日経新聞 ことば「為替ヘッジ」=お金の言葉=

2016年06月30日 10時27分48秒 | ことば
日経新聞 2016年6月29日(水) P.22 マネー&インベストメント面
連載『お金の言葉』

『為替(かわせ)ヘッジ』

 英国の欧州連合(EU)離脱決定による円高進行で外貨建て資産に為替差損(かわせさそん)を抱えた個人投資家は少なくないだろう。

こうした為替リスクに備える方法として「為替ヘッジ」がある。

円を外貨に換えて投資する際、将来いくらで決済するかを決めておく為替予約をすれば、為替リスクを低減できる。

外債や外国株で運用する投資信託でもヘッジあり、ヘッジなしの2つを用意する例が多い。

 ただし為替ヘッジはコストがかかる。
理論上は2通貨間の短期金利差に相当し、金利差が拡大するとコストはかさむ。

短期市場で外貨の需要が強ければさらに上乗せされる。
コストに見合う利回りが期待できるかどうか慎重に判断しよう。


●関連日経記事:2016年6月13日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 ことば「長生きリスク」=お金の言葉=』(5月25日付)

●関連日経記事:2016年6月28日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 経済「英離脱 ドル不足に拍車」=邦銀、調達コスト急増=』(6月27日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 自己啓発「結婚後も共働きを継続」=年金・退職金もダブルで=

2016年06月30日 09時54分17秒 | 自己啓発
日経新聞 2016年6月29日(水) P.22 マネー&インベストメント面
連載『マネー研究所セレクション』

『結婚後も共働きを継続』=年金・退職金もダブルで=

 結婚とお金の問題をより具体的なものとするキーワードのひとつが「夫婦の働き方」かもしれません。

現在、男女ともに就業率は高まっており、結婚時点でどちらも仕事をしている可能性がほとんどです。

 かっては働きたくても働けない女性が多かったものの、今では働きたい女性の多くが仕事に就ける時代になりました。

しかし、仕事の大変さを痛感し、結婚を機に専業主婦になる願望が強くなっているといわれます。

 夫としての優しさや愛情、度量を示すつもりで「結婚したら仕事は辞めていいよ」というのはマネーハック的(=家計の財務アドバイザー視点では)にはうまくない決断です。

結婚退職をすれば、女性は楽になるかというと経済的にはあまり楽にはなりません。

 夫ひとりの収入でふたりの生活をやりくりするのですから大変です。

自由時間は増え、仕事のストレスからは解放されたものの、自由に使うお金があまりないということになるわけです。

 さらに、結婚退職が招くもうひとつのリスクとして貯蓄余力が下がることも見逃せません

結婚後の数十年は目の前の家計と将来への貯蓄を同時並行でやりくりしていくことの連続です。

専業主婦になってしまうと貯蓄の余裕がなくなってしまい、将来のマネープランも不安定になってしまいます。

 それよりは共働きを続け、ダブルインカムの体制を維持していく方が合計所得も高まり、食事や旅行などの余暇に使える余裕も増えます。

夫は「(家事・子育ては二人で分担することで協力するから=)ふたりで仕事を続けて2倍いろんなことを楽しもうよ」と提案するのがマネーハック的なかい性といえるでしょう。

 共働きにも難しい局面が訪れます。
出産前後の期間と子育て期間中です。

この期間は所得が大きく下がります。

これに対処するには、まだ子供がいない新婚期間にしっかり貯蓄を増やしておくことに尽きます。

共働き・ダブルインカムのメリットを生かして二人きりの楽しい時間を資産形成の時間にしておくことが大切です。

 夫婦ともに正社員なら厚生年金に加入しており、将来年金をもらえます。
つまり夫婦それぞれがもらえる「ダブル厚生年金」になるのです。

 今までの標準的モデルは「会社員の夫と専業主婦の妻」ですがこの場合、妻の年金は国民年金だけです。

これがダブル厚生年金(支給額には国民年金も含まれる)となることで、老後の定期収入は大幅に増加します。

 また夫婦とも正社員の場合、退職金や企業年金をもらえる可能性が高く、これも「ダブル退職金」になります。

1000万~1500万円水準の退職金をダブルでもらえれば、老後の財産が大きく増えます。

 子育てしながら、夫婦がともに働くことは苦労も伴います。
しかし、共働きをすることのメリットは相当大きいことも考えてみましょう。



●関連日経記事:2015年7月18日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 自己啓発「貯蓄、夫婦収入の15%を」=結婚の資金計画=』(2015年7月15日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 経済「金ETF残高が大幅増」=代表銘柄、3年ぶり高水準=

