日経新聞 経営「企業と投資家の真の対話とは」=真の投資家とは、経営者とは=

2015年10月31日 08時43分22秒 | 経営
日経新聞 2015年10月30日(金) P.19 マーケット総合2面
連載コラム『大機小機』

『企業と投資家の真の対話とは』

 スチュワードシップ(受託者責任)とコーポレートガバナンス(企業統治)の基礎として、企業と投資家の対話がうたわれている。

この対話に関しては理解不足や勘違いが多い。

 企業からは日本のアナリストへの失望の声が聞かれる。
アナリストと話しても対話にならず、つまらないとの評価である。

お互いに話して良かったと思えなければ対話ではない。
企業にとって、日本の多くのアナリストの発言から得られるものは何もないという。

海外のアナリストと雲泥の差らしい。

 もう一つの失望は、多くの投資家がアナリスト活動と議決権行使を別物だと位置づけていることだ。

 株主総会が6月末に集中することが批判されるが、投資家側にもアナリストはいる。
彼らは日ごろの活動から総会の議案の多くに簡単に賛否を表明できる。

取締役や監査役候補者の適否も、企業から選考基準プロセスの説明を常に受けていれば判断は難しくない。

外部の評価を参考にして候補者の資質を確認すれば十二分だろう。

逆に一から十までアナリスト以外の意見に頼るのでは、それで本当に投資のプロか、何を分析しているのかと疑われる。
 
 企業に対する批判も多い。
その代表例が株主還元策や自己資本利益率(ROE)目標に対するものである。

あまりにもステレオタイプであり、数値目標だけに近いものが多すぎる。

 成長戦略に自信があれば無配でもかまわない。
グーグルは無配であり、ようやく前四半期決算の発表時に自社株買いを表明した。

ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイは依然として無配であり、利益のすべてを成長投資に使っている。

 ROEを上げるだけの目的で株主資本を減らすのは安易すぎる。
最終利益を増やすため、給与をカットするのに似ている。

企業の本質は付加価値の生産である。

従業員のやる気を高めるために十分な給与を払いつつ営業利益を確保し、その結果としてROEを高めるのが本筋である。

それを短絡的にかつ単純に考え、ROEの数値だけを目標に据えるのは誤りである。

 対話とは、何でもいいからしゃべり、意見表明することではない。
相手を理解し、本質を話すことである。

ときには相手を諭(さと)すことも必要となる。

(癸亥)


●関連日経記事:2015年1月2日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 経営「来年の視点『値上げ力』」=持続的なROE上昇には増収増益が基本=』(2014年12月30日付)

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日経新聞 経営「新日鉄住金、一転減益に」=JFE、6割減の500億円に=

2015年10月31日 07時19分31秒 | 経営
日経新聞 2015年10月30日(金) P.15 投資情報1面
『新日鉄住金、今期最終 一転減益に』=アジアの鋼材市況悪化で=

