日経新聞 国際「なぜ今、『イスラム国』なのか」=若者の閉塞感とIT革命=

2014年10月31日 10時49分15秒 | 国際
日経新聞 2014年10月27日(月) P.4 オピニオン面
連載コラム『核心』=本社コラムニスト 脇 祐三=

『なぜ今、「イスラム国」なのか』=若者の閉塞感とIT革命=

 シリアとイラクで支配地域を広げた過激派「イスラム国」の脅威が、国際情勢の焦点になっている。

中東では若年層の失業が深刻だ。
欧米では移民社会を巡る摩擦が強まった。

情報通信革命に伴って、宗教と個人の関係も変わりつつある。

こうした変化が若者の行動に及ぼす影響から、今なぜ「イスラム国」なのかを理解する手掛かりが、ある程度は得られるだろう。



 イスラム社会は概して出生率(しゅっしょうりつ)が高い。
1970年に1億2000万人だったアラブ連盟加盟地域の人口は今、3億6000万人。

アジアでもパキスタンの人口は6000万人から2億5000万人に増えた。
インドネシアは1億2000万人から2億5000万人に増えた。

 日本と対照的に若年層が膨張し、上の世代と下の世代が同数になる中央年齢はだいたい20歳代だ。

日本でも学生運動が広がった60~70年の中央年齢は25~29歳だった。
反体制運動の波は社会の若さとも関係する。

    ◆    ◆

 日本の学生運動は、反帝国主義や階級闘争のイデオロギーの衣をまとった。

だが多くの若者が非日常の運動に飛び込むきっかけは、既存の秩序への反発や大人が当然視する人生のレールへの拒否感だったろう。

 イスラム世界では、植民地支配から脱するバネになった民族主義が風化し、社会主義も求心力を失った。

イスラムが唯一、広範な影響力を持つ反体制運動のイデオロギーとして残ったと言ってもいい。

 中東・北アフリカは世界で最も若者の失業率が高い地域だ。
大学に進む比較的めぐまれた若者も、学校を出たら職がない現実に直面する。

不満を抱き、閉塞感にとらわれる若者に、「社会がおかしいのは、政治指導者や社会制度がイスラムの教えに従っていないからだ」とアピールすれば、かなりの訴求力がある。

 イスラム世界では、この30年余りの間に宗教意識の覚醒が進んだ。
例えばエジプトでは、自発的にスカーフをかぶる女性が増えたと実感する。

欧米の移民社会でも、同様な現象が見られる。

イラン生まれの米国の宗教学者、レザー・アスラン氏は「グローバル化の中で民族や国籍の違いの意味が薄れ、宗教が最も強い帰属意識のよりどころになった」と指摘する。

 一方、欧米ではグローバル化への反発と重なり合うようにイスラム教徒を嫌悪する空気が広がり、2001年の米同時テロの後にその傾向は強まった。

08年のリーマン・ショックの後、欧米でも若者の失業が増えた。

差別されているという意識や疎外感も加わり、自分が生まれ育った社会の中に居場所がないと感じるイスラム教徒の若者は多い。

    ◆    ◆

 中東でも欧米でも、ほんとうに生活に困り果てている状態の若者には、外国に渡って戦闘員になるような余裕はない。

裕福な家庭に育った高学歴の若者が多いのも、イスラム過激派の幹部クラスの特徴だ。

「個人の未来は開けていても、彼らが感じるイスラム教徒コミュニティーの屈辱感や痛みが消えるわけではない」「若者たちが過激になるのを理解する最良のツールは、神学ではなく心理学」。

著名な心理学者で米政府のテロリズム分析作業にも加わっている米メリーランド大学のエイリー・クルグランスキ教授は、ロイター通信が最近配信した寄稿の中でこう解説した。

 人間には、問題について明快な解を求め、曖昧さを嫌う欲求がある。
迷いを断ち切りたい欲求から、あれこれ時間をかけて考えるのをやめ、行動を選択する。

行動自体が目的だと感じると、プラスの感情がわく。

心理学の認知や動機づけの理論は、「イスラム国」にひき付けられる若者にも当てはまるかもしれない。

 「イスラム国」の戦闘員勧誘文には、「あなたが死ぬのは一度だけ。 なぜ、それを殉教にしない」という文言もあった。

米外交問題評議会のシニアフェローで中東専門家のエド・フサイン氏は「イスラム過激派は自分たちがノーマルだと考えている。 神の期待に沿った活動をしていると信じるからだ」と指摘する。

