日経新聞 経済「ヘッジファンド長期低迷」=1~2月運用成績、マイナス5.35%=

2016年03月31日 08時52分00秒 | 経済
日経新聞 2016年3月30日(水) P.6 国際1面
『ヘッジファンド長期低迷』=1~2月運用成績、マイナス5.35%=

『IT関連株に投資偏る』

 株式を中心に投資する株式ヘッジファンドの運用成績の低迷が長引いている。

各国の市場の混乱が響き、ファンドの成績は2016年も運用の目安となる株式相場の値動きを下回る。

閉鎖も相次ぎ、ほかのヘッジファンドを含めた総数は15年の通年で、金融危機発生後の09年以来の純減となった。

IT(情報技術)関連への偏(かたよ)った投資なども運用成績の不振の背景にあるようだ。

 
 世界の株式ヘッジファンドの運用成績は16年1~2月がマイナス5.35%(HFR調べ、運用額加重ベース)。

米株式相場の平均的な推移を示すS&P500種株価指数(配当込、マイナス5・10%)を下回った。

株価下落局面でも損失を一定に抑えられるのがヘッジファンドの強みのはずだが、影を潜めている。


 株式ヘッジファンドが年間で市場平均を上回る運用成績を最後に達成したのはリーマン・ショックが起きた08年。

割高な銘柄への空売りやオプションを駆使して損失を抑えた。
だが、09年からは7年に渡り、市場平均を下回る苦しい展開だ。

16年に入ってからは「金融危機以来の悲惨な状況」(投資を手がける運用者)との声も聞かれる。

 成績がさえない理由はいくつかある。

第1に、金融危機以降の米国株式相場が世界的な金融緩和でほぼ一本長子の上昇を続けたことだ。

ファンドが「割高」と判断し空売りをしかけても緩和マネーで相場が上がり、想定した様な運用結果にはつながらなかった(=カネ余りで実態を離れた株価が形成された)。

 第2の理由は、機関投資家や年金から大量のマネーが流れ込み、運用資産が膨らんだことだ。

多額を運用するには、アップルなど時価総額の大きな銘柄の組み入れが必要だ。

だが、そのような大型株を多く組み入れると株価指数の動きとの相関が強まり、運用の独自性を打ち出しにくくなる。


 第3の理由はIT関連銘柄への集中投資だ。

ファンドは市場を上回る運用成績を上げようと、インターネット通販のアマゾン・ドット・コムや動画配信のネットフリックスなど、高成長が見込めるIT銘柄への投資を膨らませた。

15年の運用成績は好調だったが、年明けからの市場の混乱時には利益確定売りの対象となったため成績悪化につながった。

 「みんなが同じ銘柄で損失を抱え、さらに損切りすることで互いの運用成績を一段と傷つけ合う状況になった」と大手ヘッジファンドの運用者は解説する。

 ノーバス・パートナーズによると、ヘッジファンドの投資が多い銘柄の値動きの推移を表す指数は15年7月から16年2月までの半年間で45%下落した。

 不振で閉鎖も始まった。
株式ヘッジファンドをはじめとする世界のヘッジファンドの数は15年末で8454.

15年に閉鎖したファンドの数は979だった。
閉鎖した数が開設した数(968)を上回ったのは09年以来だ。

(ニューヨーク=山下晃記者)


●関連日経記事:2016年3月26日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 経済「資金細る海外勢 買い手不在」=動けぬ割安株ファンド=』(3月25日付)


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日経新聞 インターネット「FBI、iPhoneロック解除」=日本のサン電子傘下のイスラエル社技術 活用か=

2016年03月31日 07時08分04秒 | インターネット
日経新聞 2016年3月30日(水) P.2 総合1面
『FBI、iPhoneロック解除』=アップルは対策強化=

『イスラエル社技術 活用か』=日本のサン電子傘下=

 米政府は28日、米連邦捜査局(FBI)が米アップルに頼らずテロ事件容疑者のスマートフォン(スマホ)「iPhone」のロック解除に成功したと発表した。

”鉄壁”のはずのセキュリティーを破ったのは機種の変更の際、旧端末から新端末にデータを移す技術を応用したものだった可能性が浮上している。

アップルは今秋に投入するiPhoneなどの新製品でセキュリティーをさらに強化する方針だ。


 セキュリティーを破ったのは、日本の電子機器メーカー、サン電子のイスラエル子会社、セレブライトの技術と米メディアなどは報じている。

携帯電話からのデータ抽出で高い技術力を持ち、米国では高いシェアがあるという。
サン電子が2007年に買収した。

 サン電子の広報担当者は「個別の案件についてはコメントを控える」としているが、ジャスダック市場に上場している同社株は29日、制限値幅の上限(ストップ高水準)となる前日比130円(14%)高の1038円まで上昇。

