日経新聞 国際「南米左派政権 退潮鮮明に」=ベネズエラ、大統領罷免の動き=

2016年05月28日 09時46分00秒 | 国際
日経新聞 2016年5月27日(金) P.6 国際1面
『南米左派政権 退潮鮮明に』

『大統領罷免の動き』=ベネズエラ=

 南米に広がっていた左派政権の退潮が鮮明になってきた。

資源価格の下落で低所得者向けの福祉政策に使う原資がなくなったためだ。

ブラジルでルセフ大統領が職務停止に追い込まれたのに続き、産油国ベネズエラでも反米左派のマドゥロ大統領の罷免(ひめん)を求める動きが広がる。

右派の野党連合は国民投票に向け、手続きを進めている。

『資源価格下落、国民に不満』
 「ブラジルで『クーデター』が起きた。 米州全体にとって脅威だ」。

マドゥロ大統領は、ブラジルでのルセフ氏に停職が決まったことを受けて、こう述べた。
抗議の意味を含めて駐ブラジル大使を自国に呼び戻した。

ブラジルの動きが、自国で自らの立場を脅かしかねないとの懸念があるからだ。

 ベネズエラでは5月上旬、野党連合・民主統一会議(MUD)が大統領の罷免の是非を問う国民投票の発議に必要な署名を集め、選管当局に提出した。

発議には全国有権者の1%以上(約20万人)の署名が必要だが、MUD側は185万人の署名を集めたと主張する。

 選管当局は本人確認作業を続けており、6月上旬にも終える見通しだ。

条件を満たせば次の手続きに進み、そこでも認められると、マドゥロ大統領罷免の是非を問う国民投票が行われる。

 南米では2000年代に資源高の恩恵を受けて左派政権が広がった。

原油や鉄鉱石の価格高騰に伴う歳入増を生かして、低所得者層向けの社会政策を重視することで支持基盤を固めた。

その一方で産業の効率性を高めるような改革は遅れ、経済が急速に悪化し支持層の離反を招いている。

 アルゼンチンでは昨年12月に反米左派のフェルナンデス政権から中道右派のマクリ政権に交代した。

現在は中道左派政権のペルーでは、4月の大統領選で左派候補が敗北。
6月の決選投票では、ケイコ・フジモリ氏ら中道右派の2候補による対決となった。

左派から右派への転換の流れは強まっている。

 ベネズエラは外貨収入の9割超を原油が占め、国内経済は原油安で非常に厳しい状況にある。

原油の価格はここのところ回復基調にあるとはいえ、かっての1バレル100ドルを超える水準には遠く及ばず、国際通貨基金(IMF)は16年の実質経済成長率をマイナス8%、物価上昇率を720%と予測する(=15年は275%だった)。

 国内では物不足が深刻で、生活必需品を購入するのにスーパーに長時間並ぶ必要がある。
計画停電も続く。

英フィナンシャル・タイムズ(FT)電子版によると、ベネズエラは債務を償還するために1~3月に国が保有する金17億ドル分を売却した。

同国は金保有量はこの1年で3分の1に減ったという。

 国民の不満は高まっており、調査会社によると国民の7割がマドゥロ氏の退任を望んでいる。

 ただ選管当局などの幹部は、与党の息のかかった人材が占めているため、国民投票の請求プロセスが順調に進むかは予断を許さない。
 
 野党の主要指導者のエンリケ・カプリレス氏は「国は爆発しかねない状況だ」と懸念する。

与野党の支持者共に路上でのデモを繰り広げており、大規模な衝突に発展することが懸念される。

▲南米では左派政権が弱体化し、政治対立が深まる国が目立つ
【ベネズエラ】=マドゥロ大統領=
 反米左派。 15年12月、議会選で右派の野党が大勝。 大統領罷免(ひめん)の動き

【ボリビア】=モラレス大統領=
 反米左派。 16年2月、大統領4選を可能にする改憲を問う国民投票で反対多数

【ペルー】=ウマラ大統領=
 中道左派。 右派の2候補が6月決選投票に進出。 7月で政権交代

【ブラジル】=テメル大統領代行=
 中道。 5月にルセフ大統領が職務停止。 中道のテメル副大統領が職務を代行

【アルゼンチン】=マクリ大統領= 
 中道右派。 15年12月、反米左派フェルナンデス政権が下野

(サンパウロ=宮本英威記者)