 過激派の宣伝やリクルートなどの活動の中心は、インターネットのサイバー空間に移った。
IT(情報技術)革命は、イスラムのあり方も変える。

 かって若者は、最寄りのモスクの聖職者にイスラム法の解釈や行動の是非を尋ねた。

今はサイバー空間に流布(るふ)する多様な言説の中から自分の感覚に合うものを選び、それをフォローするようになった。

 そう強調するアスラン氏は、活版印刷の普及がキリスト教の宗教改革を進めた歴史を踏まえて、①イスラムが急速に個人化し、既存の宗教権威が崩れつつある ②現状を宗教原理の復古とみるのではなく、改革の過渡期と位置づけることもできるーーと説く。

    ◆    ◆

 ただし、サイバー空間では、尖鋭な言葉が好まれがちだ。

携帯電話やスマートフォンのツイッターのやりとりなどでは、字数が限られるから、ますます主張がとんがってくる。

それが日常の中にいた若者にスイッチを入れ、非日常の空間にいざなうきっかけになるかもしれない。
 世界のイスラム教徒のほとんどは穏健な宗教意識を保ち、日常の生活を続けている。

その中で今なぜ過激派が台頭しているのか、イデオロギー以外の側面から考えることも必要だ。


◆ことばのメモ:
 『覚醒(かくせい)』
~①目がさめること ②迷いからさめる(をさます)こと。 自分のまちがいに気づくこと。 「当局者のーを促す」 【ー剤】中枢神経を興奮させ、一時的に眠気や疲労感を抑える薬。 興奮剤。 例ヒロポン。

 『流布(るふ)』~ーする。 その物事が世間に広く行き渡(ってい)ること。 「ー本」古典の本文で、それぞれの時代に広く行われた本。

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日経新聞 安心・安全「日本政府、エボラ阻止へ周辺国支援」=空港検疫や医療体制充実=

2014年10月31日 06時50分32秒 | 安心・安全
日経新聞 2014年10月27日(月) P.2 総合・政治面
『エボラ阻止 周辺国支援』=政府=

『空港検疫や医療体制充実』

 政府は西アフリカで流行しているエボラ出血熱に関して、ケニアやガーナなど周辺国に感染が広がらないよう支援する。

感染者の入国の可能性がある空港や国境の検疫体制強化、医療機関への診断機器の供与を進める。

感染症拡大の要因の一つには現地の基礎医療体制の遅れも指摘されており、全アフリカを対象に病院の業務改善や保健体制の整備にも取り組む。


 エボラ出血熱はギニア、シエラレオネ、リベリアの3カ国を中心に感染が広がる。

周辺国に飛び火すれば各国の経済に大きな打撃が及ぶほか、世界的な感染拡大の恐れも高まる。

日本政府は流行国への緊急支援に加え、周辺国への波及を水際で封じ込めることも重要だと判断した。

 流行地に近いガーナやコートジボワール、ベナンのほか、ケニア、ザンビアなどへの協力も進める。

各国の空港や国境での検疫に使う体温測定器や防護服を順次供与する。

ケニアでは感染症の発生情報を集約する仕組みを医療機関などに導入する支援を進めているが、これを空港にも広げる。

日本が感染症対策で支援を続けてきた医療機関を中心にエボラウイルスの検体検査に必要な機器の供与や技術の指導にも取り組む。

 ナイジェリアではすでに国際協力機構(JICA)の協力で、エボラ出血熱に関する知識をまとめたパンフレットを医療従事者と住民向けにそれぞれ作成した。

今後、アフリカ各国でも同様の取り組みを検討する。

 アフリカでは医療体制が整っておらず、病院への不信感につながっている例も多い。

ケニアをモデルに地方政府の保健・医療政策の立案に協力し、数十億円規模の円借款も検討する。

アフリカ各国を対象に医療機関の業務改善研修も進める。

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日経新聞 安心・安全「エボラ治療薬阻む市場原理のワナ」=日経電子版より=

