日経新聞 経済「GNIは新しい経済指標として注目されている」=海外からの利子や配当所得が増加=

2013年06月30日 05時40分22秒 | 経済
日経新聞 2013年6月28日(金) P.35 経済教室面
連載『ゼミナール』=③ 点検・成長戦略=

『GNI増は個人所得に直結せず』

 (アベノミクスの)新成長戦略の日本再興戦略は、10年後に1人当たり名目国民総所得(GNI)を150万円以上増やす計画だ。

戦後の(池田政権時の)所得倍増計画に似た響きはあるが、わたしたちの収入を150万円ずつ増やすという意味ではない。

GNIは一般に聞き慣れない指標だが、かって各国の「富」の測定につかわれた国民総生産(GNP)のことである。

いまでは国内で生まれた付加価値の総額である国内総生産(GDP)が世界でもよく使われるが、これに企業や個人が海外から受け取った利子、配当などを加えた数値がGNIだ。

この場合、利子や配当などの受け取り分として、支払い分を引いた「純受取額」を用いる。

 これまでは経常収支が長く黒字を続けて対外純資産が積み上がり、そこから得られる利子や配当なども増加。

名目値ではGNIがGDPを上回る傾向が続いている。
日本企業の海外生産はさらに増えそうで、外国からの所得は膨らむだろう。

GNIは日本の経済力を測る新たな指標として再び注目を集めている。

 GNIを計画通りに伸ばすことは可能なのだろうか。
安倍晋三政権の思惑(おもわく)通りにデフレ脱却と年率2%の消費者物価上昇率を実現できれば、GDP成長率は仮に実質が1%でも(インフレ率2%でかさ上げされるので)名目は目標の3%に届く。

これと並行して企業の海外進出や人口減が続くので、GNI増額計画は達成可能だ。

 その先に個人が実際に受け取る所得の増加はあるのか。
その回答は不透明である。

海外からの利子や配当などの大半を手に入れるのは企業だ。
企業が景気回復を実感して賃金を上げないと一人ひとりの所得は増えない。

(野村総合研究所)


●関連日経記事:2013年6月14日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 ことば「国民総所得(GNI)」=グローバル化でGDPと差が開く=』(6月13日付)
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日経新聞 政治「財政再建は失敗の歴史でもある」=アベノミクス・成長戦略の実行がカギ=

2013年06月30日 05時22分47秒 | 政治
日経新聞 2013年6月28日(金) P.35 経済教室面
コラム『時事解析』=⑤ 財政再建、失敗の歴史=

『かすむ財政健全化』=成長回帰が大前提=

 安倍政権は国内総生産を実質2%、名目で3%で成長させるのを成長戦略の目標にすえた。

野田前政権の目標と同じだが、民主党政権のそれは「腰だめの数字」(旧国家戦略室幹部)だった。

 成長回帰は財政健全化の必要条件だ。
金融市場が国家財政の持続性への疑念をつよめれば長期金利が上がり、政府は(国債発行などでの)資金調達が思うに任せなくなる。


その結果、年金などの強制削減を迫られるかもしれない(ギリシャの金融危機対策で発生)。
それが経済をさらに悪化させる悪循環に陥れば、財政健全化が一層遠のくのは、ユーロ危機からも明らかだ。

 日本の財政再建は失敗の繰り返しだ。
1997年に消費税率を5%に上げた橋本政権は金融危機に見舞われ、財政構造改革法の凍結に追い込まれた。

2006年、小泉政権は財政の基礎収支(プライマリーバランス)を11年度に黒字化するために社会保障費の増額幅を計1兆1千億円、圧縮すると決めた。

当初は景気浮揚も手伝って増税なしで達成する勢いだったが、08年のリーマン危機に失速し、頓挫(とんざ)した。

 すなわち財政健全化には①成長回帰 ②国民負担の拡大 ③社会保障を中心とする歳出削減ーーを同時に実現するポリシ-ミックスが不可欠だ。

野田前政権が②の準備を整え、安倍政権は①にまい進しているが、③はどの政権も本格的に手をつけていない。


 財政政策の司令塔の再構築も課題だ。
財務省出身の田中秀明・明治大教授は著書「財政規律と予算制度改革」で「財務官僚は政治にふかく関わり、政治に応答的であるため、変革を担う能力にとぼしい」と述べている。