2016年06月30日 09時39分10秒 | 経済
日経新聞 2016年6月29日(水) P.17 マーケット総合2面
『金ETF残高が大幅増』

『代表銘柄、3年ぶり高水準』

 現物の金を証券化した上場投資信託(ETF)への資金流入が増えている。

ニューヨーク証券取引所に上場する代表銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の金保有残高は27日時点で947.38トンと、直近2営業日で3%以上増加。

約3年ぶりの高水準となった。

 英国の欧州連合(EU)離脱決定で投資家のリスク回避姿勢が強まり、株式市場などからの資金シフトが鮮明になった。

これまでも年金基金など中長期の運用マネーの流入で残高が増え続けていたが、短期的な逃避資金も膨らんだことで増加幅が大きくなった。

 市場調査会社コモディティーインテリジェンスの近藤雅世社長は今後について「(低金利の定着で金利を生まない金への見直しを受け=)世界の著名投資家やファンドが金への投資に前向きになっており、簡単には資金が流出しない可能性がある」と指摘している。


●関連日経記事:2016年4月24日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 経済「金、ドル高修正で高止まり」=ファンドなど買い膨らむ=』(4月23日付)

●関連日経記事:2016年3月19日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 経済「信託報酬は割安、長期保有に有利」=「わかる手数料」 ② 指数連動型ファンド=』(3月18日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 インターネット「アマゾン、国内で1兆円、前年度比19%の伸び」=15年度小売業売上高=

2016年06月30日 09時03分14秒 | インターネット
日経新聞 2016年6月29日(水) P.13 企業・消費面
『アマゾン、国内で1兆円』=15年度小売業売上高 本社調査=

『5000億円、初の20社越え』

 日本の消費市場でアマゾンジャパンの存在感が高まっている。

2015年度の売上高はほぼ1兆円に達し、日本経済新聞社がまとめた小売業調査の売上高ランキングで8位に入った。

一方、連結売上高が5千億円を超えた企業も初めて20社を突破。

イオンとセブン&アイ・ホールディングスの流通2強が過去のM&A(合併・買収)に足を引っ張られるなか、新たな「強者連合」を探る動きも活発になっている。(詳細を29日付日経MJに)



 全国の百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、専門店など715社から回答を得た。

 アマゾンジャパンの売上高は9999億円となり、ランキングでは高島屋、エイチ・ツー・オーリテイリングを抜いた。

前年度比で19%の伸び率は小売業全体の6%を大きく上回り、M&Aに頼らず、消費が停滞する国内で高い成長力を示した。

 かっての小売業の競争軸は店舗展開による勢力拡大にあった。

アマゾンジャパンはインターネット通販という異次元の市場に消費者を呼び込み、一気に1兆円企業に成長した格好だ。

 大手の連結対象子会社などを除き、売上高が5千億円を超えた企業は前回調査の18社から22社に増えた。

5~7社で推移してきた1兆円超の企業に対し、5千億円超は10年前の13社からほぼ一貫して増えている。

 新たに5千億円を超えたのはローソン、マツモトキヨシホールディングス、サンドラッグ、アークス。

ローソンは14年度に買収した高級スーパー成城石井が15年度は通期で業績に寄与。

北海道・東北でM&Aを繰り返してきたアークスはサンドラッグと提携し、北海道でドラッグストアを展開する共同出資会社を設立した。

 近年の業界再編はイオンとセブン&アイの2強が主導してきた。

プライベートブランド(PB)商品の開発や価格交渉を小売りが優位に進めるためには2強の傘下入りを最善と考える企業が多かったためだ。

ただ、イオンは子会社にしたダイエーなどの再建に時間を費やし、セブン&アイもそごう・西武やニッセンホールディングスが経営の重荷になっている。

 傘下に入れた企業の建て直しに2強がもたつくなか、ローソンやアークスなどは新たな連合づくりを通じ、業種や地域などを相互に補完。

イオンやセブン&アイへの対抗姿勢を強めている。

アマゾンジャパンがけん引するネットの消費市場も含めた陣取り合戦は一段と激しくなっている。


●関連日経記事:2016年6月3日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 開発『広がる会員制「使い放題」』=「顧客と末永く」問われる=』(5月30日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 インターネット「住信SBI、簡単審査で車ローン」=返済滞れば遠隔停止=

2016年06月30日 08時50分20秒 | インターネット
日経新聞 2016年6月29日(水) P.13 企業・消費面
『簡単審査で車ローン』=住信SBI=