2014年10月31日 06時24分29秒 | 安心・安全
日経新聞 2014年10月30日(水) P.2 総合1面
連載『電子版この1本』=10月29日掲載=

『エボラ治療薬阻む市場原理のワナ』

 エボラ出血熱の感染拡大に歯止めがかからない。

感染症治療薬開発を支援する日本生まれの官民ファンド、「グローバルヘルス技術振興基金(GHITファンド)」はビル・ゲイツ氏の財団とも連携し、事態の打開に挑む。

 同ファンドの最高経営責任者(CEO)を務め、自らも医師のB・T・スリングスビー氏は、「世界に先駆けて公衆衛生問題を解決してきた日本が、いままたグローバルな感染症対策に積極的に関与する時期に来ているのではないだろうか」と提案する。

 日本は1930~40年代には結核やマラリア、フィラリア、住血吸虫症など感染症大国だった。

 しかし、国をあげて公衆衛生活動に取り組んだ結果、60~70年代には主な感染症の撲滅に成功し、その後の経済発展につなげた実績がある。

国際特許出願係数や新薬開発数で世界トップレベルにある日本の製薬会社への期待も大きい。

▲テクノロジー→ニュースプラス→Tech Frontline

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日経新聞 国際「ルセフ2期目、岐路のブラジル (下)」=貿易・外交に孤立の芽=