(編集委員 大林尚)
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日経新聞 経営「あさひ、自転車PB 10~15%値上げ」=円安で輸入コスト増=

2013年06月30日 04時51分39秒 | 経営
日経新聞 2013年6月28日(金) P.13 企業1面
『自転車PB 10~15%値上げ』

『あさひ 円安で輸入コスト増』

 昨年と比べて大幅な円安が定着していることを受けて、消費財の値上げが広がっている。

自転車小売り最大手のあさひはプライベートブランド(PB=自主企画)自転車の8割を値上げした。

中国から米ドル建てで輸入しており、仕入れコストが上昇したためだ。
低価格が売りのPBの価格にも円安の影響が及び始めた。

『大塚家具やエースも』
 あさひは全国で335店を展開する。

売上高は370億円で、メーカーブランドの商品より1割以上安いPB商品が販売台数の半分を占める。

 約80種類のPB商品のうち、今月までに子ども用やおとな用、スポーツ車など約60種類を10~15%値上げした。

1万9800円のマウンテンバイクの主力商品は2万1980円にした。

 小売りが全量買い取るPB商品はメーカー品より一般的に安いのが特徴だ。

あさひは中国の協力工場で生産してきたが、この1年で円が対ドルで20円近く(約25%)安くなったため採算が悪化しており、価格への転嫁はやむを得ないと判断した。

今の為替水準が続けば残る2割の値上げも検討する。

 今春以降、輸入雑貨などの分野で値上げが目立ち始めている。

大手かばんメーカーのエース(東京・渋谷)も今月、スーツケースなど6つの独自ブランドの一部商品を平均6%程度値上げ。

生地を韓国や中国からドル建てで輸入、仕入れが上がったのを受けた。

 大塚家具は4月から7月にかけ約6000品目を順次値上げ中だ。
デンマーク製のソファなどの価格を0.2~20.6%引き上げた。

円が対ユーロで昨年半ば以降30円程度安くなっているためで一部商品は2度に渡り、値上げ対象になっている。


◆『食品、日用品、半数で上昇』=日経POS調査:6月の販売価格=

 日本経済新聞社が食品・日用品の主要80品目の6月の販売価格を調べたところ、半数の40品目が5月より上昇した。

原料高や円高修正の影響を受け、小麦や大豆を原料にした加工食品の値上がりが目立つ。

スーパー各社が特売を減らしていることが原因だが、今後は店頭価格を引き上げる動きも出てきそうだ。

日経POS(販売時点情報管理)データで食品50品目と日用品30品目の平均価格を比べた。

6月は5月よりも値上がりした品目数が増えただけでなく、値下がりした品目数も減った。

食品は23品目が値上がりし、上昇幅は大豆を原料とするサラダ油が1.7%、小麦を使うパスタは3.0%など。

日用品もリンス(3.5%)など17品目が上昇した。

 7月からはマヨネーズやパンなど加工食品でもメーカーが出荷価格を引き上げる。

特売の回数を減らすなど実質的な値上げをしているスーパーには「今後は販売価格への転嫁が避けられない」(大手幹部)との見方が多い。

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日経新聞 国際「東南アジアのLCC航空会社、新規上場相次ぐ」

2013年06月30日 04時41分56秒 | 国際
日経新聞 2013年6月28日(金) P.9 アジアBiz面
連載『ビジネスカレンダー』

『東南ア航空会社、新規上場相次ぐ』

 東南アジアで航空会社が相次いで新規上場する。

マレーシアの格安航空会社(LCC)、エアアジアの長距離路線部門、エアアジアXが7月10日に(マレーシア証券取引所に)上場、タイのバンコク航空も月内に(タイ証券取引所に)上場する予定だ。

東南アジアでは中間層の増加を背景に航空需要が伸びる。
上場で得た資金を航空機への投資や新規路線の開拓などに当て需要を取り込む考えだ。

●7月予定:
7月1日 JTB、ミャンマーで空港送迎サービス開始。
7月10日 エアアジアXがマレーシア証券取引所に新規上場
7月内にも バンコク航空がタイ証券取引所に新規上場
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日経新聞 政治「陸上自衛隊、与那国島に隊員を配備へ」=中国を意識=

