開けない方が涼しいのですが、掃除する時は窓を開けねばですからね…。部屋着を夏用のワンピースに変えました。去年無印良品で買った麻混の薄い薄いワンピが涼しくて気に入ってます。

この季節、エアコン無しでリーン・ロゼに座るとまさに地獄の灼熱拷問椅子状態なので、ごろ寝用の寝茣蓙を買いました。日中、エアコン無しで本を読むときは床にごろごろ転がろうと思います。


本日のブランチは自家製カンパーニュ、野菜とソーセージのスープ、コーヒーと、ダンナ様特製のミックスジュース。バナナとミックスフルーツの缶詰に加え、冷凍しておいたブラックベリーを一掴み入れて貰ったら、これが激ウマ。程よい酸味とベリーの香りが加わって、色も綺麗です。今度からはコレ定番にしよう。

3度目にようやくカビが生える前に起きてくれたレーズン酵母で作ったカンパーニュ。薄くスライスしてカリカリ気味に焼いて、イル・レッチェーロのオリーブオイルに漬してほんのちょっとだけ藻塩をつけて食べると絶妙の味。
自家製酵母の複雑な味に慣れてしまうと、ホシノで作ったパンが何とも味気なく感じてしまうのが不思議です。リーン系のパンだと味や食感の違いがはっきり分かるんですよね。ホシノも美味しいんだけど、菓子パンや食パンなどのソフト系のパン向けのような気がします。
ずっと天然酵母系ぱかり食べてるのて、イーストのパンはイースト臭が鼻につくようになり、イーストすら使ってない袋パンは口に入れると気持ち悪く感じるようになってきましたよ…。
健康のためとかいうんじゃなく、味覚の違和感ですかね。母もダンナ様もそう言ってるので、明らかに違いがあるっぽいです。でも明日は神戸に行くので、美味しいパンを買ってこようかと。神戸のパンって本当に美味しいんですよね。楽しみ楽しみ。

欲しい資料本が書店でもネット書店でも見つからず、版元にも既に無く、古本屋ネットのページには2冊ほどあったけど時間がかかるよな…という事で、駄目もとで近場の巨大古書店へ。この古書店、つぶれた古書店の本をどんどん買い取って巨大化している店なので、漫画や雑誌から謎の専門書まで不気味な程の品揃えがあります。「困った時には××書店」という店なんですが、迷路のごとく入り組んだ店内に、床にまで雑然と詰まれた本の山を漁るのも大変なので、ここ数年足が遠のいておりました。

で、その資料本ですが、行ってみたらありましたよ。びっくりだ。しかも、新連載関係の資料本も漁れば出るわ出るわ。地方史(ちなみにうちの地方じゃありません)で、たった300冊しか出てない本の通番183冊目て。現地の古書店でも無かったような本が、何でこんなところにあるんですかとちょっと驚愕。

馬鹿高さに涙を流しながら数冊選び出して(見つけたの全部はとても買えませんでしたよ)積んでレジに持ってくと、合計ウン万円。思わぬ出費に心で号泣しながら領収証を切って貰ってると、奥から現れた店長の奥さんが「お久しぶりです」と声をかけて下さいました。

名前が(結婚で)変わってるのに、馬鹿買いの本のラインナップと顔で記憶されてたっぽいです。店の奥に眠り続けて数十年みたいなマニアックな専門書(主に歴史関係)ばかり馬鹿買いする奴はやはり珍しいんでしょうかね。

すっかり変色した、旧漢字だらけの箱本の山の上に、たまにはちょこんとフォモ小説なんかを乗ってレジに持っていった恥ずかしい過去の日々。それですっかり顔を覚えられてしまったようで、時々声をかけて貰ってたんですが(それもこの店では大変珍しい事らしいです)、まさかまだ覚えてらっさるとは思いませんでした。

「今も岡山に住んでらっしゃるんですか?」と奥さん。「はい、今も居ります」とわたくし。まさか「最近本屋巡りが面倒なんで、主にネットで探して買ってます」とは言えねえ…。奥さん、『きっと結婚で遠い土地に引っ越したに違いない』と思ったらしく、ものすごく遠くの支店の名前をいくつか教えてくれ、支店全ての住所が入った紙を袋に入れて下さいました。いえ、今も近くに住んでおりますよ、わたくし…。…たまには覗かないとね…。
ええ、奥さんは知る由もない筈ですが、わたくしの著書もほぼ全て揃っているという稀有な本屋さんなわけですし