『返済滞れば遠隔停止』

 住信SBIネット銀行は審査手続きを大幅に簡素にした自動車ローンサービスを始める。

国内のベンチャー企業が開発した遠隔地から車両を止められる技術を採用し、返済が滞(とどこお)れば自動車を使えなくする。

自動車ローンの審査が通りづらいパートやアルバイトなどの購入希望者を対象にする。
IoT(モノのインターネット化)を活用し、新たな需要創出につなげる。

 住信SBIはIT(情報技術)ベンチャーのグローバルモビリティサービス(GMS、東京・中央)と提携する。

通常、自動車ローンを組む場合、個人は勤務先や勤続年数、年収、借り入れ状況などの細かい情報を求められるが、住信SBIは手続きを簡素化。

年内にもサービスを始める。

 専用機器を車に搭載する。

利用者がローンを返済できなくなった場合、駐車中の車に搭載されている機器に遠隔で指示を出し、エンジンを始動できなくする。


●関連日経記事:2016年6月28日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 インターネット「地銀、ネット大手と接近」=決済サービス、勢力図が変わる契機に=』(6月27日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 経済「トヨタ株、5000円割れ」=英EU離脱の余波、円高による業績悪化懸念=

2016年06月30日 08時29分48秒 | 経済
日経新聞 2016年6月29日(水) P.11 企業総合面
『トヨタ株、5000円割れ』=3年3カ月ぶり安値=

『円高懸念、業績に逆風』

 28日の東京株式市場でトヨタ自動車株が3日続落し、心理的な節目である5000円を割り込んだ。

日銀が量的・質的金融緩和策を導入した2013年4月4日以来、約3年3カ月ぶりの安値になる。

英国の欧州連合(EU)離脱決定を受けて為替相場で円高が進み、17年3月期の業績計画が未達になるとの懸念が広がった。

世界経済の先行きに不透明さが高まり世界的に自動車株は下落傾向にある。


 28日は日経平均株価が続伸するなかで、トヨタ株は一時、前日比234円(4.5%)安の4917円まで売り込まれた。

終値は176円(3.4%)安の4975円だった。

時価総額は16兆円となり、15年3月に付けた直近のピークと比べて約13兆円減少した。

 円高はトヨタの業績に逆風になる。
トヨタは今期の営業利益を前期比40%減の1兆7000億円と見込んでいる。

前提となる為替レートは1ドル=105円で、ドルに対し1円の円高は年間で約400億円の減益要因となる。

ユーロや新興国通貨を含めて現在の為替水準が続けば、7月以降の9カ月間で営業利益が1500億円規模で下振れする可能性がある。

 英国のEU離脱決定で金融市場は不安定さを増し「米国の利上げは遠のいた」との見方が広がっている。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は「日米の金利差拡大による円安シナリオが消えて市場は1ドル=100円割れを懸念している」と話す。

 世界を見渡しても23日の英国民投票後は独フォルクスワーゲンや米ゼネラル・モーターズ(GM)など自動車株が大きく下落している。

英国のEU離脱決定で世界経済の先行きに不透明感が高まり、投資家が景気動向に敏感な自動車株に売りを出しているようだ。


●関連日経記事:2016年6月28日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 経済「問われる円高認識」=「国別実質実効レート」からみると「円安」に見える…=』(6月27日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 旅行「ジャンク食課税、フィリピン揺らす」=「ゆるさ」も国民の特徴=

2016年06月30日 08時10分36秒 | 旅行
日経新聞 2016年6月29日(水) P.9 アジアBiz面
連載『アジア便り』

『ジャンク食課税、フィリピン揺らす』

 30日に発足(ほっそく)するフィリピンの新政権が「ジャンクフード税」の創設を検討している。

税収増に加え、肥満の原因となる高カロリー食品の摂取を抑えて健康志向を高める狙いだ。
フィリピン人は間食を含め1日5食とる習慣がある。

間食の定番であるジャンク(junk: くず、がらくた)に課税されれば生活への影響は必至だ。

マニラの40代の会社員女性は「体に悪いのは分かってるけど好きだから困るわ」と苦笑いだった。

 ドゥテルテ次期大統領はフィリピン人には規律が足らないという。
汚職や薬物のまん延を肌で感じた中間層は、そんな同氏の実行力に一票を投じた。

だが何事においても完璧を求める日本人とは対照的な「ゆるさ」もこの国の人々の魅力の一つではないか。

少なくとも日本には足りない活力や笑顔がここにはある。
規律の徹底が次期政権の思わぬアキレスけんにならなければいいが。

(S)


●関連日経記事:2016年6月18日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「フィリピン、ゲーム・アニメの受託拠点へ」=進む国際分業/英語力強みに=』(6月14日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 海外メディア「国民投票はやり直せる」=英FTコラムニスト ラックマン氏=