●関連日経記事:2016年2月15日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 海外メディア「新興国危機は米バブルから」=英FTエディター キング氏=』(2月14日付)

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日経新聞 海外メディア「トランプ氏勝利なら オバマ政権の外交戦略は中断へ」=英FT・社説=

2016年05月28日 08時55分32秒 | 海外メディア
日経新聞 2016年5月27日(金) P.6 国際1面
連載『英フィナンシャル・タイムズ特約』=5月26日付、社説=

『トランプ氏勝利なら困難』=米「アジア軸足」政策の行方=

 オバマ大統領の外交・経済の「アジア軸足(ピボット、pivot)」政策は常に理に適ったものだった。

世界の重心は東方に移りつつあり、米国が政策を現実に合わせることは妥当である。
だが後任の大統領が引き継ぐのか、疑問が生じている。

 最も差し迫った関心事はトランプ氏がオバマ氏の後任大統領に就任するか否かだ。
過去70年、米外交政策は民主・共和の超党派で掲げてきた前提のもとで遂行されてきた。

しかし、トランプ氏の「アメリカ・ファースト(米国第一、=他国の利益より自国の利益を最優先)」のスローガンはそうした前提を弱めるだろう。

 オバマ氏が推進した環太平洋経済連携協定(TPP)はアジアを重視するリバランス(再均衡)経済政策の中核である。

だが、(多数を占める野党共和党の反対で=)オバマ大統領が退任するまでに米議会を説得してTPPに関する国内法を整備できるかに関しては大いに疑問がある。

 アジア諸国はこの問題について米国から「戦略的確約」を得たいのだが、(議会の多数を握る民主党と対立する=)オバマ氏は他の問題同様、対応できる状況にはない

 同じことがアジア太平洋の地政学的な安全保障についても言える。

オバマ氏の目的は、台頭する中国が覇権的野心を高めていることに機先(きせん)を制することだった。

中国は領有権で各国が争う南シナ海の岩礁の埋め立てを強行している。
(=埋め立てて、滑走路やミサイル基地、レーダー基地を各地に建設した)

 クリントン氏が勝利すれば、安全保障や他の分野についても政策の継続が保証されるが、トランプ氏が勝てば、最も基本的な外交・安保の前提が崩れよう。

 トランプ氏の「アメリカ・ファースト」主義は米選挙民により、圧倒的な差で退けられなければならない


●関連日経記事:2016年5月22日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「極右とリベラルが接戦」=オーストリア大統領選 22日に決選投票=』(5月21日付)

●関連日経記事:2013年9月17日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「米国は『警察官』にあらず」=イアン・ブレマー氏=』

◆父さんコメント:
 「僅差でクリントン氏勝利」では、民主党大統領が誕生しても議会で多数を占める野党共和党は「国民の意思」という大義名分を持てることで、クリントン政権の政策に反対し、反自由主義貿易・反移民政策をぶつけて政権が不安定化してしまう。

 経済が安定していても、低い成長が続くなかで格差が拡大し、中間層が失業と収入減少におびえる状況は、各地でポピュリズムが蔓延し極右、極左政党が伸張する背景を作っている。

「経済と政治は両輪だ」との言葉の重みを思い知る。
政治の不安定化は、ロシアや中国の覇権を許す機会を与えることにもつながる。

「21世紀は政治的に不安定となり、世界各地で小規模な衝突が多発する」とは、臆病者の妄想だろうか。

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日経新聞 経営『「資源商社」投資競争のツケ』=大手5社 2年で減損2兆円弱=

2016年05月28日 07時43分59秒 | 経営
日経新聞 2016年5月27日(金) P.2 総合1面
連載コラム『真相深層』=大手5社 2年で減損2兆円弱=