それにしても、本の山を漁ってるわたくしの肩に、突然ちっちゃいカマキリが乗っかったのには驚愕しましたよ。どうやら棚から取り出した本の間にいたようです。連れて帰ってうちの庭に住んで貰おうかと思いつつ、また本を漁っているうちにカマキリはどっかに行っちゃいました。本の中に肉食のカマキリが住んでる古本屋。

一体何がいるんだ何が(怖)




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へろりん

2007-07-20 23:45:15 | お仕事

魅惑のもこもこヒップ

ちょっと体調が悪いので、明日行く筈だった神戸は明後日になりそうです。あーあ、プルシアンブルー関係の講演会聞きたかったのに…。しかし、行った挙句に具合悪くなると意味無いので仕方ないか…。



一昨日の夜のこと。
お風呂で体を洗おうとしてボディーソープのポンプを押したら。

ぷしっ

という音とともに、ボディーソープが左目を直撃。

このアメリカ製のボディーソープ、ラベンダーオイルが入っていていい香りなのと、顔も体も洗えるのが気に入って配達コー○でリピートしてるんですが、どういうわけだが傷口に入るとすんごいシミるんですね。でもまあ傷口がヒリヒリする程度なら「いやあ、さすがアメリカ製の凄い薬だ」とか何とか少林サッカーみたいなセリフを吐いてりゃいいんですが、粘膜であるところのお目玉さんにはいっちゃったもんだから、もう痛いのなんのって

すぐに水で洗い流したんですが、痛い痛いとにかく痛い。お風呂から上がって体も生乾きのまま、アイ○ンで眼を洗う事数回、目薬を注す事数回。それでも寝るまで目がシクシクと痛むので、またア○ボンで洗って目薬注して。

朝になったら治ってるだろうと信じて寝て起きたら、何と左目が目脂でくっついて開かないじゃありませんか!何事!?と、慌ててボディーソープの注意書きを読んだら、「目に入ったら洗い流して医師に相談を」とわざわざ赤太字で注意書きが。

一体何が入ってるんだ、このアメリカ製の液体石鹸!?ええいコー○め、こんな危険なモノ売ってくれちゃって!抗議してやるんだから!!

…と、パニック起こしつつ、いつもの眼科に行こうとしたら、なんと休診日。しかし放置するのも怖いので、ちょっと遠くの眼科に行く事に。大きくて綺麗な眼科だから案の定混んでいて、待ち時間の間に視力や眼底その他の検査を済ませ、いざ診察室へ。

目の中やまぶたの裏を診て頂きながら事情を説明したら「ほう、そりゃ大変だ」と先生。

すわ!やはりアメリカ製のボディーソープには何やら謎の薬品が!?とびびりつつ、ボディーソープへの疑惑を先生にばしばしぶつけてたら


「いや、だから洗いすぎ。そりゃ目脂も出るって、そんなに刺激したら」




…は……。

「洗いすぎ」、でございますか…。
それはつまりアメリカ製ボディーソープ罪は無く、コ○プにも罪は無く、すべてわたくしが元凶って事ですか…。

先生のおっしゃるには、「流水で洗った」までは正解で、その後の「ア○ボン」と「目薬(疲れ目・充血用)」攻撃がダメダメだったようです。

「『ア○ボン』は眼科医で薦める人はいないよ」と先生。眼を洗うのはただひたすら外へ外へと流すのが基本なのだそうで、カップの中からまた目に戻っちゃうのは×なんですって。「でもアレの起源は意外と古くて、ローマの史跡(違うかも)からもアイカップが出てきたんだよ。小○製薬さん着眼点はいいし、気持ちいいんだけどねえ」と先生。
ヘーヘーヘートリビアですわ先生。

