日経新聞 海外メディア「IMF、EUが強い影響力」=政策決定に透明性を=

2016年07月31日 09時03分38秒 | 海外メディア
日経新聞 2016年7月30日(土) P.6 国際1面
連載『英フィナンシャル・タイムズ特約』=7月29日付、社説=

『IMF、EUが強い影響力』=政策決定に透明性を=

 ユーロ圏の金融危機問題はギリシャの残念な例は別とし、今や欧州各国首脳が向き合わねばならない課題リストの下の方に位置する。

トップに上がってきたのは移民と英国の欧州連合(EU)離脱問題だ。

金融危機解決を主導した国際通貨基金(IMF)は、より身近な問題である1次産品を生産する新興国の国際収支問題に注目しなければならなくなった。

 こうした中、28日にIMFの監視機関である独立評価機関(IEO)が出した危機におけるIMFの役割に関するリポートは注目に値する。

IMFの信頼維持には、欧州によるガバナンスへの桁外れの影響力を弱めるべきだとの主張を強めるものだ。

 IMFはEUの発言に耳を傾けた結果、通貨同盟内で国際収支問題が発生することをつかめなかった。

また経済への信頼回復には、しばしば民間と公共両部門の債務を迅速かつ整然と償却することが必要になるという教訓も学んだはずだが、それも無視した。

 ラガルド専務理事はリポートについて、IMFが不当に政治的圧力を受けていることを示す明確な証拠はないと述べた。

 だが、そうした圧力の事実が記録に残されることはめったにない。

リポートに明記しているように、IMFの主要な政策決定が通常のルート外で行われたようで、決定の過程についての適切な記録が残されていない。

 IMFがユーロ圏の危機から、潜在成長力を下回る国での財政引き締めの影響などの教訓を学んだことは間違いない。

だが、欧州各国政府が最近のIMFの改革の後もなお桁外れの議決権を保持していることは気掛かりだ。

EUは伝統的にIMF(トップの役職である=)専務理事を事実上、水面下で任命する役割を演じてきたが、その放棄をまだ態度で示していない。

 ユーロ圏の危機、特にギリシャ問題がIMFの制度的弱点をあらわにした。
こうした弱点は断片的に是正されるかもしれない。

 しかしIMFでは依然、(欧州という)世界の一地域の影響力が圧倒的であり、そうした機関をそもそも、私情を挟まず公平であるとみなせるのかという重大な問題は残されたままだ。



●関連日経記事
:2016年2月19日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 海外メディア「欧州銀、根深い不良債権問題」=英エコノミスト誌から=』(2月16日付)

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日経新聞 国際「読めぬ安保への影響」=ロシア、米欧の分断狙う=

2016年07月31日 06時17分09秒 | 国際
日経新聞 2016年7月30日(土) P.6 国際1面
特集連載『英EU離脱』=揺れる世界 ⑤=

『読めぬ安保への影響』=ロシア、米欧の分断狙う=

 「安全保障では妥協はできない」「同盟諸国の力を弱め、敵を勢いづかせるような賭けをしてはならない」

 18日、就任後初の議会答弁に立ったメイ首相の力のこもった声が響いた。

少なくとも4兆円超の費用が掛かり、世論も割れる潜水艦発射型戦略核ミサイル「トライデント」の更新を下院で可決させ、核戦力を通じて大国としての影響力を維持する決意をにじませた。

