日経新聞 国際「中国マネーが変える世界」=ニカラグア運河に見る政商の暗躍、漂う前時代的危うさ=

2014年12月29日 05時11分39秒 | 国際
日経新聞 2014年12月28日(日) P.10 日曜に考える面
連載コラム『中外時評』=論説副委員長 飯野克彦=

『中国マネーが変える世界』=漂う前時代的危うさ=

 中米の国ニカラグアを東西に横断し太平洋とカリブ海・大西洋をつなぐ運河の建設工事が22日、始まった。

500億ドル(約6兆円)を投じて、5年後の開通を目指すという。

 南北アメリカ大陸の間の地峡に運河を通し大型船が横切れるようにしよう、という構想はずいぶん昔からあったらしい。

米国の国力が飛躍的に高まった19世紀には、具体的な候補地としてニカラグアとパナマが浮上し競い合った。

 二者択一の結果、パナマ運河ができたのが1914年。

その後もニカラグアに運河を掘ろうという機運はくすぶり続けてきたが、なかなか実現には結びつかなかった。

 100年を超える夢がようやく具体化し始めたといえようか。
その要因としても逃せないのは、中国マネーだ。

 オルテガ大統領(69)ひきいるニカラグア政府が資金の調達から建設、運営までを任せたのは、香港ニカラグア運河開発投資(HKND)という会社。

1972年生まれの中国の富豪、王靖氏が2012年に設立した。

 巨額の費用をどうまかなうのか、具体的なことは明らかになっていない。
そのため中国マネーが王氏を支えるとみる向きは多い。

王氏自身、ベールに包まれた人物だ。
中国・広東省の有力紙「南方週末」は「神秘商人」と形容したことがある。

 10月31日付の同紙によると、赤字続きだった北京信威通信科技集団という会社をトップに就くや瞬く間に立て直し、成長軌道に乗せたことで、広く知られるようになったという。

巨大なインフラ整備事業を手掛けた実績はない。

 「背景(バック)がしっかりしている」。
南方週末は内外のメディアや研究者の見方として、こう指摘した。

共産党政権とパイプがあるとみられているわけだ。
だからこそ、というべきか。

共産党政権の思惑をめぐる観測がかまびすしい。

 中国にとっての経済的なメリットは明らかだ。

世界で2番目に多くパナマ運河を利用している国なので、別の運河があれば経済活動の一層の拡大や運河使用料の節約につながる効果を、長期的に期待できる。

短期的には、過剰生産能力を抱える国内企業に輸出機会を提供できる。

 同時に、経済的な思惑を超えた地政学的な狙いを指摘する声が目立つ。
「米国の裏庭に足場を築く狙い」といった見方だ。

米オバマ政権がキューバとの関係正常化に踏み出した背景に、こうした中国に対する警戒感を読み取る向きもある。

わけてもきな臭いのは、ロシアが運河の保護のため軍事的な支援を申し出たとの報道だ。

王靖氏がクリミアでもインフラ整備事業に乗り出していることを踏まえると、中ロ連携の構図が浮かび上がるようでもある。

 ただ一方で、ニカラグア運河への疑問の声も根強い。

最大100年に及ぶ独占的権利をHKNDに与えたことに、「国家主権を一部を売り払うような行為だ」といったオルテガ政権への批判が出ている

 7年前にパナマ運河の拡張が決まったときは国民投票にかけられたのと比べ、オルテガ政権は独断的だとの反発もある。

 運河が通る中米最大の淡水湖、ニカラグア湖の生態系をはじめ、環境にもたらす悪影響への心配は内外で高まっている。

10日には首都マナグアで数千人の反対デモが起きた。

大陸プロジェクトにはありがちな事態ともいえるが、中国マネーが絡むと目立つ、という印象は否定できない。

 地元の住民や環境への配慮よりも、透明性を欠いた政権との結び付きを重んじてプロジェクトを推し進め、あげくに反発を招くーー。

 軍事政権下のミャンマーで中国企業が着手したダム建設にも共通する展開だ。

 中国の名目国内総生産(GDP)は昨年、日本の2倍を大きく上回る見通しだ。
10年ほどで米国を抜き、世界最大の経済大国になるとの見方も強まっている。

世界経済の中で中国マネーの重みが増していくのは、間違いない。

 アジアインフラ投資銀行のように、自らが影響力を持つ国際的な金融機関の設立は、そうした流れの一つといえる。

一方で王靖氏とHKNDのような不透明なルートも、存在感を発揮し続けるのかもしれない。

 中国国内の大型プロジェクトでも共産党政権がみせてきた前時代的な手法が、世界に拡散する危険性が漂(ただよ)う。


●関連日経記事:2014年12月26日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際『中米、ニカラグアの運河着工』=「パナマ」に対抗、中国の影=』(12月25日付)