まあ、とにもかくにも何事も無く、ただてめーの愚行のせいで白目部分にちょっと傷が入ってるらしいので、抗菌点眼薬を貰って帰ってきました。よかったよかった。殺虫剤とかならマズイけど、基本体を洗うものの場合、そこまで大事には至らないそうです。「今度同じ事になったら流水で洗って、心配なら涙と同じ成分の目薬で流しておいてね」と先生のアドバイス。はい、そう致します…。

絵描きにとって、目は大切な商売道具ですからね。気をつけますです。


これは昨日焼いたパウンドケーキ。バターの半量をアーモンドオイルに替え、アーモンドプードル(アーモンドの粉)を加えて焼きました。中のフルーツは去年製のチェリーブランデーの中のチェリーと、ブランデー漬けのレーズン。焼きあがった後、ラム酒のシロップをたっぷり塗ってラップにぐるぐる巻きにしておくと、しっとりしたケーキに仕上がります。当日より翌日翌々日の方が美味しいんですよね、この手のケーキは。簡単だけど美味な焼き菓子であります。





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非常ノヒト2巻作業中

2007-07-19 01:23:37 | お仕事


「非常ノヒト」2巻、表紙カラーの下絵に入りました。

本文部分については、絵・ネームともに直しは終了して入稿済み。表紙カバーのカーが終われば、後はチェックのみとなります。9月発売のコミックスとしてはかなり早めの進行なんですが、8月が殆ど新連載準備でつぶれるので、このスケジュールで行っとく必要があるかと思われます。とりあえず今週中はカラーやりつつ新作用資料読みつつ、来週に入るとまたネームに入ります。

「余命一ヶ月の花嫁」という番組を観て、滝涙を流しつつ色々と考えてしまいました。わずか24歳、余命一ヶ月の末期癌の女性が、友達や彼氏や親族の協力のもと、模擬結婚式を挙げるというドキュメンタリーです。とてもとても可愛い女性で、その分途中から観るのが辛くて仕方なかったんですが、もし自分だったらどうだろう、もし大切な友人や大切な人がその立場だったらとうだったろうと考えてしまいました。「ウェディングドレスが着てみたい」という彼女の言葉に反応して、おそらく番組の協力もあったんでしょうけど、彼女の為に短期間で式場を押さえ、当日まで内緒にして式を挙げた友人達。前日に指輪を用意して渡した彼氏。周囲の用意したサプライズを素直に喜びつつ、笑顔を見せる花嫁姿の彼女。その笑顔の奥の心中までは、画面からは完全に推し量る事は出来ませんでした。

もし自分が友人だったら、あんなに即時反応して行動に移すこともできず、もたもたしているうちに一ヶ月が過ぎてしまったかなと思うと、友人や周囲の行動力は大正解だったのかもしれません。でも本当に好きな人だったなら、まねっこの結婚式って実は複雑かも、とも思ったり…。もしかしたら、自分の為というより『花嫁姿をお父さんに見せてあげたい』という思いが彼女の中にあったのかな…と思ったりしました。

ああ。本当の本当は彼本人から、式の前にプロポーズしてあげて欲しかったな。模擬じゃなく、嘘でも本物の式にしてあげて欲しかった。

でも、全てはテレビの前に座ってただ享受しただけの人間の言う事で、当事者の方々にとってはそんな風に簡単な事でも、軽々しく言える事でも無いんだと思います。現実なんですもんね。嘘でも本気のプロポーズができるか。それをその場で彼女が受けられるか。それは当事者でないと分からないし、どれが正解かもやっぱり分かりません。ほらもし自分だったらこんな風にぐだぐだ悩んでいるうちに時が過ぎて、後で悔いる事になるんだきっと。時として直感や即断は熟慮より良い結果を生むことがありますから。

ここ2年ほどの間に、昔原稿を手伝ってくれた事がある女性や、友人の家族が癌で亡くなって、その時の話を身近な人々から聞いたりしていると、「当事者以外の人にできること」の限界について考えさせられたりもしました。一番大切なのはつまり、自分がいかに今その人を大切に思っているかを、その時その瞬間、しっかりしっかりと伝える事かもしれないですね。

そういう、色々な事を考えさせられた番組でした。癌検診の必要性もね。


季節が悪いのかレーズン酵母をつくる過程でカビが生えてしまうので、久しぶりにホシノ酵母を起こしました。ホシノで作るとハード系のパンもちょっとふわふわになってしまうので、急にソフト系の成形パンが食べたくなって作りました。
明太子ちくわ、ソーセージと粗引き胡椒、こしあんパン、栗あんパンです。


