日経新聞 国際「中央アジア、テロ対策脆弱」=ロシア対テロ特殊部隊元副司令官 ゴンチャロフ氏=

2017年04月29日 17時24分37秒 | 国際
日経新聞 2017年4月28日(金) P.11 国際2面
特集連載『緊迫する世界』=識者に聞く=

『中央アジア、テロ対策脆弱』=ロシア対テロ特殊部隊退役者協会長 セルゲイ・ゴンチャロフ氏=
「各国と連携 緊密に」


 --欧州やロシアでイスラム過激派のテロが相次いでいます。

 「ロシアを含めどの国の治安機関もテロとの戦いに成功しているとは言えない。
テロ組織は特定の国ではなく、文明社会全体への宣戦布告だ。

にもかかわらず政治的な理由で欧米がロシアなどとイスラム過激派対策で国際的な共闘体制を作れないのがテロがやまない背景にある」

 「過去のテロ組織は100人規模で、人質を取って政治的な要求を突きつけていた。
現在の組織は数人単位で、単一の指揮系統もなく、無差別な市民の殺害を目的とする。

潜入捜査もできず、治安機関はテロリストを十分に捕捉(ほそく)できていない」

 --トランプ米政権はシリアの過激派組織「イスラム国(IS)」の打倒を掲げています。

 「シリアや特定地域でテロリストを排除するだけではISを倒せない。
テロ対策は誤ったイデオロギーとの戦いでもある。

シリアでの戦闘で勝ってもテロはやまない」

 「2015年からのロシアの軍事介入で、(劣勢に立たされた)ISの戦闘員のうち旧ソ連・中央アジア諸国の出身者は本国に戻りつつある。

彼らの多くはロシアに労働移民として入り込みテロをたくらんでいる」

 --キルギス、ウズベキスタンなど中央アジア諸国がテロリストの温床との指摘があります。

 「中央アジアではカザフスタン以外は経済基盤が弱く、テロ対策にあたる特殊機関も脆弱(ぜいじゃく)だ。

ロシアは中央アジア各国とテロ対策で緊密な連携体制づくりを提案している。
両者の関係は良好で、今後は特殊機関同士の協力も進むだろう」

 「ロシアは中央アジアの100万人を超える労働移民を必要としている。
ただ、指紋登録などで彼らを厳しく管理する財政的な余力がない。

中央アジア出身者が起こしたサンクトペテルブルクのテロは問題の深刻さを浮き彫りにした」

 --なぜイスラム過激派の犯行が多いのでしょうか。

 「イスラム教は主に平和的な宗教だが、相当程度の人々が原理主義やISの過激な教義を信じている。

ロシアや中央アジアでも中東で原理主義の教育を受けたイスラム教聖職者が多数を占め、若者層に危険な考え方を植え付けている」

 --安倍首相の訪ロではテロ対策や北朝鮮問題が議題になりそうです。

 「ロシアは北朝鮮情勢を強く懸念している。
もし米朝紛争で核兵器が使われれば隣国として非常に大きな被害を受けるからだ。

日ロは領土問題を抱えるが、政治的な困難を越えてテロとの戦いなどで協力を深められる」

▼セルゲイ・ゴンチャロフ氏
 旧ソ連時代に発足した最精鋭の対テロ特殊部隊「アルファ」に15年間勤務。

副司令官などを歴任した知見を生かし、現在はテロ対策でプーチン政権に助言する。

(聞き手は
モスクワ=田中孝幸記者)

=随時掲載

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日経新聞 国際「ハイパーインフレのベネズエラ、外資に圧力」=国際社会で一段と孤立=

2017年04月29日 16時12分47秒 | 国際
日経新聞 2017年4月28日(金) P.9 国際1面
『ベネズエラ、外資に圧力』=デモ支援疑いで捜査命令=