『JFE、6割減の500億円に』

 中国の景気減速が日本の大手鉄鋼会社の業績を直撃している。

新日鉄住金とJFEホールディングスは29日、2016年3月期の連結業績予想をともに下方修正した。

想定よりも鋼材市況が悪化し、新日鉄住金の純利益は従来予想を800億円下回る前期比16%減の1800億円、JFEは64%減の500億円になる見通しだ。

 「世界の鉄鋼業にとって厳しい時代が続く」。
同日、都内で記者会見した新日鉄住金の太田克彦副社長は沈痛な表情を浮かべた。

粗鋼生産が世界最大の中国では過剰生産が続く中で景気減速によって内需が減少。
安い中国の鋼材が東南アジアなどに多く出回る。

アジアを中心に鋼材市況が悪化する中で、日本からの輸出採算も低下している。

 新日鉄住金の今期経常利益は前期比45%減の2500億円になる見込み。

7月予想から1200億円下げ、このうち650億円が販売価格の下落や製品構成の悪化による影響だ。

原油安で世界の油田開発などが滞るなかで、エネルギー産業向けの鋼管も需要が減る。

 JFEの経常利益も57%減の1000億円と予想比で半減する。
「一般的な鋼材の輸出価格が前期比で3割ほど落ちそうだ」(JFE)。

鉄鉱石価格の下落による在庫評価損も響くが、想定以上の鋼材市況の悪化が業績の足を引っ張る。

 本業の苦戦は配当政策にも影響を及ぼしそうだ。
新日鉄住金はSUMCO株の売却益を計上、7月時点は最終増益の計画だった。

当時は株主還元を強化するために実質増配(前期は5.5円、今期の期末配当は未定)に意欲をみせていた。

 ただ今回一転して最終減益予想を公表。

「現時点で配当水準を言うことはできない」(新日鉄住金の太田副社長)とトーンダウンした。

 下期は「自動車や建設向けの鋼材需要が回復しそう」(JFEの岡田伸一副社長)と事業環境の好転に期待を寄せる声もある。

ただ安値の中国材が多く出回るなかで、米国や東南アジアでは当局による反ダンピング調査も相次ぐ。

保護主義の台頭で「一段と輸出を増やしにくくなる」(日本の大手鉄鋼幹部)との懸念も強まっており、当面は厳しい経営のかじ取りを迫られそうだ。


●関連日経記事:2015年10月18日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「アジアにあふれ出す中国鋼材」=Asia Biz MAP 「鉄鋼編」=』(10月17日付)

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日経新聞 海外メディア「アジア投資銀、成功のカギは」=米国防大学 ベスターニ学部長=

2015年10月31日 06時50分42秒 | 海外メディア
日経新聞 2015年10月30日(金) P.9 アジアBiz面
連載『NIKKEI ASIAN REVIEW』=寄稿: ロバート・ベスターニ氏=

『アジア投資銀、成功のカギは』=21世紀のニーズに対応を=

 第2次世界大戦後に設立された多国間開発銀行(MDB)は開発促進と貧困削減という高潔な任務を成し遂げつつあるとは言い難い。

財務上の問題の一方で、融資を受ける国はMDBの動きが遅く官僚的で、専門知識に欠けると不満を漏らす。

 こうした中、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に踏み切った。
中国が従来の枠組みでこのような機関を設立することは喜ぶべきだ。

だが成功するには、21世紀のニーズに合うようにアプローチしなくてはならない。

 第1に開発銀行業務は資金だけの問題ではない。
これは他のMDBが学べなかった教訓だ。

世界には資金があふれ、大半の発展途上国は金融市場に直接アクセスできる。

最大の問題は必要なモノやサービスを提供する有能な経営者や技術者を育成できず、海外からも呼び込めないことだ。

 課題の1つは良好な統治だ。
AIIBは政治的な組織に間違いないが、問題はその影響力をどう使うかだ。

契約を確実に守らせるために使い、適切な規制や透明性、法の支配を唱えるなら成功が見込める。

つまらない資金をばらまくだけなら、確実に失敗するだろう。

 第2に途上国が必要とする専門知識を重視すべきだ。
エコノミストを減らし、エンジニアや都市プランナーを増やさなくてはならない。

第3にインフラプロジェクトの早い段階で国に助言する役割を担うべきだ。

第4に途上国のプロジェクトの優先順位を決め、協力的な投資家やプロジェクトマネジャーを見つけられるよう支援すべきだ。

 AIIBの初代総裁に就く金立群氏はアジア開発銀行(ADB)で担当部門の成功に尽力したが、AIIBが成功するかどうかはまだ分からない。

だが途上国や市場が真に必要なものを提供すれば、成功するだけでなく他が見習う機関として貢献するだろう。

▲Robert Bestani
 米国防大学の国家安全保障・経済政策学部長。

元ADB民間融資部門のトップ

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英文は「Nikkei Asian Review」のサイト(http://asia.nikkei.com/)に掲載しています。


●関連日経記事:2015年8月27日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 人物紹介「アジア投資銀初代総裁 金 立群氏」=古典に学んだ国際人=』(8月26日付)

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日経新聞 国際「シェル、最終赤字8970億円」=北米での減損82億ドルが影響=

2015年10月31日 06時41分57秒 | 国際
日経新聞 2015年10月30日(金) P.7 国際2面
連載『ダジェスト』

『シェル、最終赤字8970億円』

 欧州石油最大手の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが29日発表した2015年7~9月期決算は、最終損益が74億1600万ドル(約8970億円)の赤字だった。

前年同期は44億6300万ドルの黒字。
北米で撤退・中止を決めた事業の減損などで総額82億ドルを一時的な費用に計上した。

昨年から続く原油安局面でシェルが最終赤字になったのは初めて。

(ロンドン=加藤貴行記者)