この日のジャスダック市場の売買代金ランキングで首位だった。

 セレブライトは、セキュリティーのかかったスマホからデータを抽出する機器を「UFED(ユーフェド)」の商品名で提供している。

スマホとケーブルでつなぐことでセキュリティーを解除しデータを抽出する。

 データ抽出の方法は「企業秘密だ」(サン電子)と話すが、情報セキュリティーを手がけるネットエージェントの杉浦隆幸会長は「旧機種データを抽出し、新機種に転送する技術を応用しているのだろう」と分析する。

 iPhoeの旧型基本ソフト(OS)はセキュリティー解除が比較的容易だっという。
最新OSでは解除が難しくなっているというが、何らかの方法で突破した可能性がある。

 イスラエルはシリコンバレーに次ぐ企業の聖地とされるが、徴兵制があるため、軍事技術に精通している起業家が多いのが特徴だ。

兵役で軍とビジネス界を行き来することで、セキュリティー関連の技術が磨かれる

 UFEDは世界100カ国以上で販売されており、サン電子は「悪用されないよう、販売先は法執行機関や軍に限っている」と言う。

 メンツをつぶされた格好のアップル。

著名な暗号技術者を社外からスカウトし、28日には「製品のセキュリティーを強化し続ける」との声明を出した。

 新製品投入が予定される今秋にも、新技術が搭載される見通しだ。

▲アップルとFBIの対立
 カリフォルニア州で昨年12月に起きた銃乱射テロ事件で米連邦捜査局(FBI)が容疑者のiPhoneの情報にたどり着けず、米司法省がロック解除を求めて同州連邦地裁に申し立てた。

地裁は2月、解除を命じたが、アップルは個人情報保護を理由に拒否。
プライバシー保護か、テロ対策か。

米世論を二分する議論になった。
司法省はFBIが自力での解除に成功したことで提訴を取り下げた。

(シリコンバレー=兼松雄一郎記者)


●関連日経記事:2016年3月31日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 インターネット「アップルvs.FBI セキュリティー問題」=FBIは独自でロック解除へ=』(3月30日付)

●関連日経記事:2016年3月30日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 インターネット『「ハッカーに報奨金」拡大』=GM・ペイパル・ユナイテッド航空…=』(3月29日付)

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日経新聞 インターネット「アップルvs.FBI セキュリティー問題」=FBIは独自でロック解除へ=

2016年03月31日 06時43分53秒 | インターネット
日経新聞 2016年3月30日(水) P.1
連載コラム『春秋』

 固唾(かたず)を飲んでみていたドラマが、ふいに幕切れになったみたいなものである。
なーんだと拍子抜けするくらいだが、この尻切れトンボは現実的な線だろう。

テロ容疑者が持っていたスマートフォンのロック解除をめぐる、米連邦捜査局(FBI)と開発元との対立劇だ。

▲テロ撲滅のために、iPhone(アイフォーン)を「開錠」する技術を提供せよと迫るFBI。
そんなことをしたらセキュリティーが弱まって影響甚大だと拒む米アップル。

ともに譲らず法廷闘争に発展していたが、FBIは独自にロックを外したそうだ。
日本企業傘下のイスラエルの会社の技術が使われた、とされる。

▲どちらにも理のある話で、落としどころが見えなくなっていたから双方の顔は立とう。
もっとも当初から、天下のFBIなら独自に開錠に挑めないのかとも言われていた。

しゃにむに開発元に協力を求めたのは、こういう場合の「前例」づくりだったという指摘もある。

ともあれ抵抗の激しさは予想以上だったに違いない。

▲アップルは今後、セキュリティーをさらに強化するという。
となれば当局との新たな攻防の幕が開くかもしれない。

それにしても気になるのは、かくも堅固なiPhoneのロックも外部の技術で結局は外せたことだ。

こうした知恵を持つのは善意の人ばかりではあるまい。
ドラマはやはり、そう簡単には終わらないようだ。


●関連日経記事:2016年3月15日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 インターネット「スマホめぐるFBIとの対立」=アップル40歳の責任=』(3月14日付)