●関連日経記事:2014年8月8日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「ブラジル発、穀物争奪戦」=農地確保、中国勢と火花=』(8月7日付)

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日経新聞 インターネット「北朝鮮、対米非難強める」=ネット障害「米が攻撃」=

2014年12月29日 04時20分06秒 | インターネット
日経新聞 2014年12月28日(日) P.5 国際面
『北朝鮮、対米非難強める』=ネット障害「米が攻撃」=

『対抗措置の可能性示唆』

 米映画会社へのサイバー攻撃を巡る米国と北朝鮮の対立が激しくなってきた。

「北朝鮮による犯行」と断定した米国に北朝鮮は27日、「米国が我々にサイバー攻撃を加えた」と応酬した。

北朝鮮は報復措置を示唆しており、核実験を含む挑発行為に出る懸念がくすぶる。

米朝関係の冷却化は避けられない見通しだが、国際的な孤立は回避したい北朝鮮の思惑もにじむ。



 「映画公開を先頭に立ってけしかけた」「サルのように言動が軽い」ーー。
北朝鮮の国防委員会政策局報道官は27日の談話で、オバマ大統領を名指しでののしった。

同時に自らのサイバー攻撃を改めて否定し、約1週間前から起きている北朝鮮のネット障害を米国によるものだと批判した。

 問題の米映画は金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の暗殺計画を描いている。
北朝鮮にとって「最高尊厳」と呼ぶ指導者に関わる問題だけに座視できない。

談話は「我々の超強硬対応が何か知らないのが米国の悲劇だ」と、何らかの対抗措置を取る可能性を示唆した。

 世界北韓研究センターの安燦一(アン・チャンイル)所長は「北朝鮮は米国と当面、対決局面に入ると決断したようだ」と指摘する。

韓国内では新たなサイバー攻撃や4回目の核実験などへの警戒が広がる。
統一研究院の鄭永泰(チョン・ヨンテ)シニア研究委員は「弾道ミサイルに核弾頭を搭載する能力を誇示する可能性がある」と言う。

 北朝鮮はもともと独裁体制の維持に向け米国との和解を外交の最優先課題にあげる。
中国との関係が悪化しているだけになおさらだ。

今秋には、拘束していた3人の米国人を開放するなど、米朝対話の再開が取り沙汰される時期もあった。

 これに対し、米オバマ政権はウラン濃縮の停止などを盛った2012年2月の米朝合意を同年4月の弾道ミサイル発射でほごにした正恩氏に強い不信感を持つ。

人質解放後も、米側は「核・ミサイル問題などが進展しない対話のための対話はしない」との立場を崩さず、北朝鮮側を失望させた。

 北朝鮮は国連での人権論議にも強く反発している。
正恩氏に累が及びかねないためだ。

北朝鮮にすれば、米映画も人権論議も「米国が最高指導者を標的にした敵視政策をとっている」と映る。

甘い対応はできない状況に追い込まれているともいえる。

 国際的な孤立を避けたい本音も見え隠れする。
27日の談話で北朝鮮は米映画会社へのサイバー攻撃に関する共同調査を改めて提案した。

正恩氏は24日、故金大中・元韓国大統領の夫人に親書を送った。
韓国内には北朝鮮との対話を求める勢力も多い。

南北接触を足がかりに局面打開に動く可能性もある。

(ソウル=内山清行記者)



『米政府沈黙』=共和、報復促す=
 米政府(=民主党・オバマ政権)は北朝鮮が関連ウェブサイトの接続が不安定になっているのは、米国によるサイバー攻撃だと主張したことについて現時点で反応していない。