『「資源商社」投資競争のツケ』=決めた方針修正できず=

 三菱商事と三井物産が2016年3月期に戦後初の連結最終赤字に転落した。

中国の需要減に端を発した銅や鉄鉱石など資源価格の下落が業績を直撃した。

00年代後半からの資源ブームに乗って各社が重ねた巨額投資のツケが回り、住友商事や丸紅も含め大手5社の減損損失は2年で2兆円近い。

「意図しないままに資源偏重の事業構造になった」(大手商社)のはなぜなのか。

『銅急落が引き金』
 3月23日、三井物産の取締役会、財務担当役員が赤字決算を説明した後、安永竜夫社長は予定になかったスピーチを始めた。

「会社を変えます」。
資源分野から医療や農業、電力に人員をシフトする立て直し策を拳を振りながら説明した。

 計3500億円に上る減損の引き金を引いたのは銅だった。
今年1月に入り相場が急落。

三井物産社内で想定した将来の価格幅の下限を下回った。

3カ月前まで「追加で減損する必要があるものはない」(安永社長)としていたが、12年に取得した銅鉱山が減損ルールに抵触。

巨額減損の道筋が決まった。

 鉄鉱石を中心に資源開発に絶対の強みを持ち、「資源商社」とまでいわれた三井物産の誤算。

伏線は14年前にあった。

国後島のディーゼル発電設備工事の不正入札事件で02年に当時の社長が辞任に追い込まれた。

04年にはディーゼル車の排ガス浄化装置を巡るデータ捏造(ねつぞう)も判明した。

 この頃からの三井物産は「ビジネス・プロセス・エンジニアリング」と呼ばれる社内改革に取り組んだ。

事件への反省から取引先との癒着(ゆちゃく)を防ぐため部門間の人事異動を実施。

経営の目が行き届かなくなりやすいとして、国内を中心に小さな事業を削る方針も浸透し、商売の足がかりとなる人脈と商流が他社へと移った。

結果的にもともと強い資源分野に人材や投資が偏り、収益も頼るようになっていった。

 盟主、三菱商事も同じころ、資源投資にまい進していた。

資源バブルただ中の11年には、英アングロ・アメリカンから銅鉱山の子会社株24.5%を取得。

16年3月期に合計で4260億円の減損計上を余儀なくされた。

 「成果は20年ぐらい出ないと考えた」。
当時社長の小林健会長は言う。

長期的な視点で投資したのは確かだ。
だが、この銅鉱山は三井物産がかねて関与を強めようとしていた。

ライバルの影を意識し、投資競争にのめり込んだ面は否めない。

 「環境の変化で片付けていいのか」。
3月24日の三菱商事の投資家向け電話会議で批判が出た。

「減損は価格下落が要因」とする会社の説明は「なぜこうなったのか」という理由が欠如していると投資家の目には映る。

『強み生かす動き』
 丸紅も16年3月期に油ガス田や鉄鉱石を中心に1625億円の減損を計上した。

「価格が上がる局面では、資源にさらに投資するプレッシャーがかかった」(国分文也社長)。

大組織が一旦向かい始めた方向を修正するのは容易でない。

 資源への投資が悪いわけではない。

見返りは確かに大きく、00年代まで数百億円だった大手商社の利益額は1桁跳ね上がり、別の案件に投資するための原資を次々に捻出した。

資源エネルギーの安定供給を通じた国への貢献という役割も無視できない

 ただ「すでに利益が出ている権益を取得するので高値づかみしてしまう」(野村証券の成田康浩シニアアナリスト)という傾向は拭(ぬぐ)えない。

市況が上下動する投資に際し、審査する社内の委員会や社外取締役が機能したのかという点からも今後は厳しい目にさらされる。

 「出資するパートナー企業の企業価値を高めて成長につなげる」。
4月1日に就任した三菱商事の垣内威彦社長は言う。

小売りなど消費関連企業を中心に人材と資金を重点配分し、配当や取り込み収益の増加を狙う。

市況に左右されない半面、時間がかかる

 資源高の局面で似通った各社の収益構造は今後、差が出始める。

中国最大の国有複合企業に6000億円を投じた伊藤忠商事、電力分野の丸紅、JOCMなどメディアの住友商事ーー。

強みを生かすビジネスモデルの芽はすでにある。
資源の熱狂から冷めた今、商社の真価が問われている。

(藤野逸郎記者、堺正治記者)