 英国民のEU離脱の是非を巡る議論は経済と移民の問題に集中したが、離脱が決まると、安保に目が向き始めた。

 いち早く動いたのは情報機関だった。
フランスなど欧州の当局とこれまでと変わらぬ協力を保つことを確認したという。

 「安保の分野は離脱の打撃を最小限に抑えられるはずだ」とポーリン・ネビルジョーンズ元英安保・対テロ担当相はいう。

 欧州の安保はEUではなく、米主導の北大西洋条約機構(NATO)が担う。

英情報機関は相対でネットワークを世界に張り巡らしており、「欧州は何よりも英国の情報に頼っている」。


 それでも英国のEU離脱が世界に与える中長期的な影響は読み切れない。

米国と歩調を合わせる英国は、ロシアの侵攻を受けるウクライナやイランなど中東の問題に欧州を関与させる役目を果たしてきた。

 7月、ワルシャワで開いたNATOの首脳会議。
ハモンド前英外相によると、議論の大半は英国のEU離脱問題に割かれた。

 米国はその場でダメージコントロールに動いた。
オバマ大統領は英独仏伊の首脳を集め、「欧州の安定と健全さを保とう」と訴えた。


この枠組みでウクライナの大統領と会談、同国の支援で米欧の結束が揺らがぬことを演出してみせた。

 英王立国際問題研究所のロビン・ニブレット所長は、NATOの政策決定機関である北大西洋理事会(NAC)が英欧や米英欧間の政策調整の場になると指摘する。

「英国はNATOの主要7カ国(G7)を影響力のテコにするしかない」

 ロシアはほくそ笑んでいる。
「世界はよりよい方向に進んでいる」。

英国民投票の結果を受け、米欧の分断に腐心してきたロシア政府内ではこんな言葉が飛び交った。

 EU離脱派のリーダーだったポリス・ジョンソン氏の外相就任が決まると、独仏から批判的な声が上がるのを尻目に、ロシアのラブロフ外相は祝辞を送った。

「英ロ関係は新たなページがめくられるのを待っている」(ザハロワ外務省情報局長)

 英王立防衛安全保障研究所のロシア人研究員、イーゴリ・ストゥヤーギン氏が分析する。
「ロシアは米欧を結ぶ英国が切り崩し可能な”弱い鎖”になると踏んでいる」

 英国を大国たらしめる情報力と軍事力は経済が悪化すれば予算が目減りし、維持できなくなる。

EU離脱交渉が難航し、景気が低迷したときに、英国に食い込む余地ができるとロシアは読む。

米大統領選の共和党候補トランプ氏がNATOに冷淡なこともにらんでいる。

 英国ではEU離脱が決まった衝撃を1956年のスエズ動乱と重ねる論調が目立つ。

エジプトが国有化を宣言したスエズ運河を取り戻すために出兵した英国は、米国の反対により孤立、ポンドは暴落し、撤退に追い込まれた。

 大英帝国の落日を決定づけたこの事件は、米国と「特別な関係」を再構築し、欧州大陸に接近していく契機ともなった。

時計の針を巻き戻すかのようなEUからの離脱。
その余波は米欧中心の秩序を揺さぶりかねない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 吉川英治記者、岐部秀光記者、森本学記者、小滝麻理子記者、黄田和宏記者が担当しました。


●関連日経記事:2016年7月19日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 海外メディア「内憂外患 独首相の苦悩」=英FT・コレスポンデント ワグスティル氏=』(7月17日付)

●関連日経記事:2015年2月4日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「英豪、対テロ結束を確認」=危機時に施設相互利用=』(2015年2月3日付)

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日経新聞 経済「投信、大量投入モデル転換」=「乗り換え」から長期運用へ/やっと顧客志向へ=

2016年07月30日 04時45分38秒 | 経済
日経新聞 2016年7月29日(木) P.5 経済面
『投信、大量投入モデル転換』=新規設定、13年ぶり低水準(1~6月)=