●関連日経記事:2014年7月2日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「イスラエル:ベンチャー 軍官民が育む」=人材・資金でタッグ=』(2014年7月1日付)

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日経新聞 国際「中国の零細金融機関、経営悪化が表面化」=地方での住宅バブル崩壊で=

2016年03月31日 06時01分52秒 | 国際
日経新聞 2016年3月29日(火) P.7 国際面
『経営悪化が表面化』=中国の零細金融機関=

『湖南省など、住宅過剰供給で』=地元政府系、支援・救済へ=

 中国で一部の零細金融機関の経営悪化が表面化している。

南部の湖南省の複数の地域金融機関が債務超過に陥り、地元政府系の投資会社が支援・救済することとなった。

住宅の供給過剰や在庫増加により、地方で不良債権が増えているのが原因だ。

風評が広がれば、預金の取り付け騒ぎなど金融システム不安を引き起こす恐れもあり、中国政府は慎重な対応を迫られてる。


 深圳証券取引所に上場する湖南省政府傘下の投資会社、現代投資が同省内の複数の金融機関に出資し救済する計画を28日までに開示した。

 債務超過に陥ったのは同省の湘潭県農村信用合作聯社と澧県農村信用合作聯社。

日本の農業協同組合に似た金融機関で、銀行と同様に預金受け入れや貸出業務を手がけ、決済機能を擁する。

 現代投資によると、湘潭県農村信用合作聯社は総負債が128億元(約2200億円)と総資産(124億元)を上回っており、約4億元の債務超過となった。

自己資本比率はマイナス13.75%、貸出金に占める不良債権の割合は20%に達するという。

澧県農村信用合作聯社は約2億元の債務超過だった。

 現代投資は湖南省内の高速道路などの公的資産を管理している。
同社には湖南省政府が間接的に27%を出資し、支配的株主となっている。

金融機関の破綻による混乱を警戒する地元政府の意向が働いた可能性がある。

 現代投資は両金融機関を株式会社制の銀行に改組後、外部からの出資も募ったうえで経営を再建する。

また別の農村金融機関5行も再編する(=他5行も経営不振に陥っている!)。
現代投資は「農村金融機関改革は当社にチャンスを与える」としている。

 中国の商業銀行の不良債権比率は2015年末時点で1.67%と低水準にとどまる。

「銀行の不良債権は管理可能」(銀行業監督管理委員会の尚福林主席)というのが当局の公式見解だ。

 ただ中国では広東省深圳市など大都市で住宅価格が高騰する半面、地方都市は在庫が積み上がる二極分化が起きている。

湘潭県は湖南省の小都市で不動産の供給過剰が目立つ。

 地方の零細金融機関は資産規模が小さく、特定の貸出先の破綻によって不良債権比率が上昇しやすい面もある。

非上場の零細金融機関は情報公開が限定的で、経営不振に陥っている金融機関は少なくないとみられる。

 中国では12年末以降、江蘇省で零細金融機関の経営悪化が相次いで表面化し、14年に同省で預金取り付け騒ぎが起こったことがある。

これを受けて監督当局は15年に預金保険制度を導入した。

湘潭県農村信用合作聯社は27日時点で正常に営業を続け、預金取り付けなどの混乱は起きていない。

(上海=土居倫之記者)

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日経新聞 人物紹介「アンディ・グローブという個性」=米インテルの元会長兼CEO=

2016年03月30日 05時43分51秒 | 人物紹介
日経新聞 2016年3月29日(火) P.17 投資情報面
連載コラム『一目均衡』=編集委員 西條都夫=

