日経新聞 国際「韓国原発2基、不正部品問題で緊急停止命令」=低価格電力で供給不足、対策進まず=

2013年05月31日 21時02分50秒 | 国際
日経新聞 2013年5月30日(木) P.6 国際1面
『原発2基、部品問題で停止』

『電力不足、対策進まず』

 韓国で29日夕、原子力発電所2基の運転が止まった。

安全基準を満たさない部品の使用が確認され、原子力安全委員会が停止措置を発動した。

今夏の電力需給は供給が需要を下回る状況となり、産業活動への影響は必至。

政府は31日に節電対策を発表する方針だが、電力供給には構造的な問題があり、綱渡りの政策運営を迫られそうだ。

 「徹底した調査と処罰を通じて、原発の不良部品を根絶すべきだ」。
与党セヌリ党幹部は29日、今回の状況を強く批判した。

問題となった、事故発生時に冷却装置を作動させる信号を送る「制御ケーブル」だけでなく、全部品を検査するよう原子力安全委に求めた。

 韓国では23基ある原発のうち、すでに8基が定期点検などで停止。

今回の措置で釜山近郊にある新古里(シンコリ)原発2号機と新月城(シンウォルソン)原発1号機が加わった。

同国では全電源に占める原子力の割合が約3割に達する。

 産業通商資源省によると、夏までに定期点検を終え、運転を再開する原発からの発電を織り込んでも、夏場の最大供給能力は7700万キロワットと、予想需要に対して200万キロワット不足する。

「例のない電力難」と、同省も警戒を強めている。


 韓国は近年、需給が逼迫した状態が続く。

夏の電力供給予備率は安定供給に必要とされる10%を下回り、2012年は過去最低の3.6%に下がった。

11年9月には全国的に大規模停電が発生。

当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領が韓国電力公社の本社を訪れ、幹部らを叱責(しっせき)した。

 韓国の産業用の電気料金は日本と比べて3分の1の水準に抑えられている。
これは安い電気料金で輸出競争力を高め、海外企業の誘致にもつなげる国策だ。


低料金が国内の節電努力を鈍らせていることも需給逼迫の一因となっている。

昨年8月、韓国電力公社が平均4.9%の値上げを実施したのも節電を促す狙いがあったとされる。

 企業の取り組みは遅れている。

韓国サムスン電子が昨年5月、電力使用量を生産現場で5%、事務室で10%減らす節電策をまとめたが、こうした企業は少ない。

 現代経済研究院の張祐碩(チャン・ウソク)研究委員は「今後は省エネ技術などを通じて需要を管理していかなくてはならない」と指摘する。

今夏の原発停止で企業の危機感が高まるかどうかが焦点となる。

(ソウル=加藤宏一記者)

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日経新聞 経済「円安、構造変化で最長連続記録に」=8ヵ月で20円超下げる=

2013年05月31日 20時24分53秒 | 経済
日経新聞 2013年5月30日(木) 1面
『円安、構造変化で最長』=8ヵ月、20円超下げ=

『貿易赤字定着や金融政策転換』

 円安・ドル高が長引いている。

5月末は前月比でみて8ヵ月連続の円安となる見通し。
1973年に変動相場制に移行して以来の最長記録となる。

日本経済は輸入が輸出を上回る貿易赤字が定着し、輸入の支払いに伴う円売りが膨らみやすい構造になりつつあるうえ、昨秋以降の日銀の金融政策の転換が円安基調を生んだ。

市場では円安局面がさらに続くとの見方も広がる。


 円相場は昨年9月末の1ドル=77円台半ばから4月末の97円台後半まで、月末ベースで7ヵ月連続で前月比下落。

変動相場制下で過去3回ある最長記録に並んでいた。
5月29日の東京市場でも円は101円台後半で推移し、5月末で過去最長の8ヵ月連続へと記録を伸ばすのはほぼ確実だ。

『副作用も』
 円安定着は輸出企業の収益改善を通じ、日本経済にプラスとなる。

日銀の3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業が2013年度事業計画の前提とする為替レートは85円22銭で、足元より16円近く円高・ドル安を想定している。

