日経新聞 雑学『インテリジェンスの世界にある「鏡像」』=自ずと自分を出してしまう思考過程=

2017年07月31日 14時26分44秒 | 雑学
日経新聞 2017年7月27日(木) P.1 
連載コラム『春秋』

 国どうしが情報戦を繰り広げるインテリジェンスの世界には、「鏡像」と呼ばれる落とし穴があるのだという。

電話を盗聴し、スパイを送り、情報を集める。

そのうえで相手の動きを予測するわけだが、この際、どうしても自らの行動原理をもとに判断してしまうのだ。

▼相手の姿を見極めるつもりが、浮かび上がってくるのは鏡に映った自分の姿でしかない。

結局私たちは自分の常識の範囲内で物事をとらえがちで、その結果、相手の行動に驚くことになる。

治安関係者のための月刊誌「治安フォーラム」で知った知識だが、まさにいまの国際社会のありようを示しているようで、興味深い。

▼「予想できない」という点では米国の大統領が筆頭格であろうか。

騒動は環太平洋経済連携協定(TPP)や温暖化対策であるパリ協定からの離脱にとどまらない。

就任から半年が過ぎたいまもなお混乱は続いており、つい先日もトランプ氏を擁護していたはずの報道官をホワイトハウスから追い出してしまったばかりだ。

▼北朝鮮のトップも負けていない。

足元で深刻な干ばつの被害が広がるなか、国際世論に背を向け、さらなるミサイル実験の構えを見せる。

そんな国々の振る舞いを予測するのは、土台無理な話なのであろうか。

この先も相手方が繰り出すあの手この手に驚き慌てることなく、様々な選択肢を用意して備えるしかすべはない。

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日経新聞 インターネット「アマゾン、競争力強まる」=時価総額5000億ドル=

2017年07月31日 09時46分32秒 | インターネット
日経新聞 2017年7月28日(金) P.3 総合2面
『アマゾン、競争力強まる』=時価総額5000億ドル=