『「乗り換え」から長期運用へ』

 投資信託の新商品投入が急減している。

今年1~6月の新規設定額は半期ベースで13年ぶりの低水準に落ち込んだ。

金融庁の指導もあって、新商品を次々に出して顧客に乗り換えを勧め、販売手数料を稼ぐビジネスモデルの修正を余儀なくされているためだ。

今後は米国のような「長期運用」を定着させるのが業界としての課題になる。

 日興リサーチセンターによると、1~6月の公募の追加型株式投信の新規設定額は3615億円と前年同期の7272億円から半減。

03年1~6月(3045億円)以来の低水準となった。
当時に比べて投信の運用資産は60兆円以上も増えている。

その差を考慮すると足元の新規設定額は異例の少なさといえる。

 投信業界では長らく既存商品から新商品へと顧客に乗り換えさせ、販売手数料を稼ぐ手法が問題になってきた。

投信の運用会社(=購入者側に立つ会社)よりも販社である証券会社や銀行の立場が強く、その意向が通りやすかったためだ。


 それでは長期目線の運用はおぼつかないとして、金融庁は12年から投信制度改革に着手。

監督指針などを改正して金融機関に投信を販売する際は顧客に手数料の負担などをきちんと説明することを求め、「乗り換え販売」は難しくなった。

15年からは、顧客の利益を最重視する「受託者責任(フィデューシャリー・デューティー)」の徹底を求めている。

 業界側も対応を急いだ。

野村証券は13年以降、顧客に商品を提案する際は、既存投信から優先的に選ぶよう営業員を指導している。

大和証券はすでに取り扱っている投信に似たタイプがあれば、新規の商品は採用しないようにした

 この結果、個人マネーは既存投信へと向かうようになった。

今年16年1~6月だと既存投信への資金流入額が2兆9859億円と、新規投信の7453億円を大きく上回った。

全体の資金流入額のうち既存投信に向かった割合は15年以降は7~8割に上昇している。

 少額でも分散投資ができ、運用をプロに委ねられる投信は初心者にも向く金融商品だ。

「新商品の目新しさ」ではなく、「長期の運用力」が投信の優劣を決めるようになれば、1700兆円にのぼる個人の金融資産の「貯蓄から投資」へのシフトに弾みがつく可能性がある。


●関連日経記事:2016年3月18日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「投信に値下げの大波」=わかる手数料 ①=』(3月17日付)

●関連日経記事
:2016年5月22日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 経済「動かぬ地銀 vs. 迫る金融庁」=保険手数料開示を…=』(5月21日付)


◆父さんコメント:
 銀行で定期預金が満期になると決まって銀行員が「お金の使い道が決まっていますか?」と聞いてくる。

そして「新規に組まれた投信に、投資してはいかがですか? 預金よりメリットがあります」と勧めるのが常套手段。

その心は「金融商品を知らない個人に投信を売りつけ、高い販売手数料を銀行が手にする」ことだ。

「リスクは個人に、確実に毎年かかる運用手数料は銀行に」という銀行側のことしか考えない営業ともいえる。

改善されつつあるとはいえ、保険や金融商品の手数料で荒稼ぎをもくろむ銀行の体質はそんなに大きく変化しているとも思えない。

消費者は、普段から知識を収集して判断力を高め、これら銀行など既得権益者に立ち向かっていくことが求められる。

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日経新聞 インターネット「アジアで、無くてはならない存在に」=LINE悲願の上場 ④=

2016年07月30日 04時18分22秒 | インターネット
日経新聞 2016年7月29日(金) P.2 総合1面
特集連載『迫真』

『LINE悲願の上場 ④』=無くてはならない存在に=

 「この地域だけでも人口は5億人おり、利用率は7~8割まで伸ばせる」。

日米で株式の上場を果たした15日、LINE社長の出沢剛(43)は成長力を疑う声に強く反論した。

 日本では高いシェアを誇るLINEだが欧米や中国ではフェイスブックや騰訊控股(テンセント)が立ちはだかる。

今、目指すのは日本とタイ、台湾、インドネシアの4カ国・地域に絞り込んだ成長になる。
先頭に立つのがCGO(最高グローバル戦略責任者)の慎ジュンホ(44)。

LINEの生みの親だ。

 初雪を意味する「チョンヌン」という検索サイトのプログラマーだった慎は、ネイバー創業者の李海珍(イ・ヘンジ、49)の三顧(さんこ)の礼を受け、グーグルからの誘いを断り入社した。