2016年06月30日 04時54分31秒 | 海外メディア
日経新聞 2016年6月29日(水) P.7 国際2面
連載コラム『英フィナンシャル・タイムズ特約』=コラムニスト ギデオン・ラックマン=

『国民投票はやり直せる』

 欧州連合(EU)離脱を巡る英国の国民投票の後、しばらく非常に暗い気持ちになっていたが、遅まきながらこの「映画」は前にも見たことがあると気づいた。

結末は知っている。
英国がEUを離脱することはない。

 EUの歴史の中で、このような国民投票の結果は目新しくもない。
デンマークは1992年(EU創設を定めた)マーストリヒト条約を国民投票で否決した。

アイルランドも2001年、08年にマーストリヒト条約など基本条約の修正条約を否決している。

 それでもEUは前進を続けた。
デンマークとアイルランドはEUから譲歩を引き出し、2度目の国民投票で条約を可決した。

今回も離脱が最終的な結末とは限らない。
確かにこれまでと違い、英国は離脱を選んだ。

キャメロン首相は辞意を表明し、英国から選ばれたヒル欧州委員は辞任した。

 しかし、英国が2度目の国民投票に向かうかもしれない兆しはすでに表れている。

有力な次期首相候補と目される離脱派のジョンソン前ロンドン市長は2月、本音を漏らしている。

「改革を勝ち取るためには、離脱に投票するしかない。 『NO』を示さなければEUは耳を傾けてくれないことは歴史が示している」

 ジョンソン氏はデンマークが国民投票をした当時のブリュッセル駐在記者で、やり直し国民投票の歴史に詳しい。

がちがちの離脱派でもない。
一番の目的は首相の座に就くことで、離脱運動は手段にすぎない。

政権さえ取ればEU政策を転換することはあり得る。

 ほかのEU諸国がこの芝居に付き合ってくれる可能性は十分ある。

ドイツのショイブレ財務相は英国の「準加盟国化」に言及したが、実は英国はすでに準加盟国といってもよい。

単一通貨ユーロを用いず、パスポートなしに移動できるシェンゲン条約にも非加盟だ。

単一市場に残った上で、EUの中核からさらに距離を置くやり方は既存モデルの延長ともいえる。

 国民投票やり直しのために必要なのは、移民が一定数以上、英国に流入したときに発動できる、人の移動の自由を制限する非常ブレーキ条項だ。

振り返れば今年初め、キャメロン氏がこの要求をしたときにEU側が拒否したのが大きな誤りだった。

交渉の失敗で離脱派を勝利させてしまった。

 それでも48%は残留を支持し意見は拮抗した。

もし移民問題に道筋をつけて2度目の国民投票を実現すれば、残留派が勝つのはそう難しくない。

 欧州側が譲歩すると考えられるのは、英国はやはりEUにとり価値ある加盟国だからだ。
予算への貢献度は高く、軍事・外交力もある。

英国にとって欧州市場を失うのが痛いように、欧州も300万人超のEU市民が働く英国の労働市場を失いたくない。

非常ブレーキは将来、一定の移民制限になるかもしれないが、完全な離脱よりましだ。

 英国の強硬な離脱派は裏切りだと叫び、欧州議会の中央集権主義者も抵抗するだろう。
しかし、そんな極端な人々に筋書きを任せることはない。

英・欧州大陸双方の中道派は英国をEUの中にとどめるために話をまとめることができるはずだ。

ドラマチックな映画のような国民投票だが、結末が描かれるのはこれからだ。


●関連日経記事:2016年6月29日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「幻と化す欧州資本市場統合」=「欧州の金融センター・ロンドン」の衰退が始まる…=』(6月28日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 趣味「自然物への旺盛な好奇心」=静嘉堂文庫美術館 「江戸の博物学」展=

2016年06月30日 04時25分07秒 | 趣味
日経新聞 2016年6月29日(水) P.44 文化面
『自然物へ旺盛な好奇心』=「江戸の博物学」展=

 近年、自然科学の分野で日本人のノーベル賞受賞が相次ぎ、話題を集めているが、自然界や宇宙に対する日本人の関心はどのように育(はぐく)まれてきたのだろう。

東京・世田谷の静嘉堂文庫美術館で開催中の「江戸の博物学~もっと知りたい! 自然の不思議~」展で、その一端を垣間見た気がした。

 同文庫が所蔵する本草学に関連する資料を中心に展示。

日本人が中国古来の本草学をもとに蘭学からの知識も得て、独自の博物学を発展させた江戸という時代をクローズアップする。

鎖国という言葉のイメージとは裏腹に「江戸の人々は私たちが思っている以上に、外の文化を受け入れ、吸収していた」と主任司書の西澤麻子氏が言うように、顕微鏡で見る極小の生き物から天体まで、あらゆる自然物へと向けられた旺盛な好奇心と知識欲に目を見張る。