「作戦の詳細は公表しない」(米国務省のハーフ副報道官)が基本的な立場からだとみられる。

米政府はソニー傘下のソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)へのサイバー攻撃を北朝鮮の仕業と断定、オバマ大統領は報復を明言した。

下院情報特別委員会のロジャース委員長(共和=保守党)は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)への寄稿で「見せしめに北朝鮮を罰する必要がある」と報復を促している。

 米議会には北朝鮮について金融制裁を強化するテロ支援国に再指定する案もある。

オバマ政権が北朝鮮への具体的な報復を説明しなければ、議会から説明を求められる公算が大きい。

 米メディアは北朝鮮の寧辺にある核施設が米側のサイバー攻撃の標的になり得るとも報じている。

(ワシントン=吉野直也記者)



『「北朝鮮犯行」に疑問も』

『ロシアのハッカー説浮上』=米で報道相次ぐ=

 ソニー傘下のソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)へのサイバー攻撃を巡り、北朝鮮による犯行を疑問視する報道が米メディアで相次いでいる。

ロシアのハッカーなどの犯行を指摘する専門家を取り上げ、北朝鮮の犯行と断定した米連邦捜査局(FBI)が誤っていた可能性に触れている。

 米紙ニューヨーク・タイムズは、SPEに送られた脅迫文書を分析した機関の調査結果を報じた。

不完全な英語の文法や言葉の使い回しから、ロシア語で作成した文章を英訳した可能性があるとしている。

 米CBSはSPEの機密情報を保管するサーバーに詳しい立場にあった元社員が今回のハッカー集団に関わっていたとの調査機関の分析を伝えた。

今回のウイルスは北朝鮮だけでなく世界中のハッカーが使っていると指摘し、「狙いは映画の公開中止ではなく、金目当ての脅迫だった」とする専門家の見方も紹介した。

(国際アジア部 鳳山太成記者)

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日経新聞 政治「日本への海外からの信頼を失墜させた民主党・菅政権」(2011年5月31日付)

2014年12月29日 04時06分02秒 | 政治
日経新聞 2011年5月31日(火) P.17 マーケット情報面
連載コラム『大機小機』=日本のブランド価値=

 福島第1原子力発電所の事故以来、世界市場における「日本」ブランドの価値が低下している。 

製品のブランドとしてだけではなく、旅行先、勤務先、留学先、投資先など様々な意味でのブランド価値が下がっているのだ。

 これまで「日本ブランド」に対する信頼は、個別企業の努力だけでなく国内の人の健康や安全を守る政府の活動、政府を監視する報道機関など日本社会全体の不断の活動で維持されてきた。 

しかし原発事故後の政府(=民主党・管政権)の対応は、このブランド価値に大きなダメージを与えてしまった。 

政府は確立されたルールに反した指示や決定を次々と発動し、地方自治体や企業も唯々諾々(いいだくだく)とそれに従ってしまった。

 第1に、原発事故の重大性についてである。 

政府は放出された放射性物質の多さを巡り、1ヵ月もたってから「レベル7」と公表し、公式発表に対する信頼を失墜させた。

 第2に、放射性物質汚染の深刻さと健康へのリスクである。 

政府・自治体は胃の集団検診と比べるなどして「ただちに健康への影響はない」と影響が小さい印象を与える説明をし続けた。 

事故直前まで被曝(ひばく)のリスクを強調していた学者・専門家も、事故後には健康に影響がないとリスクを過小評価した説明をし、外部によるチェックも十分に機能しなかった。

 第3に、原発から20キロ圏の外に、作業施設ならば放射線管理区域に指定されるほど高度に汚染された地域があることは、公表された空間線量などから3月20日ごろまでに明らかになっていた。 

しかし政府・自治体は放射線量がそれ程に上がる地域に住民を住まわせ続け、多くの児童や妊婦が被曝による健康被害のリスクを抱える結果となった。

 第4に、政府は事故後の、食品の放射性物質汚染に関する安全基準を大幅に緩和してしまった。 

現在国内で流通している一部食品の汚染度は、チェルノブイリ事故の後で日本が輸入制限した外国食品の汚染水準を上回っている。

 第5に、枝野幸男官房長官は金融機関に対し、東電への債権放棄を求めた。 
株式会社制度には世界的に統一された倒産リスクを負担する順序がある。 

東電が巨額の補償債務を負った場合に、最初に負担すべきは株主であり、次に劣後債権者、無担保債権者、最後に担保を持つ債権者(=金融機関がこれに該当)となる。 

これを無視した発言は投資先としての日本の信頼を低下させてしまった。

(山河)
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日経新聞 保険・年金・税金「震災不明者、3ヵ月で死亡保険金」(2011年6月2日付)