●関連日経記事:2015年8月21日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 経済「原油安、今期経常益に明暗」=海・空運、計500億円増益要因=』(2015年8月20日付)

●関連日経記事:2016年3月18日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 経営「逆風下 エクソン底堅く」=原油急落前から投資絞り込み=』(3月15日付)

●関連日経記事:2016年3月29日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 経営「繰り返す熱狂と悲観」=長期の視点で資源投資を=』(3月27日付)


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日経新聞 法務・犯罪「白黒つけようぜ」=激動・三菱自 ⑤=

2016年05月28日 06時14分51秒 | 法務・犯罪
日経新聞 2016年5月27日(金) P.2 総合1面
特集連載『迫真』=激動・三菱自 ⑤=

『白黒つけようぜ』

 4月17日の日曜午後、日産自動車の開発担当副社長、坂本秀行(60)の携帯電話が鳴った。

電話の主は三菱自動車で開発部門を率いる副社長の中尾龍吾(63)。
「とんでもないことをやっていた」

 半年前の2015年秋から両社の間にはあるわだかまりが生じていた。

日産は三菱自から次期軽自動車の開発を引き継ぐことになっていたが、日産の新型エンジンでは燃費目標に届かなかったのだ。

「日産には技術力がないんじゃないの」。
三菱自社員の皮肉さえ、坂本の耳に入るようになっていた。

 日産の技術陣は自らのプライドをかけ、原因究明に着手する。

現行モデルの空力特性やタイヤの摩擦などを子細に検証するうちに、三菱自が国に届け出ていた車両の転がり抵抗の値と実測値の間に乖離(かいり)があることが判明した。

 目標燃費を達成できないのは日産のせいなのか、三菱自のせいなのか。
「白黒つけようぜ」。

16年2月、両社は現行モデルの燃費性能を共同で検証することで合意。
三菱自によるデータ改ざんが発覚し、日産に伝えられたのはその2カ月後だった。

 三菱自による不正では、自動車メーカーが届け出た転がり抵抗値などをそのまま入力し、台上試験で燃費を測る国の制度が悪用された。

提携相手にさえ関知できなかった不正の闇の深さは、日本のもの作りに対する消費者の信頼を揺るがしている。

 「定められた測定方法を用いず、深くおわびする」。
他社供給分を含め27車種で法令と異なる方法で燃費データを測定していたスズキ。

5月18日に記者会見した会長の鈴木修(86)は深々と頭を下げた。

 鈴木らは「燃費をよく見せかけようとする意図はなかった」と繰り返し強調したが、社員らが不正に走った動機については「善意や無知でやったことかもしれない」とうやむやなまま。

三菱自との違いを強調するあまり、かえって順法意識の低さを印象づけた。

 「自動車メーカーに提示されたデータを信頼して各種検査をしてきたが、その信頼は損なわれた」。

国土交通省の石井啓一(58)は抜き打ち検査で不正の有無(うむ)をチェックする再発防止策の検討を始めた。

不信の代償は今後、国内自動車業界にのしかかることになる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 中山修志記者、藤野逸郎記者、白石武志記者、篤田聡志記者、星正道記者、高見浩輔記者、若杉朋子記者、杜師康佑記者が担当しました。


●関連日経記事:2016年5月10日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 法務・犯罪「懲りない三菱自動車」=「社内に答えあり」置き去り=』(5月9日付)

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日経新聞 法務・犯罪「遺産分割協議」=安易な妥協はトラブルの元=

2016年05月27日 08時48分24秒 | 法務・犯罪
日経新聞 2016年5月25日(水) P.18 マネー&インベストメント面
連載『マネー研究所セレクション』

『遺産分割協議』=安易な妥協はトラブルの元=

 兄:「早く遺産分割協議書にハンコ押してくれよ」

 弟:「兄貴はそういうけど、俺はまだ分け方が腑(ふ)に落ちないんだ」
 兄:「だけどぐずぐずしてたら、もう10カ月たっちゃうじゃないか」

 相続では遺産を相続する人たちが全員で話し合い、分け方を決めて「遺産分割協議書」を作る必要があります。

ところがこんな感じで、「もうすぐ申告期限だから早くハンコを押しなさい」といわれて納得しないまま、遺産分割協議書にハンコを押してしまう方がよくいます

 相続税の申告には10カ月という期限がありますが、分割協議に期限はありません。
納得しないまま分割協議書にハンコを押した結果、後々トラブルになるケースも多いのです。