『国際社会で一段と孤立』

 政情不安が高まる南米ベネズエラで、政府が外資系企業への圧力を強めている。

米ゼネラル・モーターズ(GM)の工場差し押さえに続き、スペイン通信大手テレフォニカの現地子会社が反政府デモ支援の疑いで捜査対象となった。

デモ弾圧で国際社会からの非難が強まるなか、反米左派のマドゥロ大統領は、混乱収拾に動き出した国際機関からの脱退を宣言するなど孤立を深めている。


「彼らはクーデターのための通話に手を貸した」。
20日、マドゥロ氏はテレビ演説でこう力説した。

反政府デモの参加者が携帯電話で情報交換するのを問題視し、「企業が担う役割ではないと知るべきだ」と当局に捜査を命じた。

 ベネズエラ政府は18日にはGM工場を差し押さえた。

GMが「工場や車両が違法に接収された」と声明を発表し、米国務省が「事態の詳細を調査している」と身構える事態となっている。

昨年7月に米キンバリー・クラークの工場を一方的に国有化したという「前科」もある。

 世界最大級の原油埋蔵量を誇るベネズエラは2014年後半の原油価格下落をきっかけに経済危機に陥った。

外資流出が止まらず、価格統制や外貨取引規制などの失策も重なりインフレ率は年率700%の勢いで推移する。


 原料の調達困難で工場の操業停止が相次ぎ、食料品や医薬品は慢性的に不足。
難民の周辺国への流出も起きている。

 経済危機や強権政治に不満を漏らす市民は4月に入り大規模な反政府デモを展開。

これに対し治安当局の鎮圧や新政府派の民兵組織によるデモの襲撃など市民への弾圧は強まる。

デモ関連の死者数は約30人にのぼる。

 北中南米35カ国で構成する国際機関、米州機構(OAS)は26日、ベネズエラの政情不安解決のため緊急会議招集を決定した。

これに反発しロドリゲス外相は同日の演説で「明日、OASからの脱退届を提出する」とツイッターに投稿した。

 OASは米国主導の枠組みで、域内の紛争の平和的解決や選挙監視などを担う。
実質的な影響力は小さいが、かってキューバが革命後に除名された経緯がある。

(ニューヨーク=外山尚之記者)


●関連日経記事:2016年2月13日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「ベネズエラ 危機深刻に」=輸出の9割原油、価格下落が打撃=』(2016年2月12日付)

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日経新聞 国際「米、核放棄へ圧力外交」=対北朝鮮基本方針: 軍事手段排除せず=

2017年04月29日 09時33分43秒 | 国際
日経新聞 2017年4月28日(金) P.2 総合1面
『米、核放棄へ圧力外交』

『軍事手段排除せず』=対北朝鮮基本方針=

 トランプ米政権は26日、核・ミサイル開発を進める北朝鮮について「安全保障の差し迫った脅威であり、外交政策の最優先課題」とする声明を発表した。

経済制裁の強化や外交手段を通じて圧力をかけ、北朝鮮に核放棄を迫る包括的な方針を掲げた。

上下両院の全議員を対象に北朝鮮政策を説明する異例の大規模会議を開いて理解を求めた。

 北朝鮮の自主的な核放棄の取り組みを待つ「戦略的忍耐」を掲げたオバマ前政権などの北朝鮮政策を見直したと伝えた。

米議会の協力を得つつ、トランプ政権として北朝鮮問題の解決に向け、硬軟両様で取り組む姿勢を強調した。

 上院議員100人を招待した説明会はホワイトハウスで実施し、下院議員の約430人を対象にした説明会は議会で行った。

いずれも非公開で、ティラーソン国務長官とマティス国防長官、コーツ国家情報長官、米軍のダンフォード統合参謀本部議長の4人が政権の方針を説明した。

 声明は朝鮮半島の安定と平和的な非核化を追求するとし、北朝鮮を対話の道に戻すため、国際社会とともに圧力をかけると強調。

日本や韓国を挙げて「同盟国や地域のパートナー国とも協力」と言及した。
その上で「同盟国を守る準備は進める」としながらも軍事的な手段は明示しなかった。

 北朝鮮問題では、まず外交手段による解決を目指すとの姿勢を示す狙いがある。

トランプ政権の目標を「緒戦半島の平和的な非核化」と位置づけ、その達成に向けた「対話にはオープンだ」として、外交解決に努める姿勢を強調した。

 一方、中国外務省の耿爽副報道局長は27日の記者会見で、米政権の対北朝鮮政策について「対話を通じて平和的に核問題を解決したいという意思表示に注目している。 これは前向きで、肯定すべきことだ」と評価。

「米国には核問題の解決に責任を果たしてほしいし、それを歓迎する」と述べた。

▼北朝鮮政策の声明要旨
・北朝鮮による核兵器の追求は、国家安全保障への差し迫った脅威であり、外交政策の最優先課題だ

・経済制裁の強化と外交手段の追求によって北朝鮮に圧力をかけ、核と弾道ミサイルの廃棄を目指す

・地域の安定と繁栄を守るうえで同盟国、特に韓国と日本との緊密な調整と協力を維持していく

・米国は朝鮮半島の安定と平和的な非核化を目指す。 この目標に向けた交渉に門戸を開き続ける。 しかしながら、われわれと同盟国を防衛する用意も維持し続ける

(ワシントン=長沢毅記者)

【解説】
『対話に含み 打開策見通せず』


 トランプ政権が打ち出した対北朝鮮政策は、核放棄に向けて外交圧力を強めて、対話を通じた平和的な解決を目指すものだ。

北朝鮮の後ろ盾である中国に働きかけ、外交努力が不調に終われば米単独での軍事行動も辞さない二段構えを意味する。

実はこの方針は、これまでの米政権による北朝鮮政策をなぞったものにすぎない。

 北朝鮮問題を巡り米歴代政権は最終的にはいずれも対話を通じた解決策を探ったが、いずれも頓挫(とんざ)してきた。

1994年の北朝鮮危機で、当時のクリントン政権は北朝鮮の核関連施設を空爆する計画を立案。

この時は北朝鮮の核開発凍結を定めた米朝枠組み合意により、空爆は回避されたが、北朝鮮は枠組み合意をほごにした。

 その後、北朝鮮が弾道ミサイル発射や核実験を強行するたびに国連安全保障理事会で制裁強化の議論が一時的に盛り上がり、時間の経過とともに話題から消え、そして北朝鮮が再び実験に踏み切るいたちごっこを繰り返した。