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だるいだるいの日

2007-07-16 23:49:07 | 日記


中越沖地震の被災者の方々、お見舞い申し上げます。

まさに地震列島という感じになってきましたね、最近の日本。緊急避難リュックと猫ゲージをスタンバイせねば…と思いつつ日々が過ぎている感じの我が家です。ダメじゃん…。

昨日で仕事をいったん切り上げ。トーン等の処理が若干残ったけど、先行してるんで(今描いてるのは8月発売号分)続きは月末の仕事に繰り込む事に。
しかし何だか最近、仕事アップがずるずると後ろに延び気味であります。「みんなトシになってきたからペースが落ちてきた」とはアシか××よ姉談。うむ。それはあるのかも。ちょっと気入れて頑張らねばなりませんな。

ところで今月発売号分の原稿は2週間も前に発送済みなんですが、最後の必要処理作業(これをしないと写植が打てず印刷所にも入稿できない筈)について、未だ編集部から連絡がありませんよ。ちょっと大丈夫ですかウ○ングスさん。私、用事があるんで明日は終日出かけちゃいますよ?

ほっといても仕事するせいか、どこの編集さんも連絡はもともと少なめな感じなんですが、あまりにも無いのはちょっと困っちゃうなあ。先行してる分ならいいけど、その原稿既にギリギリになってるんじゃ…。恐る恐る問い合わせメールしましたが返事がありませんよ…。
どうするんだろ…ううう



今回の仕事中、突然マイフェイバリット小説のうちの一本、杉本苑子の「傾く滝」が猛烈に読みたくなりました。

舞台は江戸、天保の頃。歌舞伎役者・八代目市川団十郎と、仇持ちの浪人・宮永直樹のラブ…ストーリーと言っていいのかな。うむむ。その昔、時代・歴史小説ばかり読んでいた高校生の頃、図書館で何気なく借りて読んで、ものごっつ衝撃を受けた小説でありまして、その後何とか手に入らないだろうかと神田神保町まで探しに行ったけど絶版で手に入らず、泣く泣く何度も図書館で借りては読んでおりました。後に、杉本さんの別作品が大河ドラマになったのをきっかけに文庫化され、ようやく手に入ったという、かなり思い入れの深いフェイバリット小説なのであります。

同人時代、最後の発行物だったかな、「SUKI」というタイトルで自分の好きなものばかり取り上げた本を出したのですが、その中で1ページだけ、こっそり漫画化してしまったりもしましたが、もう15年以上は手にとってなかったその小説が、何故いきなり読みたくなったのかはちょっと不明。しかし家の新築の引越し以降、趣味の本は全てダンボールに詰めて、納戸その他に仕舞ったまんま。その量も膨大なんで、きっと今はすぐにはとてもじゃないけど探せないザンスと思ってアマゾンで購入しようと思ったら、もう絶版になってやんの。そりゃ文庫の発行が1985年ですから、当然っちゃ当然かもしれないけど。

諦めきれず仕事明け、手近にあったいくつかのダンボール箱を開けて探したら、その中にありました「傾く滝」。うおお感涙。杉本作品はおそらく大半持ってるんですが、どこにあるか分からず。しかしこれ一冊だけ、何故か別の箱に入ってたようでした。サンキュー大雑把な4年前の私。

んで、徹夜明けなのに寝もせずむさぼり読んでちょっと満足。以前よりずっと大人になってるので、読んだらまた印象が違うだろうなと思ったら、全く変わらなかったのも驚きではあります。

私は時代の空気感や社会背景、価値観なんかを、少女の頃に杉本作品はじめ大量の時代小説を読んだ事で学んだようなものでして、今それがとっても役立っていると思ってます。文献や図説や研究書などの所謂史科資料本の読み込みは、実際に仕事に入る時に必要な作業でして、その時は小説の類は省く事にしています。しかし例えば「前髪を払う」だの「茶断ちをする」だのという何でもない言葉や、武家社会の仕組みや仇討ちの過酷なシステムなんかは、こういうしっかりした考証に基づいて細部まで書き込まれた時代小説を沢山むさぼり読む事で、自然と認識の中に入ったんだよなあ、なんてしみじみと感じました。

