日経新聞 経済「法人減税は企業優遇か」=成長の果実、家計にも=

2013年09月30日 10時17分09秒 | 経済
日経新聞 2013年9月29日(日) P.3 総合・経済面
コラム『けいざい解読』=編集委員 小竹洋之=

『法人減税は企業優遇か』=成長の果実、家計にも=

 安倍晋三首相が2014年4月の消費増税とセットで、法人減税を含む経済対策の実施を表明する。

家計の負担増と企業の負担減という組み合わせは評判が悪いが、ステレオタイプの企業優遇批判で問題の本質を見誤らないようにしたい。

 法人課税の実効税率は38%強。
復興増税を打ち切って35%台まで引き下げても、主要国の中ではまだ高い。

法人関連税収の国民所得に対する比率は4.4%で、日本よりも実効税率が高い米国の3.3%を上回る。


 設備投資や雇用、賃金を生む内外の企業をつなぎとめようと、主要国は実効税率の引き下げを競う。

それは日本の成長戦略の本丸でもある。


 問題は法人課税だけではない。
経済協力開発機構(OECD)がはじく「タックス・ウェッジ」は、社会保険料と所得税の負担が雇用者所得のどの程度を占めるかを示す。

この割合が高いと雇用のコストが膨らむ。

 12年の日本の割合は単身者で31%。
社会保険料の負担増が響き、00年から6ポイント上昇した。

先進国平均36%を下回るとはいえ、低下や横ばいが多い米欧とは対照的だ。
今後は企業のコストを抑える年金・医療の抜本改革も問われるだろう。

 しかし公的な企業負担の軽減には感情的な反発がつきまとう。
企業に重い法人税や社会保険料を課せば、結局のところ家計にしわ寄せがいく。

その点が十分に理解されているとは言い難い。

 米コロンビア大のジョセフ・スティグリッツ教授は自著「公共経済学」にこう記した。
「企業は法人税を負担していないという点で、経済学者の意見は一致している」


 企業は人件費や製品価格を調整し、法人税の多くを家計に転嫁しているとみるのが経済学の主流だ。

「米国の法人税負担の70%程度は労働者に帰着する」という米議会の予算局の試算もある。

 東大の岩本康志教授は社会保険料の企業負担についても「大部分が労働者の賃金に転嫁される」と話す。

企業の重荷を下ろす改革は最終的には家計の利益になる。

 
 名目国内総生産(GDP)の1%にあたる法人減税を継続的に実施した場合、どれだけの効果があるのか。

内閣府のモデルでは、名目GDPの押し上げ幅が1年目の0.4%から、5年目には1.5%に拡大する。

 そこまではいかなくても、財源を確保しながら法人実行税率を引き下げることができれば、成長力の強化につながる。

その成果は家計にも徐々に還元されるだろう。

 もちろん法人減税も万能ではない。
日本総合研究所が1990年1~3月期と、それ以降を比べたところ、有効求人倍率の改善が所定内賃金の上昇を促す効果は5分の1に低下していた。

労働需給の引き締まりが賃金全体の上昇に直結しにくくなっているのは見逃せない。

 「デフレ下で行き過ぎた企業の縮み志向にも問題がある」と山田久調査部長はいう。
アベノミクスの追い風も受けて収益を拡大し、雇用の増加や賃金の上昇につなげる企業自身の努力もいる。


●関連日経記事:2013年8月16日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 経済「法人税率下げ 国際競争力を意識」=消費増税による経済活動への悪影響を緩和=』(8月14日付) 

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日経新聞 国際「秋風に漂流する日米同盟」=オバマ流外交に安倍政権が戸惑い=