 トランプ政権はこの間の対北朝鮮政策を「失敗」と断じ、武力行使も排除しない姿勢を強く示している。

軍事行動をにおわす過激なデモンストレーションに出ても、トランプ政権が平和的な外交政策を基軸にするなら、歴代米政権の北朝鮮政策と何ら変わらないのも事実だ。

果たして北朝鮮がどう出るのか。
緊張打開に向けた道筋はなお見通せない。

(ワシントン=長沢毅記者)

◆父さんコメント:
 「上下両院の議員全員を対象に、時の政権から説明をする」というのは前代未聞である。

目的は「北朝鮮の現況報告」にとどまるなら会議招集は必要ない。

「非公開」で全議員への説明会の目的は「北朝鮮への限定的軍事行動に理解を求めるため」しかない。

 トランプ米大統領は内政の失敗とロシア疑惑に対する支持率低迷に対処するため、外交で挽回を図ろうとする政治的意図が見える。

大統領選でトランプを支持した中・低所得の白人総からの支持率回復と再選への人気取りを目的にした北朝鮮政策だけに、「その実現性は高い」とみる。

 戦略に裏打ちされた外交政策ならば、冷静に開戦と事態収拾策をも見越したリスク管理をした上で軍事行動の決断となるが、戦略がなければ「軍事行動が目的化」するため、着手へのためらいは少なくなる。

トランプ米大統領の資質の怖さである。

 一方の金正恩の北朝鮮は、今朝ミサイルを発射実験した。

発射直後に爆発し、実験は失敗したと韓国KBSは報じているが、トランプ米大統領にとっては、「警告を無視した」と受け取る。

 互いに国内事情を抱え、引くに引けない状態が続いている。

戦略を持たない独裁者同士の脅し合いだけに、間違いはいつでも起こるリスクがつきまとう。

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日経新聞 保険・年金・税金「不摂生 あなたの負担は」=「健康は自己責任」に波紋=

2017年04月29日 08時31分03秒 | 保険・年金・税金
日経新聞 2017年4月28日(金) P.1 
特集連載『砂上の安心網』=支え合いの境界 ⑤=

『「健康」は自己責任に波紋』=不摂生 あなたの負担は=

 健康管理をしっかりやってきた人も、そうではなく生活習慣病になった人も、同じ自己負担で治療が受けられる。

おかしいのでは?

 最近、あちこちで「健康=自己責任論」を耳にする。
冒頭の疑問は、小泉進次郎氏ら自民党の若手議員による現状分析だ。

40兆円越えの医療費。
生活習慣病治療の構成比は3割に達し、膨張をいざなう。

「通院せず悪化」
 特に糖尿病は放っておくと重症化し、人工透析が必要になると医療費は年間500万円。

医療機関への受診が大事だ。
なのに……。

取材班が埼玉県庁を訪れると、職員は糖尿病患者の受診状況を説明しながら顔を曇らせた。
「呼びかけても、8割は受診しない」

 埼玉県は糖尿病でありながら通院しない住民への啓発事業を2014年度に始めた。

15年度にかけて通知した4405人中、2カ月半以内に受診した人は807人、18%にとどまった。

経済的な事情を抱える人はもちろんいる。
だが多忙を理由に行かない人も。

行くべき人が行っていない。
そんな実態が見えてくる。

 4月中旬。
名古屋共立病院(名古屋市)の透析施設は患者であふれていた。

透析看護歴25年の熊沢ひとみ看護師(47)によると、模範的な患者の影に、食事や水分制限を守らず量が多い薬を飲まない人がいる。

健康増進法は健康の増進に努めるよう国民の責務を想定する。
これを放棄したと受け止められかねない人々をどこまで支えるのか。

 喫煙、肥満、運動不足が原因の医療費は全体の12.8%を占めるーー。
取材班は東北大学医学部の辻一郎教授らが20年以上続ける研究の成果を聞いた。

12.8%を14年度の45歳以上の国民医療費にあてはめると4兆2千億円に達する。

 辻教授は公的医療保険制度を「アリとキリギリス」に例える。

病気になるリスクを下げようと努力する人と、病気の原因が不摂生(ふせっせい)にあったのに多額の医療費を使う人。

「公平性から見て同じ負担額でいいのか」

「管理努力を評価」
 病気になっても不摂生を続ける人を変えるのは難しい。

時にはペナルティーで危機意識を持たせては。
そんな声も出始めた。

 東京・霞が関で、取材班はドキッとする言葉を聞いた。

「健康診断の結果が悪く運動を指導したのに、やっぱり運動しない人の保険料は上げてもよいのでは」

 公的医療保険制度の議論ではない。
経済産業省の職員が企業向けの団体保険づくりで民間保険会社に要請した場面だ。

運動したかどうかの努力により掛け金が変わる仕組みを考えた。

 同じ食事と生活でも、病気になる人もならない人もいる。
遺伝や貧困などによる病気もある。

努力しても病気になるときはなる。
ただ、あなたが不摂生を続けることに財政はいつまでも寛容ではいられない。

そんな予兆が社会保障制度の未来から見えてきた。

=この項おわり

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電子版: サボる患者、AIが発見 ▲Web刊→紙面連動

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日経新聞 海外メディア「仏が変える欧州の潮目」=英FT・チーフ・コメンテーター ラックマン氏=