『協力か対抗か』=迫られる他社=

 インターネット通販最大手、アマゾン・ドット・コムの時価総額が初めて5000億ドル(約56兆円)を超えた。

アップル、グーグル、マイクロソフトに次ぐ額で今の米国を代表する「ビッグ4」企業に名を連ねたことになる。

膨張を続けて強まる競争力に、競合他社は協力するか対抗するかの選択を迫られる。


 26日、米市場でのアマゾンの株価は1052.80ドルで引け、時価総額が5032億1000万ドルとなった。

現在、時価総額で5000億ドルを超える米企業はアップルからアマゾンまでの4社のみ。

かっては石油メジャーのエクソンモービルやゼネラル・エレクトリック(GE)が占めた地位を今はIT(情報技術)企業が席巻している。

 アマゾンの2017年1~3月期の純利益率は2%と、直近のグーグルの持ち株会社アルファベット(14%)、アップル(21%)などと比べると格段に低い。

それでも株価が上がるのはネットを超えて小売市場で強まる圧倒的な支配力だ。

 「アマゾン効果で食材宅配ベンチャーの株価が急落」。
7月17日、米国でこんなニュースが話題になった。

アマゾンが食材の宅配事業を始めたことが明らかになり、競合企業の成長期待がそげ落ちた。

アマゾンが家電の据え付けサービスを始めると報道された時も競合他社の株価は下落した。

 ネット通販で築いた地位をテコにアマゾンは消費のあらゆる場面に食い込もうとしている。

6月16日には高級生鮮スーパーのホールフーズ・マーケットを約1.5兆円で買収すると発表。

実店舗との融合ビジネスに本格的に乗り出す姿勢を明確にした。
14年に発売した人の声で操作するスマートスピーカーは市場シェア7割を獲得している。

 中小小売店は雪崩をうってアマゾンを通じた製品販売に向かい、ネットを通じた多くの受注と整った物流網に傾注していく。

6月にはスポーツ用品大手の米ナイキがアマゾンで一部商品を試験的に公式販売すると発表した。

スポーツ用品を扱う実店舗チェーンの衰退につながる可能性もある。

 一方、米ウォルマート・ストアーズのように巨大な店舗網を持つチェーンストアがウェブ上での通販を広げ始めた。

ネットとリアル店舗の双方でアマゾン経済圏に対抗する姿勢を鮮明にしている。

日本でセブン&アイ・ホールディングスとアスクルがネット通販事業で組んだのも膨張するアマゾンを止める一手と受け止められている。

実店舗の勝ち組はこぞってアマゾン対策を迫られる。

 巨大化するアマゾンには、その代償も伴う。

ライバルを次々と押しのける姿に仕事を奪うとの批判がつきまとい、1月には今後1年半で10万人の新規雇用に踏み切ると発表した。

雇用拡大を掲げるトランプ米大統領に配慮したとみられている。

 アマゾンを含めグーグルやフェイスブックは個人データを大量保有し、コンテンツ検索や買い物の場として独占的な存在になっている。

グーグルは欧州で独占禁止法違反による制裁金を科された。
時価総額「ビッグ4」入りは、社会責任を負うリスクと裏腹ともいえそうだ。

▼アマゾンはリアルの事業に手を伸ばす

・ホールフーズの買収

・書店の運営
・コンビニ「アマゾンGO」運営

・人工知能による音声アシスト「アマゾンエコー」

(シリコンバレー=中西豊紀記者)


●関連日経記事:2017年7月2日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「アマゾン、新陳代謝促す」=高級スーパーのホールフーズ買収=』(6月30日付)

●関連日経記事:2017年7月27日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「IT業界 競争保てるか」=「監視強化、創造に余地」 米イェルプ L・ロウ副社長=』(7月25日付)

●関連日経記事
:2017年7月17日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「少ない雇用、処方箋見えず」=ニュー・モノポリー 米ITビッグ5 (下)=』(7月15日付)

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日経新聞 経営「誰のための連合か」=「脱時間給」と働き方改革=

2017年07月31日 09時01分24秒 | 経営
日経新聞 2017年7月28日(金) P.1
『法案一本化で提出へ』=政府、今秋=

『「脱時間給」と働き方改革』

 政府は27日、働く時間ではなく成果に応じて賃金を払う「脱時間給制度」について、残業時間の上限規制などの働き方改革関連法案と一本化で秋の臨時国会に提出する方針を固めた。