2013年09月30日 09時02分16秒 | 国際
日経新聞 2013年9月29日(日) P.2 総合・政治面
コラム『風見鶏』=特別編集委員 伊奈久喜=

『秋風に漂流する日米同盟』

 双方とも政府は公式には否定するが、日米同盟はいま再び漂流状態にある。

安倍、オバマ両首脳の間に心の交流はない。
支える事務方同士の意思疎通も以前とは違う。

 1993年、米国で経済優先主義のクリントン政権ができた当時の日米関係をジャーナリストの舟橋洋一氏は「同盟漂流」と表現した。

2013年秋の状況も当時と似ている。
だからこそ10月の東京での日米安全保障協議委員会(2プラス2)のようなしつらえが必要になる。

 日本政府高官は「日米の外交当局者はかっては毎朝電話で話してから、その日の仕事を始めた。いまは新聞で相手の考えを知る」と語る。

面談時間を切り売りする米国弁護士らしいオバマ大統領の実利手法が関係を薄める。

 国連総会や主要国首脳の集まりであるG8、G20の場で日米首脳は時間を見つけて会談する例が多い。

今年は違った。
国連での会談はなかったし、G8でも直前に電話で話したのを理由に会談しなかった。

G20でも、直前に電話で話したため、首脳会談は見送られるはずだった。

 が、シリア問題で孤立した米国は日本に突然、首脳会談を求めた。
できるだけ電話で済ませ、必要なときだけ会う。

そこに友情は育つだろうか。
安倍晋三首相もカチンと来たらしい。

 シリア攻撃の撤回も、議会との摩擦を避けるオバマ流の実利判断だった。
それは2つの同盟国との関係に波乱を起こした。

 化学兵器を使いたがるのは、通常は劣勢側であり、国連もアサド政権が使ったとの確認を避けた。

確認できたとしても、アルカイダに近い反体制側が政権を取っては困るからアサド政権を倒せない。
ただし痛みを与える必要はある。

 空からの限定攻撃は、ジレンマのなかで到達した政治的作戦だった。
フランス人で英国祭戦略研究所(IISS)会長も務めたF・エイズブール氏が語るように、非難されるべき行為と罰の間に時間があれば、心理的効果が薄れる。

だから早期決断が必要だった。

 しかしオバマ氏は、決定を議会に委ね、痛みを避ける時間を(シリアに)与えた。
さらにシリアの友邦ロシアの提案に乗った。

アサド政権に痛みはない。
隣国イスラエルは不安を覚え、ケリー国務長官がすぐ飛んだ。

 日本も同様である。
米ロ合意は、東アジアに例えれば、北朝鮮が核ミサイル発射を日本に通告した時、米大統領が日本防衛を決断できずに議会に委ね、最後に北朝鮮の友邦、中国の仲介に乗ったような話だろう。

この場合、日米同盟は大波をかぶって難破する


 中国、韓国の経済成長と日本の停滞によって東アジアの権力構造は変わった。
オバマ政権に映る日本は日本人が自覚していない、(中国・韓国と日本という)相対化された日本である。

 だから安倍政権が目指す集団的自衛権を巡る解釈変更にも、米国の立場は複雑だ。

もともと2000年の大統領選挙直前の超党派の専門家がまとめたナイ・アーミテージ報告が指摘した課題でもあり、ラッセル国務次官補(東アジア。太平洋担当)も同調する。

 一方、マサチューセッツ工科大のR・サミュエルズ教授は中国の反発を理由に「(安倍政権が進める集団的自衛権の見直しは)今はタイミングが良くない」と話す。

同じ悩みを語る民主党系学者は少なくない。
摩擦を嫌うオバマ氏がこれに同調すれば、漂流はさらに深刻になる。

 ケネディ新大使は公聴会で「語論を見守る」と判断を避けた。
東京の秋を感じれば、大統領を説得して漂流を止めるのが使命と気づくはずである。

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日経新聞 国際「漫画やアニメの専門家を講師として派遣」=政府、ASEANにクールジャパン普及促進=

2013年09月30日 08時43分31秒 | 国際
日経新聞 2013年9月29日(日) P.2 総合・政治面
『漫画やアニメ 専門家派遣』=政府、ASEANに=

『文化交流推進へ人材育成』

 政府は漫画やアニメ、ゲームなどの「クールジャパン」に関する専門家を東南アジア諸国連合(ASEAN)の教育機関に講師として派遣する。

日本文化に関する講座などを通じ、将来の文化交流を推進する人材の育成につなげる。
2014年度に約10人を派遣する。

 第1弾の派遣先はシンガポールを検討。

国内で実績のある漫画家やゲームクリエーター、作曲家、アニメを専門とする大学教授らを想定している。

現地の大学や専門学校のカリキュラムに組み込み、日本の現代文化の集中講義を行う予定だ。

 現地の若者を中心に日本文化への理解を広げ、国際的な需要を高める。
成長戦略の一環でもある。

 ASEANではクールジャパンへの関心が高く、専門家派遣の要望が日本に寄せられていた。

稲田明美行政改革相と有識者らによる政府のクールジャパン推進会議でも「現地で人材育成できる体制の整備が必要だ」との指摘が出ていた。


●関連日経記事:2014年8月27日付グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 人物紹介「技術の壁乗り越えた30年」=「ゲーム音楽史」著者 岩崎 祐之助氏=』(2014年8月24日付)