企業収益の改善が賃金増・雇用増に波及すれば、個人消費や設備投資を押し上げる好循環が生まれる。

 ただ市場では米国の量的緩和の縮小を意識した「ドル高」の色合いも濃くなり始めた。
日本要因による「円安」から(米経済の好調による)「ドル高」へ焦点が移り、さらに円安が加速する可能性も出てきた。

 100円を大きく下回って円安が加速すれば、輸入価格の上昇を通じてガソリン代や電気料金の引き上げにつながる。

原発の稼働停止で、全国的に火力発電への依存を強めるなか、原料の液化天然ガス(LNG)などの価格上昇は日本経済の一部に副作用をもたらす。

『米欧容認』
 過去3回の円安局面との大きな違いが、貿易赤字が定着しつつある点だ。
今年4月まで10ヵ月連続で貿易赤字が続く。

輸出で稼いだドルを売って円を買う取引よりも、輸入で支払うドルを調達するため円を売ってドルを買う取引が多く、「円安に向かうのが自然な状態」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の上野大作氏)だ。


 日銀の金融政策の「体制転換」も円安を長期化させている。
日銀は1月に物価上昇率目標を導入し、4月に異次元の量的緩和を決めた。

「海外勢を中心に物価上昇期待が強い」(JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏)ことが円の先安観につながっている。

 政府による円売り・ドル買いの為替介入を伴っていないことも今回の特徴だ。
日本政府は金融緩和はデフレからの脱却が狙いで「円安誘導は目的としていない」と強調。

日米欧の主要7ヵ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議も為替介入によらない円安進行は容認の構えで、その分、円安が進みやすくなっている。

 円上昇の余地も狭(せば)まってきた。
株価が急落した23日も海外勢の日本株売りに伴って円買いが進んだものの、100円を超える円高にはならなかった。
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日経新聞 経営『「生き金経営」へ転換を』=外資がグローバルレベル並みの経営品質を要求=

2013年05月31日 08時28分42秒 | 経営
日経新聞 2013年5月30日(木) 1面
連載『市場の乱調 (下)』

『「生き金経営」へ転換を』=解は企業にあり=

 「持続的な成長へのスタートラインに立った」。

トヨタ自動車の豊田章男社長は8日の決算発表でこう語った。
過去5年の円高を乗り越えて築いたのは「1ドル=80円でも利益が出る経営体質」。

市場乱調にもかかわらず、トヨタはここ数日、株価の戻り基調が鮮明だ。

 日本企業の株価はここまで円高修正による業績の底上げ期待で上げてきた。
だが今後は個々の企業の稼ぐ力が問われる。

『株主の不満募る』
 「ソニーの企業価値の半分は映画と音楽。 電機を中心に置く経営でいいか」。

ソニーに映画・音楽事業の株式上場を提案した米ヘッジファンド、サード・ポイントのダニエル・ローブ最高経営責任者(CEO)は言う(注①)。

 サード・ポイントはかねてヤフーなど資産を効率的に回し切れていない大企業に出資、もの言う株主として(経営陣と)対峙してきた。

ソニーについても長引く業績や株価の低迷を見据え、時間をかけて経営陣と対話するとしている。

 世界の投資家が日本企業に不満を抱くのは経営効率の低さだ。

金融業界の集計によると、最近10年間の上場企業の自己資本利益率(ROE)は世界平均が約13%。

国内企業は7%強で、世界平均を上回ったのは全体の5%だけだ。



 日本はこの10年、企業の体質改善が遅れた。

今と似た円安に沸いた2005年ごろ、企業の多くは実力を過信して生産設備を国内に増やした。

グローバル競争の激化に向けた産業再編は停滞、リーマン・ショック後は過剰な生産能力を抱えた。

 新陳代謝も進んでいない。
時価総額をみると日本の過去10年の上位企業はほぼ同じ顔ぶれ。

非効率が温存されたうえ若い企業が育ちにくいとなると、日本株へは今後ももの言う株主の攻勢が強まる。


一般の投資家にも長期間保有しにくい存在のまま値動きが安定を欠く。

 米国は日本と逆だ。

時価総額の上位5社は直近がアップル、グーグル、バークシャー・ハザウェイ(注②)など、10年前と比べ3社が入れ替わりゼネラル・エレクトリックやIBMが10位前後に退(しりぞ)いた。