2014年12月29日 03時54分48秒 | 保険・年金・税金
日経新聞 2011年6月2日(木) 1面
『震災不明者、3ヵ月で死亡保険金』=生保各社、早期特例払い検討=

 大手生命保険各社は東日本大震災で行方不明になった契約者の家族に対し、6月にも死亡保険金を支払う方向で検討に入った。

民法では行方不明者を死亡認定するまでに最短で1年かかるが、3ヵ月で支払えるようにする。 

こうした特例による保険金の早期支払いは初めてとなる。
生活再建資金が必要な被災者が増えているため、保険金の支払いを急ぐべきだと考えた。

『行方不明者の死亡認定』
 民法上の「失踪(しっそう)宣告」は行方不明が一定期間続いた人を死亡と見なす。 

事件・事故で生死が分からなくなった危難失踪は1年経過すれば家庭裁判所に請求できる。
それ以外は行方不明になって7年たてば請求できる。 

失踪届けが市町村に受理されれば法律上死亡と見なされる。
 
 もうひとつが戸籍上の「認定死亡」。 

自然災害などで行方不明になった場合、死亡が確認できないが死亡と認定する。
死亡を認定するのは警察署などの官公庁。 

法律上は死亡扱いとなり、相続も開始される。 

東日本大震災では、死亡認定の手続きを法務省が各市町村に委託しているが、被災した市町村では実務が滞(とどこお)っていて認定が遅れている。
 
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日経新聞 国際「ルーブル安阻止 総動員」=ロシア、市場介入や銀行支援=

2014年12月28日 10時59分50秒 | 国際
日経新聞 2014年12月27日(土) P.6 国際1面
『ルーブル安阻止 総動員』=ロシア、市場介入や銀行支援=

 ロシア政府と中央銀行が通貨ルーブルの防衛策と経済対策を相次ぎ打ち出し、ルーブル危機の収束に躍起になっている。

26日には経営難にある中堅トラスト銀行への資金繰り支援策も発表した。

ただ、原油安や対ロ制裁など経済を取り巻く環境は厳しく、一時持ち直したルーブル相場が今後も安定を維持できるかは予断を許さない。

 ロシアでは経済を支えてきた原油相場の下落でルーブルの為替相場は今月16日に一時、1ドル=80ルーブルに暴落した。

これを受け、中銀と政府は対策の総動員をし始めた。


 中銀は16日未明に政策金利を年10.5%から17%に大幅に引き上げる緊急利上げに踏み切った。

有価証券を担保にした外貨供給も増やし、12月中旬以降だけで50億ドル(約6000億円)以上の市場介入も実施した。

 中銀は26日には、ルーブル急落などの影響で資金繰り難に陥った中堅銀行のトラストの支援に乗り出すことも発表した。

同行に990億ルーブル(約2300億円)の緊急融資を実施し、2020年末までに別の中堅銀行オトクリチエに吸収合併させることを決めた。

さらにオトクリチエに最大280億ルーブルの資金を支援する。

 ロシアの銀行はルーブルの急落で、外貨だけでなくルーブルの流動性の確保も難しくなっている。

中銀は、通貨ルーブルと同時に金融システム全体の安定に向けた対策を迫られる。

 政府も資金調達が難しい大手の企業や銀行に、国家基金からインフラ投資用の資金を供給すると決定。

有力紙ベドモスチによると、国営石油ロスネフチは2015年1~3月、2000億ルーブルを受け取る見通しだ。

 これらの対策に加え、メドベージェフ首相は25日、さらなる「危機対策」を講じる方針を表明しているが、詳細は明らかにしていない。

 政府・中銀の動きを受け、ルーブル相場は26日に一時、51.66ルーブルまで上昇したが、その後は再び不安定な動きが続く。

 背景にはロシア経済の先行きの厳しさがある。

ロシアの主要輸出品である原油の価格をみると、代表的な油種ウラルズは6月に1バレル110ドルを超えていたが、26日には60ドルを下回る水準にある。

ウリュカエフ経済発展相は25日、15年の連邦予算について、原油価格が年平均で60㌦になれば「赤字額が(歳出の1割以上に当たる)約2兆ルーブルになる」と危機感を示した。