2013年06月30日 04時21分42秒 | 政治
日経新聞 2013年6月28日(金) P.4 政治面
『陸自、与那国島配備へ』=防衛省、用地の賃貸借契約=

『中国を意識』=15年度末までに100人=

 防衛省と沖縄県与那国町は27日、陸上自衛隊の沿岸監視部隊を配備するための町有地の賃貸借契約を結んだ。

防衛省は施設整備を進め、2015年度末までに約100人の隊員を配備する計画だ。
尖閣諸島の周辺海域での活動を強める中国を念頭に、南西諸島防衛の警戒監視の拠点とする。

 陸自トップの君塚栄治陸上幕僚長は27日の記者会見で「最西端の島で情報収集にも一案いい場所だ。 日本の防衛につなげていきたい」と強調した。

契約は町有地約21ヘクタールを年間約1500万円で借りる内容。
町有地を牧場として利用してきた農業生産法人などと移転や補償の費用を協議し、いつから借りるかを明記した契約を改めて交わす。

 政府は10年に決めた中期防衛力整備計画に「南西諸島に沿岸監視部隊を新たに配置する」との方針を明記。

与那国町が一時、迷惑料として10億円を要求したため調整が難航。
防衛省は計画の白紙撤回も視野に交渉した結果、今回の賃貸契約にこぎ着けた。

 南西諸島の陸自の本格的な拠点は、現在は沖縄本島の那覇駐屯地のみ。
与那国島には今後、沿岸監視レーダーを設け中国艦船などの動向を監視する。

自衛隊は「定点的に把握できる意義は大きい」と強調している。

 南西諸島防衛の重視は10年の防衛計画の大綱に方針を明記。
年内に決める新大綱でも柱に据える見通しだ。

自民党は提言で「島しょ防衛の強化」として離島奪還の能力向上などを掲げている。
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日経新聞 保険・年金・税金「夫婦で『確定拠出年金』をフル活用」

2013年06月30日 04時01分18秒 | 保険・年金・税金
日経新聞 2013年6月28日(金) P.2 総合1面
連載『電子版この1本』

『夫婦で『確定拠出年金』をフル活用』

 「会社で確定拠出年金が始まったが、どんな商品で運用すればよいか?」。

フィナンシャルプランナーの花輪陽子氏が答える。

 確定拠出年金の最大の利点は、「拠出時」「運用時」「給付時」の税制優遇だ。
拠出時に加入者が拠出した掛け金が全額所得控除の対象になる

 例えば、夫婦で年間24万円ずつ確定拠出年金に拠出する場合、ともに正社員でお互いの年収は800万円程度、所得・住民税合わせて30%なら、7万2000円(2人で14万4000円)程度の税金が減る。

ただ拠出できる金額には上限がある。

 商品ライアップは預貯金、保険商品、投資信託などから選び、「期待リターン」が高い商品(=ハイリスク)の方が税制メリットは大きくなる。

積み立てた運用商品を売却し他の商品に買い替えることや、積み立てる掛け金の配分を変更することもできる。

ただ、原則60歳まで引き出しができないのが注意点だ


●関連日経記事:2013年6月23日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 ことば「確定拠出年金」=加入者が運用リスク負担=』(5月23日付)
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日経新聞 政治「中韓接近、日本の存在感が希薄化」=米中韓日の地政学的関係=

2013年06月29日 11時18分13秒 | 政治
日経新聞 2013年6月28日(金) P.3 総合2面
『中韓接近、絡む思惑』

『FTA推進で一致』=中韓首脳会談=

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は27日に中国を訪れ、習近平国家主席と首脳会談を開いた。

