日経新聞 経済『日本を支える「外からの矢」』=シェール革命で米経済活性化=

2013年03月31日 07時16分36秒 | 経済
日経新聞 2013年3月30日(土) P.19 マーケット総合2面
コラム『大機小機』

『日本を支える「外からの矢」』

 前世紀末以降、製造業から金融業に大きくかじを切り、金融の足元がゆらいだことで不安定になっていた米実体経済。

それが、ここにきて立ち直る気配が濃くなっている。
背景にあるのがシェール革命である。

 シェール層での天然ガスや原油の生産がリーマン・ショック前後から目立って増加し、世界の関心を集めるようになった。

ノースダコタ州などの代表的シェール層で、天然ガスだけでなく原油の生産が急増。

数年後には米国が天然ガスの純輸出国になり、また世界最大の石油・ガス生産国として「第二の中東」になるとの予想もある。


 マクロ経済運営の目的は、成長、雇用の確保、国際収支の安定、物価の安定だが、米国においてシェール革命はこれらの全てに貢献することが強く期待される。


 シェールガスの生産増は天然ガス価格の低位安定に寄与する。
シェール石油の生産増は原油価格の上昇を抑制する。

エネルギー支出の減少による直接効果だけで、米国内総生産(GDP)を0.3%押し上げるという試算がある。

エネルギー輸出の拡大で海外からの富の移転を呼ぶ、逆オイルショックも期待できる。


 間接効果もある。
米化学産業への支援だけでなく、製造業全般の米国内への回帰を促すと予想される。

近年、米国にはイノベーション停滞懸念が広がり、潜在成長率は1950~75年の年平均4%、75~2000年の3%台、00年以降の2%台へと低下してきた。

シェール革命は、米国の潜在成長率を下げ止るだけでなく、反転させることになるだろう。


 シェール層の開発で先行するカナダ国境地帯では失業率が1%以下の地域もある。

シェール層でのガスや油の生産がさらに軌道に乗りエネルギー輸出が本格化すれば、対外バランスも好転する。

実需の拡大は、緩和した金融を吸収してくれる。

 
 目先、米国は国民不在で対立を深める議会のせいで、歳出一律自動削減措置の段取りに振り回されざるを得ないが、シェール革命というボナンザ(大幸運)を起爆剤に、米経済の腰が定まれば、世界経済が中期的に回復し、日本の輸出環境にプラスになる。

円高の自動修正にもつながる。

 この「外からの矢」が、3本の矢以上に、日本経済の再生の好材料になることがはっきりしてきた。

(一礫)

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日経新聞 国際「フランス、アフリカ諸国と連携強める」=インフラ・権益、中国と競合=

2013年03月31日 06時48分08秒 | 国際
日経新聞 2013年3月30日(土) P.8 国際1面
『仏、アフリカと連携強める』=成長取り込み、官民一体で=