2014年10月31日 05時40分06秒 | 国際
日経新聞 2014年10月30日(水) P.7 国際2面
特集連載『ルセフ2期目、岐路のブラジル (下)』

『貿易・外交 孤立の芽』=FTA出遅れ危機感=

 サンパウロ市の西、ピネイロス川沿いにある金融街。

著名ファンドのマネージャーはオフィスの窓から隣接する真新しいビルを指さして嘆いた。

「あそこは7割が空室。 ジルマ(・ルセフ大統領)のせいだ。 政策の不透明さを嫌い企業はお金を使おうとしない」

 再選を決めたルセフ大統領の大きな課題の一つが市場との和解だ。

 ビジネスへの介入、公共料金や運賃の押さえ込み、補助金のばらまきーー。
市場原理を否定するような政策に市場は不満を募らせたままだ。

 外部の経済状況は一刻の猶予も許さない。
追い風だった中国経済の減速などで、主要輸出品の鉄鉱石の価格は低下。

2015年にも予想される米国の利上げは、資金流出を通じてブラジル経済を直撃する恐れがある。

 「世界では大規模な自由貿易協定(FTA)網の構築が進む。 ブラジルの出遅れは輸出企業にとって好ましくない」。

食肉大手BKFのマルコス・ジャンク取締役は、ブラジル経済の孤立に危機感を募らせる。

 ブラジルは関税同盟のメルコスル(南米南部共同市場)の枠組みでFTAの整備を進める計画だが、締結先はイスラエルやエジプトなどごくわずかだ。

強硬な左派のベネズエラやアルゼンチンが加盟している影響もあるが、ルセフ政権もなかなか内向き姿勢を崩さない。

 1995年に始まった欧州連合(EU)とのFTA交渉も「まだ時間がかかる」(ボルジェス開発・工業・貿易相)という。

 米国との関係もぎくしゃくしている。

13年7月、米国家安全保障局(NSA)がブラジルで電話やメールを大量傍受したと報じられ、ルセフ氏は訪米の予定を取りやめた。

ルセフ氏はむしろ新興5カ国「BRICS」の枠組みを重視し中国やロシアに接近している。

 資源価格の上昇によって中南米は2000年代の高成長を実現した。

各国の左派政権はばらまき的な施策で高い支持率を誇り、「ピンクタイド」と呼ばれる左傾化の政治潮流を生んだ。

 だが、商品相場が下落に転じたいま、各国政府には逆風が強まる。

 産油国ベネズエラはモノ不足や財政悪化に直面し、アルゼンチンは事実上のデフォルト(債務不履行)に追い込まれた。

ブラジルも例外ではいられない。
経済成長がなければルセフ氏が重視する貧困対策も進まないだろう。


 「大統領はなすべきことは理解しているが、政治状況が許さない」。
ルセフ氏に助言する有力エコノミストはこう明かす。

連立を組む他政党との利害調整が、改革を阻む一因との見立てだ。
ならば「市場の圧力」を味方に改革を実行できる可能性もゼロではない。

 ネット上である風刺画が話題だ。
一番左には地面に種をまき、水をやる男性。

インフレ退治で経済を安定させたカルドゾ元大統領だ。
続いて育った木の実をかじるルラ前大統領。

一番右に、その木をチェーンソーで切るルセフ大統領がいる。

 ブラジルという木はグローバル経済の中でしっかりと立ち続けることができるのか。
いまのところ市場には不信感ばかりが渦巻いている。

(サンパウロ=宮本英威記者、ニューヨーク=西村博之記者)

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日経新聞 政治「消費増税延期は問題の先送り」=ドイツの政権運営に学べ=

2014年10月31日 05時06分42秒 | 政治
日経新聞 2014年10月30日(木) P.19 マーケット総合2面
連載コラム『大機小機』

『消費増税延期は問題の先送り』

 今年4月の消費税率引き上げ以降、回復基調にあった景気は息切れが顕著になりつつある。

政府も10月の月例経済報告で「このところ弱さがみられる」と、2カ月連続で景気判断を下向きに修正した。

国内消費の悪化に加えて、最近の世界経済の減速や不安定な株式市場の動きも、先行きの懸念材料といえる。

 このため一部の論者の間では景気腰折れを気にして、来年10月に控える消費税率10%への引き上げを延期すべきだという声が勢いを増している。

確かに当面の景気への影響だけを考えると、さらなる増税は大きなマイナス材料であることは間違いない。

だが、国内総生産(GDP)の2倍に及ぶ財政赤字の累積はどう考えても異常で、財政健全化には消費税率10%でも全く不十分という試算が一般的だ。

 いまのところ消費税率引き上げを先送りしても、すぐに日本国債が暴落し金利が急騰するという環境にはない。

しかし、増税を先送りすれば、今でも膨大な将来世代の負担がさらに増え続けるのは確実だ。

少子高齢化が過去に類を見ないスピードで進行する我が国で、将来世代の負担増は、中長期的に事態を悪化させるだけなのは明らかだ。


 日本が「失われた20年」で経験した長期停滞は大恐慌のように生産の急落を伴わないところに落とし穴があった。

症状が軽いと思い問題を先送りし、抜本的な対策を講じないうちに病巣(びょうそう)は広がり、真綿で首を絞められるように経済が疲弊していった。

日本の財政赤字も同様で、国債利回りが歴史的な低水準で推移する中で、まだ大丈夫だと問題を先送りしていくうちに政府の借金がとてつもない額まで累積した。

 アベノミクスのもと、「第1の矢」としての異次元の金融緩和は確かに市場環境を好転させ、総需要を喚起することに成功した。

雇用環境も改善し物価や賃金も少しずつ上がり始めている。

しかし、その効果は期待先行の市場に支えられた面が強く、持続性にはおのずから限界がある。

 今、真に求められるのは目先の景気に配慮した消費増税の延期ではなく成長戦略としての「第3の矢」で日本経済の病巣を打ち抜くことだ。

財政再建と両立させながら大きな痛みを伴う規制緩和や構造改革も例外としない毅然とした姿勢こそが、政権には強く求められる。

(甲虫)


●関連日経記事
:2014年10月31日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照 
 『日経新聞 国際「波立つ世界経済・識者に聞く」=カウダー独連邦議会院内総務=』(10月30日付)