中韓両首脳は北朝鮮問題をめぐって「朝鮮半島の非核化」を目指すことで一致。
中韓自由貿易協定(FTA)の推進などをうたう共同声明をまとめた。

新政権の発足をきっかけにした「中韓接近」がさらに加速している。

『北朝鮮非核化へ連携』
 北京市の人民大会堂前であった歓迎式典後、両首脳は少人数会合と拡大会合をあわせて、約2時間、みっちり話し合った。

「びっくりするくらい大歓迎されるはず」。
韓国政府関係者の予測通り、28日以降も異例の厚遇が相次ぐとみられている。

 就任後、米国の次に日本を訪問してきた歴代政権の慣行を破った朴大統領。
最大の狙いは北朝鮮問題だ。

非核化の原則は守りながら南北対話も始め、信頼を積み上げるーー。
自らの構想実現には中国の協力が欠かせない。

経済面でも中韓FTAを結べば、韓国にとって今や日米合計の貿易額より多くなった対中貿易を一段と活性化できる。


 ただ、中韓接近は「韓国による中国すり寄り」とばかりは言えない面がある。
大統領訪中が実現したのは中国側の熱心な働き掛けがあったからだ。

昨年の中韓FTAの交渉開始を巡っても「中国側のアプローチはすごかった」と韓国政府筋は証言する。

 習主席は「太平洋には米中を受け入れる十分な空間がある」という。
米国と新たな大国関係を作り上げるのに、朝鮮半島の安定は不可欠だ。

中国にとって、韓国は中韓FTA→日中韓FTA→東アジア地域包括的経済連携(RCEP)と(米国中心のTPPに対抗して)広げる自由貿易圏づくりの起点となる。


そして、核兵器を持つ北朝鮮はこうした構想と相いれない。

 一方、中国が韓国を引き寄せようとするほど「アジア回帰」を目指す米国にとって韓国の価値が増す。

オバマ大統領が5月に欧米した朴大統領を歓待した背景には、米中のつばぜり合いがある。

 「中国に取り込まれるなんてあり得ない。 米韓同盟が最優先なのは分かっている」。
韓国政府関係者は繰り返す。

しかし、米中がせめぎ合うなかで、中国に接近する韓国の動きが、北東アジアの秩序へ与える影響は無視できない。

 例えば北朝鮮問題。
対話重視の中国と韓国が組めば、日米韓の連携はきしむ。

米中韓の戦略対話という韓国の構想が動き出せば、朝鮮半島問題での日本の存在感低下につながりかねない。


 経済面では、すでに影響が出始めている。
韓国が米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)に参加しようとしないのは、中国への配慮があるからだ。

企業の対中輸出で日本よりも優位に立ちたい韓国は、中韓FTAを優先させる構え。
日中韓FTAは推進力に疑問符がつく。


 韓国が、台頭する中国と外交面でもつながりを深めようとするのは避けられないのかもしれない。

気になるのは、米中韓が駆け引きを繰り広げるなか、日本が手をこまぬいていいるように映ることだ。

 日米、米韓、米中、中韓と続いた首脳会談だが、歴史や領土の問題が障害となって日韓、日中は開催のメドさえたたない。

激しさを増すアジアのパワーゲーム。
米国との同盟に頼るばかりでは「日本はずし」が現実のものになる。

(ソウル支局長 内山清行)
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日経新聞 経営「個人と企業の株主主権」=アクティビスト株主について考える=

2013年06月28日 13時32分12秒 | 経営
日経新聞 2013年5月25日(土) P.17 マーケット総合面
コラム『大機小機』

『個人と企業と株主主権』

 成熟した市民社会における企業と個人の関係にあって、個人や市民は同時に労働者であり、消費者であり、地域住民でもあり、さらに株主でもある。

 労働者としての個人は企業から雇用の機会を与えられる。
消費者としての個人は、企業が提供する生活に必要なモノやサービスを得ることができる。

地域住民としての個人は、企業活動による環境維持や経済的な地域貢献を享受する。
そして株主としての個人は、資産形成の手段として企業の株式を保有し、また年金基金の供出者として老後の生活を維持する。