しかも経営革新の競い合いで全体の時価総額は拡大している。

『新興国勢が躍進』
 世界では新興国企業の成長も著しい。

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が毎年まとめる「グローバルチャレンジャー」によれば、主要な新興国企業100社の売上高は平均265億ドル(11年)。

米S&P500に含まれる企業の平均を3割以上上回る規模にまで巨大化した。

 「今起きているのは日本企業が規模や企業価値で相対的に小さくなりつつあること」とBCGの水越豊日本代表は話す。

米国や新興国企業と競争するにはまず筋肉質な体質作りだ。
さらにはそれを駆って世界の市場に割って入る必要もある。

 4月に持ち株会社制を導入したANAホールディングス。

伊藤信一郎社長は「以前の全日本空輸では成長がとまる。 LCC(低コスト運航会社)などの成長産業をその下に置けなくなった」と理由を話す。

同社は6月、シンガポールに投資会社を設立、アジア企業の買収も進めるという。

 医療機器メーカー、テルモの新宅祐太郎社長は「逆算の経営」を目指している。
トップ10に入るには何が必要か。

「今やるべき一手を打っていく」と強調する。

 日本の上場企業の手元資金は66兆円。
ため込むだけの経営も資本の効率を痛める原因だ。

それを「生き金」に変えた企業が持続的に成長できるかどうか。
日本の株式市場の真価が問われる正念場(しょうねんば)だ。


●(注①):
関連情報:2013年5月26日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 海外メディア「もの言う外国株主、日本で再び」=日本市場のグローバル化が試される=』(5月26日付)

●(注②):「バークシャー・ハザウェイ」
 ウォーレン・バフェット氏(Warren Edward Buffett)は別名「オマハの賢人(Oracle of Omaha)とも呼ばれている。

バフェット氏は、世界最大の投資持ち株会社であるバークシャー・ハザウェイの筆頭株主であり、同社の会長兼CEOを務める。

バフェット氏は長期投資を基本とし、長期間に渡って高い運用成績を残している。
(ウィキペディアより)

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日経新聞 保険・年金・税金「うつで就業不能時の補償」=保険、拡充・中止で割れる=

2013年05月30日 08時51分52秒 | 保険・年金・税金
日経新聞 2013年5月29日(水) P.19 マネー・インベストメント面
連載『クローズアップ』

『うつで就業不能時の補償』=保険、拡充・中止で割れる=

 病気などで働けない事態に備える保険や特約で、うつ病などの精神障害への対応に差が出てきた。

患者の増加に対応して給付金などを支給する商品が増える一方、就業不能の判定が困難として、特約の販売を取りやめる会社も出てきた。

 プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険が2月に販売した「新・家族収入保険」は、障害基礎年金の障害等級1,2級に該当する場合などに「就労不能障害年金」を給付する。

加えてうつ病などの精神障害も障害等級1,2級に該当、もしくは入院した場合などに、3年間の「特定障害年金」を給付するのが特徴だ。

富国生命保険が販売する特約「はたらくささえ」も、精神障害で働けない状態が121日以上続いた場合、30万円の一時金を支給する。

 精神障害への対応が進む背景には患者の急増がある。
厚生労働省の調査によると、うつ病を含む気分障害の患者数は2011年で95万8千人。
1999年の44万1千人から倍増している。

就業が困難になる人も目立つ。


 ただし、保険会社によっては逆に取り扱いを慎重にするケースも出ている。
 就業不能保険「リビングエール」を99年から販売する日立キャピタル損害保険は、5月末で個人契約の「精神障害保障特約」の販売を中止する。

うつ病などの精神障害でいかなる職業にもつけない状態という医師の診断書があれば、自宅療養でも2年間給付金を支払う特約。

だが、「うつは発症時期の特定が難しく、医師の診断が患者の自己申告に基づく部分もある。
告知義務違反が疑われる事実もあり、総合的に判断した」(担当者)という。

 近年は私生活では問題がないのに、職場にいくと体調が悪くなる「新型うつ」が広がっていることもあるようだ。

 10年から就業不能保険「働く人への保険」を販売するライフネット生命は、精神障害を支給対象としていない。

「患者数の見通しが立てにくく、病気を判断する医学的な根拠も明確でないため」(出口治明社長)としている。

●就業保険の精神障害に対するサービス
「新・家族収入保険」ープルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命
 障害基礎年金の支給要件に該当、もしくは精神障害で入院した場合は3年間の特定障害年金を給付