『インフラ・権益、中国と競合』

 フランスがアフリカ各国との経済協力を拡大している。

政府支援のもと、鉄道や道路、発電所などのインフラ輸出が柱。

欧州危機で仏景気が低迷する中、旧宗主国としての歴史的なつながりも生かしながらアフリカ経済の勢いを取り込む狙いだ。

アフリカでの存在感を増す中国勢と競り合う場面も増え、警戒感も強まっている。


 仏エネルギー大手GDSスエズは2月にモロッコ南部でアフリカ最大級の風力発電所を建設すると発表した。

電力需要が毎年6%のペースで伸びるモロッコの「急成長市場での事業を拡大する」(メストラレ最高経営責任者=CEO)方針だ。

 重電・鉄道大手のアルストムは南アフリカの郊外鉄道の更新事業への参画を決定。

受注額は45億ユーロで、2015年からの10年間で3600台の車両を納入する。
同社は昨年12月にモロッコの路面電車も開通させた。

 ほかにも原子力大手アレバはニジェールでウランの権益を獲得。

石油大手トタルはガボンやアンゴラ、アルジェリアなどで原油・天然ガスの権益を確保している。


 フランスはサルコジ前大統領時代に地中海に面した国々との経済協力などを促す「地中海連合」を提唱、08年に合意した。

オランド大統領もアフリカとの新たな関係構築を打ち出すなど、近年のフランスはアフリカの経済成長を取り込もうと躍起になっている。

特に西・北アフリカはフランスの旧植民地で、多くの国でフランス語が公用語に採用されるなど結びつきが強い。


 国際通貨基金(IMF)によると、サハラ砂漠以南の地域(=サブサハラ)は毎年平均5%程度の経済成長が見込める。

経済成長を支えるには、電力や道路などのインフラ施設の拡充は不可欠で、企業には多くのビジネス機会がある。

 仏政府は貿易保険などで民間企業のアフリカ進出を後押し。

フランス税関によると、輸出と輸入を合わせたアフリカとの貿易額は11年で548億ユーロで、04年に比べると6割強増えた。


 アルジェリアの邦人人質事件や仏軍によるマリへの軍事介入で、仏企業は安全確保の対策を迫られる。

アレバやトタルはアフリカの自社施設の警備を強化した。

それでもアフリカへの投資意欲は旺盛で、民間機関によると13年のアルジェリアへの投資を増やすと答えた仏企業は全体の約8割にのぼった。

 一方、中国は昨年10月、ナイジェリアなど15ヵ国でつくる西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)と経済交流に関する協定を締結。

インフラ整備などの協力を進めることで一致した。

西アフリカの高速道路に巨額の資金供与をするほか、国営企業が西アフリカ沖の石油権益の獲得を決めた。

 モスコビシ仏経済財政相は「アフリカでますます大きくなる中国の影響力に、仏企業は勝たなければならない」と警戒する。

旧植民地でのフランスの影響力の低下を懸念する声もある。

(パリ=竹内康雄記者)

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日経新聞 政治「停止原発の維持コスト、年1.2兆円」

2013年03月30日 11時37分10秒 | 政治
日経新聞 2013年3月29日(金) P.5 経済面
『原発維持コスト 年1.2兆円』=経産省が試算=

『再稼働遅れ経営に響く』

 経済産業省は28日、電力9社の原子力発電所がすべて停止していても、維持管理費として計1兆2000億円のコストがかかると試算した。

原発の再稼働が遅れるほど、電力の経営に影響が出ることが改めて示された。

 脱原発を訴える超党派の議員連盟「原発ゼロの会」の会合で公表した。
試算は原発を持たない沖縄電力を除く9電力の2011年度決算を基に算出した。

原発の運転には減価償却費や人件費、固定資産税などが合計1兆5000億円かかる。

 このうち原発を止めると浮く費用は、使用済み核燃料の再処理コストや燃料費などの計3000億円。
差し引きで停止中も1兆2000億円の費用負担になると試算した。


 原発の維持管理費は電気料金の原価に含まれる。
原子力規制委員会は7月に新しい安全基準を導入して順次、原発の安全性を審査する。

電力各社は新基準に沿った安全投資を迫られるため、13年度の維持管理費はさらに膨らむ公算が大きい。
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日経新聞 経済「防衛省の通信衛星、PFIで調達」

2013年03月30日 11時18分28秒 | 経済
日経新聞 2013年3月29日(金) 1面
『775億円、PFIで調達』=防衛省の通信衛星=
 
『3メガ・政投銀が融資』

 みずほフィナンシャルグループなど3メガ銀行と日本政策投資銀行は、防衛省が使う通信衛星向けに総額775億円をPFI(民間資金を活用した社会資本整備)方式で融資する。

尖閣諸島周辺の海上警備や弾道ミサイル防衛などの課題が増えている。

防衛費を大きく増やすことは難しいため、民間資金を利用して衛星を早期に立ち上げ情報収集力を高める。


 通信衛星は自衛隊の活動状況を統合幕僚監部が把握するのに使う。
周辺海域で有事があれば、艦船や航空機に優先的に通信帯域を割り当てリアルタイムに動画情報をやり取りする。

大規模災害時には救助活動に役立てる。


 防衛省はこれまで衛星を持たず、スカパーJSATホールディングスの衛星3基を借りて通信網を確保していた。

そのうち2基が2015年度に耐用年数を迎えるのに合わせ、自前の衛星を2基確保して、有事に機動的に使えるようにする。

15年に1号機、17年に2号機を打ち上げる予定。

総事業費は1220億円と国内のPFI案件では最大級となる。
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日経新聞 社会「太陽電池に耐久性基準」=一部輸入品で性能劣化=

2013年03月30日 07時35分57秒 | 社会
日経新聞 2013年3月29日(金) P.2 総合1面
『太陽電池に耐久性基準』=メガソーラー普及で経産省=