聯合の容認方針の撤回に関わらず、連合が当初主張した修正案を受け入れて労働者に理解を求める。

2015年の法案提出以来、塩漬けとなってきた同制度の早期導入を狙う。

▼法案のポイント

【脱時間給】

・高年収の専門職に「脱時間給」制度
・裁量労働制の対象者の拡大

・フレックスタイム制の拡大

【働き方改革関連】
・残業時間を月平均60時間に規制

・繁忙期は例外措置として「100時間未満」まで容認

(本文略)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『誰のための連合か』

 連合は本当に働く人のための組織なのか。

「脱時間給」制度の創設を一度は容認しながら撤回した連合の姿勢から抱くのは、そんな疑問だ。

 労働時間ではなく成果に対して賃金を払う脱時間給は、働いた時間では成果が測れないホワイトカラーが増えてきた社会の変化に即したものだ。

 工場労働が中心だった時代と違い、経済のソフト化・サービス化が進んだ現在は、労働時間で賃金を決められるよりも成果本位で評価してもらいたいと考える人も増えていよう。

効率的に働けば労働時間を短くできるメリットも脱時間給にはある。
そうしたホワイトカラーのことを連合は考えているのか。

 連合の新制度への反対姿勢に透けるのは、年功制や長期雇用慣行の下での旧来の働き方を守り抜こうとしていることだ。

だが日本が成長力を伸ばすには、もっと生産性を上げられる働き方を取り入れることは欠かせない。

 グローバル化が進み、企業の競争が一段と激しくなるなか、働く人の生産性向上を促す脱時間給はできるだけ早く導入しなければならない制度である。

単純に時間に比例して賃金を払うよりも、成果や実績に応じた処遇制度が強い企業をつくることは明らかだ。

企業の競争力が落ちれば従業員全体の不幸になる。
連合が時代の変化をつかめていないことの影響は大きいといえよう。

 働き方改革の法制化の全体像を見れば、連合が危惧する過重労働には歯止めをかける仕掛けもある。

労働基準法改正案は脱時間給制度を盛り込んだ法案と、罰則付きの残業時間の上限規制などを定める法案を一本化して審議する段取りになっている。

残業上限規制の新設は健康確保の面から連合の首脳らも評価してきた。

 それだけに連合が脱時間給の制度設計などの修正合意を撤回し、労基法の改正作業が進みにくくなったことは、働く人のためにもならないといえないか。

 連合は1989年に、官公労を中心とした総評系や民間労組主体の同盟系などの労組が集まって発足。

団体間の肌合いは異なり意見集約は今も容易でない。

民間労組の中でも例えば成果給の導入に前向きなところがある一方で、思い切った賃金制度改革に後ろ向きな団体もある。

 こうした「寄り合い所帯」の構造が、いったんは脱時間給の事実上の容認に転じた執行部方針が覆される事態を招いた。

 傘下の労組は組合員の大半を正社員で占め、非正規社員の待遇改善が後回しになりがちになる問題もある。

労働運動のリーダーを自任する連合は、我々はすべての働く人を代表する組織であると言う。

行動で示せなければ、空虚に聞こえる。

(編集委員 水野裕司)


●関連日経記事:2017年7月25日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 政治「現実路線へ転換した連合」=健全な野党の姿勢示す=』(7月22日付)

●関連日経記事:2017年7月21日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 開発「AIは販売員の仕事を奪うか」=米セールスフォースCEO M・ベニオフ氏に聞く=』(7月19日付)

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日経新聞 健康「飼料への抗菌薬2種類禁止へ」=農水省、耐性懸念で=

2017年07月31日 08時48分33秒 | 健康
日経新聞 2017年7月27日(木) P.38 社会面
『飼料への抗菌薬 2種類を禁止へ』=農水省、耐性懸念で=

 農林水産省の専門家会合は26日、コリスチンとバージニアマイシンの2種類の抗菌薬について、家畜への飼料添加物としての指定を取り消す方針を了承した。

薬剤耐性菌ができる恐れがあるためで、意見公募を経て来年度にも使用が禁止される見通し。

 動物の体内に生まれた耐性菌は畜産物などを通じて人にも広がる懸念がある。
内閣府食品安全委員会の評価では2種ともに人の健康に対し中程度のリスクがあるとされた。


●関連日経記事:2014年5月2日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 健康「耐性菌『世界で拡大傾向』=WHO 「抗生物質の処方、最低減に」=」』(2014年5月1日付)

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日経新聞 インターネット「子供のサイト利用 安全に」=LINEなど15社 性犯罪増加に対応=

2017年07月31日 08時21分05秒 | インターネット
日経新聞 2017年7月27日(木) P.38 社会面
『子供のサイト利用安全に』

『性犯罪増加に対応』=LINEなど15社 協議会で議論=

 「出会い系」ではない一般の交流サイトを通じた子供の性犯罪被害の増加を受け、無料通信アプリを運営するLINEなどサイトの事業者15社が26日、子供の被害防止や安心して利用できるインターネット環境づくりのため有識者を交えた協議会を設立した。

事業者間でノウハウを共有し、対策を生かす。
警察庁も被害実態や手口についての情報提供などで協力する。

 名称は「青少年ネット利用環境整備協議会」。

グリーやサイバーエージェント、ディ・エヌ・エー(DeNA)、フェイスブック、ミクシィなどが参加した。

警察庁によると、2016年にサイト別で最も被害が多かったツイッターも参加する意向という。

 協議会では子供や保護者への啓発活動を連携して行うほか、毎月の定例会で対策に必要な体制・設備や成功事例の情報を共有。

被害を防ぐための調査研究を行い、成果は公開して新規参入した業者などが子供の安全・安心のために活用できるようにする方針だ。

 出会い系以外の交流サイトによる18歳未満の子供の被害は16年に1736人と、過去最多を4年連続で更新した。

被害者の9割以上は女性。

主な被害は淫行や児童ポルノ、児童買春で、加害者と会った目的の4割強が援助交際関連だった。

 出会い系サイトによる被害は規制強化で10年前の5%以下に減ったが、交流サイトは新規参入や新たなサービスの登場が相次ぎ、対策が追いついていない状況という。

 協議会の代表に就任した宍戸常寿・東京大教授(憲法)は「悪意ある大人から子供を保護することはネット事業者に限らず、社会を構成する大人の任務だ」と強調。

警察庁の担当者も「情報提供で協力し、官民を挙げた連携で子供の被害をなくしていきたい」と力を込めた。


●関連日経記事:2017年5月21日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 法務・犯罪「見知らぬ相手に画像送り拡散」=「自画撮り」被害防げ=』(5月19日付)