2017年04月28日 08時07分08秒 | 海外メディア
日経新聞 2017年4月27日(木) P.6 オピニオン面
連載コラム『FINANCIAL TIMES』=It is what you know=

『仏が変える欧州の潮目』=チーフ・フォーリン・アフェアーズ・コメンテーター ギデオン・ラックマン=
「踏みとどまった国際主義」


 4月23日のフランス大統領選挙の第1回投票は、国際政治における新たなトレンドを裏付けた。

どの国においても、最も重要な政治的分断はもはや左派か右派かという構図ではなく、国家主義者か国際主義者かという構図になったということだ。

 国家主義者にとって躍進の年は、英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決め、米大統領選でトランプ氏が勝利を収めた2016年だった。

だが仏大統領選は、フランスと欧州大陸の大半の国々は国際主義者の側に残ることを示した。


 第1回投票で勝ち残った極右政党、国民戦線(FN)のマニーヌ・ルペン党首(24日、大統領選に専念するため党首活動を一時休止)と中道系独立候補のエマニュエル・マクロン元経済産業デジタル相による5月7日の決選投票は、国家主義者と国際主義者の典型的な戦いとなる。

ルペン氏はフランスを欧州単一通貨ユーロから離脱させ、関税を引き上げ、国境管理を強化し、移民を取り締まりたいと考えている。

一方のマクロン氏は熱心なEU支持者で、開かれた貿易と難民に対するリベラルな姿勢を信奉している。

 第1回投票でマクロン氏が僅差でルペン氏に勝つことを正確に予想した世論調査は今、マクロン氏が決選投票では60%以上の票を獲得し、決定的な勝利を収めると示唆している。

 もちろん、今後2週間の間に同氏にとって状況が暗転しかねないような事態が発生することは多く考えられる。

ルペン氏はテレビ討論にたけている。

マクロン氏は裕福な元銀行家で、閣僚経験者でもあるため、世情に疎(うと)いエリート層の一員として描かれやすい。

 この先、スキャンダルや失言に足をすくわれる可能性もある。

だが、実現の公算が大きいのは、世論調査が正確だと判明し、国際主義者である候補のマクロン氏が文句なしの勝利を手にすることだ。

 マクロン氏とルペン氏の争いは、今や国際的なイデオロギーの対立の一部をなすため、世界は仏決選投票の行方を注視している。

恐らく勝つとされているマクロン氏の勝利は、ブリュッセルにあるEU本部とドイツ政府に喜びをもって迎えられるだろう。

一方で、クレムリン(ロシア大統領府)とオーバルオフィス(米大統領執務室)では失望を買うだろう。

そして英国は複雑な気持ちでその結果を見守ることになる。


 ルペン氏はトランプ氏と似たようなテーマを取り上げて選挙運動を展開した。

もっとも、その言葉遣いはトランプ大統領に比べると、はるかに穏やかだった(例えばルペン氏は、米大統領令にによってイスラム圏6カ国からの市民の入国を禁じた「ムスリム・バン」を提案したことはない)。

ルペン一族はj米大統領選ではトランプ氏への支持を熱心に表明し、トランプ氏はそのお返しにツイッター上で、仏大統領選ではルペン氏への支持と、同氏の勝利を予想していることを強くにおわせた。