『アンディ・グローブという個性』

 米インテルの元会長兼最高経営責任者であるアンディ・グローブ氏が亡くなった。

享年79歳。

ガートナーの半導体番付によると、浮沈の激しい半導体市場で、インテルは24年連続で世界首位を守る不動の王者。

1990年前後に世界一に上り詰めた日本の半導体は短期間で覇権を失ったが、インテルは違った。

四半世紀にわたって同社を率いたグローブ氏の軌跡が示すのは、リーダーの個性が組織の隅々まで刻印された企業の並外れた強さである。

    ◆    ◆

 グローブ氏とはどんな男か。
ハンガリーのユダヤ人家庭に生まれ、少年時代はナチスの迫害を逃れて地下生活を送った。

彼の母親は後々まで大型犬を怖がったという。
ナチの将校が連れ歩いていたシェパードを思い出すからだ。

 戦後のハンガリーはソ連の勢力圏下に。
1956年自由化運動がソ連の戦車に踏みつぶされるのを目撃し、亡命を決意。

オーストリア国境をくぐり抜け、最後は米国にたどり着いた。

 こうした体験が不屈の人格を形成した。
相手が誰であっても対決をいとわず、妥協しない。

そんな性格は経営スタイルにも反映し、社内では「建設的対決」を奨励した。
意見の違いが生じた場合は当事者が徹底的に議論し、白黒つける。

異論を唱えると、「空気が読めない」とレッテルを貼られる日本企業とは対極のカルチャーである。

 社内でこれだから、競争相手への攻撃はなおさら激しい。

旧エルピーダメモリの社長だった坂本幸雄氏は米TIの幹部だった90年代半ばにNEC首脳を訪ね、「インテルに対抗してプロセッサー事業を共同でやろう」と持ちかけたが、返ってきたのは「あの会社とは二度とけんかしたくない」という言葉だった。

 NECは80年代にインテルから知的財産権侵害で訴えられ、5年に渡る法廷闘争を繰り広げた。

結局裁判ではNECの主張が通ったが、その間、NECは身動きが取れず、対象の半導体についても「係争中だから」と採用を見合わせる顧客が続出し、事業機会を逃がした。

「敵に回すと怖い会社」という思いがNECの脳裏に刻みこまれた。

 強面(こわもて)ぶりの一方で、サプライチェーン全体を見渡す戦略眼や賢さもあった。

インテルが日本企業に押されてDRAMから撤退したのは有名だが、その後も影響力の行使に努めた。

品不足でDRAMの価格が高騰すると、日本の半導体製造装置メーカーにDRAM向け設備の増産を促した。

韓国サムスン電子の1強体制に待ったをかけようと、エルピーダに資金支援したこともある。

    ◆    ◆

 グローブ氏ほどのカリスマと力を持った経営者が今の日本の電気産業にどれほどいるだろう。

思いつくのは、京都に本拠を置く電子部品会社の何人かの創業経営者くらいであるのは、少し物足りない気がする。


●関連日経記事:
2016年3月24日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 人物紹介「グローブ・元インテルCEO死去」=半導体 世界最大企業築く=』(3月23日付)

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日経新聞 インターネット『「ハッカーに報奨金」拡大』=GM・ペイパル・ユナイテッド航空…=

2016年03月30日 04時35分16秒 | インターネット
日経新聞 2016年3月29日(火) P.6 グローバルBiz面
『「ハッカーに報奨金」拡大』=GM・ペイパル・ユナイテッド航空…=

『システム欠陥発見へ導入』=「敵」の知恵で安全確保=

 米国の自動車メーカーや航空会社などで自社システムの防衛策の一環でハッカーを活用する動きが増えている。

指定したシステムへの侵入を広く呼び掛け、セキュリティーホール(安全上の欠陥)を探したハッカーに報奨金を支給する。

IT(情報技術)業界では一般的な手法が他業界にも広がっている。
システムが高度・複雑化しサイバー犯罪も巧妙となっていることが背景にある。


 米国防総省が今月2日に発表したプロジェクトはサイバーセキュリティー業界に驚きを持って受け止められた。

同省の通称を取ったプロジェクト名は「ペンタゴンをハッキングせよ」。

機密度の高いものは含まない非基幹システムを対象に、不具合やセキュリティーの脆弱性(ぜいじゃくせい)を見つけたハッカーに報奨金を出す仕組みを4月から試験導入するという内容だ。

『上限1万ドルを支給』
 システムに無断侵入する犯罪者と見なしてきたハッカーに対し、米政府が報奨金を出すのは初めて。

応募者の身元確認は徹底するなど慎重に取り組みを進めているが、ITへの理解が深いオバマ政権ならではの試みといえる。

 セキュリティー対策でのハッカー起用は自動車業界を筆頭に製造業で急速に進んでいる。

米電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズは1万ドル(約113万円)を上限に報奨金を支給する。