●関連日経記事:
20158月15日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「資源大手、多角化見切り」=ブーム去り M&A資産減損処理=』(8月13日付)

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日経新聞 国際『忘れられたシリア内戦の痛み』=シリア国内、弱者置き去り=

2015年10月31日 05時44分29秒 | 国際
日経新聞 2015年10月30日(金) P.7 国際2面
特集連載『難民クライシス』=遠い理想 (中)=

『忘れられた内戦の痛み』=シリア国内、弱者置き去り=

 「ありがとう、アンゲラ・メルケル!」

 ドイツ南部のミュンヘン駅。

中東から最終目的地に到着した難民たちが口にするのは、危険な旅を終えた安堵と、受け入れを真っ先に表明したメルケル独首相への感謝の言葉だ。

首相の対応には内外で称賛の声が向けられるが、一方で置き去りにされた問題もある。

 ドイツから遠く離れた中東のヨルダン。
隣国シリアから逃れた多数の難民がキャンプ暮らしを続ける。

 アハディールさん(41)は昨年夏に陸路でここへやってきた。

可能であれば欧州へ行きたかったが、欧州行きの船は「密航業者に2千ドル以上の金銭を要求され、とても払えなかった」と振り返った。

 キャンプの状況は過酷だ。

ヨルダン政府はパレスチナ難民には国民に準じる市民権を与えているが、国内での摩擦を恐れてシリア難民には与えていない。

難民らはいずれキャンプを追い出されるとの不安を抱えながらの毎日だ。

 「死の恐怖にさらされる生活からは解放されたけど、将来の展望はない」とアハディールさんは語る。

ドイツなどで難民認定された人々が住居や手当を受け取り、さらには職業訓練を受け仕事まで紹介されているのとは対照的だ。

 シリア難民60万人に加えてパレスチナ難民が200万人以上いるヨルダンの受け入れ能力は限界に達している。

「食料や日用品、教育など、すべての面で十分に援助できているとはいえない」と政府高官は訴える。

国連の支援関係者は、キャンプでの生活環境が悪化し、シリアに帰国してしまう難民すら出始めていると明かす。

 英国のキャメロン首相は「中東の難民キャンプから直接人々を受け入れる」との方針を打ち出している。

欧州への旅に踏み切ることができる”恵まれた難民”ではなく、支援を切実に求めている人々を直接助ける狙いだ。

 違法な密航業者の活動を阻止し、難民が危険な渡航を避けられるようにする効果もある。
しかし、英国が受け入れを表明した人数は、現実のニーズと少なくともひと桁の差がある。

 そして、さらに深刻な「忘れられた存在」は、シリアに取り残された人々だ。

アサド政権による弾圧と過激派組織「イスラム国」(IS)による”圧政”さらには激しい内戦で、多くの都市は荒土と化した。

 米国とロシアは問題の根源であるシリア内戦への対応で連携どころか対立を深める。

空爆や巡航ミサイルの発射でシリアへの介入を強めるロシアのプーチン政権の関心は、中東における影響力の確保にある。

 戦略の迷走を批判されるオバマ米政権は問題解決の道筋を示せない。
国際社会が望み得る現実的なシナリオは危機のシリアへの「封じ込め」だ。

しかし、見捨てられた人々の怒りは、ISなど過激派が勢力を広げる格好の燃料となりかねない。

 欧州では難民受け入れでメルケル首相が示したリーダーシップに続く動きが見られない。

欧州の難民危機は世界が「人ごと」として放置してきた中東危機の成れの果てだが、いままた同じ過ちが繰り返される恐れもある。


●関連日経記事:2015年10月18日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「難民対策トルコ頼み」=EU首脳会議=』(10月17日付)

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日経新聞 国際「ドイツに元建て取引所、来月から運営開始」=中独首脳会談で合意=