14年予算は黒字だった。

 15年の経済成長率もマイナスに陥るとの懸念が急速に強まっている。

 政府と中銀が頼みにする外貨準備高も減り続けている。
中銀は25日、3989億ドルになったと発表した。

年初から2割以上減り、09年8月以来初めて4000億ドルを割り込んだ。

 新興国専門の調査会社ルネサンス・キャピタルのオレグ・コウズミン氏は「16年末時点でも3000億ドルを維持する」と分析し、外貨準備が枯渇するとの見方はなお少ない。

ただ、ロシアは輸出企業などに外貨売却を命じており、企業や金融機関などが外貨の資金繰りに窮する懸念がある。

 市場では、ロシア国債の格付けの行方への関心も高い。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)23日、1月中旬にもロシアの格付けを引き下げる方向で見直すと発表。

投資適格級としては最低水準の現行の「トリプルBマイナス」から投機的等級に転落するリスクがある。

(モスクワ=石川陽平記者)


●関連日経記事:2014年12月19日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「窮地のロシア 岐路に」=原油安と世界 (上)=』(12月18日付)

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日経新聞 開発「CO²と水で車 資源小国の救世主」=日経電子版より=

2014年12月28日 10時42分42秒 | 開発
日経新聞 2014年12月27日(土) P.2 総合1面
連載『電子版 この1本』=12月25日掲載=

『CO²と水で車 資源小国の救世主』

 2020年初頭。

ごみ焼却場の隣接地に設けられた巨大プールを眺めると、その底にはいくつもの半導体パネルが太陽に向かって設置されていた。

まるで太陽光発電の装置のようだ。
だが、発電するわけではない。

ゴミ焼却場が排出する大量の二酸化炭素(CO²)をこのパネルで取り込んで一酸化炭素を生成。

自動車数百台が1日に使う燃料に作り替えたーー。

 この青写真が日の目をみる決め手となる技術が人工光合成だ。
地球温暖化の元凶ともいうべきCO²を分解して燃料の原料を生成する。

 実現のポイントなるのが「エネルギー変換効率」。
今年11月、東芝は国際学会で変換効率を1.5%に高めることに成功したと公表した。

それまではパナソニックの0.3%が世界最高とされていた。

日本企業が技術開発で競い合っており、世界で大きくリードし始めている。
資源小国・日本の救世主となるか。

▲テクノロジー→ニュースプラス→再興JAPAN

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日経新聞 政治「アベノミクス成長戦略を問う」=企業の足かせ 今こそ外せ=

2014年12月28日 09時48分04秒 | 政治
日経新聞 2014年12月27日(土) P.1
特集連載『成長戦略を問う ②』=企業の足かせ 今こそ外せ=
 
 「日本の設備投資が復活する予想を取り下げる」。
12月5日、欧州系のUBS証券が、東京から世界の投資家に伝えた。

 企業業績が回復し、手元資金は空前の規模にある。
国内設備の老朽化は限界に来ており、停滞していた投資は今こそ再開するーー。

 こんな見通しを立てたのは昨年9月。

工作機械のツガミ、送電関連の日立製作所、不動産投資信託(REIT)など広範囲な銘柄を勧めてきた。

 「誤算だった」。
投資戦略を立案した居林通氏は振り返る。

「経営者はまだ、投資しても採算が合うのかどうか自信が持てないでいる」

『負け越しの2年』
 企業マネーは確かに動き出した。

だが、資金の向かう先はもっぱら自社株買いや配当などの株主配分で、将来の成長のための投資は少ない。

 今年4~9月、上場企業の株主配分は昨年同期に比べて22%増えた。
一方で設備投資は2%増にとどまっており、企業買収も含めた投資総額は逆に19%減った。

手元資金は70兆円を上回る。

 積み上がった企業マネーは、委縮する企業心理の鏡でもある。

 「6重苦」。

安倍政権が誕生する以前、外国企業より不利な競争条件(=不利な相対的競争条件)を嘆く経営者の間では、こんな言葉が交わされた。

超円高、高い法人税率、貿易自由化の遅れ、エネルギーの制約(=電力供給の不安定さと価格高騰)、労働規制(=企業による解雇条件の厳しさ)、温暖化ガス規制(=環境対策投資の高さ/コストアップ要因)だ。