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日経新聞 開発「日本セラミック: 見えないものを見る赤外線センサー」=欠かせぬ企業 ⑤ 「感じる」=

2017年07月31日 07時32分30秒 | 開発
日経新聞 2017年7月27日(木) P.19 投資情報面
特集連載「欠かせぬ企業 ⑤」=感じる=

『日本セラミックの赤外線センサー』=見えないものを見る=

 東京駅から新幹線・特急を乗り継ぎ5時間。

鳥取駅に着く。
さらに車で走ること20分。

周囲を山に囲まれた日本セラミックが見えてくる。

現在4社ある鳥取本社の上場企業第1号にして、赤外線センサーの世界シェア約6割を握る小さな巨人。

メーカーや投資家など外国人もしばしば訪れる。

 人が通ると自動的につく街灯や、侵入者に反応する防犯カメラで欠かせないのが、赤外線センサーだ。

地球上の全てのものが発するみえない光、赤外線のごくわずかな熱を感じ取り、作動する。
いわば見えないものを見る「目」の役割を果たす。

 センサー内部の心臓部を形成するのが「セラミック素子」だ。
セラミックは「焼き物」の意。

鉛(なまり)など複数の金属素子を混ぜ合わせ、一定の温度の中で熱を加えて焼く。

 中でも特に、赤外線に反応するセラミック素子を開発したのが、現社長谷口真一氏の父、義晴氏だ。

技術者だったが、大手企業からの「リストラを機に」1975年、仲間5人と勤務先の鳥取で創業したという。

焼く温度や時間、混ぜる金属の粒子量などすべてがノウハウの結晶だ。

 赤外線センサーに加え、近年伸びが著しいのが超音波センサーだ。
こちらも高いシェアを持つ。

 「光」を感知する赤外線センサーに対して、超音波センサーが感知するのは、耳には聞こえない「音」。

音波の跳ね返りの時間から物体までの距離を感知する。
最近は車の衝突防止対策として1台当たりに搭載されるセンサー数が増えている。

今後、本格的に広がる自動運転で欠かせない部品のため、「需要は着実に増える」(藤原佐和子執行役員)。

 株価は26年ぶりの高値圏にあり、26日も年初来高値(2841円)を付けた。
2017年12月期の連結純利益は前期比7%増の22億円を見込んでいる。


●関連日経記事:2017年7月28日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 開発「フロイント産業: 薬の形状、調整自在」=欠かせぬ企業 ④ 「くるむ」=』(7月26日付)

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日経新聞 国際「南欧国債 利回り低下」=スペイン:成長で資金回帰=ギリシャ:3年ぶりに発行=

2017年07月31日 03時55分10秒 | 国際
日経新聞 2017年7月27日(木) P.9 国際2面
『南欧国債 利回り低下』

『スペイン: 成長で資金回帰』=ギリシャ: 3年ぶりに発行=

 欧州の金融市場で、財政の脆弱(ぜいじゃく)な南欧諸国の国債に資金が回帰し、利回りが低下(=国債価格は上昇)している。

金融緩和の恩恵などによる景気回復でスペインは成長が加速。
ギリシャも財政再建策への信認を背景に3年ぶりに国債市場に復帰した。

欧州中央銀行(ECB)は近く、量的緩和策の縮小に向けた準備を始める見通しだが、慎重に出口政策を進めるとの見方から買い安心感が広がっている。

『景気回復で買い安心感』
 資金流入が顕著なのがスペインだ。

ユーロ圏の長期金利の指標となるドイツの10年物国債との利回り格差は、直近で1%を下回りECBが量的緩和策を導入した2015年3月以来の水準に縮小した。

 スペインは南欧の中でも景気回復が顕著で、国際通貨基金(IMF)は今月中旬、17年の国内総生産(GDP)成長率の予想を前年比3.1%増に引き上げた。

ユーロ圏平均の1.9%増を大きく上回り、足元ではドイツなどよりも加速している。

 銀行セクターの不良債権問題などを抱え、スペインに出遅れているイタリアでも投資家の不安心理は後退している。

ドイツとの利回り格差は足元で1.5%程度と、年初来で最低水準となった。

 スペインはカタルーニャ自治州の独立問題を抱え、イタリアも来年に総選挙が予定されているが、現時点では政治リスクへの警戒感は乏しい。

フランス大統領選など、欧州の最近の選挙ではポピュリズム(大衆迎合主義)政党の退潮が鮮明となり、リスクを避けてドイツ国債などに退避していた資金が徐々に南欧諸国へと動き始めている。