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日経新聞 国際「波立つ世界経済・識者に聞く」=カウダー独連邦議会院内総務=

2014年10月31日 04時15分47秒 | 国際
日経新聞 2014年10月30日(木) P.6 国際1面
特集連載『波立つ世界経済・識者に聞く』=フォルカー・カウダー独連邦議会院内総務=

『財政出動で問題解決せず』=構造改革 投資は人に=

 
 ーー欧州経済が減速しています。 ドイツはどのように対応しますか。

 「経済力が欧州で最大のドイツは域内の成長に大きな責任を負う。
だが英米流と異なり、(財政出動による=)景気対策の効果をあまり信じていない。

政府債務を減らし、競争力を高めるべきだ。
2015年から赤字国債の発行を停止する」

 ーーなぜ財政黒字にこだわるのですか。

 「ドイツは過去の借金で巨額の政府債務を抱えてしまった(=ドイツは第1次世界大戦後に10000%を超えるハイパーインフレを経験)。

だから新しい借金はしない。
次世代に安易にツケを先送りしたくない。

ドイツは欧州の成功モデルにならないといけない」

 「借金を重ねると大きなリスクを抱えることになる。
それはポルトガルやギリシャなどの財政危機で証明されたはずだ。

お金を使った景気対策では問題を解決できない。
費用はいつか(増税などで)捻出しないといけない。

構造改革こそが重要だ」

 ーーフランスをはじめ周辺国はドイツに財政出動を求めています。

 「ドイツが内需を拡大してもフランスの若年失業率は下がるわけではない。
それはフランスの課題だ。

不動産バブルが崩壊したスペインにも同じことがいえる。
債務を増やしても(高失業率などの)問題は残る。

だが(ドイツは)政権公約の通り教育、研究・開発には投資する。
日本と同様にドイツには地下資源がない。

人材を育てたい」

 ーードイツは主要7カ国(G7)の議長国。 ロシアを含めたG8の復活は念頭にありますか。

 「いつ態度を改めるのかロシアのプーチン大統領に尋ねないといけない。
ウクライナが平和を取り戻し、安定することをロシアは容認すべきだ」

 ーー欧州統合の動きが鈍っています。

 「欧州委員会の影響力は強まるかもしれないが『欧州合衆国』も『欧州の統合政府』も想定することはできない。

それでも、政治、経済の両面で明るい未来が描けるはずだ。
(EUが存続する限り=)国境を巡る争いはありえず、通貨ユーロは安定している。

各国が宿題に取り組めば、それだけで欧州は前進する」

 ーードイツでは欧州統合に反対する新興政党「ドイツのための選択肢」が躍進を続けています。

 「反ユーロを掲げ、移民排斥を訴えている。
これはドイツの将来を危うくする。

それ以上のことは今、言いたくない」

▲フォルカー・カウダー氏
 ドイツの保守系与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の重鎮でメルケル首相の側近として知られる。

党内右派の論客でもあり、首相に転じたメルケル氏の後任として2005年から独連邦議会の保守系会派の院内総務。

65歳。

(ベルリン=赤川省吾記者)


◆ことばのメモ:
 『重鎮(じゅうちん)』
~〔「重」も「鎮」も、「おもし」の意〕その社会で不動の地歩を占めている人。


●関連日経記事:2014年3月17日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「ドイツ流構造改革の勧め」=ドイツ・シュレーダー政権の「アジェンダ2010」=』(3月17日付)

●関連日経記事:2013年2月20日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「金は手元にあってこそ安心?」=ドイツ人気質=』(2013年2月19日付)

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日経新聞 法務・犯罪「営業秘密漏えい、被害企業の責任軽く」=「マル秘」表示で保護=