2015年に開始し、すでに100件以上に支給した。

「個人情報は流出させない」「サービスやデータの管理に支障をきたさない」「公表前に十分な改善時間を与える」など制限を設けつつ、対価を払ってハッカーの力を取り込んでいる。

 昨夏、ハッカーが集う米ラスベガスのイベントに登場したテスラのジェービー・ストローベルCTO(最高技術責任者)は「ハッカーの共同体と協力的にやっていく。 それなしに安全性の確保は不可能だ」と語った。

米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)も今年からテスラに類似の報奨金制度を導入した。

北朝鮮やシリアなど特定の国からの参加は禁じるなど参加者選びは慎重に行っている。

 航空業界でも昨年、米ユナイテッド航空が同業会で初めて報奨金ならぬ「報奨マイル」制度を始めた。

遠隔操作の可能性など重要な欠陥を見つけた場合、最大100万マイルを付与する。

『開発体制の一部に』
 金融業界では米決済大手ペイパルも導入している。

同社のジョン・ラン上級ディレクターは「外部のハッカーはすでに開発体制の一部」と語る。
国防総省までハッカー起用に乗り出したことは、セキュリティー問題がそれだけ深刻化していることの表れでもある。

 米連邦捜査局(FBI)と米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は17日、通信機能がついた自動車にセキュリティーの脆弱性があると警告を発した。

規制当局も「セキュリティー品質」に注意を向け始めている。

 すべてのモノがインターネットにつながる「IoT」に自動車業界が対応するなかで、リスクに直面した格好だ。

大手各社はこれまで、通信機能が付いた娯楽向けの情報システムと駆動システムは切り離されており、ハッキングによる車の遠隔操作は事実上不可能と主張してきた。

 だが米FCAUS(旧クライスラー)は昨年、著名ハッカー、クリス・バラセック氏らに遠隔操作が可能と指摘され、140万台のリコールを余儀なくされた。

同氏は「どの会社も外部から遠隔攻撃されないと信じるべきではない」と警鐘を鳴らす。

 セキュリティーが強固な企業に対しては、セキュリティーが脆弱な取引先企業を経由して侵入するサイバー攻撃が増えている。

脆弱性を探すためホワイト(善玉)ハッカーを雇おうとしても人数に限りがあり、想定外の弱点が残る恐れもある。

不特定多数のハッカーを使う方が効率的な面もあり、報奨金制度はさらに広まりそうだ。

▲近年の主なサイバー攻撃では取引先経由で侵入を許す場合が多い
・2013年12月:
 米小売り大手ターゲットが空調会社のシステム経由で侵入され、カード情報など1億人以上の個人情報が流出

・2014年9月:
 米小売り大手ホーム・デポが取引先の認証情報を使って侵入され、5600万人のカード情報が流出

・同年10月:
 米金融大手JPモルガン・チェースがイベント情報サイトの運営委託先のサーバーを使って侵入され、8000万件以上の個人情報が流出

・2015年7月:
 ハッカーが音響機器メーカーの部品上のソフトから侵入し、米自動車大手FCAUS(旧クライスラー)の車両の遠隔操作に成功。 140万台をリコール

(シリコンバレー=兼松雄一郎記者)


『敵対から協力へ』
「著作権侵害で追及」→「ルール守れば訴えず」


 外部からシステムにハッキングして弱点を公表する行為は大手企業から著作権侵害などで訴えられることも多かった。

弱点に関連する知的財産の一部を公開する結果を伴う場合が多いためだ。
訴訟を恐れ、発見した欠陥を公表しないハッカーも少なくなかった。

 自動車や航空大手など人命が関わる企業は、安全性が売りで、ブランド維持の面からもソフトの欠陥情報を自ら公表・共有するのには消極的だった。

それだけに業界大手が「一定のルールを守ればハッカーを訴えない」と明示したのはセキュリティー対策の歴史の中でも画期的な出来事といえる。

 著作権問題に詳しい米国のコリーン・マクシェリー弁護士は「メーカーがハッカーの法的責任を追及することに力を入れても、実際に存在するシステムの脆弱性の問題を先送りするだけだ。 協力以外に道はない」と指摘する。