 株主主権論や「会社は株主のもの」という表現は、こうした大前提があって初めて成り立つものだ。
企業活動のあらゆる場面に個人が確実に関わっている。

老舗企業は、そこに関わり頼った個人が桁違いに多いから、それだけ価値があるといえる。


 国家や企業や王族は、株主や投資家になれても、消費者や労働者や地域住民にはなれない。

英国の金融サービス市場法が投資家(investor)という言葉をやめて、消費者(consumer)に代えたことの意味は大きい。


 しかし、人を単なる「権利・義務の主体」とみてしまうと、その途端に「個人」も「法人」も同じという理屈がまかり通るようになる。

資本がやりとりされる市場の出来事を、人間の意志と混同してしまうのだ。

 例えば、モノやサービスを提供しない匿名性のファンドが他者からお金を集めて株式を買うことにより、多数の個人が関わっている企業を支配する。

しかも、ファンドの後ろにいる出資者は、国家や宗教団体、王族、あるいは地下経済のアングラマネーかもしれない。

全く人間の「におい」がしない、巨大資金を擁するファンドが、無数の人間のあり方を支配し、富を収奪することも可能になっているわけだ。

 株主主権論は、国家や王族の立場を擁護し、国家間の富の奪い合いの旗印として、国際的な政治力学のキーワードになっている可能性も高い。

 欧州的な人間中心の企業理念と、市場優位の米国流。
この両方を知る日本こそが、世界に通用する企業モデルを提示し、人間の側に立つ国としての地歩を固めることができるのではないかと思うのだが。

(盤側)


●日経記事関連情報:2013年6月27日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 経営「アクティビスト、ソニーに経営改革を要求」=米有力ヘッジファンドのサード・ポイント=』(6月26日付)
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日経新聞 経済「持続的な経済成長には」=生産性に見合った賃上げが条件=マハティール元首相=

2013年06月28日 12時55分41秒 | 経済
日経新聞 2013年5月25日(土) P.8 国際2面
フォーラム『アジアの未来』=マハティール・マレーシア元首相=

『性急な賃上げ、成長阻害』=生産性に見合った水準に=

 国際交流会議「アジアの未来」に出席するため来日したマレーシアのマハティール元首相(マレーシアの発展の基礎を造った人物で、シンガポールのリー・クアンユー元首相と並び称される=)は5月24日、日本経済新聞のインタビューに応じた。

アジア各国では人件費の上昇が続いているが、性急な賃上げは持続的な成長を阻害すると強調。

「労働コストの上昇を生産性の向上に見合った水準に抑えることが重要」との見方を示した。



ーーアジアの持続的成長のためには何が必要か。

 「アジアの経済成長はかっての日本のように、資源を輸入して完成品を輸出する加工貿易が支えている。」

高い輸出競争力を維持するためには生産コストを低く保たないといけない」

ーー東南アジアでは経済成長に伴い賃上げを求める声も大きくなっている。

 「欧米では生産コストを気にせず作ったモノがすべて売れると思い込み、労働者の要求を受け入れ所得を上げ続けた。

その結果、競争力を失ってしまい、特に欧州は大きな経済問題を抱えている。
アジアは欧米の過ちから学ばなければならない。

生産性を上げずに所得だけを上げることはできないということだ」

ーー先進国入りを前に成長が滞(とどこお)る「中所得国のわな」を避ける方法はあるか。

 「輸出製品を高成長する国の需要に合わせる必要がある。

マレーシアも、欧米への輸出に頼っていた部分がある。

今後は市場拡大が見込める中国、ロシア、インドなど世界中の市場に絶えず関心を持たないといけない。

産業の変化に柔軟に対応できるように人材を育てることも必要だ」

ーー2015年に東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体が実現する。
ASEANは欧州連合(EU)のようになるのか。

 「EUのように共通の議会などをもつのはアジアでは行き過ぎだ。

アジアが共同で行動できるのは、他の国との貿易交渉などの場合だ。

例えば、アジア諸国は環太平洋経済連携協定(TPP)に参加する利益について一緒に考えるべきだ」

ーー持続的な成長のために今の指導者に求められる資質はなにか。
 「国民が豊かになって教育水準が向上し、政府への要求も高くなっている。

指導者は新しいメディア(ソーシャルメディアなど=)を使って国民に政策の意図を伝えるだけでなく、そうしたメディアで国民の意見を吸い上げるべきだ」


●関連日経記事情報:

日経新聞 2012年5月26日(土) P.6 国際面 

講師インタビュー『シンガポール元首相 リー・クアンユー氏』=ユーロ危機、欧州の失敗= 

  日経新聞が主宰したフォーラム「アジアの未来」に参加したシンガポールのリー・クアンユー元首相《とマレーシアのマハティール・ビン・モハマド元首相》は2012年5月25日、日経新聞社のインタビューに答えた。