2014年10月31日 04時00分30秒 | 法務・犯罪
日経新聞 2014年10月30日(木) P.5 経済面
『被害企業の責任軽く』=営業秘密漏洩=

『「マル秘」表示で保護』

 経済産業省は企業の企業秘密を守るための指針を改正し、ファイルに「マル秘」と表示するだけでも法的な保護対象として認める。

これまで秘密を盗まれた企業が裁判で訴えても、「そもそも秘密だったのか」と情報の管理責任が厳しく問われた。

今後は被害者側の条件を緩め、加害者を罰することに重点を置く。


 経産省は不正競争防止法に基づく指針の改正案を31日の有識者会議で公表する。

営業秘密が流出したときの裁判ではまず被害者の責任として、秘密を他の情報から区分できていたかが問題となる。

新たな指針では、ファイルなどの表紙に「マル秘」などと目立たせておけば秘密情報とみなす。

従来の判例ではコピー部数や引き出しの施錠など厳重な管理を求めるケースもあった。

 パソコン内のデータなど電子媒体の場合、これまでは頻繁なパスワードの変更、閲覧後のデータ削除など複数の管理が必要との見解があった。

今後の指針では、パスワードの設定など最低限の管理をしておけば、企業が秘密として扱っていると判断する。

 下請け企業の保護も指針に盛り込む。
大企業に下請けが試作品を提供すると、独自の技術を勝手にまねされることがある。

それでも力関係が弱いため、秘密保持契約を結んでおくことができないケースが多い。

無断で利用された技術や製品の差し止めを請求するには事前に「秘密情報である」と文書で明示する必要があったが、今後は口頭で確認しておくだけでも可能とする。

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日経新聞 安心・安全「Xデーに備える」=エボラとの戦い ③=

2014年10月31日 03時20分46秒 | 安心・安全
日経新聞 2014年10月30日(木) P.2 総合1面
特集連載『迫真』=エボラとの戦い ③=

『Xデーに備える』

 「羽田空港に到着した40代男性にエボラ出血熱の感染疑いがある」。

27日午後8時20分、厚生労働省地下1階で厚労相の塩崎恭久(63)が慎重な口調で切り出した。

手短に疑いの事例があったことを発表すると、あわただしく車に乗り込んだ。

 厚労省は当初、感染が確定するまで公表を控える方針だった。

しかし、入国から5時間が経過、一部で報道も始まっており、混乱を招かないために異例の緊急会見に踏み切った。

 男性は手順通り警察車両の先導で国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)に搬送、隔離された。

入国から14時間近くたった28日午前5時ごろに「陰性」が判明した。
塩崎は「水際対策がうまくいった」と強調。

厚労省幹部も「結果的に良い予行演習になった」と振り返るが「搬送には数百人規模の人間が関わり、人目を引く」と、情報公開の難しさを明かす。

 国内初の感染確認という大事に至らなかったが「Xデー」に備え、重い感染症を扱う指定医療機関では訓練に余念がない。

 「手首のあたりが緩くなりやすい。 気をつけないと」。
10月中旬、都立墨東病院(東京都墨田区)で看護師2人が防護服の着脱訓練に取り組んだ。

 接触感染のエボラ出血熱は医療現場での感染リスクが高い。
10月中旬に米国で起きた二次感染も病院が舞台だった。

 墨東病院の訓練では吐しゃ物に見立てた蛍光塗料を防護服に塗る。
脱ぐ際に腕に塗料がつくこともある。

感染管理担当看護長の舩木曜子(48)は「失敗すると不安になる。 その不安をなくすための練習だ」と語る。

 水際対策をくぐり抜け、患者が一般の医療施設に来ることも想定しなければならない。

 9月の早朝、中頭病院(沖縄県沖縄市)に高熱を訴えた60代男性がやってきた。
最初に問診した看護師は特別な防護をせず、血液検査も通常通りだった。

当直医が聞きだし、直前の出張でリベリアに10カ月滞在していたことがわかった。

 結局、マラリアと判明、事なきを得た。
事前にエボラの疑いがわかれば防護するが、患者からのすぐの申告は期待しにくい。

中頭病院で感染症を診る新里敬(51)は「どうしても(ウイルスに)さらされる危険がある」と話す。

「1カ月以内に外国への渡航歴があれば申し出てください」。
外来の目立つ場所に紙を張り、通知するようにした。


●関連日経記事:2014年10月30日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 安心・安全「不安渦巻く大地」=エボラとの戦い ②=』(10月29日付)