2015年10月31日 04時30分11秒 | 国際
日経新聞 2015年10月30日(金) P.6 国際1面
『ドイツに元建て取引所』=中独首脳が合意=

『来月から運営開始』

 中国の李克強首相は29日、北京を訪問中のメルケル独首相と会談し、ドイツに人民元建て金融商品を扱う国際取引所を開設することで正式合意した。

海外では初の試みで、欧州の投資家は元建ての上場投資信託(ETF)や債券の売買が容易になる。

人民元の国際化を進める中国と、元の取引センターの座を狙うドイツ双方の思惑が合致した。
欧州各国による中国マネーの奪い合いが激しさを増してきた。


 北京の人民大会堂で開いた両首脳の会談は、予定の30分を大幅に上回る70分に及んだ。
メルケル氏は「中国経済の発展を信じている」と強調。

李氏も「中国はドイツにとって巨大な市場になる一方、中国はドイツの産業から多くのことを学べる」と応じた。

 経済協力の主要議題になったのが「人民元の国際化」だ。
元取引の拡大に向け、新市場を開設することで合意。

上海証券取引所と中国金融先物取引所、ドイツ証券取引所が2億元(約38億円)を共同出資し、独フランクフルトに元建て金融商品を扱う「中国欧州国際取引所(CEINEX)」を立ち上げる。

11月18日に運営を始める。

 中国市場の株価指数などに連動するETFのほか、中国企業や海外企業が発行する元建て債券などを取り扱う。

200社程度の金融機関や機関投資家が参加する見通しだ。

ドイツ証取は「魅力的な中国の金融商品を効果的な方法で売買できる中国国外初の元建て取引所になる」と強調する。

 元の国際化には追い風となりそうだ。
中国企業の活発な海外進出に伴い、元建て取引の需要は急拡大している。

中国は新市場開設を国際通貨基金(IMF)の準備通貨、特別引き出し権(SDR)への元の採用に向けた布石としたい考えだ。

 ドイツも金融機関の手数料拡大が見込める。

ドイツ証取は人民銀傘下の外為取引センターとも、互いの銀行間市場に乗り入れる合弁事業などを始めることで合意した。

 米国が「中国は金融改革が必要だ」とし、元の国際化に注文を付けるなかではドイツ側の異例のすり寄りにも映る。

背景にあったのは焦りだ。

 「中英は相互依存を深めており、今では利益共同体だ」。

19~23日には習近平国家主席が英国を訪問し、ロンドン市場での元建て国債の発行など金融協力を深めることで合意した。


 9月下旬の訪米時にサイバー攻撃や海洋進出を巡って対立した米国とは一線を画し、「王室外交」を持ち出して歩み寄る英国に報いた。

 フランスやルクセンブルクも「元の取引センター」に名乗りを上げるなか、ドイツは新たな手を打つ必要があった。

今回の元建て取引所の新設も、通算8回目という「中国詣で」を繰り返すメルケル首相への「手土産」としての側面が強い。

 中欧国際取引所には中国側が60%を出資し、運営は中国が主導する。
独側の見返りも大きかった。

中国側は巨費を投じてエアバス製の航空機130機を購入するほか、製造業の高度化では独シーメンスなどの最新システムを大量導入する。

(北京=阿部哲也記者)


●関連日経記事:2015年10月29日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「英中合意に沸く仏原子力」=キャメロン政権、もろ刃の剣の中国接近=』(10月27日付)

●関連日経記事:
2015年10月30日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 政治「中国の遠交近攻戦略に対峙する」=TPP合意で日本にも外交カードが…=』(10月29日付)

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日経新聞 政治「ベトナム基地で海自艦船補給」=南シナ海で中国けん制=