「共にグローバル化の夢を追うチームをつくる必要があると説得された」と慎は振り返る。

 海外戦略を託された慎は日本を拠点にアジアを飛び回る。

出沢は「四六時中LINEのことを考えている。 米西岸の創業者のようなタイプだ」と評し「リトル李海珍」の異名も持つ。

上場時には李を上回る巨額のストックオプションを手にした。

 今年5月、タイ・バンコク。
慎は「徹底した現地化で生活に密着したサービスを展開する」と宣言した。

その一つが食事の宅配だ。

交通渋滞が激しいバンコクでは昼食宅配の潜在需要が高いとみて、画面上の対話で注文できるサービスを始めた。

インドネシアではLINEで同級生を探すサービスを投入した。

この国は伝統的に同級生の横のつながりが強いためで、地域ごとの文化や特色を捉えて生活に溶け込もうとしている。

 14日、ニューヨーク証券取引所で慎と共に取引開始のベルを鳴らした取締役の舛田淳(39)はLINEの戦略担当だ。

オンライン決済や求人、宅配など他社との協業で「LINE経済圏」を広げようと知恵を絞る。

舛田は「LINEは多くの収益モデルを持つ唯一の企業」と自社の潜在力に自信を見せる。

 LINEの上場と時を同じくして「ポケモンGO」が世界で社会現象を巻き起こした。
LINEもアジアを代表するIT(情報技術)企業として世界に飛躍できるだろうか。

20日、東京・渋谷のイタリア料理店で久しぶりに出沢と慎、舛田が再開した。
3人が掲げる目標は「今後5年で無くてはならない存在になる」とこだ。

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 堺正治記者、川上穣記者、加藤宏一記者、山下晃記者、竹内弘文記者が担当しました。


●関連日経記事:2016年7月29日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 インターネット「スタンプ長者 世界へ」=LINE悲願の上場 ③=』(7月28日付)

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日経新聞 インターネット「スタンプ長者 世界へ」=LINE悲願の上場 ③=

2016年07月29日 09時17分35秒 | インターネット
日経新聞 2016年7月28日(木) P.2 総合1面
特集連載『迫真』

『LINE悲願の上場 ③』=スタンプ長者 世界へ=

 7月9日、東京・秋葉原。

若者を中心とした長い行列の先では「スタンプの祭典」というイベントが開かれていた。

スタンプとは感情豊かな動物や人間などのイラストで、LINEの画面に表示して対話を盛り上げる役目を負う。

120~600円で販売され、LINEの売上高の2割を稼ぐ。

 「生活ががらりと変わった」と話すのは地方のOLだったsakumaruだ。

若い女性に人気がある「うさまる」というスタンプの作者で、イラスト本からカフェ、アニメへと活躍の場が広がる。

人気の高い10位までのスタンプは平均で2億2300万円の売上高がある。

その35%(=約7805万円/年)は作者に入るためスタンプ長者(ちょうじゃ)が続々と誕生した。

sakumaruも長者となり、本名や素顔、年令は秘密にした。

 2億人以上が使うLINEは新しい経済圏を作り出す潜在力を持つ。

日本初のスタンプはタイや台湾、インドネシアにも広がり、各地でも人気のスタンプが誕生している。

スタンプ事業を統括する渡辺尚誠(34)は上場によって「スタンプ制作者が世界で活躍するチャンスが広がった」と話す。

 東証上場の前日となる24日、LINE執行役員の杉本健一(34)はコールセンター大手との打ち合わせに向かった。

LINEを使って顧客対応をするサービスを年内にも始める予定だ。

 LINEは自社のアプリを様々な現実のサービスの入り口にする「スマートポータル戦略」を進めている。

異業種との協業でつくり出した経済圏はLINEの新たな収益源になる。

 「荷物は7月30日の午前に配達されます」「その日はいないので翌日に変更してもらえる?」。

ヤマト運輸は「宅急便」の配達予定の伝達や再配達の依頼をLINEで伝えるサービスを始めた。

1月のサービス開始以降、登録者は増加を続け今では180万人近くになる。

ヤマト運輸社長の長尾裕(50)は「メールよりも反応が早い」と話し経営課題である再配達コストの削減にも期待をかける。

 杉本は宅急便のような事例を飲食や宿泊などにも広げようと奔走する。
上場で得た資金は人間の代わりに会話する人工知能(AI)の技術開発にも充てる考えだ。

杉本は「現代の若い世代は電話やメールを面倒に思っている」と話す。
LINEを生活を支えるインフラにできれば、経済圏は飛躍的に広がる可能性を秘める。


●関連日経記事:2016年7月28日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 インターネット「世界で戦うにはブランドが弱すぎる」=LINE悲願の上場 ②=』(7月27日付)

●関連日経記事:2014年5月31日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 インターネット「おまけは『スタンプ』」=LINEを販促に生かして成果=』(2014年5月30日付)

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日経新聞 経済「債券の手数料は金利の50倍」=マイナス金利百景=