●関連日経記事:2014年9月12日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 安心・安全「島国ニッポン 脆弱な防御力」=エボラ、デング熱・・・相次ぐ感染症=』(9月11日付)

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日経新聞 開発「日立、鉱山運営に参画」=ITでコスト1割減=

2014年10月31日 02時40分30秒 | 開発
日経新聞 2014年10月30日(木) P.1
『日立、鉱山運営に参画』=豪リオと連携=

『ITでコスト1割減』=インフラ事業の柱に=

 日立製作所は英豪資源大手リオ・ティントと巨大鉱山の運営で連携する。

リオが持つ鉱山の運営ノウハウと日立のインフラ管理技術を持ち寄り、鉄鉱石の生産コストの約1割削減を目指す。

まずリオがオーストラリア西部に持つ世界最大級の鉱山で始める。

日立はリオと培ったノウハウを世界の資源会社にも展開し社会・産業インフラ事業の柱にする。

鉱山の生産コストが低減すれば資源価格にも波及する可能性がある。



 リオはブラジルのヴァーレ、豪英BHPビリトンと並ぶ世界三大資源メジャーの一つ。

日立の中西宏明会長兼最高経営責任者(CEO)とリオのサム・ウォルシュCEOが戦略パートナーとして鉱山運営で協力することで大筋合意。

具体的な提携案の策定作業に入った。
第1弾として豪西部ピルバラ地区の鉱山をIT(情報技術)で効率運用する。

 ピルバラ地区は世界最大級の鉄鉱石産地。

リオは15の鉱山と1600キロメートルの鉄道網、4カ所の港湾施設、3つの発電所を持つ。

同地区のリオの年間生産量は2億9千万トン。
2013年の日本の鉄鉱石輸入量(1億3500万トン)の倍の規模だ。

 日立はリオの生産計画や設備の管理情報などを基に、鉱山におけるIT活用の指南役を担う。

鉱山の掘削設備や鉄鉱石を運ぶ鉄道などにセンサーを装着し稼働状況を常に把握する。
ビッグデータ解析の手法を使って鉱山の運営全般を改善する。

 例えば鉱山の操業状況に応じてトラックの配置や鉄道のダイヤをきめ細かく見直し、運行本数などを減らす。

発電所の発電量も生産計画に応じて柔軟に調整できるようにする。
効率の良い生産・物流体制を築いて港湾在庫を減らし運営コストなどを引き下げていく。

 日立は現地に派遣する技術者などを含め総勢100人程度をリオ向けに配置するとみられる。

IT設備などの受注額は今後詰めるが、100億円を超える可能性もある。
16年末にはコスト削減の効果を出して、リオの世界各地の鉱山に広げることを検討する。

 資源価格の低迷が長引いているため資源メジャーは効率運営を重視しつつある。
日立は今回の戦略提携をテコに、他の資源大手にも鉱山のIT運営の仕組みを売り込む。

 鉱山業界ではコマツが超大型ダンプトラックの無人運行システムを開発するなどIT化がこれから本格的に進む見通し。

日立は傘下に日立建機を抱え情報通信にも強みがあることから、鉱山の運営システム全体の改善を訴えていく。

 日立は家電事業などを縮小し社会・産業インフラに軸足を移している。
同事業は日立の年間売上高約10兆円の7割を占める。

IT化が遅れていた鉱山分野に先行して進出し、世界のインフラ市場で主導権を握る。


●関連日経記事
:2014年5月12日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 インターネット「通信で機器管理 開拓」=マシン・ツー・マシン=』(5月11日付)

●関連日経記事:2014年1月3日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 開発「車走行ビッグデータを販売」=NTTドコモ:部品交換期を予測、通知=』(2013年12月29日付)

●関連日経記事
:2014年10月18日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 インターネット「ネット駆使してサービス磨く」=GE 不断の変革 (上)=』(10月17日付)


●関連日経記事
:2013年11月5日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 『日経新聞 経営「日立とGEが目指す変革」=ソフトサービスが開く新製造業=』(2013年11月4日付)