 ギリシャが5日、3年ぶりに国債発行に成功したことも投資家の安心感を誘っている。

ギリシャの10年債利回りは一時5.2%台と、09年12月以来の低い水準(=国債価格は上昇)を付けた。

投資家はなお長期の財政の持続性には懐疑的だが、欧州連合(EU)の金融支援の再開などで当面の資金繰り不安は後退している。

 こうした資金流入を後押ししているのがECBの姿勢だ。

ドラギ総裁は20日の理事会で、量的緩和策の段階的縮小(テーパリング)の検討時期について「秋に議論する」と言及するにとどめた。

金融市場では9月よりも10月の理事会で決めるとの見方が増えている。

 市場はテーパリングによる国債購入の減少(=市場への資金供給量の減少)が南欧諸国の金利上昇につながると身構えていたが、イタリア銀行大手ウニクレディットのエドアルド・カンパネッラ氏は「ECBのハト派的な態度が明らかとなり、周辺国国債の利回り低下が一段と進むだろう」と説明する。

 投資家が休暇入りする夏場は、国債の償還に比べて発行が少なく、償還資金を運用するために需給が良好なことも金利低下を促している。

 もっとも、実際にECBがテーパリングを始めれば、南欧諸国の国債に再び売り圧力が高まる可能性もある。

オランダの金融大手、ラボバンクのリチャード・マクガイア氏は「金利が上昇することで財政の持続性への懸念が高まる」とみている。

(ロンドン=黄田和宏記者)


『ギリシャ債務 自力返済難しく』=独総選挙後、再び軽減交渉=
 ギリシャは25日、財政構造改革の進展を受け3年ぶりの国債発行再開にこぎ着けた。

しかし、国内総生産(GDP)比約180%に達する3100億ユーロ(約40兆円)強の公的債務を抱え、国際通貨基金(IMF)は自力での返済は「持続不可能」と指摘する。

 来年8月には現行の第3次金融支援の期限切れが迫る。
今年9月のドイツ総選挙終了を待って債務負担の軽減策を巡る綱引きが熱を帯びそうだ。

 今回は5年債で30億ユーロを発行、利回りは4.625%だった。

2014年4月に出した5年債の利回り4.95%を下回る水準での発行に成功したが、ユーロ圏からの融資金利よりも高い。

国債市場への復帰はギリシャ政府の資金繰りにはプラスだが、過剰債務克服の処方箋にはならない。

 今回の発行では既発債の繰り上げ償還に応じ、新発債に乗り換えた投資家も多かった。

投資家の需要は盛り上がりに欠け、債務軽減策の具体化など、ギリシャ支援の先行きを見極めようとの空気が根強い。

 ギリシャ支援で最大の資金の出し手であるドイツは総選挙を控え、世論の反発を警戒する。

このため債務軽減策の具体化については18年夏以降に先送りしたい立場だ。
一方、IMFは同年夏までの具体化なしでは融資再開に応じないと圧力をかける。

支持率低下に悩むギリシャのチプラス政権も約束した緊縮策の不履行をちらつかせ、軽減策を引き出そうとしている。

関係国やIMFの思惑が交錯するなか、ギリシャの債務問題は依然として市場の混乱要因となるリスクをはらんでいる。

(イスタンブール=佐野彰洋記者)


●関連日経記事
:2017年7月26日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「やまぬ音楽 踊るマネー」=金融の蛇口を締めるのは容易ではない!=』(7月24日付)

●関連日経記事
:2017年7月13日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 国際「不良債権130兆円処理急ぐ」=EU、行動計画を採択=』(7月12日付)

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日経新聞 安心・安全『国連「コレラ感染 最悪」』=イエメン内戦で人道危機=

2017年07月30日 09時23分45秒 | 安心・安全
日経新聞 2017年7月27日(木) P.8 国際1面
『国連「コレラ感染 最悪」』=イエメン内戦で人道危機=