マクロン氏が勝った場合、トランプ氏は失望するだろうが、米大統領ほど見解が偏(かたよ)っていない米国家安全保障担当の顧問たちは恐らく安堵(あんど)するだろう。

 マクロン氏の勝利に対するロシアの失望は、それよりはるかに説明しやすい。

マクロン氏は第1回投票で、プーチン大統領率いるロシアに対する強硬路線を支持する唯一の有力候補だった。

また、ロシアの銀行は、ルペン氏率いるFNの選挙活動に相当額を融資してきた。
この融資はEUの混乱を狙うクレムリンの戦略の一環だった可能性がある。


 マクロン氏の勝利に対する英国の反応は、安堵と不安が入り混じったものになるだろう。

メイ首相率いる英国政府は、EU離脱決定を英国における国家主義的動きの爆発と捉えることは拒絶し、英国はいまも自由貿易と強いEUを支持していると強調している。

だが英国にとって問題なのは、EUが英国のEU離脱決定を欧州における国家主義の台頭と捉えており、離脱交渉では厳しい姿勢で臨んでくるだろう、という点だ。

 つまり、予想されるマクロン氏の勝利は英国にとって良い知らせでもあり、悪い知らせでもある。

マクロン氏はいわば、強く、かつ結束したEUを象徴する存在となる。
この強さと結束は、メイ首相が今まさに選挙によって手に入れようとしているものだ。

ただ英政府にとって難しいのは、EUのこの強さと結束が恐らく、離脱交渉においては英国に対して極めて厳しい強硬路線として表れてくるという点だ。

つまり、EUは英国に多額の清算金の支払いを要求し、人の移動の自由であれ、金融サービスであれ、英国と何か特別な協定を結ぶことには抵抗するだろう。


 対照的にルペン氏が勝利すれば、欧州は新たな危険な方向に向かう可能性がある。

もっともその場合、EU自体が存在しなくなるかもしれないため、英離脱を巡る厳しい交渉を和らげるかもしれない。

 欧州の大きな政治の流れを見るにあたり、予想されるマクロン氏の勝利は、昨年12月のオーストリア大統領選と今年3月のオランダの総選挙で国家主義的な右派の候補や政党が敗北し、ドイツでも支持率を落としているという流れの中でとらえる必要がある。

ドイツでは、世論調査によるとポピュリズム(大衆迎合主義)政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持率が1ケタ台まで落ちている。

9月の独連邦議会選挙では、4選を目指メルケル首相が勝利する見込みがこれまで以上に大きくなりそうだ。

ポーランドとハンガリーでは国家主義政党が政権を握ったが、EUを創設した中核国では国家主義の台頭に対し踏みとどまっているということだ。

 (EU本部がある=)ブリュッセルでは、マクロン氏の勝利は、伝統的にEU統合を推進してきた仏独が再び統合のエンジンとなってEUをけん引していくと受け止められるだろう。

だが、過大な期待を抱いてはいけない。

経済改革と欧州統合の話になると、マクロン氏は「正しいこと」は口にするが、それらを実際に実現できるかどうかは別問題だからだ。

フランスを低成長と高失業率、債務増大の悪循環から脱却させる仕事は、シラク元大統領、サルコジ前大統領、そして現職のオランド大統領も表向きは改革志向だったが、誰も実現できなかった。

オランド氏は、エマニュエル・マクロンという名のダイナミックな若き経財相を任命したにもかかわらず、改革を実現することはできなかった。

それだけに彼の今後の活動を我々は注視していく必要がある。

(4月25日付)

・・・・・・・・・・・・・・・・・
 英フィナンシャル・タイムズのコラムや記事を翻訳し、月曜、水曜付で掲載します。
電子版 ▲Web刊→FT


●関連日経記事:2017年5月9日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際『仏社会「徐々に分裂」』=仏・国立人口学研究所研究員 エマニュエル・トッド氏=』(5月3日付)

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日経新聞 自己啓発『「教祖」にならう米ETF』=著名ファンド保有銘柄で構成=

2017年04月28日 05時03分47秒 | 自己啓発
日経新聞 2017年4月27日(木) P.7 金融経済面
連載『世界の現場から』

『「教祖」にならう米ETF』=著名ファンド保有銘柄で攻勢=

 「教祖」と呼ばれるヘッジファンドの知恵を株式銘柄選別に取り入れた上場投資信託(ETF)が米国で脚光を浴びている。

その名も「GURU(グル)」。

2012年6月にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場して以来、年率14%の総収益率を確保しており、好調なパフォーマンスと、手数料の低さが人気の背景だ。

 このETFはETF開発・運用会社のグローバルXマネジメントが運用する。

ドイツのインデックス開発会社ソラクティブが、大手ヘッジファンドの保有する株式銘柄を集めてインデックスを構成。

それをベースにETFを組成した。

米国に数千本あるヘッジファンドの中から条件にかなうファンドを選び、それぞれのファンドの最大保有銘柄をインデックスにした。

 ヘッジファンドは米証券取引委員会(SEC)から四半期ごとに「13F」という書類を通じ保有株を報告することが義務付けられている。

GURUのヘッジファンド選別の条件は、 ①ファンドの運用資産総額が5億ドル以上 ②保有銘柄の回転率が年50%以下 ③最大保有銘柄が保有株全体の4.8%以上などとなっている。

4月21日時点でこのETFの保有銘柄は57社。

 グローバルX社では選別されたファンドの名前は公表しないが、業界関係者によると、著名投資家ジョン・ポールソン氏や物言う株主として有名なサード・ポイントなどの大手ファンドが含まれてるもようだ。

 このETFの利点は低コストで著名ヘッジファンドの知恵を拝借できること。

運用手数料は0.75%と、通常のヘッジファンドの手数料2%プラス成功報酬20%を大きく下回る。

それだけに「個人投資家に加え、年金基金や財団などの機関投資家もこのETFに資金を振り向ける動きが目立つ」(グローバルX者のジェイ・ジェイコブズ調査部長)という。

 金融機関がこぞって参入し品ぞろえが飽和気味の米ETF市場では、運用手法に工夫を凝らさないと競争に勝てないという事実もこのGURUは浮き彫りにしているようだ。

(ニューヨーク=伴由百江)