 セキュリティー対策でのハッカー起用はIT(情報技術)企業が先行して導入した。

IT業界ではソフトウエアの発売後に製品を改善し続ける文化があり、欠陥(バグ)を修正するためにハッカーを活用することにも抵抗感がない。

ソフトは基本的にどこかにバグがあり、それ自体で法的責任を問われないことも背景にある。

ハッカーに報奨金を支払う制度を導入する会社は1995年のネットスケープ以来、マイクロソフトやグーグルなど増え続けてきた。


●関連日経記事:2015年7月25日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 インターネット「米著名ハッカーが自動車ハッキング」=制御システム侵入 遠隔操作=』(2015年7月24日付)


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日経新聞 保険・年金・税金『過払い固定資産税 企業が「奪還」』=5年で上場REIT 15社=

2016年03月30日 03時52分06秒 | 保険・年金・税金
日経新聞 2016年3月29日(火) P.5 経済面
『過払い税金 企業が「奪還」』=固定資産税: 5年で上場REIT15社=

『自治体のミス相次ぐ』

 地方自治体の計算ミスで固定資産税を払い過ぎたことを突き止め、返還を求める企業が増えてきた。

不動産投資信託(REIT)では、上場53社が2015年までの5年間に過払い税金を取り戻したことが日本経済新聞の調査で分かった。

固定資産税は計算ミスの多発がかねて指摘され、企業の不信感は強い。
総務省は数年内に評価方法を見直す方向で検討に入った。

『評価方法見直しへ』
 固定資産税は建物や土地の持ち主が評価額の1.4%を毎年、建物のある市町村に払う。

評価額は建築資材の種類や数量を自治体の職員が細かく調べて算出するためミスが起きやすい。

総務省の調査では09~11年度の3年間で全国で25万件以上の固定資産税の取り過ぎが発覚した。

 返還を求める動きはREITで先行する。

賃料収入を投資家に配るため1社でたくさんのビルや倉庫を所有し、固定資産税の支払いが多いからだ。

返還を受ければ、その分投資家への分配を増やせる。

 1社当たりの返還額は数百万~数千万円が多いが、13年6月期に約2億円の返還を受けた日本ビルファンド投資法人のように高額の返還を受けるケースもある。

 約70のオフィスビルを持つジャパンリアルエステイト投資法人は15年3月期に東京都などから約2千万円の返還を受けた。

鉄骨やコンクリートの数量が実際より多いとみなされ、税金を取られ過ぎていた。
同社の指摘を受けて都などがビルの評価額を下げ、過払い分を返した。

同社は01年に設立したが、数年前から税額が正しいか図面などをもとに総点検している。

 賃貸マンションを所有する大和ハウス・レジデンシャル投資法人はエレベーターなどの設備に二重に固定資産税がかけられているのに気づき、約100万円の返還を受けた。

日本ロジスティクスファンド投資法人は千葉県八千代市の施設を取り壊した後も固定資産税を取られ続けていた。

12年7月期に同市から約400万円の返還を受けた。

 返還を求める動きは一般企業にも広がりつつある。

エーザイは13年に岡山県真庭市が物流子会社の倉庫の構造を誤って認識して過剰な税金をかけていたのを見つけ、余分に払った固定資産税7千万円余を取り戻した。

パナソニックや京阪電気鉄道なども固定資産税の払い過ぎが発覚し、返還を受けた。

 建物や土地の評価額は総務省が定める「固定資産評価基準」に基づいて決める。

現行基準では、建物は建築資材の原価を積み上げる方式のため膨大な作業を要し、ミスが起こりやすい。

 最近は税理士法人や専門の調査会社が固定資産税の間違いを見つける企業向けのサービスに乗り出している。

 総務省は計算ミスが起きやすい原価積み上げ方式の評価方法を数年内に見直す方向で検討に入った。

米国やカナダなどのように建物の実際の取引額をもとに評価額をはじく手法が軸になる。
徴収ミスを減らし、納税者からの信頼回復につなげたい考えだ。

▲固定資産評価基準
固定資産税をかける建物や土地の評価額の計算方法を総務省が定めたルール。

土地は取引価格に基づいて評価するのに対し、建物は建築資材の原価を積み上げて評価額を決めるため計算が複雑だ。

屋根は金属製か樹脂製か、外壁はタイルか板張りか、瓦のグレードは上・中・並みのどれか、といった具合に資材を細かく分け、数量も数え上げて評価額をはじく。

大規模なビルでは評価に1年以上かかる場合もある。

▲還付金を受けるREITが増えた。