『アルカイダも台頭』

 3年目に入ったイエメンの内戦が泥沼化し、深刻な人道危機を招いている。

上下水道のインフラや医療体制が崩壊し、国連は「世界最悪のコレラ感染」の進行を警告した。

イランとサウジアラビアの代理戦争の場となった内戦は終結に向けた仲介役がいない。

混乱に乗じてイスラム系過激派組織アルカイダが支持を広げており、状況を放置すれば、テロなどの形で主要国に跳ね返りかねない。


 イエメン内戦は主として、イランが支援するイスラム教シーア派系の反体制武装組織「フーシ」と、スンイ派の盟主サウジが支援する政府軍の戦い。

 これまでにおよそ1万人が死亡し300万人が家を追われた。
難民として隣国などに移住を強いられた人々も多い。

過去3カ月で急速に深刻化したのがコレラ感染だ。

世界保健機関(WHO)によると4月27日から7月24日の間に感染が疑われるケースは、イエメンの人口の2%近くに達し、1869人が死亡した。

 感染はほぼ全土に拡大。
戦闘で上下水道のインフラが破壊され、医療体制が崩壊したことが背景にある。

港や空港へのアクセスを阻まれた国連や支援団体はワクチンを届けることができない。

 内戦ではサウジ軍の空爆の巻き添えによる一般市民の犠牲も増えている。
食料供給ルートを遮断するような戦術も被害を広げた。

「敵を孤立させる兵糧攻め戦略は結果的に内戦を長引かせる」とシンクタンク「国際危機グループ」(本部ブリュッセル)のシニアアナリスト、エープリル・アレイ氏は指摘する

 内戦を巡っては米トランプ政権がサウジへの武器売却を通じて間接的に政府軍側を支援する。

しかし、フーシの抵抗は根強く、どちらかが決定的な勝利を収めるのは難しい情勢だ。

 イエメンではもともと宗派意識は希薄だったとされるが、内戦がイラン(=シーア派の盟主)とサウジ(=スンニ派の盟主)の代理戦争の場となったことで、住民が他宗派を敵視する傾向が強まった。

内戦の長期化に伴う国家の分断は将来の復興プロセスにも影を落としそうだ。

 混乱に乗じているのがスンニ派のイスラム過激派。

2009年にイエメンに誕生した「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」は「かってない勢力を手にした」(国際危機グループ)。

イエメンの内戦は政府軍、フーシ、AQAPによる三つどもえ構造に転じつつある。

 シーア派だけでなく同じスンニ派の世俗派をも敵視する過激派組織「イスラム国(IS)」と異なり、アルカイダ系組織はサウジの王室や米国を明確に標的にする。

警戒する米はドローン機を用いた限定目標への攻撃を繰り返しているが、本格的な介入とは程遠い。

 天然資源に乏しい「最貧国」であるイエメンで広がる人道危機は主要国の関心も薄い(=ただし、スエズ運河・紅海の出口という交通の要衝に位置するシーレーン上の重要な国でもある)。

タリバン政権下のアフガニスタンのように「忘れられた国」として放置すれば、過激派の拠点を育て、結果的に欧米などで潜在的なテロの脅威を高めることになる。

▼イエメン内戦
 2015年初め、少数派であるイスラム教シーア派系の反体制派「フーシ」がクーデターを起こし、首都サヌアの大統領宮殿を包囲、ハディ暫定大統領が出国したことを機に広がった戦闘。

ハディ氏を支援するサウジアラビア主導のアラブ有志国連合がフーシ掃討のため軍事介入し、本格的な内戦となった。

シリアの内戦と同様に11年の「アラブの春」を民主体制の樹立につなげることに失敗したことが遠因となっている。

(ドバイ=岐部秀光記者)


●関連日経記事:2017年7月7日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 安心・安全「イエメンなどでコレラ猛威」=干ばつ・内戦で食糧不足、衣料品不足に=』(7月6日付)

●関連日経記事:2015年10月11日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 ことば「アラブの春」=中東の安定、日本・アジアの死活問題=』(2015年10月10日付)

●関連日経記事:2013年9月17日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 国際「米国は『警察官』にあらず」=シリア化学兵器問題で:イアン・ブレマー氏=』(2013年9月16日付)

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日経新聞 開発「分裂なら新通貨付与」=仮想通貨 未来を聞く ③=

2017年07月30日 08時44分22秒 | 開発
日経新聞 2017年7月27日(木) P.7 金融経済面
特集連載『仮想通貨 未来を聞く ③』=取引所最大手 ビットフライヤー社長 加納裕三氏=