「はたらくささえ」-富国生命
 精神障害でいかなる職業にもつけない状態が121日以上続いたとき、30万円の一時金

「リビングエール」-日立キャピタル損害保険
 精神障害で働けない場合、2年間給付金が支払われる特約(個人契約)を5月末で販売中止

「就業不能保障プラス(法人契約)ーアクサ生命
 主契約が終身医療保険の場合、臨床心理士などによるカウンセリングが付帯サービスで受けられる
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日経新聞 ことば「オプション取引」=コール(買う権利)とプット(売る権利)=

2013年05月30日 08時21分59秒 | ことば
日経新聞 2013年5月29日(水) P.15 マーケット総合2面
ことば『オプション』

 コール(買う権利)とプット(売る権利)の2種類がある。
一般に、コールを買った投資家は、相場が上がると利益が得られる。

プットでは、相場が下がると利益がでる。

 大阪証券取引所では、日経平均株価を対象にしたオプションを売買できる。
このオプション取引価格をもとに算出し、市場が織り込んでいる相場の今後の変動率を示す指数が「日経平均ボラリティリティ・インデックス(VI)」だ。

     *   *   *

 投資家が今後の株式相場の変動に備えオプション取引を膨らませている。
先行きに対する警戒感がなお根強いことを示す。


オプションは株価指数先物や現物株の売買にも影響を与え、相場の波乱要因となる場合もある。
28日に日経平均株価が反発し相場は落ち着きつつある一方、オプション取引の増加が株価のかく乱要因になりかねないとして注目を集める。


 このところの株価の荒い値動きを受けて、金融派生商品(デリバティブ)の一種であるオプション取引を使って損失を減らそうとする動きが目立つ。

日経平均オプション取引では、プットとコールを合わせた全限月の建玉残高が28日現在で計460万6千枚と、今年に入り最高を更新した。

(後段略)

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日経新聞 経済「外国人投資家、日本株保有27%増」=加熱警戒の声も=

2013年05月30日 07時06分13秒 | 経済
日経新聞 2013年5月29日(水) P.5 経済面
『外国人投資家、日本株保有27%増』

『過熱警戒の声も』=昨年末83兆円=

 財務省が28日発表した2012年末の対外資産・負債残高によると、昨年末の外国人の日本株保有残高は前年末比27%増の83兆5560億円になった。

昨秋以降の株価上昇で評価額が膨らみ、残高は1年間で17兆円拡大。
外国人は年明け以降も日本株を8兆円超買い越しており、市場からは「買いのペースが速い」と警戒の声も出ている。

 外国人の日本株保有残高の増加は2年ぶり。
増加分の内訳は、約2兆円が投資家による買い越しで、約15兆円は日本株の値上がりが要因だ。

 財務省などによると、1月から5月18日までの外国人による日本株の買越額は約8兆7千億円。
株価上昇を加味しない単純合算で外国人の日本株保有額は92兆円を上回った可能性がある。

 ただ、今後も同じようなペースで買いが続くかは疑問視する声もある。
SMBC日興証券の西広市株式調査部部長は「日本株の異常な上昇スピードに合わせて持ち高を膨らませてきた外国人の調整売りは出やすい」と指摘する。

 統計をとり始めた1996年以降で外国人の日本株保有残高の再興は2006年末の149兆円。
「日本経済のしっかりとした成長シナリオを示せなければ、長期の海外資金の呼び込みには限界がある」(国内年金)との声も出ている。
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日経新聞 健康「欧州に広がる新型コロナウイルス『MERS』」=WHO 世界的流行を警戒=

2013年05月30日 06時26分48秒 | 健康
日経新聞 2013年5月29日(水) P.2 総合1面
『新型コロナウイルス「MERS」』

『欧州にも感染広がる』=WHO 世界的流行を警戒=

 新型コロナウイルスの感染が中東から欧州へと広がり始めた。

28日にはフランスで初めて感染者の死亡が確認された。
日本との人の行き来が盛んな英国やドイツにも感染が広がっており、世界保健機関(WHO)は世界的な流行(パンデミック)に警戒を強めている。