2016年07月29日 08時40分18秒 | 経済
日経新聞 2016年7月28日(木) P.5 経済面
特集連載『マイナス金利百景』

『手数料は金利の50倍』=活況の社債市場にひずみ=

 日銀のマイナス金利政策導入で社債市場が活気づいている。

国債の利回りがマイナスになるなかで、せきを切ったように投資マネーが流れ込んだ。
だが急激な環境の変化は思わぬ「ひずみ」も生んでいる。

 「以前は十数枚あった送信ファックスがたった2枚。 商売あがったりです」。
大手証券の債権担当者がこう嘆く。

運用会社や銀行に毎日送る社債や地方債の「流通在庫リスト」が激減。
この証券会社の債券在庫は過去5年で最低水準だ。

 在庫蒸発の裏には迷える投資家の姿がある。

国債で運用できないが、現金で日銀の当座預金に預けておくと日銀に利息を払う必要が出てくる。

消去法的に社債の人気が高まった。

 なりふり構わぬ投資行動は社債の利回りに異変をもたらした。
トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車の金融子会社が6~7月に発行した3年債。

従来、トヨタ系に比べて格付けの劣るホンダ・日産系は高めの利回り(=発行債券価格は安く)を求められたが、現在は年0.001%で横並び。

そのでも「格付けで利回りの上乗せを求める声はない」(証券会社の担当者)。

 普通社債で0.001%の利回りは過去最低(=価格は最高値)。
発行企業が証券会社に払う手数料が利回りを上回る「逆転現象」も起きた。

例えばトヨタの金融子会社が6月に起債した3年債。
手数料を年率換算すると0.058%で、投資家に払う利率の50倍以上になる。

企業の財務為担当者からこんな声も漏れる。
「利回りが下がっても手数料が高止まりでは意味がない」

(随時掲載)

(電子版▲マーケット→為替・金融→マイナス金利百景)


●関連日経記事:2016年7月27日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 経済「MMF、近づく消滅の日」=マイナス金利百景=』(7月26日付)

◆父さんコメント
 自動車各社が金融子会社を持ち、社債を発行して多額の資金を市場からかき集める。

一見自動車と関係なさそうだが、これらの資金は自動車を販売する際の割賦(かっぷ)販売の原資となる。

自動車ローンは下がったといっても、年利1~3%程度が多いが、コストは上記トヨタ自動車関連では利回り+手数料で0.059%となり、その差額が粗利となる。

自動車の割賦販売に絡む金融取引は自動車メーカーにとっては利益貢献度の高い事業なのである。

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日経新聞 安心・安全「フランスで相次ぐテロ」=「国内移民の不満 背景」 高まる失業率/社会の閉塞感=

2016年07月29日 06時52分51秒 | 安心・安全
日経新聞 2016年7月28日(木) P.6 国際1面
『フランスで相次ぐテロ』

『国内移民の不満 背景』=高まる失業率/社会の閉塞感=

 フランスでイスラム過激派によるテロが止まらない。

26日に北部ルーアン近郊で発生した教会襲撃事件でも、犯人がイスラム過激思想に染まっていたことが明らかになった。

欧州で特に仏がテロの標的となっている背景には、経済低迷に伴う失業率上昇や社会の閉塞感などで、国内のイスラム教徒や移民が不満を強めていることがある。

 教会の事件では警察に射殺された犯人の男2人組のうち1人が地元出身のアデル・ケルミシュ容疑者(19)であることが27日までに判明した。

犯行時に「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫び、過激派組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓った。

以前にシリアのIS支配地域への渡航を2度試みたものの、仏に送還されて当局の監視下に置かれていた。

 ロイター通信によると、同容疑者が過激思想にのめり込む引き金は、昨年1月にパリで週刊紙「シャルリ・エブド」の本社が襲撃された事件だ。

これ以降、イスラム教の聖典コーランを過大に解釈し、周りの友人に「兄弟のために戦おう」と呼びかけていたという。

 ISはシリアやイラクを空爆する国へのテロを支持者に呼びかけている。
仏は空爆に参加する主要国の一つ。

「シャルリ・エブド」の事件以降、イスラム過激派によるテロで死亡した仏市民は230人を超え、最大級の犠牲者を出している。

 実行犯の多くは国内でイスラム過激思想に染まった、いわゆるホームグロウン(自国育ち)のテロリストだ。

米ピュー・リサーチセンターの10年調査によると、仏のイスラム教徒(ムスリム)は500万人弱と欧州ではドイツと並んで最も多く、全人口に占める比率は7.5%と主要国で最も高い。