漫画家になったら、いつか描きたいと思っていた時代を、今比較的自由に描かせて貰ってるのは、ある意味とても幸せな事なんだと思ったりしますね。ジャンルが少女漫画なんで、やっぱりある程度の制限はありますけど。

「傾く滝」文庫の奥付の初出年を見たら、何と1969年の発行でした。ほぼ40年前ですよ。ちょっとびっくり。時代物っていうのはある意味色褪せないものですね。今漫画化しても、結構いけると思いますよコレ。


庭のブラックベリーが次々と熟れてます。何を作ろうかな。美味しいんだけど種が多いので、ジャムにするの大変なんだよね。








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甚だ多忙

2007-07-05 00:25:52 | お仕事
…でございますよ。

昨日遅くまでネーム直しと取り組んでいたので、起きたら昼前。
夕飯のチキンのオリーブとトマト煮を仕込んで、カンパーニュを捏ね上げて、酵母のリフレッシュをして、お昼ごはんを食べて、おやつのティラミスを作って、洗い物を片付けて軽くお掃除して洗濯ものを取り込んだら早夕方でございました。

それから「蘭学事始」と「解体新書」の読み直し。昨日からやってる、「非常ノヒト」2巻のネーム直しの仕上げ。その後ウィングス新人大賞の作品を読んで、講評。幻冬舎コミックスの新人賞の選評も、そろそろ書かねばならない頃ですな、と、はたと思い出したり。このままの流れで次の鬼外のネームの大筋だけ組んでしまおうかと思ったりはするんですが、明日は梅雨の晴れ間らしいので、またぞろ家事が。春布団を干して仕舞って夏用タオルケットに変える作業と、梅干の紫蘇入れもやっちゃわないとですよ。紫蘇入れは梅干仕事の中で尤も手間がかかる作業です。絶対、半日はかかっちゃうな。それよりスーパーマーケットに紫蘇はあるのか?無ければまた去年みたいに半径数キロ以内のスーパーマーケットを自転車で行脚するハメになっちゃうのか?

ああ忙しい。何でこんなに忙しいんだろう。新連載の未読資料もまだ山積みなのに

それにしても「蘭学事始」の原文読みつつ思うのですが、玄白の文章は読み易いなあ。…げ…源内のはちっと読み辛いんだナ…。解体新書の和訳の手順からみても、この人はかなり効率的で現実的なものの考え方が出来る人だったんでしょうね。だからこそ(ある意味彼なりの筋は通っているとはいえ)基本トリッキーな動きをする源内を、びっくりしつつもとっても愛していたんだろうなと思ったりします。そんな玄白は、アシさんたちに妙に人気。フロンティアでありながらも、堅実で誠実な爽やかさんだからのようです。

…とまあこんな風に、続けさまに鬼外ばかりやってるせいか、登場人物の彼らが頭から離れません。ふと気づけば、源内の事を考えてたり、なおなお(仕事場の愛称・小田野直武)の事を考えてたり。家事やってても、いきなり意識のどこやらで、江漢と直武が喋くってたりするんですよね。こらもう、白昼夢の域ですね。『姫様』の連載があった時は、半月ごとに脳味噌が入れ替わってたんで、ネームに入る直前までどちらのキャラの事もさほど思い出す事はなかったんですが。

まあ、本格的に新連載準備と執筆に入る8月頃からは、今度はそっちのキャラが脳内に住み着くんでしょう。何だか半分彼岸に住んでます。漫画家です。


そういえば、大河離れした超絶美形Gackt謙信を観て心の中でそっと思ったこと。


「…ちょっと、大角コスやってみていただきたいかもしんない…」


そんでもって


「毛野コスのHydeさんと並んで立ってみていただきたいかもしんない…」


けっこうゴイスかもしんないと思ったりするんですが


本日のグリ王子。

ちょっとねこばなれしてます、このお腹。オヤジ臭い感じです。


お腹をぽんぽん叩いてたら怒りました。超キョーボー
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何か生えてるみたいですが