 相続税の申告期限内に分割協議が整っていないと適用されない特例が2つあります。
法定相続分までなら配偶者には相続税がかからない「配偶者の税額軽減」と、自宅を相続した場合に最大80%まで評価額を減額できる「小規模宅地の特例」です。

 ただ、申告期限までに分割協議が整わなくても、申告期限から3年以内に分割をすれば上記の二大特例は適用可能です。

この場合、未分割の期限内申告書に「申告期限後3年以内に分割見込み書」を添付します。

とりあえず納税資金の用意さえあるなら10カ月の期限にこだわらず、落ち着いて分割協議を整えてもよいのです

 以前相談にこられたA氏のケースを紹介しましょう。
彼は分割協議で納得がいかない点があり、粘り強く兄弟と交渉していました。

しかし、長男から「お前以外はみな納得している。 あとで俺が相続した土地をお前の名義にしてやるから、とりあえずハンコを押してくれ」といわれ押印(おういん)しました。

分割に基づいて相続税も納付し、後に兄が相続した土地を約束通りA氏の名義にしました。

 ところが、法務局で手続きをしたところ「兄から弟への贈与」として登記され、後日税務署から呼び出されて贈与税が課せられました。

当人同士は弟名義にする所までが相続手続きだと思っていましたが、税務署からみれば「相続後に兄弟間の贈与が行われただけ」だったのです。

 いろいろな相続の専門家に「遺産分割協議はやり直せますか?」と質問したとします。

弁護士は「全員が合意すればできますよ」と回答し、司法書士は「新しい分割協議書に押印していただければ登記できますよ」とアドバイスするでしょう。

 しかし税理士からすると「やり直しなんてとんでもない!」と叫びたいところです。

なぜならば、税務の世界では「分割協議のやり直しはできるが、贈与税や所得税がかかる」からです。

安易に妥協せず、ちゃんと納得してから遺産分割協議書にハンコを押すのが正解なのです。

(税理士 内藤 克)

▲NIKKEI STYLE→マネー研究所→僕らのリアル相続


●関連日経記事:2016年5月21日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 経営「ある日、社長が・・・」=認知症と企業 (上)=』(5月20日付)

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日経新聞 経営「フィデューシャリーの時代」=金融庁が普及をめざすキーワード=

2016年05月27日 08時05分35秒 | 経営
日経新聞 2016年5月25日(水) P.17 マーケット総合2面
連載コラム『大機小機』

『フィデューシャリーの時代』

 最近、運用会社や大手金融グループが「フィデューシャリー・デューティ宣言」を発するようになった。

フィデューシャリー・デューティは日本語にしにくいが、あえてわかりやすく訳すと「お客様の期待・信認に応える責任・義務」といった意味合いだろう。

 この耳慣れない言葉が金融界で広まってきたのは、金融庁が「金融行政方針」でキーワードとして使ったからだ。

金融行政方針には「投資信託、貯蓄性保険商品などを扱う金融機関は真に顧客のために行動しているかを検証するとともに、この分野における民間の自主的な取り組みを支援することで、フィデューシャリー・デューティの徹底を図る」とある。

 金融庁は「運用会社の幹部には運用に関する知識・経験より販売会社を頂点とするグループの人事を重視した任用が行われていなかったか」「運用会社は投資信託の製造において『お客様のためになる商品』より『系列の親会社が販売しやすく手数料を稼ぎやすい親会社のためになる商品』を作っていなかったか」と問いかけている。

 金融商品の開発・販売・運用・管理に関し、真顧客のために行動しているかを検証し、自主的に改善する仕組みの構築を促している。

金融各社から発信されたフィデューシャリー・デューティー宣言は自主的な取り組みの一例といえる。

 社会に目を転じると、都知事の政治資金使途問題や自動車の燃費データ不正問題、マンションのくい打ちや免震データ偽装、さらには上場企業のインフラともいえる会計情報の不正表示などが起きている。