多くは旧植民地の北アフリカなどからの移民だ。

 大多数のムスリムは穏健な市民だが、一部の若者が過激思想に染まっている。
仏経済の低迷で若者の失業率は20%強と高く、特に移民は差別を受けて就職が難しい。

ムスリムの平均年齢は全国平均より若く、将来に希望が持てない若者がシリアのIS支配地域に向かう事例が後を絶たない。

 反移民を掲げる極右政党・国民戦線(FN)が台頭し、社会の分断が深まっていることもある。

FNは失業率や経済格差の問題を巡り、移民をスケープゴート(身代わり、scapegoat)にして支持率を伸ばしてきた。

東京外国語大学の渡辺啓貴教授は「欧州最大の極右政党の存在が、仏国内で移民やムスリムの反発を招いている」と指摘する。

 17年春の仏大統領選への立候補を表明しているマリー・ルペン党首は教会襲撃事件を受けて「これまでの政権に大きな責任がある」と批判した。

▲フランスでは近年、テロが多発する
・【パリ】 2015年1月
 週刊紙「シャルリ・エブド」などを襲撃、17人死亡

・【同】 2015年11月
 同時テロで130人死亡

・【ニース】 7月14日
 大型トラックによるテロで84人が死亡

・【ルーアン】 7月26日
 教会へのテロで司祭が死亡

(ロンドン=鳳山太成記者)

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日経新聞 開発「人の流れ 大きく変える」=「ポケモンGO」現象が示すもの ③=

2016年07月29日 06時16分51秒 | 開発
日経新聞 2016年7月28日(木) P.9 視点・焦点面
特集連載『ニュース複眼』=「ポケモンGO」現象が示すもの=

『人の流れ 大きく変える』

 「ポケモンGO」はゲームだけでなく、マーケティングツールとして新たなビジネスを生む可能性がある。

 先週末には、新宿御苑(東京・新宿)に希少なポケモンが出現するという噂(うわさ)が流れ、数百人がお金を払って入園した。

ポケモンGOが生み出す経済効果は計り知れない。

 例えば、地方でイベントが開かれれば大勢の利用者が駆けつけるはずだ。
公共交通機関や宿泊施設など関連産業が恩恵を受けるだろう。

使い方によっては、人の流れを大きく変える可能性を秘める。

 ポケモンGOを開発した米企業が「スポンサード・ロケーション」と呼ぶ仕組みにも注目している。

日本での第1号案件は、日本マクドナルドホールディングスだった。

日本でのゲーム配信と同時に、約2900店の店舗を利用者が立ち寄る「ポケストップ」や「ジム」に設定した。

ゲーム内で使うアイテムがもらえるなどの特典がある。

 利用者はポケモンGOを遊んでいるだけ。
ブランドや店舗をゲームに溶け込ませているから、広告と気づかずに店舗に集まってくる。

 一部はそこでお金を使ってくれる効果はあるが、スポンサード・ロケーションでは目先の大幅な売り上げ増は期待しにくい。

入店しなくても、店先でアイテムがもらえるからだ。
ただ、ポケモンGOを遊ぶうちに毎日のように店舗を訪れ、距離感が縮まる効果は大きい。

消費者の身近な存在になれれば、コンビニエンスストアのように複数の選択肢があっても選ばれる。

 ポケモンGOの下地になった位置情報ゲーム「イングレス」では、三菱東京UFJ銀行も同様の仕組みを利用した。

ATMをゲーム利用者が奪い合う「ポータル」に設定すると、利用者はあまりに多くのATMの数に驚いたという。

三菱UFJはATM設置数で日本有数の規模だが、預金者でなければATMの位置など気にしなかっただろう。

 イングレスでは自販機を設置する飲料会社も提携した。
ポケモンGOでも幅広い業種と手を組む見通しだ。

ポケモンGOと似たゲームも次々登場するだろう。

企業側には短期の売上を引き上げるキャンペーンではなく、最低でも1~2年の長い目でゲームと付き合う姿勢が大切になる。

▲たかぎ・けんすけ
 08年電通(=広告最大手)に入社し、動画投稿サイトの動画広告やデジタル分野の新規事業開拓を担当。

16年7月からデジタルプラットフォームセンターに所属し、コミュニケーションプランナー。

44歳。

(聞き手は新田祐司記者)