 新型ウイルスの感染者数は28日現在で44人だが、このうち死亡者は24人と極めて多く、致死率は5割を超える。

昨年9月に最初の患者が見つかってから、サウジアラビアを中心にアラブ首長国連邦(UAE)やヨルダンに感染地域が拡大。

地理的に近く、ビジネスや観光でつながりの深い欧州にも飛び火した。

『仏で初の死者』
 28日にフランスで初の死亡が確認された男性はUAEのドバイへの渡航歴があった。

英国で死亡した男性は、中東から戻った後に発症した父親から感染したとみられる。
欧州での感染者数は8人に上っている。

 WHOは新型ウイルスの感染拡大を警戒。
中東で多くの患者が確認されているため「中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)コロナウイルス」と名付けた。

 新型ウイルスは2003年に、世界で700人以上の死者を出した重症性呼吸器症候群(SARS)を引き起こしたウイルスと同じ仲間。

SARSの流行時には海外旅行者が大幅に減るなど、日本国内にも影響が及んだ。
欧州における新型ウイルス感染がさらに拡大すれば、観光や運輸などにとってマイナスとなりかねない。

『経路など不明』
 新型ウイルスは謎が多く、肺炎や呼吸器障害を起こす人が多いが、症状の重さは人によって異なる。

感染源や感染ルートなどもよく分かっていない。
今のところ、人から人への感染力は強くはないとされ、連鎖的に感染が広がる事態には至っていない。

ただ患者が増えているサウジアラビアでは今月、患者から医療関係者への初の感染が報告されている。
 
 SARSの流行では中国当局の情報開示の遅れが世界的な混乱を招いたという経緯がある。
WHOは「感染状況は常に変化し、複雑になっている」として、情報収集を急いでいる。


(ジュネーブ=原克彦記者)


『日本にも警戒必要』=東北大学の押谷仁教授の話=

 感染経路や感染源などの情報はないが、人から人へ感染する能力は持っているようだ。

重症急性呼吸器症候群(SARS)ほどの感染力があるかはわからないし、感染者が見つかっている地域も限定的だが、ウイルスが変異して世界規模の流行になる可能性はある。

 (原油輸入に携わる商社マン、プラント建設に従事する大手建設会社の工事関係者など)中東や西欧に行き来する人は多く、日本にいつ入ってきてもおかしくない。
中東やその周辺国から帰国した人は、風邪でせきが止まらないといった症状が出た場合、早めに病院などで検査を受けるべきだ。
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日経新聞 経済「規制緩和と成長戦略の実行こそがアベノミクスの根幹」=異次元の金融緩和の後の政治課題=

2013年05月30日 05時59分57秒 | 経済
日経新聞 2013年5月28日(火) P.19
コラム『大機小機』

『金融緩和の成果をどう生かすか』

 黒田日銀の「異次元金融緩和」以降、一時期より円安と株高が進み、企業経営者の表情にも明るさが戻ってきた。

昨秋の世界的な在庫調整一巡で、国内景気が緩やかな回復歩調にあることも間違いない。

 それでも「2年以内に消費者物価上昇率2%」というインフレ目標実現へのハードルはなお高い。

先月末公表の日銀自身の見通しはともかく、民間エコノミストの間では2年後のインフレ率は、消費税の影響を除くと1%にも満たないとの見方が圧倒的に多い。

 だが、この目標が達成できなければ、大胆な金融緩和は失敗だったとなるのだろうか。
字義通りにはそうだが、国民の多くは消費税を含めて4%以上の物価上昇が直ちに実現することを望んではいないだろう。

当面は過度の円高、株安が是正され、物価も賃金も少しプラスになれば、それで十分満足なのではないか。

 もともと大胆な金融緩和は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」における3本の矢のうち、本丸である成長戦略を練るための時間稼ぎだったと理解している。

ところが実際には、大いに時間を稼いだばかりか、株高などによる内閣支持率の上昇で、安倍首相に今後の課題実現のためのポリティカル・キャピタル(政治資本)を与えた。

 環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を巡っては、自民党内の反対派が予想外に静かだった。
これには、高い支持率を誇る首相に表立て反対しにくかったという事情があるのだろう。