そもそも政治家や上場会社、自動車会社、住宅・建設会社などは広く社会の信認がなければ成り立たない。

 最近の報道を目の当たりにすると、国民の信認に応えているか疑わしい。
金融界にフィデューシャリーという概念が重要であることは間違いない。

さらに対象を広くとらえ、政治家はもちろん、企業も社会や市民、投資家の信認で成り立っている点を考慮すれば、フィデューシャリー・デューティ徹底の重要性がもっと強調されていい。

 こう考えると21世紀の日本は、金融界を超えて社会全体が「フィデューシャリーの時代」を迎えているとの認識が重要ではないか。

(自律)

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日経新聞 経営「長寿企業と事業精神」=アリー・デ・グース著 『企業生命力』=

2016年05月27日 06時54分43秒 | 経営
日経新聞 2016年5月26日(木) P.19 マーケット総合2面
連載コラム『大機小機』

『長寿企業と事業精神』

 英国の産業革命に端を発した近代資本主義は高度に発達した産業技術により可能となった。

以来、産業資本主義から金融資本主義へと内容は変化しつつも、核となる最大利潤追求の営利欲は制度の変遷とともに巨大化の一途をたどっている。

 結果として、現代社会に不透明・不平等感もあふれ、ますます格差が顕在化し、社会不安をあおり立てている。

このような資本主義社会を支えている重要なメンバーである企業の社会的責任が何を意味しているのか、何をすべきなのか。

 企業は破産すればすべてが終わりである。

長寿企業の歴史を考察すれば、ゴーイングコンサーン(継続企業の前提)として健全な社会の持続的発展に寄与していくことが、企業自身の発展と長寿性を保証するのがわかる。

特に企業運営の根本規範である事業精神などを研究し、その内容と実績を各社比較することにより、暗夜に一灯を得ることが可能であろう。

 熟考され風雪に耐えた事業精神・方針は、広くステークホルダー(利害関係者)に内容が十分理解され浸透せねばならない。

その上で、企業活動の結果である利益が寄与度に応じて公平に分配される経営が持続的に実践されることが長寿企業への途(みち)をひらき、社会への実力相応の貢献をすることになる。

 個々の企業が現代社会の抱える諸問題を認識し、個々の打つ手が微力であろうとも、このプロセスの善なることを自覚し実行することが社会のセンチメント(雰囲気)を鼓舞し、社会的責任の一端を果たすことになる。

 社会的責任を事業精神に取り入れてきた企業と長寿企業との相関関係は高い。

世界の長寿企業を調査したアリー・デ・グースは、著書「企業生命力」で興味ある企業永続の条件を述べている。

「社会環境の変化にスピーディーに対応できること」「組織の方針の遂行に強い結束力で対応すること」「資金調達の保守性・慎重な運営」などだ。

企業経営にあたり、これらの条件を心すべきであろう。

 国内外で大企業がらみの不祥事が企業倫理を傷つけた。

またパナマ文書の内容が明らかになり、社会的リーダーと見なされているグループ、また個人は信頼の失墜を避けて通りことはできないであろう。

猛省を促したい。

(松花)

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日経新聞 国際「中国、ネット金融の闇」=社会保障制度の不備を突き、個人を狙い撃ち=