欧州危機や中国の動向など世界情勢を分析した。    


Q:環太平洋経済連携協定(TPP)は、自由化の水準が高すぎるとの声がある。  
A:「米国の要求は、交渉上のポジションにすぎない。 

固定的に考える必要はない。
米国が急いだとしても、この交渉には時間が掛かる。

だが最後は必ず決着する」   

Q:米中両国がアジアで直接ぶつかる状況をどう見るか。  
A:「中国には米国と対立する気はない。 

中国は米国の技術、投資、市場を必要とするからだ。 
米国も中国の市場が必要だ。 

20~30年間は、米中が折り合いをつけていくだろう。 

米中のどちらにもアジアで支配的な存在になって欲しくない。 
両国の均衡の中で、アジア諸国の動く余地が生まれる」   

Q:日本は中国にどう付き合うべきか。  
A:「日本は安全保障上、米国の同盟国であり続けるべきだ。 

その枠組みの中で、日本は中国市場に安定的に輸出が出来る。
 
中国は日本から知識や技術を取り入れようとするが、全てを渡す必要はない。 
これは一種の取引だ。 

市場を少しずつ開放し、対中交渉でベストの地位を探すべきだ」
   

Q:ユーロ危機の教訓は何か。  
A:「欧州は間違いを犯した。 

ギリシャは3年以内にユーロを離脱するだろう。 
ドイツが債務国を支援し続けるだろうか。 

ドイツ国民は他国に対する最後の貸し手になることは望まないはずだ」 

(聞き手:編集委員 太田 泰彦)     


●日経新聞 2012年5月29日 1面 
コラム「春秋」 

 要人相手のインタビューは呼吸が難しい。 
聞きたいことは山ほどあるが、与えられた時間は限られている。 

緩(ゆる)いテンポの対話では時計が気になるが、せっつくように質問を浴びせても、心の底にしまってある大切な言葉は返ってこない。 

相手が高齢の場合はなおさらだ。 

▲シンガポールの(建国の父といわれる=)リー・クアンユー元首相は今年で89歳になる。

 英国とマレーシアの下を離れて新しい国(シンガポール)を築いたのは、約半世紀(1世紀/100年の半分=50年)前である。 

30代半ばで初代首相に就き、世界の荒波のなかでこの小さな国を率いてきた。 

先週来日した際に話を聞くことが出来た。 
声に往年の張りはないが、射(い)るような眼光は少しの衰えもない。  

▲「米国がどんなに急いでも、物事には時間がかかる」。 
自由貿易交渉の行方を聞くと、余裕の表情で笑い声を上げた。 

大国の焦りを見透(みす)かしているようだった。 

ところが、そのゆっくりした口調が、にわかに強く勢いづいたのは、日本の政治について尋ねた時だ。 

「なぜ毎年首相が代わるのか、私には理解できない・・・・・」  

▲リー元首相によれば、国を率いる指導者の条件は3つある。 

第1はカリスマ性。 第2に指導力を発揮するための時間。 そして第3が国民の信頼だという。 

「日本の国会は破れかぶれで、国民も辛抱強さが足りないのではないか」。 
また笑うのかと顔を見たら、厳しい目でこちらをにらんでいた。 

日本の弱点を射る目だった。

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日経新聞 海外メディア「ミツバチ減少で殺虫剤禁止」=欧州連合で決定=

2013年06月28日 11時45分11秒 | 海外メディア
日経新聞 2013年5月25日(土) P.7 国際2面
『ダイジェスト』

『ミツバチ減少で殺虫剤禁止』

 欧州各地でミツバチが減少している事態に対処するため、欧州連合(EU)の欧州委員会(国会に相当)は24日、原因の一つとされるネオニコチノイド系の殺虫剤3種類の仕様を今年12月からEU全域で禁止することを決定した。

専門家によると、一部は日本でも製造、販売されているという。

(ブリュッセル=共同)

●父さんコメント:
 ミツバチの減少は単に「蜂蜜の生産減少」だけでなく、梨やリンゴなどの果樹の受粉にもミツバチが大量に活用されており、ミツバチの減少は農業の生産性にも大きな影響を与えるといわれている。

また、ミツバチの減少は環境の悪化の証拠ともされ、生態系の頂点に立つ人類にも長期的に影響を受けると指摘されている。
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