2015年10月31日 03時56分50秒 | 政治
日経新聞 2015年10月30日(金) P.4 政治面
『ベトナム基地で海自補給』=南シナ海 中国けん制=

『防衛相会談で合意へ』

 防衛相は南シナ海に面したベトナム南部のカムラン湾に海上自衛隊の艦船を来年度、初めて寄港させる方針だ。

同湾は中国が人工島を造成している南沙(スプラトリー)諸島に近く、燃料の補給を可能にすることで中国軍の南シナ海の活動をけん制する。

11月6日に首都ハノイで中谷元・防衛相がタイン国防相と会談し、合意する見通しだ。


 ベトナムは南沙諸島などの領有権を巡って中国と対立しており、カムラン湾にある海軍基地に潜水艦の配備を急いでいる。

中谷氏は同基地を視察する予定で、海洋安全保障を巡るベトナムとの連携を鮮明にする。

 海自の艦船はベトナムのダナンなどに寄港したことはあるが、カムラン湾は初めて。
食料や燃料の補給を受けられるため、自衛隊の南シナ海の活動範囲が広がる可能性がある。

南シナ海は日本から2千キロ以上離れており、これまでは艦船や航空機が補給なしに活動することは難しかった。

 海自艦船のカムラン湾への寄港は、南シナ海で軍事拠点の整備を急ぐ中国のけん制が狙いだ。

艦船が停留し、自衛隊の存在感を示すことは「南シナ海での中国軍への抑止力につながる」(日本政府関係者)と期待する。

 中国は南シナ海のほぼ全域を9本の破線で囲った「九段線」の範囲内に主権が及ぶと主張し、ベトナムやフィリピンと対立している。

米国は27日、中国が「領海」と主張する南沙諸島の人工島12カイリ(約22キロ)以内の海域で哨戒活動を開始した。

 日本は米軍と足並みをそろえ、近く南シナ海で共同の洋上訓練を実施する。

インド洋での演習に参加していた海自の護衛艦「ふゆづき」や米空母「セオドア・ルーズベルト」が通信連絡や艦船の乗り換えなどをする。

11月からソマリア沖・アデン湾での海賊対処に当たる海自の護衛艦「すずなみ」「まきなみ」も近く南シナ海を通過し、周辺を警戒監視する。

 ただ、中国への過度の刺激を避けるためにも、カムラン湾を活用した南シナ海での本格的な警戒監視はしない方針だ。

カムラン湾を利用するのも、遠洋航海やソマリア沖・アデン湾での海賊対処に当たる艦船に限るとみられる。

 中国による南シナ海の軍事拠点化をどこまで防げるかは不透明だ。

米軍が人工島周辺で哨戒を続けても、「今のところ陸地での滑走路やレーダー拠点の建設は止める手だてがない」(防衛省幹部)からだ。

 軍事拠点化の進行で、中国軍の警戒監視や作戦遂行の能力向上を危惧する声も多い。

▲カムラン湾
 南シナ海に面し、ベトナム海軍が基地を置く。

防衛省によると中国が人工島を造成する南沙(スプラトリー)諸島までと、ベトナムなどが中国と領有権を争う西沙(パラセル)諸島までのいずれも約550キロしか離れていない。

 ベトナム戦争中は南ベトナム軍を支援した米海軍が利用し、終結後は1979年から2002年まで旧ソ連(ロシア)軍が駐留した。

近年、ベトナム軍はロシアから購入した潜水艦を配備するなど基地機能を拡充している。


●関連日経記事:2015年10月30日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「米、岩礁に主権認めず」=南シナ海問題: 中国の人工島造り中止を要求=』(10月29日付)

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日経新聞 開発「インフル1日で治療」=塩野義が新薬、18年にも実用化=

2015年10月31日 03時33分16秒 | 開発
日経新聞 2015年10月30日(金) P.1
『インフル1日で治療』=塩野義が新薬、18年にも=

 塩野義製薬はインフルエンザを1日で治療できる世界初の新薬を2018年にも国内で実用化する。

従来の薬はインフルエンザウイルスの増殖そのものを止める効果がないが、新薬はウイルスの増殖を抑えて死滅させる仕組み。

厚生労働省は画期的な新薬候補として優先的に審査する方針だ。

 塩野義の新薬は喉や鼻から人体に入ったウイルスが増殖するときに使う酵素の働きを邪魔する。

ウイルスは増殖できず、そのまま死滅する。
飲み薬として従来品と全く違う仕組みで効く。

 インフルエンザ治療薬は現在、スイス大手のロシュが販売する「タミフル」などがある。

ただタミフルはウイルスの増殖そのものを止める効果はなく、服用を5日間程度続ける必要があり、患者の負担が重かった。

 塩野義は健康な人に投与し、安全性を確認する初期段階の臨床試験(治験)を国内で実施した。

インフルエンザ患者が増える11月以降、数百人規模の患者を対象にした第2段階の治験を始め、効き目を確認する。

 厚労省は画期的な新薬の早期の実用化を促す「先駆け審査指定制度」で、同社の新薬をこのほど指定した。

厚労省から製造販売承認が得られれば18年にも発売する。


●関連日経記事:
2014年2月15日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 開発「『創薬』について」=最も重要な臨床試験(治験)=2010年7月14日付=』

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日経新聞 開発「福島県大玉村とマチュピチュ村が姉妹都市に」=ふるさとの先人の縁に感謝=