2016年05月27日 06時24分22秒 | 国際
日経新聞 2016年5月26日(木) P.11 アジアBiz面
連載コラム『アジアVIEW』

『中国、ネット金融の闇』=個人の生活費、狙い撃ち=

 「1年以上大丈夫だったから買い増したところだった」「ウェブサイトは今朝までつながっていたのに」。

4月6日午後、上海で指折りの観光地である外灘に数十人の投資家が集まった。

高利回りをうたい文句にネットで資金を募ってきた運用会社、中晋資産管理が警察の捜査を受けたと聞き、駆けつけたのだ。

 ただ、中晋の幹部はすでに根こそぎ拘束されたあと。
投資家らは口々に不安をぶつけ合うしかなかった。

翌日も、翌々日も彼らは足を運んだが、オフィスビルの玄関から「中晋1824」と書かれた看板はいつしか撤去されていた。

 金のカギ3号。
破綻(はたん)直前まで募集していた商品の勧誘資料がある。

「私募のファンドで、お客様は有限責任のパートナーになります」「弊社グループ40社に投融資します。 上海市のプロジェクトです」。

にわかに信じがたい言葉が並ぶが、投資家は年利8~12%という商品性に飛びついた。

 実態はグループで資金を流用し合う、ネズミ講に近いものだった。

昨年には年利40%を掲げた商品も登場、総額で300億元(約5000億円)もの資金を集めていた。

 中晋だけではない。
株や債券、不動産、ヘッジファンドーー。

ネット上には思いつく限りの投資対象を掲げた運用商品が並ぶ。
上海ディズニーランドへの投資をうたう商品も登場していた。

 元利(がんり)払いが危ぶまれる商品の宣伝に関わったとして、著名経済学者の郎咸平氏がやり玉に上がる一幕もあった。

「ネット金融は全体の3分の1に問題」。
中国当局は傘下の機関紙を通じ、繰り返し警鐘を鳴らす。

 夢のような投資先、高利回り、著名人のお墨付き。
金融知識の乏しさを指摘するのは簡単だが、笑い飛ばすだけでは済まない。

日本で流行語にもなった老後破産の恐れは中国の方がより切実だ。

 積み立ててきた金額によるが、農村部における年金の給付額は月200~300元にすぎない。

いかに生活コストの低い農村でも、この金額では暮らせない。

 株から不動産、理財商品を経てネット金融へ。

猫の目のように変わる流行を追い、個人がこぞって資金を投じるのは、何とか生活を守りたいという切実な思いがある。

 しかし、株バブルは崩れ、不動産も大都市を除けばだぶつき気味だ。
詐欺師は手詰まりの個人を狙い撃ちにする。

社会保障も投資家保護も乏しい中国で、ネット金融の闇が静かに広がっている。

(C)


●関連日経記事:2015年2月11日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 インターネット「ビットコイン取引所停止」=香港、被害額460億円か=』(2015年2月10日付)

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日経新聞 国際「ギリシャ債務軽減でユーロ圏合意」=債務軽減の具体策は18年に先送り=

2016年05月27日 05時50分56秒 | 国際
日経新聞 2016年5月26日(木) P.6 国際1面
『ギリシャ債務軽減でユーロ圏合意』=IMFの支援復帰へ半歩=