 自然科学の知識が出版物を通して広く伝わっていたことを実感させるのが、画家で蘭学者の司馬江漢による「日本創製銅版新鐫(せん) 天球全図」。

彩色した銅版画の出版物には色鮮やかな天球図をはじめ、顕微鏡で拡大した昆虫、惑星の軌道の図などが含まれる。

1720年に徳川吉宗が漢訳洋書の輸入規制を緩和したことにより、日本の本草学は大きく飛躍した。

 自ら採取、観察することも容易だった植物についても数多くの図譜(ずふ)が制作された。

日本初の本格的な彩色植物図譜である「本草図譜」は、シーボルトとも親交があった本草学者の岩崎灌園(かんえん)が20余年をかけた対策。

全91冊というボリュームは、存在するすべての草木を網羅せんとする執念のあらわれだろう(実物の展示は一部)。

大名家の間では評判を呼び、予約が引きも切らなかったという。

 充実した資料から、江戸の人々のひたむきな探求の軌跡がたどれる。
8月7日まで。

(編集委員 窪田直子)


●関連日経記事:2016年3月23日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 趣味『「禅ー心をかたちにー」展』=来月12日から京都国立博物館で=』(3月22日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日経新聞 経済「英EU離脱と世界危機」=金融システムに潜む「見えないリスク」が危機に…=

2016年06月29日 08時03分09秒 | 経済
日経新聞 2016年6月28日(火) P.17 マーケット総合2面
連載コラム『大機小機』

『英EU離脱と世界危機』

 英国の国民投票の驚くべき結果が判明し、同国の欧州連合(EU)離脱が決定的になった。

極めて僅差で決まったこの結果は、欧州と世界の歴史の大きな分岐点になるだろう。

 物理学者が「シュレーディンガーの猫」と呼ぶような、わずかな偶然が世界のありようを大きく変える瞬間を我々は目撃しているのかもしれない。

 シュレーディンガーの思考実験では、1匹の猫を箱に閉じ込め、ある原子が崩壊して放射線を発したときに機械が作動して猫を殺す装置を作る。

猫の生死という重大事は微小な原子の崩壊という極めてミクロな偶然で決まる。

 今回の英国民投票においても、量子力学的と呼べるほどの小さな偶然さえあれば世界は別の歴史を歩んだかもしれない。

 24日の日経平均株価の下げ幅はリーマン・ショック時を超え、2000年以来の大きさを記録した。

しかし世界経済がリーマン・ショックと同じような危機に陥るかは、金融システムの反応にかかっている。

 システミックな金融危機の原因は、銀行間のオーバーナイトの貸し出しにおいて「貸した金が返ってこないのでは」という不信が増幅するカウンターパーティー(取引相手先)リスクの存在にあった。

「金融システムに大量の不良債権が隠れている(=サブプライムローンを誰がどれだけ持っているかの情報不足と、どのサブプライムローンがどれだけの不良債権を含んでいるかは誰も知り得なかったという情報不足が生んだ相互不信)」という疑念の広がりだ。

 リーマン時には、米国の住宅関連の不良債権が証券化されて世界中にばらまかれ、どの銀行に不良債権が潜んでいるか分からない状態だった。

この疑念がシステミックな危機を引き起こした。

 現時点では、世界の金融システムに不良資産は潜んでいないように見える。

それが正しければ、英のEU離脱決定直後に起きた市場の混乱はいずれ落ち着き、世界的な危機は起きない。

 しかし欧州の銀行については「不良債権処理が進んでいない」という見方が前々からある。
南欧などの国債価格下落の影響や住宅関連の不良債権がどれほど深刻かは分からない。

中国経済に蓄積する不良債権も不気味だ。

これらが顕在化してカウンターパーティーリスクを引き起こせば、世界は金融危機の再来に直面する。

 どちらになるかは、この1週間ほどで明らかになるだろう。

(風都)


●関連日経記事
:2016年6月18日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 海外メディア「持続不能なギリシャ債務」=英FTコメンテーター ウルフ氏=』(6月12日付)

●関連日経記事:2016年6月29日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「幻と化す欧州資本市場統合」=「欧州の金融センター・ロンドン」の衰退が始まる…=』(6月28日付)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加