『分裂なら新通貨付与』=新規格、取引効率的に=

 --ビットコインを巡って何が起こっているのでしょうか。

 「取引にかかる時間が長くなったり、手数料が高騰している問題の解決策について関係者間で意見が割れ、これが分裂騒動につながっていた。

だが、今月21日の日本時間午前9時すぎに投票を実施し、仮想通貨の基幹技術『ブロックチェーン』を改善する新規格への賛同が80%を超えて採用が決まった。

当面、混乱の恐れはなくなった」

 「具体的には取引履歴を記録するデータの規模を小さくし、さらにデータを書き込む『台帳』のサイズも大きくする。

実施のタイミングは2段階で、まず8月中旬にデータ縮小を義務付ける。

台帳の拡大は11月中旬とされているが、確実に実施されるかどうか不透明な部分も残っている」

 --仮想通貨取引所で国内最大手のビットフライヤーでは、先週末にかけて入出金を停止するなどの対応を採りませんでした。 他社と対応が異なったのはなぜですか。

 「それほどのリスクはないと分析していたためだ。
仮に従来規格を使い続けるような動きがあっても検知して対応できる準備をしていた。

また、投票後の24日時点で、取引の正しさを承認して台帳にデータを書き込む業者のすべてが新規格での縮小を受け入れると意思表示してる」

 --今後はもう問題が起こらないのですか。

 「実はそうともいえない。

新規格に納得しない勢力が残っていて、8月1日に『ビットコインキャッシュ』という新たな仮想通貨が分裂して誕生するかもしれない。

中国の業者などが主張している」

 --分裂に至った場合、取引所としてどう対応しますか。
 
 「利用者が保有するビットコインと同数量のビットコインキャッシュを付与する予定だ。

仮想通貨の『分裂』とは従来からあるビットコインと同じ発行量の仮想通貨がまた別に生まれるということだ。

それぞれの通貨価値はその後の市場取引の中で決まっていくことになる」

 「また、ビットコインキャッシュが誕生すればビットフライヤーでは取り扱いを始める。
ただ、ビックカメラなど店舗決済は当面できないようにする」

 「すべての取引所がビットコインキャッシュに対応するとは限らない。

取り扱いを始めるためには2つのコインを区別したうえで送金などができるようにシステム上の対応が欠かせない」

 --日本での取引が盛り上がる中での騒動でした。
 
 「改正資金決済法の施行で信頼されるようになり、当社の利用者は60万人を超えた。

1ビットコインあたりの価格は一時20万円を割るまで下がったが、最近は30万円まで戻してきた。

ただ、分裂の恐れが残る8月1日に向けては引き続き注意が必要だ」

(聞き手は塩崎健太郎記者)

=関連動画を電子版に ▼Web刊→映像


●関連日経記事
:2017年7月28日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 開発「京大大学院教授 岩下直之氏: 銀行システム代替ヘ」=仮想通貨 未来を聞く ②=』(7月26日付)

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日経新聞 開発「欧州発 電気自動車シフト」=英もガソリン車販売禁止へ=

2017年07月30日 07時13分03秒 | 開発
日経新聞 2017年7月27日(木) P.3 総合2面
『欧州発 電気自動車シフト』=英もガソリン車販売禁止へ=

『脱石油、世界の潮流へ』

 欧州発の電気自動車(EV)シフトが加速している。

英政府は26日、2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を全面的に禁止すると発表した。

世界の石油消費の7割弱は自動車など輸送用が占めるが、環境対策として「脱石油」が世界的な潮流になりつつある。

自動車メーカーの戦略や需要が伸びる電力の確保に向けたエネルギー政策は対応を迫られる。


 英国のゴーブ環境相は6日、英BBCで「新車販売の禁止により(10年間で)ディーゼル車とガソリン車を全廃する」と語った。

26日発表した措置は、排ガスによる都市部での深刻な大気汚染問題や地球温暖化に対応するのが狙い。

EVの普及を促すことで、国内での関連技術の開発を後押しする。

 地方自治体による排ガス抑制策を支援するため、2億5500万ポンド(約370億円)の予算を用意し大気汚染対策に計約30億ポンドを投じる。

汚染が深刻な地域では、規定を満たさない車両の乗り入れ禁止や通行に課金するなどの措置も導入する。

 欧州では燃費に優れるディーゼル車の利用が多いが、最近は車から排出される窒素酸化物(NOx)により大気汚染の問題が深刻になっている。

独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)による排ガス不正問題の発覚などにより、ディーゼル車の性能に対する不信の高まりも全面禁止の動きを後押ししている。