2015年10月31日 03時10分40秒 | 開発
日経新聞 2015年10月30日(金) P.1
連載コラム『春秋』

 爽快な話である。

「空中都市」としての人気の高い世界遺産を抱えた、南米のペルー・マチュピチュ村のことだ。

世界中から舞い込む「友好都市になってください」との熱烈なラブコールを袖(そで)にした末、初めて選んだ相手は何気ない日本の農村、福島県大玉村だった。

▲マチュピチュ遺跡で開かれた式典では、民俗衣装をまとったマチュピチュの村長と、紋付羽織姿の大玉村村長が並ぶミスマッチな光景が何とも清々(すがすが)しい。

移民としてペルーに渡り、初代村長を務めるなど観光開発に尽力した野内与吉さんが大玉村出身だったことから、マチュピチュ側が提携の話を申し込んでいたという。

▲大玉村のキャッチフレーズは、「大いなる田舎」。
安達太良山(あだたらやま)の裾野に広がる村に、約8500人が住む。

平成の大合併の波には乗らず、「住民に日本一近い」村づくりを進める。

原発事故による風評被害にも悩まされたが、地球の反対側の国が百年近い昔の恩を忘れずに運んできた良縁で、お祝いムードに包まれている。

▲マチュピチュ村の映像を見ると、純朴そうな人たちに交じって、ナマケモノが映り込んでいる。

あまりありがたくない名を付けられたこのユニークな動物は、大量消費や効率第一の生活を見直そうというスローライフの象徴としても取り上げられる。

地に足をつけ、信じる道を悠然とゆく。
大玉村と同じ発想かもしれない。


●関連日経記事:2014年11月2日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 開発「地域から何を学ぶか」=「隠岐の海士町」「上勝町のいろどり」「大山の地ビール」・・・=』(2014年10月24日付)

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日経新聞 健康「大村智氏が生んだ熱帯病薬」=沖縄の風土病にも効果=

2015年10月30日 09時26分30秒 | 健康
日経新聞 2015年10月25日(日) P.15 日曜に考える面
連載『メディカルNOW』

『大村智氏が生んだ熱帯病薬』=沖縄の風土病にも効果=

 2015年のノーベル生理学・医学賞を北里大学の大村智・特別栄誉教授が受賞することになった。

アフリカなど熱帯地域の感染症の治療薬開発に貢献し、多くの人の失明を防いだことなどが評価された。

延べ10億人が飲んでるともいわれる薬は、日本でも沖縄諸島の風土病治療に威力を発揮しており、マラリアなどの病気にも効く可能性がある。


 大村特別栄誉教授が開発に貢献した「イベルメクチン」は、蚊が媒介する線虫によって起きるリンパ系フェラリア症や、ブヨによって運ばれる微生物が原因のオンコセルカ症(河川盲目症)の治療薬として普及した。

こうした感染症がはびこる地域には「顧みられない熱帯病」と呼ばれ、貧困層に広がって経済的困窮をもたらせている病がまだ多くある。

 また、蚊が媒介するマラリアも大きな問題だ。

大村特別栄誉教授はイベルメクチンについて「マラリアや結核、他の難病に効くとの論文もある。 まだまだ研究の余地が残っている」と説明する。

 沖縄には「糞(ふん)線虫症」という感染症がある。
琉球大学の調査によると、60代以上の沖縄県民の7%が感染しているとみられる。

約2万5千人の感染者がいるという。
腹痛や下痢といった症状が出るが、糖尿病などの病気を持っている人は重症化しやすい。

この薬としてイベルメクチンが使われており「治療効果が高い」と琉球大の平田哲生講師は評価する。

 このほか、小さなダニが寄生して起きる疥癬(かいせん)の治療にも使われている。
イベルメクチンの利点について専門家は「副作用がほとんどない」と口をそろえる。

薬は鋭い効き目と引き換えに強い副作用を伴うケースも多いからだ。
また、ペットの犬のフェラリア症を防ぐ薬などとしても広く使われている。

日本ではこちらの方が知られているかもしれない。

 感染症の克服は人類にとって大きな課題だ。

生理学・医学賞はこれまで結核研究のコッホら、感染症に立ち向かった多くの研究者が受賞している。

今回も医学の原点に立った受賞テーマだといえそうだ。


●関連日経記事:
2015年10月9日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 人物紹介「ノーベル生理学・医学賞に大村智氏」=熱帯病克服に貢献=』(10月6日付)

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