【日本ビルファンド】
 複数のオフィスビルで徴収ミス。 約2億円の返還を受ける

【ジャパンリアルエステイト】
 ビルの鉄骨やコンクリートの使用量を過大評価

【グローバル・ワン】
 東京・平河町の大型オフィスビルで過払い

【森トラスト総合リート】
 横浜のビルの構造を横浜市が誤認識

【日本ロジスティクス】
 撤去した建物に千葉県八千代市が課税を継続

【大和ハウス・レジデンシャル】
 マンションのエレベーターなどで二重課税

【MCUBS MidCity】
 大阪市のオフィスビルで資材の種類の誤認識

【日本プロロジス】
 所有する倉庫の評価誤りで過払い

(注)2011年以降の固定資産税返還例


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日経新聞 開発「仮想通貨の旗手、ビットフライヤー社長 加納 裕三さん」

2016年03月30日 03時11分00秒 | 開発
日経新聞 2016年3月29日(火) P.2 総合1面
連載『旬の人 時の人』

『仮想通貨の旗手、ビットフライヤ―社長 加納 裕三さん(40)』

 インターネット上で流通する仮想通貨の取引所を起業、業界団体の代表も務めて普及の旗を振る。

「2年前のマウントゴックス破綻で傷ついた仮想通貨の信頼回復を目指してきた」。
仮想通貨は世界で1000万人超が利用し、日本でも広がる機運がある。

政府も3月上旬に仮想通貨が「貨幣の機能」を持つと位置づける法案をまとめた。

 愛知県で育ち、小学生の時からパソコンに魅せられた。
プログラミングの雑誌を手に簡単なゲームを作って遊んだ。

東大院に進むと流体力学を選考して、100万行単位の数値計算をこなした。

卒業後「金融はIT(情報技術)で変わる」と米ゴールドマン・サックス証券でエンジニアとして働き始めた。

 転機は2013年。
当時の米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が仮想通貨を容認する発言だった。

仲間内では09年に登場したビットコインについて「技術はすごいが一般の人が理解するのは難しい」と話していた。

バーナンキ発言を機に価値が上昇し、14年1月に仮想通貨の取引所を立ち上げた。

 その翌月、マウントゴックスが破綻。

「運が悪い」と嘆きつつも「経営者の横領。仮想通貨は問題ない」と霞が関や永田町で技術の強みを説き続けた。

フィンテックブームで風向きは変わった。
「金融の世界を革新的な技術で速く安く変えたい」と野心を内に秘める。

▲かのう・ゆうぞう
 1976年生まれ。

2001年東大院修了後、米ゴールドマン・サックス証券入社。
14年に仮想通貨を取引するビットフライヤーを起業。

仮想通貨の業界団体「日本価値記録事業者協会」の代表も務める。

(馬場燃記者)


●関連日経記事:2016年3月17日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「成長と安全、どう両立」=フィンテック 揺れる秩序 (上)=』(3月16日付)

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日経新聞 書籍紹介『木下是雄著「理科系の作文技術」=息長く、発行部数100部突破=

2016年03月30日 02時48分04秒 | 書籍紹介
日経新聞 2016年3月29日(火) P.46 社会面
『理科系の作文技術』=息長く100万部=

『35年で80回増刷』

 中央公論新社は28日、物理学者、木下是雄さんの「理科系の作文技術」(中公新書)が、発行部数100万部を突破したと明らかにした。

1981年9月の初版刊行から、今年3月までの35年間で80回増刷されるロングセラーとなった。

 木下さんは学習院大学長などを歴任し、2014年に死去。

同書は、理系の研究者や学生向けに論文やリポートの書き方を指南する内容で、各地の大学生協などで売れているという。

同社の担当者は「分かりやすい文章が書けるため、文系の学生やビジネスマンにも人気で、ずっと売れ続けてきた」と話す。

中公新書で100万部を突破したのは、野口悠紀雄さんの「『超』整理法」以来2冊目。


●関連日経記事:2012年12月10日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しいい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 書籍紹介「”教養”支えた新書の歩み」中公新書、岩波新書』(2012年12月9日付)