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日経新聞 海外メディア「シリアの化学兵器はロシアも使える?」

2013年09月30日 07時10分17秒 | 海外メディア
日経新聞 2013年9月29日(日) P.12 日曜に考える面
コラム『海外メディアから』=編集委員 高坂哲郎=

『大統領たちの「世論戦」』

 シリアに対する米軍などの軍事介入が回避され、同国の内戦が新たな局面に入るなかで、関係国の大統領が米有力紙に相次いで寄稿した。

 ロシアのプーチン大統領は、米紙ニューヨーク・タイムズ(11日付)への寄稿で「外国の国内紛争への軍事介入が米国では普通のことになっているのは危険なことだ。

それは米国の長期的な国益にかなうのだろうか」と主張した。

 実はロシアを巡っては「化学兵器禁止条約に加盟し自国内では同兵器を開発・保有できなくなったため、未加盟のシリアを支援することで化学戦能力を維持しようとしている」との見方が、各国情報機関関係者らの間で根強い。

 だとするとロシアは、最近の外交攻勢を通じて「シリアと米国の軍事衝突を防いだ立役者」との評価を得ながら、シリアにおける自国の「化学兵器利権」の損壊(米国のシリア軍事攻撃によるアサド政権の崩壊)を回避したことになる。

さらにプーチン氏の米紙への寄稿で、米国民に外国への介入をたしなめる余裕も見せている。

 イランのロウハニ大統領は米誌ワシントン・ポスト(19日付)への寄稿「なぜイランは建設的関与をめざすのか」で「イランはシリアの政府と反政府勢力の対話を支援する用意がある」と表明した。

 イランのトップは最高指導者のハメネイ師であり、同師がこの先、大統領の柔軟路線をどこまで許容するかは流動的だ。

それでもロウハニ師としては、米欧の関心が集まる今のうちに国際社会での存在感を強めておきたいようだ。

 ロウハニ師は27日、オバマ米大統領と初の電話協議に臨み、その内容をツイッターで発信。
国際世論を自国に有利なものにするための「世論戦」をより活発に仕掛けているようだ。

その一方で、英紙フィナンシャル・タイムズ(18日付)は、オバマ氏が山積する内外の諸案件に対応し切れず「極めて早い段階でレームダック化する危険がある」と指摘するクリントン政権元幹部の寄稿を掲載した。

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日経新聞 安心・安全「河川の『流域住所』に注意して、安全確認を」

2013年09月30日 06時48分10秒 | 安心・安全
日経新聞 2013年9月29日(日) P.1
コラム『春秋』

 土地には住所がある。
大抵の人は自宅の住所を記憶していることだろう。

何県の何市の何町というふうに、大から小へと地名が連なる。
引かれた境界は人間が決めたものだ。

もし、お上の定めた線ではなく「川」を軸に大地を区切ったら、どんな地図ができるだろうか。

▲慶大で生物学を教えてきた岸由二さんが提唱する「流域住所」は、そうした試みの一つだ。
何という川の流域に自宅があるか調べ、覚えておくのだ。

岸さんの研究室の例だと、鶴見川の支流である矢上川の、さらに支流である松の川の流域に建つ。

こうした川の名の連なりを第2の住所として意識しておこうと呼びかける。

▲どう役に立つか。

例えば大雨が降ったとき、行政単位の警報では、遠くの自治体の名を目にしても危機感はわきにくい。

実際は上流が豪雨なら下流も危ない。
流域という見方を気に留めておけば、警報の中身にも目が向く。

ふだんから同じ川の流域への関心が高まるので、河川管理や生物保護でも協力しやすくなるという。

▲古来、安全な暮らしのために、気象や地形など自然環境の知識は不可欠だった。
台風18号の被害も記憶に新しい。

秋の行楽期、家族で身近な川の流れをたどる、上流や下流を歩く、といった小探検はどうだろう。

見慣れた名の川が意外に太かったり細かったり。
そんな驚きを入り口に、水の流れに関心を深める好機になる。

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日経新聞 インターネット「店頭で服選び、サイトで購入」=スマホで垣根なく=