『一部輸入品で性能劣化』

 経済産業省はメガソーラーなどに使われる太陽電池に耐久性基準を新設する。

中国など一部の新興国からの輸入品を中心に、使用中に発電性能が急激に悪化する製品が出回っているためだ。

高温や多湿といった環境下での発電能力に一定基準を設け、来年前半にも日本工業規格(JIS)として導入する。


 太陽光発電は再生可能エネルギーの柱として期待されている。
発電した電力を電力会社が固定価格で買い取る制度が始まり、参入企業が相次いでいるが、国内で流通している太陽電池の品質に一部問題が生じていた。

 具体的にはメガソーラーなど高い電圧がかかる状態で太陽電池が風雨にさらされると、急激に出力が低下し、発電性能が落ちる場合がある。

再生エネが普及するドイツの研究機関もこの現象を問題視する報告を出し、発電事業者の間で対策を求める声が出ていた。

 出力が下がる原因は太陽電池の耐久性能不足にあることが確実視されている。
中国など一部の新興国の製品には、コスト削減のため不十分な機能で市場に出回るものがある。

パナソニックや京セラなど国内主要メーカーでは、独自に耐久性のテストを実施しているところもある。

 経産省はこうした状況を踏まえ、耐久性の基準を作る。
高温多湿の部屋などに太陽電池を数十時間置き、発電性能が悪化するかどうかを確認する。

合格するには気密性が高く、劣化しにくい素材を使う必要があり、一部の新興国製は基準を満たさない可能性がある。

 性能が確認できれば、メーカーは「JIS適合製品」として国内市場で販売できる。
耐久性能の高い日本製品のシェア拡大が期待されるが、同時に海外製品の差別につながらないよう、輸入品と国内品との間で基準に差は設けない。


 固定価格買い取り制度の導入で、太陽光発電の買い取り価格は2012年度、1キロワット時あたり42円と比較的高めに設定された。

このため国内で太陽光発電設備の市場が急拡大している。
メガソーラーなど非住宅の太陽光発電設備は昨年末時点で累積で約100万キロワットに達しており、前年度末に比べ1.3倍の規模に膨らんだ。


 一方、中国の太陽電池大手、尚徳電力(サンテックパワー)が事実上の経営破たんに追い込まれるなど、コスト引き下げ競争は世界的に激しくなっている。

 経産省の規格導入は品質を度外視したグローバルな価格競争を避け、国内の太陽電池の品質を一定レベル以上に維持する狙いがある。
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日経新聞 経済「ゴールドラッシュの町・宇多津町」

2013年03月30日 07時02分25秒 | 経済
日経新聞 2013年3月29日(金) P.2 総合1面
連載『迫真』=マネー解凍 ④=

『ゴールドラッシュの町』

 都道府県で最も狭い香川。

その中で面積が約8平方キロメートルと最も小さい町、宇多津町がゴールドに沸き立っている。

 瀬戸内海を望む田園風景を走る国道脇にぽつんと1軒の店が建つ。
貴金属を買い取る店「エコリッチ」。

「また来たんよ。 これ、なんぼになるかなあ」。
2月下旬、軽自動車から降りて店に入るなり、中西好子(61)はバッグの中身をカウンターのうえに広げ始めた。

 金やプラチナの指輪にネックレス、その数は30点余り。
「また随分、持ってきたねえ」。

店長の宮本和子(52)は慣れた手つきで仕分けし、測定器で素材と重さを調べ始めた。

 「14金が多いけど、合計117グラム、25万5400円。 買い取ろうか」。
宮本の言葉に、中西は笑顔でうなずいた。

「また孫娘とおいしい物を食べに行けるわ。 店の前に出てる金価格(1グラム)が5000円を超えたからチャンスや思うとったんよ」


 人口2万人足らずの町で、2月の貴金属の買い取り額は500万円を超えた。
「アベノミクス様々。 こんなのは自分の会社の実力じゃない」。

店を経営する共同回収(香川県三豊市)の代表、柴田正規(37)は恐縮する。
今年に入り、県内に展開する7店舗の買い取り額は前年比3倍に膨らんだ。

 にわかに起きたブームの発生源は金の高騰。
ドル建ての金の国際価格は一進一退が続くが、急激な円安を受けて円建ての国内価格だけが突出して上昇。

32年ぶりの高値圏での取引が続く。

 柴田は地元客の心理を代弁する。
「多くは60代前後の女性。 貴金属を売ったお金で新しいバッグを買ったり、旅行に出かけたり。 地方でもアベノミクスで景気が良くなる期待が膨らみ、少しぐらいぜいたくしたいという気持ちが芽生えてきた」