▼GURUの主な保有銘柄
・ダイコム・インダストリーズ

・アメリカン・タワー
・コンスタレーション・ブランズ

・アディエント
・サザビーズ

・フェイスブック
・クラウン・キャッスル・インターナショナル

・アマゾン・ドット・コム
・ブロードコム

・レイノルズ・アメリカン


●関連日経記事:2017年4月17日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「インデックス運用が市場を席捲」=低コストが強み 投信の8割=』(4月16日付)

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日経新聞 保険・年金・税金「世代の不公平、置き去り」=改革進まぬ年金の「錯誤」=

2017年04月28日 03時31分35秒 | 保険・年金・税金
日経新聞 2017年4月27日(木) P.1
特集連載『砂上の安心網』=支え合いの境界 ④=

『改革進まぬ年金の「錯誤」』=世代の不公平、置き去り=

 厚生労働省の官僚や厚労族議員からよく聞く言葉がある。

「年金はフタが閉まっているから安心だ」。

高齢化による費用拡大が読めない医療や介護と比べ、支給抑制の仕組みもある年金は改革の緊急性が低いという意味だ。

だがこの「安心」は私たちが想像する「安心」とはわけが違う。

「どうせ損する」
 「どうせ俺たちは損するんだろ」。

最近、東京都内の年金事務所の職員が40代の中小企業の経営者から罵声(ばせい)を浴びた。

この企業に年金保険料の支払いを促(うなが)したときのことだ。
日本年金機構の幹部は「経営難の中小企業の感情論だ」と語る。

本当にそれで片付けていいのか。

 一生涯でもらえる年金や医療、介護のサービスと、支払う保険料(労使合計、=保険料は勤労者が負担する保険料と同じ額を会社も負担して支払っている)や税の収支を小黒一正法政大教授が試算したところ、60歳以上では約4千万円の黒字だが、40代以下では支払いの方が多くなる。

特に年金の比率は大きい。

 「福祉元年」の1973年当時、厚生年金の保険料率は今より10ポイント以上低く、高齢世代が払った保険料は少ない。

年金額抑制で現役世代はますます不利になる。
中小企業の感情論は的(まと)外れとはいえない。

 ところが高齢者がみな裕福というわけでもない。

千葉県佐倉市に単身で住む河野健三さん(71、仮名)は「40年近く保険料を払ったのに何で生活保護に陥(おちい)るんだ」と憤(いきどお)る。

理由はずっと自営業で、国民年金しか入っていないからだ。

 貯金しなかった河野さんにも責任はある。

ただ厚労省に言い分を聞くと「月6万5千円の給付では基礎的な生活費を全部賄(まかな)えない」と認めた。

保険料をほぼ満額払っても生活がままならない現実。
しかも20年後には高齢者の一人暮らしは2割に増える。

 閉まっているはずの「フタ」は年金財政全体のこと。
保険料を支払った全員の安心を意味しない。

安心の線引きから外れる人たちの老後と向き合う時がやがて訪れる。

 「負担能力に応じた保険料になっていない」。
経済産業省は3月の有識者会議で指摘した。

短時間労働、副業・兼業、フリーランス……。

企業に属さない働き手が増えているのに、高所得者が月1万6490円の国民年金保険料で済んだり、そもそも払っていなかったりする例も多い。

「所得比例に糸口」

 世代間の不公平を温存し、働き方の多様化にも追いつけない日本の年金制度。

解決の糸口はあるのか。

 「税財源による全国民共通の基本年金に加え、職業に関係なく所得比例の年金をつくる」。

最低限の暮らしを守る年金を税で賄い、その上に自営業者も会社員も所得比例の年金を加える。

現役時代の自助の余地を広げ、高齢者も消費税などで負担を分かち合う。

 2000年代に浮上した改革案だが、実は40年前に似た案を政府の審議会が提案していた。

財源問題などが壁になりお蔵入りとなった。
長く欠陥を意識しながら、老後の支え合いの線引きは絡み合ったままだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
電子版:
 数字が語る年金の不都合 ▼Web刊→紙面連動


●関連日経記事:2017年4月28日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 教育「子ども保険への期待」=小泉議員など、社会保険料に上乗せで財源確保提案=』(4月27日付)

●関連日経記事
:2016年7月2日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 社会「高齢者4人に1人 (上)」=国勢調査から=』(7月1日付)