『抜本策は18年に先送り』

 2015年夏に起きたギリシャ危機の再発はひとまず回避された。

ユーロ圏の財務相は25日、金融支援中のギリシャへの追加融資で合意。

国際通貨基金(IMF)が求めていた債務負担の軽減にも応じ、ギリシャ支援へのIMFの復帰にも半歩前進した。

ただ、軽減策の詳細などはあいまいで、問題を先送りした面は否めない。

 「大きな躍進を達成した。 ギリシャ支援は新たな局面へ入る」。

25日午前2時すぎ、ユーロ圏財務相会合後に記者会見したデイセルブルム議長(オランダ財務相)は合意の意義を強調した。

会合の開始から約11時間がたっていた。

 会合では2つの重要テーマが協議された。
ひとつはギリシャへの追加融資の是非だ。

ギリシャが約束した改革を実行してきたことを評価し、103億ユーロ(1兆2600億円)の追加融資枠を設定することで合意。

ギリシャはひとまず秋までの資金繰りにメドがつき、昨年夏のような財政危機の再発は回避できる見通しがたった。

 マラソン競技となった原因はもう一つの議題であるギリシャの債務軽減策を巡る論議にあった。

会合前から難航は予想されていた。
直前の23日、IMFがユーロ圏側にギリシャ債務を巡る報告書を公表。

債務返済の猶予や返済期間の延長、支払金利の引き下げなど債務負担の軽減策の実行を欧州連合(EU)に迫っていたからだ。

 会合では「即時」かつ「無条件」の軽減策を実行するよう求めるIMFと、軽減策の必要性に疑問を唱えてきたドイツが対立。

ドイツは17年に控える総選挙を前に、さらにギリシャに譲歩することを避けたいとの思惑がうかがえた。

 最終的には現行の第3次金融支援プログラムが終了する18年時点で、返済期間の延長など抜本的な債務軽減策を判断することで双方が妥協した。

ギリシャの債務権限に応じることで合意にこぎつけたが、重要な決定をドイツの総選挙後に先送りしたのが実情だ。

 IMFはギリシャ支援融資の復帰へ前向きな姿勢を表明。
16年末までに資金手当てを承認するようにIMF理事会に勧告する意向を示した。

会合後の記者会見に同席したIMFのトムセン欧州局長は「大幅な譲歩をした」と説明。

ただ、「(支援復帰は)正式にはIMF理事会が決めることだ」とも繰り返し、支援復帰を確約することを避けた。

 ギリシャ支援ではEUやIMFなど債権団が総額860億ユーロ規模の第3次金融支援プログラムで合意し、昨年8月に260億ユーロの融資枠を設定した。

第2弾の融資枠設定にこぎ着けた今回の財務相会合。
先送りした債務軽減策は18年に再び難しい協議を迫られるのは間違いなさそうだ。


▲25日のユーロ圏会合での合意事項
・「ギリシャに103億ユーロの追加融資枠を設定」

・「ギリシャ債務軽減に応じる方針で合意」
 返済期間延長などの決定はドイツ総選挙後の2018年に先送り

・「IMFがギリシャ支援復帰へ前向きな姿勢を表明」
 実際に復帰するかはIMF理事会が軽減策を精査し判断

(ブリュッセル=森本学記者)


●関連日経記事:2015年9月12日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「ギリシャの債務問題に残る課題」=アジアの歴史に学べ=』(2015年9月11日付)


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日経新聞 海外メディア「国際送金 高まる脅威」=英フィナンシャル・タイムズ特約=

2016年05月27日 05時22分26秒 | 海外メディア
日経新聞 2016年5月26日(木) P.6 国際1面
連載『英フィナンシャル・タイムズ特約』=5月25日付、社説=

『国際送金 高まる脅威』=金融界は侵入対策 共有を=

 銀行強盗はカネがある場所に出かけていく。

デジタル世界の標的の中では、国際間で決済データの転送を担う国際銀行間通信協会(スイフト)ほど魅力的なものはない。

スイフトは世界で9000もの加盟金融機関が所有・利用し、送金取扱額は1日6兆ドルを超える。

 ここ数週間、金融界はこの送金網への侵入行為のニュースに動揺している。

ハッカーたちが加盟行のシステムに侵入、スイフトのパスワードや認証プロトコル(=手順)をこっそり集めていたのだ。

 ハッカーは被害銀行の外国口座から第三国の金融機関へ巨額の資金を送金した。
最も驚いたのはバングラデシュ銀行が巻き込まれた事件だ。

 ハッカーは2月に同行が持つニューヨーク連銀口座から8000万ドル以上を盗み取った。
スイフトは他にも最大で10件の同様の侵入事件に遭っている。

 彼らはスイフトのネットワークに接続できる端末の1つを制御しただけだった。
その後はシステムに侵入するために最も弱いサイバーリンクを見つければよかった。

 システムに対する信頼が弱まれば、金融機関はオンラインでの相互取引を警戒するようになり、ネットワーク自体が縮小してしまう恐れがある。

 スイフトは処理手続きを厳格にする案を提示している。
侵入被害の情報を相互にもっと開示・共有するよう銀行に求めている。

それによって不正送金を阻止し、損害を防げる場合があるだろう。

銀行が技術的な対応を共有すれば、金融機関が次々と詐欺の犠牲になることを避けられるだろう。

スイフトは送金網をもっと自律的に監視、警戒ができるようにしたがっている。
ハッキング防止の処理手続きやシステムに共通の規格基準を設けることが一例だ。

対応できなければ、加盟機関から外されたり、高い送金費用を課されたりといった措置がありうる。

 セキュリティーを前提に機能しているシステムが信頼に応えられなければ、そこに未来はない。

シウフトは自らの事業が直面する試練に目覚めた。
サイバー犯罪は金融界全体で脅威となりつつある。

銀行はこのデジタルの試練から逃れられない。


●関連日経記事:2016年5月23日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 海外メディア「国際金融揺さぶる盲点」=英FT 米国版編集長 ジリアン・テット=』(5月22日付)

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