2007-07-04 00:54:27 | お仕事

生えてるわけじゃなくて「非常ノヒト」2巻分の直しチェック箇所でありんす。付箋だらけですが、これ全部言葉の直しや再チェック箇所…。

普通の碧也作品より、はるかに細かな訂正が多いこの漫画。てめーの書き間違い、編集さんの誤植&ルビ間違い等に加え、単語や言葉まわし、その他についての再チェック。監修の人に付いて頂いてるわけでもないんで、孤独な一人疑問の一人チェック入れであります。

一巻の時には青焼き(という製版後のチェック)で大量の直しを出し、スケジュール的にもクレームがついた上に、更に直しコボレが数箇所あったりして(仕事場の愛称・めがねっ子こと中川淳庵の名前とかさ…)大変悲しい思いをしたので、2巻からは製版前の雑誌の刷り出しで訂正を入れる事にしたのであります。

プロット時に様々な資料を読み、ネーム時にまた調べなおし、絵を描く時にも色々調べなおし調べ足すっつーのに、何故にまだこんなにミスや疑問があるのか自分、と情けなく思いつつ、もいっぺん資料読みです。どこに何が載っていたやら、忘れちゃってるのでまたひっくり返さねば…。

発表済みのてめーの漫画を読み返すだけでも結構苦痛なものなんですが、描き終えた部分の資料を浚うのも実に嫌な作業なんであります。だって必要とはいえ、嘘吐いてる事だって再確認させられちゃう作業だしさ…。でも、俺がやらねば誰もやってくんないので頑張りますよ。江漢のファンの方あたりには俺、ぐーで殴られても仕方ないんだきっと…。いや、大好きなんですけどね、江漢。今作では便利屋さんみたくなってますが、彼がいてくれて色んな意味で凄く助かってます。
画面は明るくなるし、登場人物減らしに協力しまくってくれてるし


うちんちの江漢さん。割と時空を捻じ曲げて(本来いない筈の場所にも)登場してます。
ひょっとしたら他の漫画にも出るかもしれませんよこの人。

そういえば、ページ数不足を懸念していた碧也の為に、担当さんが苦肉の策「最終巻の増ページ」を提案してくれました。「非常ノヒト」は1巻も2巻も普通のコミックスより32ページほど厚いんですが、ひょっとしたら3巻は更に32ページ厚の250ページ台のぶ厚コミックスになるかもしれんです。2巻のケツでようやくラストの重要人物、角館の若き武人画家の彼が出たとこですから、ちょっとでもじっくり描ける可能性が増えたのはありがたいですね
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300人のぱんつ一丁

2007-07-03 00:25:43 | 映画
…漢たちの映画、観てきました。

「北斗の拳」って昔大好きでしたなんて人なら間違いなくどっ嵌れる映画でありましょう。「CIN CITY」も「無極」も大好きなわたくしとしては、大変面白く観ましたです。



300人のスパルタ軍の皆さんの腹がチョコなのか凄かったです。ぱんつにマントにサンダルなんて、ひとつ間違うと暗闇の変態にしか見えない風体なのですが、これが実にカッコよかったのです。槍と縦だけで戦う、美しき300人の板チョコぱんつ男たち。
向かうはペルシア軍、クセルクセス王↓


こんな人。きんきらぱんつ一丁に、全身ピアスとアクセサリーの巨人。
ちょっとしたハードゲイにしか見えません。イエーイ

ほぼ全編戦闘シーンのみといった感じの映画ですが、迫力ある美しい肉弾戦は観てても飽きないものですね。しかし何が悲しかったって、可愛い美青年アスティノスが、同じく若き戦士ステリオスとじゃれあいながらすんばらしくかっちょいい立ち回りを見せた後、いきなり首がふっとんじゃったって事でしょうか

こらパパン隊長でなくともちょっと衝撃でした。しかも彼、パンフに写真すら無いんですよ。何とかしてやって下さい(悲)。

主人公のレオニダス王役のバトラーは、件の「オペラ座の怪人」のファントムの時は、誰が何と言おうが激しく「違うだろ」感が漂っていたのですが、こちらはもうとってもぴったりでした。しかも腹にすごいチョコ飼ってたんですね。ファントムの時は気づきませんでしたよ。ついでにデヴィット・ウェンハムもね。ファラミアの時には以下同文。