連載コラム『迫真』
『砂上の安心網~線引きに惑う ④』=3世代の年金談議=


 「国民年金って、20歳から加入しなきゃいけないんだよ」。

 3月末、埼玉県内の民家。
芳賀フクさん(79)が孫娘(26)に諭(さと)すと、彼女はこう言い返した。

「おばあちゃん。 入っていないのは私だけじゃないよ。 周りでは保険料を払っている子の方が少ないんだから」

 記者(37)は年金の取材で、祖母・娘・孫の3世代で集まって暮らす芳賀さん一家と出会った。

年金受給者のフクさん。
保険料を納める現役世代のみゆきさん(57)。

今後の担い手となる孫娘。
「100年安心」とうたわれる年金制度に、3世代の女性たちは何を思うのか。

 「年金は払うもの。 そう思って生きてきた」。
フクさんは大工だった夫(83)と国民年金を納めてきた。

未納の時期があり、年金額は2人で月6万円。
ただ心強い味方がいる。

 「フクさん、セリを摘んできたからお裾分け」。
キャベツにタマネギ、白菜。

玄関先に毎日のように誰かが野菜を置いていく。
昭和の時代のような「互助」のある暮らしが、フクさん夫婦の公的年金の不足を補う。

 娘のみゆきさんはどうか。
 専業主婦だったが50歳を前に離婚しシングルに。

正社員の職を得て、厚生年金の保険料を納め始めて8年がたつ。

基礎年金の受給権は得たが、働き続けてきた同世代に比べると将来貰える年金は現時点では少ない。

 「働けるうちはとにかく働く」。
みゆきさんの娘は非正規で働き、生計をみゆきさんに頼る。

老親もいつ病気になるかわからない。
家計を支え、自身の老後に備えるには、働き続ける必要がある。

「働けるうちは80歳だろうが、高齢者ではなく生産者だという気持ちが必要かも」とみゆきさん。

負担が集中する現役世代の危機意識がにじむ。

 そのみゆきさんの娘は、公的年金の保険料を払ったことがない。
非正規で賃金などの基準を満たさないため、厚生年金に入れない。

国民年金に加入する必要があるが、友人も「払ってもねえ。 年金なんてもらえるかわからないし」と言うそうだ。

 「そんなものかと思えば、優先順位が下がっていく」と娘は話す。
年金には頼れず、雇用が不安定では自助による貯蓄も難しい。

すべてにおいて支えが見つからない。
彼女のつぶやきは、若い世代が抱える課題そのものだった。

 世代が変わるごとに、安心を損なう傷口が広がっていく。
3世代の女性たちとの年金談義で、そんな暗い未来を垣間見た気がした。

(高畑公彦記者)


●関連日経記事
:2016年7月26日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 政治「ポピュリズムに惑う欧米市場」=日経ヴェリタス=』(2016年7月25日付)

●関連日経記事:2016年12月26日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 海外メディア「扇動政治、民主主義脅かす」=不安と怒り利用/独裁化の懸念も=』(2016年12月25日付)

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日経新聞 国際「米、在韓米軍基地にTHAAD発射台搬入」=対北朝鮮の弾道ミサイル対応=

2017年04月28日 03時05分30秒 | 国際
日経新聞 2017年4月27日(木) P,2 総合1面
『米THAAD発射台搬入』

 米朝による威嚇(いかく)の応酬は26日も続いた。

在韓米軍は弾道ミサイルなどを打ち落とす、地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の発射台やレーダーなどを韓国南部・星州(ソンジュ)にある配備地に搬入。

韓国国防省の関係者は「韓米、両国は緊迫している北朝鮮の核とミサイルに対処するため、THAADの作戦運用能力の早期の実現に努めている」と語った。

 中国外務省の耿爽副報道局長は26日の記者会見で、在韓米軍による韓国へのTHAADの搬入について、米韓両国に「重大な懸念」を伝達したと明らかにした。

撤回を求めると同時に「中国は自らの利益を守るために必要な措置を断固として取る」と反発した。

 防衛省は航空自衛隊の戦闘機2機と米海軍の原子力空母「カール・ビンソン」の艦載機が共同訓練を実施すると発表した。

26日午後に沖縄東方の海域で実施予定だったが、天候が悪く、この日は延期した。

 空自の第9航空団(那覇市)に所属するF16戦闘機2機と、カール・ビンソンの艦載機F18戦闘攻撃機が参加する見通しだ。

 カール・ビンソンは海自の護衛艦「さみだれ」「あしがら」と共同訓練をしており、今後はより北朝鮮に近い日本海でも訓練する計画だ。

 韓国海軍も、週末にカール・ビンソンと日本海での訓練を予定。
釜山(プサン)には米海軍の原子力潜水艦「ミシガン」が既に入港している。


●関連日経記事:2016年7月15日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「THAAD迎撃システム、韓国南部に配備」=在韓米軍施設の防衛重視=』(2016年7月14日付)

●関連日経記事:2017年4月22日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 海外メディア「米朝首脳 誤算のリスク」=英FT・チーフ・コメンテーター ラックマン氏=』(4月20日付)

●関連日経記事:2017年4月24日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 安心・安全「在韓邦人の退避策調整」=政府、朝鮮半島有事に備え=』(4月22日付)

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日経新聞 教育「子ども保険への期待」=小泉議員など、社会保険料に上乗せで財源確保提案=