2013年09月29日 06時02分58秒 | インターネット
日経新聞 2013年9月28日(土) P.11 企業2面
特集連載『@ネット』=店頭で服選び、サイトで購入=

『スマホで垣根なく』

 衣料品販売でインターネット通販と店頭販売を連動させる試みが広がっている。

通販専業のベンチャー企業が人気商業施設に相次ぎ出店。
紳士服の青山商事は店頭で測定したサイズを登録すればネット上で簡単に品選びができるようにした。

スマートフォン(スマホ)を活用したネットと店舗をつなぐサービスも多様化。
店頭で品定めしてからネットで気軽に購入できるため、消費者にも受け入れられ始めている。


 東京・表参道の商業施設「東急プラザ表参道原宿」内で営業する「ユーモア・ショップ バイ エイ・ネット」。

店内には「ツモリチサト」など人気ブランドの衣料や雑貨が並ぶ。
同店はネット通販の「ユーモア」を運営するウィット(東京・江東)が昨年春に開業した初めての実店舗だ。

来店した女性会社員(39)は「自宅のインターネットでも買えるので、購入を焦らずに服選びできる」と服選びに夢中になっていた。

 ウィットが実店舗を開いたのは「当社のサイトを見ていない多くの消費者にブランド名を浸透させる」(同社)狙いからだ。

東京だけでなく大阪、京都、福岡など5都市に相次ぎ出店し、10月には広島にも開業する。

 店頭のレジ前にはタブレット端末「iPad(アイパッド)」を置き、自社の通販サイトを表示。

店頭でなくてもネットでいつでも購入できることをアピールし、店舗とサイトの両方を使う常連客を増やす。

 
 衣料品の通販サイト運営のウサギオンライン(東京・渋谷)も6月、ルミネ有楽町(東京・千代田)に初の実店舗を開設した。 

当初は2ヵ月間限定の予定だったが、予想以上の効果があったため営業を継続している。

 一方、衣料店チェーンも店舗とネット事業の相乗効果を狙う「オムニチャネル」と呼ばれる戦略を強化する。

紳士服チェーン最大手の青山商事は店舗と自社の通販サイトで顧客の体格の情報を共有する「マイサイズ」サービスを開始した。

 店舗でウエストや首回りなどのサイズ情報を登録すれば、サイトでは自動的に自分の体格に合った商品が表示される仕組みだ。

「サイズに迷いながら検索する手間を省く」(同社)ことでネット販売を拡大する戦略だ。

 ユニクロもネットとリアルの店舗の連動に知恵を絞る。
このほど店頭に並ぶ商品のバーコードをスマホで読み込むと、自社の通販サイトで商品紹介ページを簡単に閲覧できるサービスを始めた。

 衣料品店「ヴァンキッシュ」を展開するせーの(東京・目黒)は無線LAN(構内情報通信網)の「Wi-Fi(ワイファイ)」技術を活用し、専用アプリの入ったスマホを持って店内に入るだけでポイントがたまる仕組みを設けた。

ポイントは店舗とネット通販の両方で使え、双方の需要増につながるとみる。


▲オムニチャネル
 すべて(オムニ)の販路(チャネル)を意味する。

小売業やメーカーが、実店舗やインターネット通販、交流サイト(SNS)など多様な消費者との接点をうまく連動させて、総合的に売り上げを拡大する戦略として注目されている。

消費者が垣根を感じずにニーズに応じて好きなチャネルにアクセスできるように、一体運営できるかが課題となる。


『衣料などネット市場3割増』=ギャップなど外資も展開=
 経済産業省の調査によると2011年の「衣料・アクセサリー小売業」のEC(電子商取引)の市場規模は前の年から29%伸びた。