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日経新聞 人物紹介「安藤忠雄 ヨーロッパで建築巡り ⑪」(2011年3月11日付)

2014年10月31日 02時19分32秒 | 人物紹介
2011年3月11日(金) 裏表紙
連載『私の履歴書』=建築家 安藤 忠雄=

『⑪ ヨーロッパで建築巡り』=「人が集い語らう場」と実感=

 1962年、堀江謙一が小さなヨットで太平洋を横断した。 

当時、20歳を過ぎて間もなかった私は、3歳ほどしか違わない若者が成し遂げた快挙の報に大いに感動した。 

ル・コルビュジエの作品に出会って以来、海外に出て、実際に西洋の建築を見て回りたい気持ちが日増しに強くなっていった。

 堀江青年の挑戦に刺激を受けたこともあり、一般人の海外旅行が解禁になった64年の翌年夏、私はアルバイトしてためたお金でヨーロッパに行く決意をした。 

当時は$/¥360の(為替レートの)時代。 
(旅行者が許可される=)持ち出しは500ドルまでという規定があった。

今なら、インターネットで世界中の様子を知ることができるが、当時のヨーロッパは「遠い世界」だった。

 生まれ育った大阪の下町で、外国に行った人などいなかった。 
互いに、二度と帰ってこられないかのような気持ちだった。 

大きなリュックに、歯ブラシ10本、洗濯せっけん10個、薬に下着と、山ほど荷物を詰め込んだが、心の中も不安でいっぱいだった。

 横浜まで列車に乗り、横浜港からナホトカに渡った(=貧乏旅行はシベリア鉄道経由が当時一般的だった)。 

ハバロフスク、モスクワ、レニングラード、ヘルシンキを経由して最終目的地のフランスへ。

 船上ではひたすら水平線をながめる。 

ハバロフスクからモスクワまではシベリア鉄道で1週間。 
今度はただただ地平線をながめた。

地球の大きさを実感した。 
同時に、世界はつながっていて、一つなのだという当たり前の事実に改めて気づかされた。

 ヨーロッパにたどり着き、最初に足を踏み入れたのはフィンランドだった。 
極北に近く、気候は厳しかったが、建築を見るには絶好の季節だった。 

太陽が沈まない白夜である。 
体力の続くかぎりひたすら歩き、建築を見て回った。 

スイス、イタリア、スペインの各地を回った。

ル・コルビュジエに会いたい一心でスタートした旅だったが、私がフランスに着く直前に他界していた。 

が、自分の目で、コルビュジエの作品の数々を見た。

 たくさんの西洋建築を見て歩くうち、建築とは、人間が集まって語り合う場をつくる行為にほかならないと気づいた。 

旅に出る前、友人から「ローマのパルテオンとギリシャのパルテノンは必ず見ておけ」と言われた。 

しかし、初めて訪れたパルテオンはよく理解できなかった。 
知識が不足していたのだ。 

その後、数年おきに何度か訪れ、自分なりに理解を深めた。 
パンテオンでは、天窓から差し込む光に圧倒された。

次に訪れたときは、43メートルの球状の空間、均整のとれた形に心を奪われた。 
さらにその次には、空間にあふれる賛美歌の響きに深い感銘を受けた。 

そして何度目かに、「集まり来る人々の心と心をつなぎ、感動を刻み込むのが建築の真の価値」であると強く認識した。

 マルセイユから帰国する肝心の船がなかなか来ない。 
出港まで1ヵ月近くも足止めを食った。 

他にすることもなく、近くにあったコルビュジエ設計の集合住宅ユニテ・ダビタシオンを見て過ごした。

 所持金は使い果たしていたので船が出港した時、ホッとすると同時に心細かった。 
アフリカのケープタウン経由でインド、フィリピンに寄って帰国した。 

インド洋上、乗り合わせた僧の指導で座禅を組んだりして過ごした。
 
見渡す限りの海だけの空間で、満点の星空のなかでひときわ輝いていた南十字星が今も心に焼き付いている。

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