 問題は、首相がここで得た成果を今後どういう方向に使うかだ。
望むらくは、その力を構造改革の実現に向けてもらいたい。

今後の成長戦略の柱は、言うまでもなく規制緩和であり、その中心は農業や労働、医療・介護など政治的抵抗の強い分野だ。


これまでに蓄えた政治資本を存分に生かして、この抵抗を突破したときに初めて、アベノミクスは本当に日本経済再生につながるだろう。

 逆に心配なのは、安倍首相が夏の参院選後、憲法改正など保守路線の推進にその政治資本を使おうとすることだ。

そうなれば期待を裏切られた市場の反乱で、株価下落、国債価格の急落(=長期金利の大幅上昇)といった事態を招きかねない。

首相個人には不本意かもしれないが、前回政権の反省を十分に踏まえ、まずは日本経済再生にまい進してもらいたい。

(希)
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日経新聞 国際『「節税封じ」に欧州の葛藤』=合法とされる多国籍企業の節税を糾弾=

2013年05月29日 06時28分53秒 | 国際
日経新聞 2013年5月28日(火) P.17 投資・財務面
コラム『一目均衡』=欧州総局編集委員 菅野 幹雄=

『「節税封じ」に欧州の葛藤』

 まさに「節税封じ」の決起集会だった。

22日の欧州連合(EU)の首脳会議。

増税や緊縮財政が有権者の不評を買ったリーダーは、各国税制の穴をついて巧みに税負担を軽くする企業に批判の矛先を向けた。

    ▲    ▲

 「なお合法とされる課税逃れに明確に反対する」。
南欧支援で口が重いドイツのメルケル首相も歯切れが良かった。

EUは預金口座の情報を域内の税務当局で交換し、徴税体制を強化する方針で一致した。

 税は旬のテーマだ。

米アップルやグーグル、スターバックスがアイルランドなどの軽い課税の国に利益を移して負担を下げる問題が各国議会で取り上げられた。

仏オランド政権の元閣僚や独名門サッカーチーム経営者の隠し口座問題も非難の砲火を浴びた。

債務危機後に重みを増した「公正さ」に直結する材料に、欧州政治が飛びつく。


 欧州で議論を主導するのは「G5」。
独仏とイタリア、スペイン、英国の大国勢だ。

8ヵ国(G8)首脳会議で議長のキャメロン英首相も「主要議題に選んだのは私だ」と意気軒高だ。

欧州から日米など世界の同調を促し、経済協力開発機構(OECD)のサポートで国際ルール作りを狙う。

 だが欧州は大国ばかりではない。

(地下資源もなく、経済規模も小さな国が=)有利な税制を看板に外国の資金や資本を誘致する国家モデルを取ってきた中小国は悩ましい。

 (そうした国のひとつである=)オーストリアとともに銀行口座の「秘密保持」をEUで最後に明け渡すと認めた金融立国ルクセンブルク。

ユンケル首相は「スイスとも(口座情報交換を=)交渉するのが前提だ」と、ライバル市場との競争をにらみ条件づけた。

法人税率が12.5%と独仏のおよそ半分でグーグルの節税策の舞台となったアイルランドのケニー首相は「個別企業の優遇はしない。 税制は透明そのもの」と主張する(関連日経情報参照)。

 違法な脱税封じに誰も異論はない。

問題は合法な節税策だが、それが公正でないという判断の基準がどこにあるかだ。

主観的な評判、スティグマ(汚名)が抑止力になるなら、国際展開する企業は安心して財務・投資戦略を立てられない。

低税率国に拠点を置く日本企業の戦略にも影響する。

 「ルールを決めるのは企業でなく、政治家だ」。
グーグルのシュミット会長は英紙に寄稿した。

「世界で企業からの税収が上がれば国家は勝者になれるが、企業の革新や成長力、雇用の創出は衰える」。

開き直りと非難するのも簡単だが、グローバル経済の現実だ。

 「英国はどこまで本気か」。
日本政府の関係者は半信半疑だ。

節税封じで企業にこわもてで当たる一方、自国の法人税率を独仏より低い20%に下げると「投資歓迎」のサインを送る。

国内世論と外国資本の双方の受けを狙う戦略に一貫性が感じられない。

    ▲    ▲

 債務危機の余波に苦しむ納税者の不満に応えつつ、経済成長の源泉である企業は引き留めたい・・・・。

欧州の葛藤(かっとう)はグローバル企業と国家の論理がぶつかる現実の厳しさを示す。



●関連日経新聞のデータ:各国の法人税率比較
日本:35%。ただし3年間の時限立法で「復興特別法人税」を加えると現行38%

米国:35%。28%への減税予定
英国:24%。20~21%への減額予定

中国:25%
韓国:24.2%

アイルランド:12.5%


●関連日経記事:2013年5月23日(木)グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 『日経新聞 国際「多国籍企業の『タックスヘイブン・節税』監視」=アップルの海外資産、米議会が追及=』(5月22日付)
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日経新聞 安心・安全「極端気象、日本でも」=米の竜巻、背景に温暖化?=