先行してインターネット通販が普及してきた「スポーツ・本・音楽・玩具小売業」分野の10%を上回る伸び率で、12年以降も急成長が続いているとみられる。

 代表的なのは「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイ。
有力アパレルを一堂に会する「モール」型で人気を集める。

昨年には米ギャップが日本でネット通販を開始し、外資も交えた競争が激化している。

 衣料品市場全体に占めるネット通販の比率は数%にとどまるとみられるが、今後存在感が高まるのは必至。

大手チェーンもネット購入に慣れ始めた消費者への対応が急務になっている。
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日経新聞 国際「惑う大国ドイツ (下)」=メルケル首相「大勝」に南欧落胆=

2013年09月29日 05時30分50秒 | 国際
日経新聞 2013年9月28日(土) P.7 国際2面
特集連載『惑う大国ドイツ (下)』=首相「大勝」に南欧落胆=

『緊縮財政の圧力警戒』

 与党陣営のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が独議会選挙での大勝を決めた22日。

メルケル首相は勝利宣言で「ギリシャへの圧力は和らげない」と約束し、支持者の喝采(かっさい)を浴びた。

 過半数には届かなかった与党陣営は最大野党の社会民主党(SPD)との大連立を模索する。
そのSPDは南欧支援に柔軟な姿勢を見せる。

大連立政権が発足すれば、ギリシャ追加支援など緊急性の高い問題については意思決定が早まるとの見方もある。

 それでも首相がギリシャに緊縮要求を突き付けるのは、南欧支援に国民の不満が高まっているからだ。

独誌シュピーゲルは選挙直前「投票日は支払日」と題する記事で、「ギリシャへの追加支援はアイルランド向けなど数々の欧州支援の始まりにすぎない」と警鐘を鳴らした。

『ギリシャはデモ』
 そんなメルケル氏の大勝が伝わると、ギリシャでは落胆ムードが広がった。

23日付の新聞各紙は、ギリシャに対する厳しい緊縮要求が続くとの見通しを「財政緊縮の女王が勝利」(日韓紙タネア)などと伝えた。

 SPDとの連立見通しにもかかわらず、緊縮要求が和らぐとのギリシャ国民の期待は与党陣営の大勝でしぼみつつある。

 ギリシャの世論調査では「メルケル首相に否定的な印象を持つ」との回答が79%に達する。
「年金を減らせ」「公務員が多すぎる」「徴税がいいかげんだ」と口出しする他国の首相に国民の不満が募る。


 独選挙の翌日も首都アテネでは公務員のリストラ策に猛反対する数千人規模のデモが発生した。
メルケル首相をヒトラーになぞらえたプラカードは今や定番だ。

 ギリシャの追加支援問題はドイツの選挙終了を待って、本格的に動き出す。

欧州委員会や国際通貨基金(IMF)などで構成する「トロイカ」の調査団はアテネ入りし、支援継続の是非を判断するために財政状況を点検している。

 ここでも「ドイツがノーといえば危機対策は前に進まない」(欧州政策センターのズーリック・チーフエコノミスト)。

『EUより存在感』

 サマラス首相は追加支援について「一段の財政緊縮策は条件にはならない」と予防線を張っている。

ただ、トロイカ側も、お金の最大の出し手であるドイツの首相の顔色をうかがわざるを得ない。

 欧州での圧倒的なドイツの存在感(もともと大きい経済力に加え、安定した政権の誕生)に周辺国の感情は複雑だ。

シンクタンクのジャーマン・マーシャル・ファンドがまとめた欧州11ヵ国の市民を対象にした調査では、メルケル首相が危機対応を担うことが望ましいとの回答が47%となり、EUの43%を上回った。

 ドイツ抜きでは欧州の危機対策も成り行かないのが現実だ。
ドイツの発言力を頼り、中国はドイツを通じてEUとの太陽工パネル紛争の解決を試みた。

米国はEUとの自由貿易協定(FTA)交渉でメルケル首相の意向を重視する。
いずれもEUが加盟国を代表して交渉に当たる案件だが、米中ともEUの頭越しに動くのをためらわない。