 その後どうなったのか。
「2・5勝3敗」。

長谷川閑史・経済同友会代表幹事(武田薬品工業会長)は、2年間の変化を負け越しで総括する。

明らかに解消したのは超円高だけだ。

 安倍政権は法人実効税率を29%台に引き下げるというが、日本企業が生産拠点を展開する中国は25%、韓国は24.2%とはるかに先行している。

貿易自由化の進展を狙った環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は、漂流の気配すらただよう。

 長谷川氏によれば「残りの3つはバツ」だ。

エネルギーについては原発稼働ゼロの状態が長引き、火力発電に使う燃料費は2014年度に3.7兆円の上乗せなると経済産業省は試算する

13年時点で米国の2.5倍だった日本の産業向け電気料金はさらに値上がりしている。

 「世界で最も高い電力コストはさらに高くなり、安定供給にも不安がある」。
榊原定征・経団連会長(東レ会長)は不満を隠さない。

企業が国内投資に二の足を踏むのも無理はない。

 6重苦の議論には「(やるべきことを)やらないための企業の言い訳」(三村明夫・日商会頭=新日鉄住金相談役)と冷めた声もつきまとう。

言い訳をできなくするには障害をなくせばいい。

『雇用増大に焦点』
 少なくとも円安は、企業の目を国内に戻すきっかけになる。

佐賀県鳥栖市(とすし)。

生活用品製造卸のアイリスオーヤマ(仙台市)の発光ダイオード(LED)照明の工場では、1月のフル稼働に備えた最終の準備が進む。

 これまで製品の8割を中国の大連で生産してきた。
だが円安で国内の方がコストが安くなると判断。

「メード・イン・ジャパン」に変えていく。


 こうした国内回帰の例はまだ少ないが、設備投資と雇用機会の増大を通じた潜在成長率の底上げには必要だ。

円高是正だけでなく、アジア各国に遜色のない競争条件を整えない限り、海外生産の流れは止められない。

新しい産業の担い手を育てる取り組みを進めると同時に、残る「(円高以外の=)5重苦」の解消を急ぎ、経営心理を温めないと、日本経済は成長力を回復する絶好の機会を失いかねない。

(編集委員 梶原誠)


●関連日経記事:2013年7月12日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「日本企業、韓国で工場建設」=2011年8月14日付=』

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日経新聞 国際「NATOの脅威に対抗して」=ロシア新軍事ドクトリン=

2014年12月28日 07時23分40秒 | 国際
日経新聞 2014年12月27日(土) P.6 国際面
『ロシア新軍事ドクトリン』

『NATOの脅威前面』=北極圏の国益協調=

 ロシアのプーチン大統領は26日、軍事戦略の指針である「軍事ドクトリン」の改訂版を承認した。

ウクライナ問題で米欧と対立を深める中、「基本的な外部の軍事的脅威」として北大西洋条約機構(NATO)の軍事力強化を真っ先に挙げた。

また、北極圏での国益確保を初めて盛り込んだ。

 ロシアの軍事ドクトリンの改定は2010年2月以来、約4年半ぶり。

プーチン大統領は19日、軍事ドクトリンの改定に関して「防衛的な性格」を持つとしつつも、「我々は自分の安全保障を首尾一貫して厳しくする」と強調していた。

 新軍事ドクトリンでは、NATOについて、活動地域を世界各地に求め、加盟国がロシア国境に広がっているとの懸念を示した。

米国などがミサイル防衛(MD)システムを展開し、優位を確保しようとしていることに対応する方針も記した。

 核兵器に関しては、改定前と同じく先制攻撃に使う可能性には踏み込まなかった。

「核や他の大量破壊兵器で攻撃された」または「ロシアが通常兵器で侵略された(=クリミアはロシア領とプーチンは言明している)」場合に「核兵器を使用する権利」があると主張した。