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日経新聞 インターネット「サイト上のプライバシー 消して!」=削除どこまで 運営者悩む=

2016年03月29日 10時43分40秒 | インターネット
日経新聞 2016年3月28日(月) P.15 法務面
『削除どこまで 運営者悩む』

『サイト上のプライバシー 消して!』=表現の自由と綱引き=

 自分の名前をインターネットで検索したら、隠したい過去について書かれたサイトの情報が提示されたーー。

誰でも検索結果を消してほしいと思うだろう。
だが、検索事業者に簡単に削除してもらえるとは限らない。

安易に応じれば憲法上の「表現の自由」を侵(おか)しかねないためだ。


ヤフーは昨年3月、削除対応の基準を公表。
検索結果について、プライバシー侵害かどうかを判断する要素などを例示した。

以前も自社の判断で削除してきたが、今回は有識者会議を開き基準を明文化した。
「社会的関心の高まりに対応した」とネットセーフティ企画部の吉川徳明マネージャー。

だが公表後も運用は手探りが続いている。

 最も対応が難しい削除依頼は犯罪歴に関するもの。
同社の基準は「過去の違法行為の情報は公益性が高い」と分類し慎重に構える。


だが依頼者側の削除への要望は強い。

 吉川氏は「迷う案件は社内で合議する」と話す。
考慮要素は「犯罪の内容、時間の経過、立場」など。

だが「とらえ方は人により異なり、合意を形成しづらい」(吉川氏)。
判断が難しい場合は削除しないという。


 プライバシー権は秘密をみだりに公開されず自己の情報を制御できる権利だ。
判例の蓄積で認められている。

憲法の幸福追求権などが根拠とされる。
何を隠したいかは人それぞれで一律の判断にそぐわない面も大きい。

 検索事業者が自主的に削除しない場合、依頼者は地方裁判所に削除を求める仮処分を申し立てることが多い。

グーグルやヤフーは日本各地の裁判所で対応をしている。

 2014年10月、東京地裁がグーグルに対し削除を命じる決定を出したことを皮切りに、犯罪から一定期間経過したことなどを理由に裁判所が削除を求める案件が相次ぐようになった。

だが犯罪歴を消すことについては検索事業者も慎重で、争いは長引くこともある。

 係争では「検索結果画面の情報の、どの部分まで削除すべきか」が新たな争点となっている。

検索結果は当該サイトに接続する「リンク(タイトル)」や「スニペット」と呼ぶ数行のサイト内容の抜粋で構成される。

 ヤフーは「スニペットが権利侵害しているなら、そこだけを削除すればいい」と主張する。

リンクまで消すと侵害情報だけでなく、ページ内の適法な情報にもたどり着けなくなってしまうことを懸念するためだ。

表現の自由や知る権利を守るためには、対症療法にならざるを得ないという。

 一方、依頼者の代理人を務める神田知宏弁護士は「スニペットだけが消えた状態はむしろ目を引く。 

リンクをクリックすればすぐページが読めるようでは、削除の意味がない」と批判する。

 さいたま地裁が今年2月に出した決定は「忘れられる権利」に言及し、犯罪歴の削除を認めた。

欧州ではネット上の個人情報を消す際の根拠とされる権利だ。

ただ、新しい権利のため「内容や必要性も含め議論を醸成すべきだ」と神田弁護士は指摘する。

 検索事業者と依頼者の表現の自由とプライバシー権を巡る綱引きは、まだ一例も最高裁での決着をみていない。

明確な法的規範がないなか、事業者は「難しいものはその都度、裁判所の判断に委ねていく」という対応を続けていくことになりそうだ。

(児玉小百合記者)

▲ヤフーの削除対応の基準
【タイトル】
 プライバシー侵害が明白なら、その部分を消す(スニペットも同様)

【リンク】
 リンク先での侵害が明白で、重大性や緊急性があればリンク自体を消す


●関連日経記事:2014年8月21日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「それは正義か邪悪さか」=革新力 Google (下)=』(2014年8月21日付)

●関連日経記事:2014年6月29日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「グーグルサイトの”消してくれない”リスク」(2012年9月28日付)』

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