◆アンカー:
『リアルとの融合 問われる想像力』


 20年前に日本で生まれたキャラクターが、米ベンチャー企業の技術と結びつき、世界が注目する進化をとげた。

人々を街に誘い出すポケモンGOの力は強く、新産業を生み出す可能性を示す。

 これからのIT(情報技術)はネット空間にとどまらず、リアル空間に飛び出して影響力を発揮する。

自動運転や賢いロボットを実現し、社会の風景を一変させるはずだ。

 ITの高度化を過度に恐れず、安全・便利に活用する仕組みやルールに知恵を絞り、ビジネスを創造する。

企業はその手腕を競うことになる。

 そんな時代の入り口にポケモンGOは現れた。
新しい技術、どう使いこなす?

スマホ画面の向こうから、ポケモンたちが問いかけている。

(編集委員 村山恵一)

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 電子版に読者調査。

「スマホゲームの事故回避、『自己責任』が61%」▲Web刊→特集→クイックVote
 

●関連日経記事:2016年7月15日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 開発「米で歴代利用者数 首位」=任天堂の「ポケモンGO」=』(7月14日付)

●関連日経記事:2016年7月29日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 開発『「歩いてゲット」が新鮮』=「ポケモンGO」現象が示すもの ①=』(7月28日付)
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日経新聞 開発「自前捨て海外に活路を」=「ポケモンGO」現象が示すもの ②=

2016年07月29日 05時45分38秒 | 開発
日経新聞 2016年7月28日(木) P.9 視点・焦点面
特集連載『ニュース複眼』=「ポケモンGO」現象が示すもの=

『自前捨て 海外に活路』=立命館大客員研究員 矢田 真理氏=

 「ポケモンGO」は米グーグルから独立したベンチャーのナイアンティックが開発した。

全地球測位システム(GPS)、拡張現実(AR)といった最新技術と、ポケモンという人気の知的財産を組み合わせたことが世界的なヒットの理由だろう。

 任天堂のビジネスモデルは大きな転換点を迎えている。

ゲーム機を作り、関連のソフトで儲けるモデルはスマホ人気など時代の変遷によって機能しにくくなった。

今後はソフトメーカーとしての色彩が濃くなるだろう。
すでにスマートデバイス向けコンテンツを収益の柱とする戦略にカジを切っている。

 知的財産をスマホゲームに生かしてヒットさせるのは常道といえる。
例えばバンダイナムコエンターテインメントの「機動戦士ガンダム」がある。

任天堂はポケモン以外にも「マリオ」や「ゼルダ」など世界的に有名な知的財産を数多く抱える。

スマホゲームで人気を稼ぐ点では有利だ。

 しかしゲームコンテンツで世界的なヒットを飛ばしているのは現状で今回の任天堂のみ。

家庭用ゲーム機「プレイステーション」をもつソニーはハードには強いが、ソフトの自社開発力はあまりない。

 今回、ARを取り入れてヒットさせたのはシリコンバレーという技術の聖地を抱える米国の強みだろう。

何でも日本企業のみで完結させるのではなく、積極的に海外企業と組むことで普遍的な面白さを生み出すことができるという教訓が読み取れる。

 ゲーム産業も成長戦略であるクールジャパンの一つだが、アニメや漫画に比べ支援が不足しているように思える。

経済産業省の担当者らは「ゲーム産業は自力で海外進出できており、支援の必要はない」という認識のようだ。

 日本でもゲームソフト開発会社レベルファイブ(福岡市)を中心に福岡などで産業集積の動きがあるが、道は遠い。

海外ではカナダやシンガポールがゲーム産業の育成に力を入れており、日本企業も含む多くのソフトメーカーが拠点を構える。

資金面での支援や環境づくりなど学ぶべきことは多い。
ヒットするコンテンツを作り出すには資金力が欠かせず、環境整備も必要だ。

産官学が一体となって支援に取り組む必要がある。

▲やだ・まり
 84年慶大経済卒、野村総合研究所入社。

長銀総合研究所、野村証券などを経て、12年から立命館大ゲーム研究センター客員研究員。
長年にわたりゲームの調査研究に携(たずさ)わる。

(聞き手は本田幸久記者)