日帰り温泉に寄ってお風呂入ってご飯食べて帰ったのですが、その温泉の食堂で幕の内弁当をつつきながらダンナ様が一言。

「お風呂に入ってお腹を見たら悲しくなったよ…」


ちょっとスパルタ軍には入れませんってか。

「大丈夫。ホビットならすぐ行ける

「そんなん嬉しくないし!やっぱりここはひとつ『ビリーズブートキャンプ』…」


いやあれ絶対無理ですから。もともと腹にチョコ飼ってるような人でもなければ。深夜の通販番組はそれじゃなくても危険ですから。何しろ碧也、徹夜明けにボーっと深夜の通販番組を見ていて、つい上腕筋を鍛えるマシーンなんて買っちゃったことありますから。その時なんで上腕筋を鍛えようと思ったのかすら謎なんですが、同じ雑誌に描いてた漫画家さんが、柱コメント(欄外の作者コメント)に碧也が買ったマシーンを「無性に欲しい」と書いてるのを見た時、深夜の通販番組には何やら謎のサブリミナル・メッセージが仕込んであるに違いないと思ったりしたもんです。

しかし、温泉の食堂の隣の席のおっちゃんおばちゃんズまでがビリーの話をしていたのはびっくりですよ。鍼の先生曰く「最近多いんだよ、『ビリー』患者…」。そらまあ、運動不足な人に限って無茶しますからね。

スパルタ戦士になるわけでもないんで、ほどほどに行きませうね。碧也はぎっくり持ちなんで腹筋運動なんて出来ません事よ。
ええ、当然ぷよんぷよんです











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ぶっ続けで

2007-07-01 02:44:32 | お仕事
「非常ノヒト」のお仕事を先行しております。

6月号が発売になったばかりですが、実は7月発売のウィングス分の原稿はもうアップしておりまして、このまま7月中にはががっと9月発売号までの原稿をアップしてしまう予定。つまり鬼外カルテの未発表の残り7話分のうち、3話分を先行で片付けてしまうわけですね。

あんまりさくさく描いてしまうのも何となく寂しいような気もするのですが、新連載が9月に迫っているので、合間合間に新連載の準備をしつつ、出来る仕事から入れて行くとなると、ラストまでの話が出来ている鬼外を先行せざるを得ないわけです。それでも10月頃には追いつかれてしまうし、まだ描いていない6話の中に無理なく展開を詰める作業には、細かな計算が必要で結構大変。

私はプロット組みの時に勘と逆算でストーリーの立体読みをするんですが、実際に描くと細かな展開やエピソードが思わぬページ食いをする事があって、帳尻を合わせるために冷や冷やしたりもします。何しろシリーズ全ての〆になりますから、ラストに来てページ数が足らなくならないよう、今から気を引き締めて行きたいと思っております。

そんな「非常ノヒト」第2巻は、今月のウィングスの回まで入って9月頃発売定です。コミックス準備も入る事を思えば、忙しいっすよ9月まで。

新連載準備は、遅れつつ現在資料読み込み中。歴史を下敷きにした、というより、歴史における社会体系や事件等を下敷きにした、フィクションの時代劇になりそうです。ファンタジーやSFではなく、登場人物オールフィクションの時代劇になるのではないかと。

現実にある場所と、現実にある社会構造、年代を特定しつつ、嘘臭すぎないように架空の人物達を動かすには、緻密な設定が必要にはなるのですが、史実の縛りが少ない分だけ自由度が上がるのではないかと思っています。もしかしたら碧也としては初めての「娯楽時代劇」という括りになるかもですね。

そういえばアシさんたちに人気の「風林火山」を今更初めて観たのですが、大河らしくないカット割とカメラワークにちょっとぴっくりです。成程、普段歴史に興味無い人たちも観るわけだ。まるで漫画から抜け出たような美形謙信にもびっくりです(笑)。明日(もう今日か)は是非観ねば。

しかし、300人のぱんつ一丁男たちが走り回る映画を観に行く予定なんで、大河は忘れないように録画せねばなりませんね。
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