2013年05月29日 05時47分44秒 | 安心・安全
日経新聞 2013年5月28日(火) P.16 科学技術面
連載『壊れる地球 (3)』

『極端気象、日本でも』=米の竜巻、背景に温暖化?=

 米オクラホマ州を襲った猛烈な竜巻(トルネード)。

地球温暖化が原因の一端を担ったと考えられる。

今後、日本付近でもこうした竜巻に加えて強大なスーパー台風、局地的に激しく降るゲリラ豪雨などの「極端気象」が発生しやすくなるとの見方が強い。

 直径約2キロメートル、風速90メートル以上に及ぶ巨大竜巻。
通称「竜巻街道」にあるオクラホマ州でも、まれにみる激しい竜巻だった。

米気象庁は竜巻の強さを示す「改良藤田スケール」で、6段階の最上位「F5」と判定した。


 竜巻街道ではメキシコ湾からの暖かく湿ったっ空気の上に、ロッキー山脈を越えた比較的冷たく乾いた空気が入って雲を発達させ竜巻が起きやすい。

加えて今回は、上空に寒冷渦と呼ばれる冷気が入り大気の状態がきわめて不安定になって猛烈な竜巻が発生した。

 防衛大学校の小林文明教授によると、米国でこうした強い寒気の南下が「過去3年ほど頻発している」という。

日本でも昨年5月、寒冷渦が引き金の一つとなって国内では最強の「F3」に分類される竜巻が発生。

つくば市などを襲い死者を出した。

寒冷渦は上空を吹く偏西風が大きく蛇行する時にできやすい。
今春も日本付近でも寒気がたびたび南下しており、注意が必要だ。

 偏西風の大きな蛇行は、複雑な要因が絡み合う。

太平洋の海流や水温は10年前後の単位で自然変動し、大気の流れはその影響を受けている。

これに温暖化によるインド洋などの海面水温の上昇、北極海の氷の減少などの要因が重なったとみられる。


 太平洋の赤道域では2000年ごろからラニーニャ現象が多い傾向で、西側の海面水温が平年より高く、対流が活発になっている。

上昇した空気は上空で周囲に吹き出して偏西風の蛇行を生み、影響は地球全体を取り巻く大気の流れに波及する。

海洋研究開発機構アプリケーションラボの山形俊男所長はインド洋などの海面水温が温暖化により、「かさ上げ」されている点にも注目。

対流が一層強まり、偏西風への影響が大きくなる可能性があるという。


 筑波大学の田中博教授は夏の北極海の氷が減ると冬に寒気が中緯度へ流出しやすくなるとの分析を示す。

近年の氷の激減が寒冷渦の頻繁な南下につながっているとみる。

寒気の一部は初夏まで残ることもある。

 今後、竜巻や台風の発生頻度が増えるとの指摘もある。

気象研究所の加藤輝之(てるゆき)室長は2090年前後までに大気中の二酸化炭素(CO²)濃度が約2倍になると仮定。

春から夏に風速50メートル以上(F2)の竜巻の発生頻度が西~東日本を中心に2~3倍に増える可能性があるとの結果を得た。


 日本の竜巻は台風接近時に多い。

名古屋大学の坪木和久教授は1分平均の最大風速が66.9メートル以上のスーパー台風の発生が60~70年後に4倍になると予測する。

高知大学の佐々浩司教授によると、台風が沖合に離れていても外側の発達した雲から竜巻が起きる場合がある。

 竜巻を起こすような発達した積乱雲はゲリラ豪雨や激しい雷ももたらす。

東京大学の中村尚教授は「気温が上昇し大気中の水蒸気量が増えれば、ちょっとしたきっかけで極端気象が起きやすくなる」と警鐘を鳴らす。

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