 ただ、同じ調査では南欧諸国におけるメルケル首相への評価は低い。
ドイツに依存する危機対策は、ドイツと南欧の心理的な溝を広げかねないリスクを伴う。

 欧州債務危機はギリシャ以外にも問題が山積している。
ポルトガルには追加対策の必要性が浮上、スロベニアも構造改革が必要だ。

欧州がドイツの力を必要とすればするほど支援先の不満が高まるーー。
統一欧州の「大国」となったドイツが抱えるジレンマだ。

(ブリュッセル=御調昌邦記者)
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日経新聞 国際「東南アジア新車販売10%減」=金利上昇で景気減速=

2013年09月29日 05時05分35秒 | 国際
日経新聞 2013年9月28日(土) P.6 国際1面
『東南ア新車販売10%減』

『8月、タイ落ち込み続く』

 東南アジアの主要6ヵ国の8月の新車販売台数は、前年同月比10%減の25万5114台と4ヵ月連続で前年実績を割り込んだ。

域内首位のタイが景気対策の反動の落ち込みから浮上できずにいる。
タイを含め周辺国の景気減速感も出ており、需要確保のため自動車各社は引き続き販売促進キャンペーンを強化している。

 タイの8月は23%減の10万289台で、4ヵ月連続のマイナスだった。
昨年末に予約を終えた政府の自動車購入支援策の対象となる車両の納車が5月に一巡後、回復の兆しがない。

さらに各社は足元の販売確保のため金利負担低減などの販促キャンペーンを6月から強化しており「10月以降の需要を前倒しして取り込んでいる」(三菱自動車のタイ子会社ミツビシ・モーターズ・タイランドの村橋庸元社長)。

昨年同様の水準は当面見込めなさそうだ。

 域内2位のインドネシアは2%増の7万7961台だった。
景気減速に加え金利上昇やガソリン値上げなどで需要低迷が懸念されたが、販売店の値下げ競争などで台数は維持した。

9月に入りダイハツ工業とトヨタ自動車が生産優遇制度に対応した小型エコカー「アイラ」などを発売したこともあり、年末にかけて好材料も出てきている。

 下位市場では、マレーシア、ベトナム、シンガポールがマイナスとなった一方で、4位のフィリピンは22%増の1万6111台と好調だった。

 1~8月の(東南アジア主要6ヵ国の新車販売台数)合計は9%増の238万4135台だった。
通年では過去最高を記録した昨年並みの水準の345万台前後を維持しそうだ。

(バンコク=京塚環記者)


●関連日経記事:2013年9月2日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「新興国の金融政策、『トリレンマ』か『ジレンマ』か」=市場が突きつける政策評価=』(9月1日付)
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日経新聞 海外メディア「ウクライナにEUは支援を」=”旧ソ連同盟”をもくろむロシアに対抗=

2013年09月29日 04時37分46秒 | 海外メディア
日経新聞 2013年9月28日(土) P.6 国際1面
連載『英フィナンシャル・タイムズ紙特約』=9月27日付、社説=