 環境意識の高い欧州では、オランダやノルウェーで25年以降のディーゼル車やガソリン車の販売禁止を検討する動きもある。

自動車大国のドイツでも昨秋に30年までにガソリン車などの販売を禁止する決議が国会で採択された。

法制化には至っていないが「脱燃料車」の機運が高まっている。

 うねりはアジアにも及んでいる。

インド政府は今年4月「30年までに販売する車をすべてEVにする」との目標を表明し、中国でも類似の政策が打ち出されている。

一気にEVにシフトして自国の有力産業に育成しようとの思惑も働いている。
 
 日本政府も30年までに新車販売に占めるEVやプラグインハイブリッド(PHV)などの割合を5~7割にする目標を掲げる。

ただ従来型の燃料車向けの部品など多くの関連メーカーがあるだけに、大胆な政策変更をしにくい面もある。

 国際エネルギー機関(IEA)によると、16年のEVなどの新車販売は75万台超。
累計では200万台を超えた。

20年には最大2千万台、25年には同7千万台と予測する。

 EVの普及はガソリン需要を押し下げる。

経済産業省が6月に公表したエネルギー白書によれば、世界の石油消費の内訳は自動車など輸送用が14年時点で65%を占めた。

 格付け会社フィッチ・レーティングスは欧州の新車販売割合でEVが10年以上5割を保つと、ガソリン需要が4分の1減ると分析する。

 逆に電力需要がは伸びる。

例えば日本では、全ての乗用車がEVに代わると消費電力量は単純計算で1割増えるとの試算もある。

EVシフトを進めるには電力の供給量確保がカギになる。

 英国は環境に配慮して風力などの再生可能エネルギーの比率を2割強に高め、石炭への依存を減らしているが、電力供給は現状でも綱渡りだ。

原子力発電所の老朽化により、新規の原発を予定通り建設できなければ、20年代にも電力不足に陥る恐れがある。

 欧州を中心に再生エネルギーは発電コストが低下しているが、原発は福島第1原発事故をきっかけに世界的にも推進が容易ではなくなっている。

EVシフトを進めるには、温暖化や大気汚染の対策と両立させながら電力需要拡大に対応するエネルギー政策が求められる。

(ロンドン=黄田和宏記者)

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『エコカー、生命線に』=日米欧、開発競争激しく=

 自動車メーカーは電気自動車(EV)や家庭で充電可能なプラグインハイブリッド(PHV)に軸足を移す必要に迫られる。

既に中国が国策としてEV優遇を鮮明にし、インドもEVの税率を引き下げた。

欧州の主要国までが相次ぎガソリン車への規制強化を表明したことで、EVへのシフトを進めなければ世界市場で生き残れないとの危機感が強まっている。

 トヨタ自動車は2019年にも中国でEVを量産する検討を始めた。

エコカー戦略はハイブリッド車(HV)と水素で走る燃料電池車(FCV)を柱に据えてきた。

しかし、中国政府が補助金や減税、都市でのナンバープレート取得で優遇策を打ち出したEVへの対応が不可欠となった。

 トヨタは50年にエンジン車をほぼゼロにする目標を掲げる。
16年末に「EV事業企画室」を設置した。

HVで蓄積した電池のノウハウを生かして競争力の高いEV開発を急ぐ。

 EV化の流れを世界に印象づけたのがスウェーデンのボルボ・カーの動きだ。
19年以降に全車種をEVやHVにすると7月初旬に宣言した。

有力メーカーで長期目標を除き「脱内燃機関」を表明したのは初めて。
各国の環境規制や消費者ニーズの変化を先取りしたと受け止められた。

 独フォルクスワーゲンも25年にグループの販売台数の20~25%を電動車にする方針を掲げるなど欧州勢も一斉に比重を移す。

独ダイムラーは25年までにEV比率を15~25%まで高める。

米フォード・モーターはEVとHVを合わせたエコカーの中国の販売比率を25年までに7割に引き上げる。

 日系メーカーも各国の動きに敏感に反応している。
ホンダは30年には販売する車の3分の2をHVやEVなどエコカーにする計画。

日産自動車は17年にもEV「リーフ」の新型を発売する。


●関連日経記事:2017年7月30日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 開発「消費電力1万2000人分」=「AIと世界」 見えてきた現実 ④=』(7月27日付)

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