2017年04月28日 02時26分15秒 | 教育
日経新聞 2017年4月27日(木) P.19 マーケット総合2面
連載コラム『大機小機』

『子ども保険への期待』
 
 小泉進次郎氏など自民党若手議員が子ども保険構想(=幼児教育や保育を無償にする「子育て支援」構想)を提唱した。

これは未就学児童を対象に新たな給付を設けるもので、更生・国民年金保険料へ0.1%相当分を上乗せして財源を確保する。

すでに自民党が提案した教育費のための国債発行への対案であるが、なぜ国債ではなく社会保険料を提唱したのだろうか。

 第1に、国債発行は現世代の負担とならず、政治的な抵抗感がない。

このため増税なしに教育の充実等、与野党のポピュリズム政治の常とう手段となっているためだ。

すでに日本の国債発行額は2016年で国内総生産(GDP)の2.3倍と先進国中で最悪の水準に達している。

他方、子ども保険料は就学前児童給付に限定された事実上の目的税で、現世代の理解を得やすい。


また、将来世代のための持続的な固有財源を確保することができる。

 第2に、年金や高齢者医療・介護など、高齢世代への所得移転に偏(かたよ)った日本の社会保障費のアンバランスを改善できる。

また、幼児教育への公的支出には、就学後教育と比べても大きな効果が見込まれる。

 第3に、子どものいない世帯には、単なる負担増となるという批判は近視眼的に過ぎる。

現行の年金給付は、高齢者が過去に支払った保険料や税だけでは到底賄(まかな)えず、将来世代に依存する部分が大きい。

これを負担する子ども世代を育成するための支援は、現世代の責務でもある。

 もっとも、小泉案のような年金保険料への上乗せ分だけでは、保険料を払い終わった年金受給世代は負担を免れ、勤労世代との不公平が拡大する。

これに対しては、介護保険料と同様に、年金給付から子ども保険料相当分を差し引けばよい。

厚生年金は過去の賃金に比例した高所得者ほど多くの給付を受け取る仕組みであり、事実上賃金の後払いに等しいからだ。

 疾病(しっぺい)や介護など生活上のリスクに見合う社会保険料を、家族の選択である子どもに給付することへの原理的な批判もある。

だが社会保険を、自らの生活リスク回避という消極的目的に限定する必然性はない。
少子化という社会全体の問題への対処として、あえて将来への人的投資と捉(とら)える。

そのうえで、子どもを育てるリスクを担う家族を支援する目的税と見なせばよいのではないか。


●関連日経記事:2014年5月17日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「世代間協調の不可能性」=財政再建は期待できない・・・=』(2014年5月16日付)

●関連日経記事:2017年3月10日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 保険・年金・税金「保険料、来月値上がり続々」=駆け込み契約も増加=』(3月4日付)

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日経新聞 国際「英離脱 非ユーロ圏に恩恵?」=在英EU国際機関の誘致で結束優先=

2017年04月27日 17時46分17秒 | 国際
日経新聞 2017年4月26日(水) P.7 金融経済面
連載『金融取材メモ』

『英離脱 非ユーロ圏に恩恵?』=国際機関誘致で結束優先=

 欧州連合(EU)を離脱する英国に拠点を置く国際機関を奪い取ろうと欧州各国が誘致合戦を繰り広げている。

ドイツ、フランスが有利と思いきや、実はそうでもない。
立ちはだかった伏兵はスウェーデンやポーランドなど非ユーロ圏。

背景には欧州諸国の複雑な政治力学がある。

 「ロンドンにある欧州銀行監督機構(EBA)の移転先は北欧になるかもしれない」。
ユーロ圏のある小国の政府高官はため息まじりに話す。

自国に招きたかったが、最近になってスウェーデンが候補の一つに躍り出たという。

 非ユーロ圏も含めた欧州全体の銀行監督を統括するEBA。
誘致すれば国際都市として箔がつくため、多くの国が水面下で触手を伸ばした。

当初は金融都市フランクフルトが優勢かと思われたが、欧州中央銀行(ECB)に加えてEBAまでドイツに置いたのではバランスを欠くとの指摘が続出。

そこでウィーンやアムステルダム、ルクセンブルクなどが浮かんだものの「ユーロ圏である必要はない」との意見に押されている。

 英国を除くEU27カ国は結束が最優先。

図らずも生まれたブレグジット(英離脱)の恩恵が非ユーロ圏にも及ぶよう配慮し、団結が揺らがないようにしようという思惑が働く。


1000人を雇う欧州医薬品庁(EMA)の争奪戦でも非ユーロ圏のデンマークを含めた20カ国が手を挙げたと欧州紙は伝える。

 英国は移民を制限することにこだわり、それをEUは容赦しない。

ほかの政策では足並みが乱れがちなEU諸国も「反英戦線」では強硬路線でぴたりと息を合わせる。

離脱交渉は難航し、英国が経済的に不利となる形でEUから抜ける「ハード・ブレグジット」がますます現実味を帯びる。

 ポーズだけでないことはECBが11日に発したメッセージを見れば明らかだ。
英国で欧州事業を統括する民間金融機関40社に早く欧州大陸に事業を移せと警告した。

これには金融政策でECBに反目するドイツ連邦銀行も同調する。


(欧州総局編集委員 赤川省吾)

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