●関連日経記事:2016年7月29日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 開発『「歩いてゲット」が新鮮』=「ポケモンGO」現象が示すもの ①=』(7月28日付)

●関連日経記事:2016年7月29日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 開発「人の流れ大きく変える」=「ポケモンGO」現象が示すもの ③=』(7月28日付)

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日経新聞 開発『「歩いてゲット」が新鮮』=「ポケモンGO」現象が示すもの ①=

2016年07月29日 05時13分02秒 | 開発
日経新聞 2016年7月28日(木) P.9 視点・焦点面
特集連載『ニュース複眼』=「ポケモンGO」現象が示すもの=

 スマートフォン(スマホ)向けゲーム「ポケモンGO」の熱狂が日本を覆っている。

人を店舗などに集める経済効果が期待される一方、「歩きスマホ」による事故やトラブルを懸念する声も高まる。

世界的なヒットとなった釈迦現象が示すものは何か。



『「歩いてゲット」が新鮮』=米雑誌編集長 パトリック・マシアス氏= スマホゲーム「ポケモンGO」は 米国を含め、世界でヒットする社会現象となっている。

米国では、普段は家に引きこもっているオタクですら街を出歩く異常事態だ。

 受けているのは、若者だけではない。

10~20年前にポケモンが大規模ブームになったころに遊んだ大人たちの心も、「懐かしさ」でがっちりつかんだ。

ゲーム機と違い、スマホは今や誰でも持つ身近なツールだ。

さらに、位置情報やカメラ機能を生かす「AR(拡張現実)」技術を駆使することで、ゲームの魅力そのものを高めたことも大きい。

  英国には、ポケモンを使った「スタンプラリー」のようなキャラクターと現実世界を融合させる企画はほとんどなかった。

(鉄道・バス網などが整わず=)交通の便が悪い米国では、歩き回るゲームというだけで新鮮だ。

こうした様々な条件が重なった結果だろう。

 米国では、ポケモンのような「カワイイ」ものは子供のものという偏見がある。
それが徐々に薄れてきたのも大人にヒットした背景にあると思う。

ネットによって世界は近くなり、日本のカワイイ系のコンテンツもすぐに大量に米国に入ってくる。

日本ではかわいい2次元キャラが現実の厳しさをいやす存在だ。
米国でも同じ感覚が広がってきた。

 米国のコンテンツ産業では、米マーベルがやっているようにコミックをもとに映画、ゲームなど1つの素材を幅広く使い回し、シリーズ化して稼ぐ「成功の方程式」がある。

一方、極端なかわいさ、暴力、性の描写など、米産業が排除する要素を含む日本のコンテンツは一定の人気があるものの、ニッチな層に単発でヒットすることが多かった。

 これまでの大ヒットは、スーパー戦隊をアレンジした「パワーレンジャー」など日本色をうまく消したものだ。

日本的でも当たるのは、サムライ、忍者、怪獣など定番のジャンルに限られる。

ポケモンはすでに人気があった任天堂のキャラとテイストが近く受け入れられやすかったはずだ。

 ポケモンGOの土台となるゲームを開発したのは、実は米企業だ。

日本のコンテンツ会社が海外企業と組んで、世界に作品を広める一つの大きな成功モデルになるのではないか。

▲Patrick Macias
小学館と集英社の関連会社で、米国で日本の漫画を広めるビズメディア勤務を経て、米雑誌「オタクUSA」編集長。

米国における日本のコンテンツ普及の歴史に詳しい。
43歳。

(聞き手はシリコンバレー=兼松雄一郎記者)


●関連日経記事:2016年7月29日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 開発「自前捨て海外に活路を」=「ポケモンGO」現象が示すもの ②=』(7月28日付)

●関連日経記事:2016年7月15日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 開発「米で歴代利用者数 首位」=任天堂の「ポケモンGO」=』(7月14日付)

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