 初めて言及した北極圏については「ロシアの国益を守る」と明記した。

北極圏には石油や天然ガスが豊富にあり、ロシアは14年から北極圏での基地再開や部隊創設などを本格化している。

(モスクワ=石川陽平記者)


●関連日経記事:2013年9月27日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「ロシア 北極圏関与強化」=環境保全や軍事施設=』(2013年9月26日付)

●関連日経記事:2014年8月15日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「北極が世界を変える」=北極航路が世界経済に与えるメリット=』(8月14日付)

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日経新聞 法務・犯罪「STAP細胞問題」=再発防止策まで踏み込んだ調査報告書が必要=

2014年12月28日 07時03分57秒 | 法務・犯罪
日経新聞 2014年12月27日(土) P.1
連載コラム『春秋』

 冬ざれの川は流れる水が減って、それまで見えなかった景色がむき出しになる。
いまごろの季節のそんな眺めを「水落石出(すいらくせきしゅつ)」と言うそうだ。

転じてこの四字熟語は、ベールがはがれて真相が露(あら)わになることを指すという。
虚飾の水が落ちれば石ころだらけというわけだ。

▲いままさに、眼前に荒涼たる光景が広がるのはSTAP細胞をめぐる物語だろう。

きのう理化学研究所の調査委員会は、小保方晴子さんらが「発見」したものはES細胞の可能性が非常に高いとする報告書を出した。

予想はされていたが、ため息をつくしかない結論である、。
研究そのものが壮大な虚構だったということか。

▲もっとも、真実を覆い隠す水は流れ去ってはいない。
調査委はES細胞混入の経緯を究明できず、これで調査を打ち切るという。

オチが不出来のミステリーを読まされた感じだ。

「STAP細胞はありまーす」と記者会見で訴えた小保方さんや、協力したベテラン研究者に語ってもらわねばならないことが山ほどあるのに。

▲もし故意だとすれば、いずれ露見する所業になぜ手を染めたのか。
そんな疑問も次々にわく。

年も押し詰まっての報告書公表で、この空前の不祥事も幕引きというならやはり甘かろう。

11カ月前の華やかな発表に惑わされた小欄としても、悔恨(かいこん)をかみしめて水落石出になお目を凝らすとする。

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日経新聞 経営「日本生命、販売停止も」=一時払い終身保険など=

2014年12月28日 06時41分35秒 | 経営
日経新聞 2014年12月27日(土) P.1
『日生、販売停止も』=一時払い終身保険など=

『低金利、運用厳しく』=社長=

 生保最大手の日本生命保険は26日、長期金利の低下が止まらない場合、一時払い終身保険を含む貯蓄性商品の新規販売を一時停止する検討に入ると明らかにした。

日生の筒井義信社長が「金利環境は非常に厳しい。 保険商品の引き受け停止も視野に入れておかなければいけない」と語った。

保険料を国債で運用しても十分な利回りを確保するのが難しくなるためだ。

 生保が主に投資対象にしてきた超長期国債の利回りは26日、、20年物が一時1.025%、30年物が1.225%と1年8カ月ぶりの低水準になった。

筒井氏は「金利が上がると想定しづらい状況にある」と指摘。

貯蓄性の保険商品について「一定の基準に抵触lしたら契約者に約束する利回り(予定利率)を下げる。 販売停止という判断もあり得る」と話した。

 日生は4月時点では14年度末の長期金利の中心値を0.9%とみていたが、日銀の追加金融緩和を受け0.5%に修正した。

足元の金利はこの水準も下回る0.3%台だ。

筒井社長は集めた保険料の運用では「もはや、国債には投資できない」とし、為替リスクを回避(ヘッジ)した形で外国債券や社債、インフラなど成長分野への投融資に力を入れる考えを示した。

 保険各社も国債投資を手控え外債などに資金を振り向けている。
明治安田生面保険は2014年度下期に最大5千億円程度を外債に投じる計画だ。


●関連日経記事:2014年9月9日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 経済メモ「金利が1%上がると国債費は1年後に1兆円増」』(9月8日付) 

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