『ウクライナにEUは支援を』=通商協定 ロシアと綱引き=

 プーチン大統領がシリア問題で指導的な政治家を演じる一方、ロシアは最も結びつきが深い近隣諸国には威圧と脅しをかけ続けている。

ウクライナ、モルドバ、アルメニアなどの旧ソ連諸国が11月の首脳会議で欧州連合(EU)との包括的な協力・通商協定に署名するのを全力で阻止しようとしているのだ。

 代わりに、ロシアがベラルーシ、カザフスタンと設立した「(EUに対抗する)関税同盟」にこれらの国々が参加するよう求めている。

貿易ルール上、2つの経済統合への参加はできない。
関税同盟はいずれ「(ロシアを中核とする旧ソ連諸国が参加する)ユーラシア経済同盟」に格上げされる予定だ。


 近隣諸国へのロシアの対応に「あめ」はほとんどなく、重要輸出品の禁輸やエネルギー供給を巡る脅迫(ガス価格の値上げや供給削減)など「むち」に徹している。

アルメニアはこれに屈し、関税同盟への参加に今月同意した。
モルドバは頑としてこれを拒んでいる。

 ロシアの強引な戦術はEUにとって最も地政学的に重要な(EU隣国でありかつ一大穀物産地である)ウクライナを巡るジレンマを浮き彫りにした。

2010年に当選したヤヌコビッチ大統領は、04年のオレンジ革命以前の(親ロシア・)権威主義的な政治を復活させてきた。

 関係を強化すべき理由は2つある。
第一にEUとの協定はウクライナが法に基づく民主主義に向かうための最善の道だからだ。

そうしなければ(自由主義圏)欧州との絆が失われ、経済の低迷から最終的にロシア主導の関税同盟への参加を強いられかねない。

 第二に、ロシアの「いじめ」を通用させてはならない。
どの国家も外部の脅威に屈せず、自らの将来を決める権利がある。

ウクライナの望みがプーチン氏の提唱する旧ソ連同盟でなく「欧州」の一部になることならば、EUは同国が継続的な改革を実現できるような仕組みを用意すべきだ。

まずはウクライナの手を取り、ドアに導くことが重要だ。

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日経新聞 インターネット「ネット起業 第2の波 (下)」=縫製・印刷「暇」に商機=

2013年09月28日 09時34分26秒 | インターネット
日経新聞 2013年9月26日(木) P.13 企業2面
特集連載『ネット起業 第2の波 (下)』

『縫製・印刷 「暇」に商機』=逆境産業の変身けん引=

 クローゼットに眠る服をあなた好みにーー。

11月にも九州のベンチャー企業が新たなインターネットサービスを始める。
個人の服の襟の形などを直したり、中小衣料メーカーから独自ブランドの洋服製造を受注したりする。

「世界に一点だけの服が欲しいとの潜在需要は大きい」。
アースアンドワン(熊本県宇城市)の河野秀和社長の見立てだ。

 サイトで企業や個人の注文を受けて集荷し、提携先の縫製(ほうせい)工場や職人が直して10日間程度で完成品を届ける。

平均単価は服直し代で3500円程度を見込む。

『リメークに活路』
 昨年のニット・衣服縫製品(外衣)の国内生産量は約8100万点で5年間で約4割減った。

低価格衣料の普及で生産の大半がアジア新興国に移転。
だが型通りでない精緻な作業が求められるリメークなら高い技術を生かせる。

熊本市で服を直す店を経営する西照代さんは「新たな活躍の場が与えられる」と期待する。

 同社は経済産業省の補助金(最大2000万円)も獲得。
サービスは熊本県や福岡県から始め、年末にも都内に進出したい考えだ。

 情報の電子化に押される印刷業界。
ヤフーの投資子会社などが昨年11月、総額1億2000万円を印刷関連ベンチャー、ラスクル(東京・港)に出資した。

「ぱっと見て無駄がある業界こそビジネスチャンスが眠っている。
ネットで非効率を改善すればイノベーションになる」。

コンサルティング会社A・T・カーニー出身の松本添摂社長の目には商機が見えた。

 ラクスルが手掛けるのはチラシや名刺の印刷の通販。
ネットで依頼を受け、印刷物の種類や納期、価格といった条件に応じて仕事を協力工場に割り振る。

裏方となる中小印刷会社は約1600に達する。

『遊休設備を活用』
 印刷会社は受注低迷で遊んでいる設備を動かせる。

ラスクルは自前設備を持たず、顧客に低価格で商品を提供できる。
設立5年目となる2014年7月期には売上高約20億円を見込む。

 今年7月、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」向けに農業を疑似体験できるアプリ(応用ソフト)の提供が始まった。

アプリ開発のゾイシア(東京・目黒)がコメ、野菜、果物など全国約50の生産者と組んだ。

 利用者はバーチャル農場で栽培方法などを学びながら、ゲーム感覚で1週間かけ収穫をめざす。
アプリ利用は無料で、収穫後にポイントをもらえる。

ポイントは連動する通販サイトで実際の産品の購入に使える。
「消費者が生産者と気軽に接点を持てるようにし、農家などの固定ファンづくりに一役買う」(藤原一成社長)。

参加する生産者はサービス開始から2カ月ほどで約150に増えた。

 食の安全・安心に関心が高まっているが、農林水産省の調査(11年度)では農業生産者の消費者への直接販売は依然直売所頼みで、ネット通販を使っている割合は2.4%にとどまる。

 ネットベンチャーは停滞気味の産業に顧客を呼び込み、新たなサービスで暮らしを豊かにする。
その触媒機能が経済に新陳代謝のうねりをもたらす。

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