 人気サッカー選手、メッシの「黄金の左足」を純金で再現した田中貴金属ジュエリー。
6日に1個限定、約5億円で発売を発表すると、問い合わせが殺到した。

銀座の旗艦店をはじめとして客が連日押し寄せる。

 金の国際価格が最高値を付けた2011年夏にも店頭に大行列ができたが、今回は少し様子が違う。

前回は宝飾品の買い取りで換金を求める人ばかりだったのに、「3割が新たに金を買い求める」現物志向も浮かぶ。

古来最も確実な資産とされてきた金に群がる姿に、投資家の防衛本能がにじむ。
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日経新聞 海外メディア「イラク戦争は何だったのか」

2013年03月29日 10時58分07秒 | 海外メディア
日経新聞 2013年3月24日(日) P.13 日曜に考える面
連載コラム『海外メディア』

『イラク戦争は何だったのか』

 イラクへの米軍の侵攻から20日で10年になった。

シリアの内戦、イランの核など、中東は今も「火薬庫」のままだ。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(20日付)社説によれば、イラク戦争で4500人近い米兵が戦死、3万人以上が負傷、作戦遂行や復興に2兆ドル(約188兆円)以上を投じて財政赤字を増やし米国のリーダーシップと力の限界を知らされた。

10万人を超す犠牲者を出したイラクは、イランの影響力が増し「アラブの春」の地域の混乱にも揺さぶられている。


 ブッシュ(子)政権は、アラブ世界の民主化と安定の模範となる「自由で平和なイラク」を約束したが、現実はスンニ派とシーア派、アラブ人とクルド人の緊張が深刻化、内戦や国家分裂の恐れもはらむ。

思想的に操(あやつ)られた(CIAによる)誤った情報に基づく犠牲の多い不必要な戦争だった、とする。


 同紙はテロ問題の専門家ジェシカ・スターン氏の寄稿も掲載。

ブッシュ前大統領がテロとの戦争の主戦場としたイラクが、皮肉にもテロリスト養成の国際学校になっていたと指摘する。

この10年ほどイラクでの実戦で自爆攻撃、自動車爆弾などのテロ技術を磨き上げたスンニ派戦士が育ち近年シリアをはじめ紛争地での活動を活発化させている。


 戦争の”民営化”にメスを入れたのは英紙フィナンシャル・タイムズ(19日付)。

独自調査で、米政府は民間警備や後方支援、復興工事などで少なくとも1380億ドルを民間契約者に支払ったと推計。

上位10社の企業名と契約高をグラフで表示している。

1位はブッシュ政権のチェイニー副大統領が就任前に最高経営責任者を務めたハリバートン社の元子会社KBR社。

 産油国としてのイラクの存在感は増す。

国際エネルギー機関(IEA)の予測では2035年には日産830万バレル、35年までの世界の産油増の45%を同国が担う。

その行方は主な輸出先となるアジアの安全保障とも密接に関わる。

(本社コラムニスト 土谷英夫)

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日経新聞 インターネット「中国、SNS急拡大を警戒」=政府の情報統制も難しく=

2013年03月29日 09時52分31秒 | インターネット
日経新聞 2013年3月23日(土) P.7 国際2面
『中国、SNS急拡大を警戒』

『通信、収益に影響』=政府の情報統制も難しく=

 中国で交流サイト(SNS)の利用者が拡大し、中国移動など通信大手が警戒感を強めている。

インターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント、広東省)のスマホ向けSNSが2年で3億人もの利用者を獲得するなど主要な情報・交流手段に急成長。

通信大手が手掛けてきた携帯電話メールや音声通話の収益機会を奪っている。

SNSの急拡大は中国政府の情報統制も難しくするなど社会への影響も大きい。


 通信大手が特に警戒するのは騰訊のスマホ向けSNS「微信」は、文章や画像、音声メッセージなどを手軽にやり取りできるサービス。

2011年1月のソフト配布開始後、利用者は中国国内を中心に加速度的に増え、12年9月に2億人、13年1月に3億人に達した。

 微信の利用には通信料がかかるが、通信会社の収入は自社で手掛ける「短信」と呼ぶ携帯メールに比べてはるかに少ない。

中国移動の李躍・最高経営責任者(CEO)は14日の12年通期の決算発表記者会見で「短信なら100元(約1520円)を得るはずのところが、微信なら数元しかない」と明かした。


 微信などのSNS拡大で通信会社の音声通話事業も影響を受ける。
中国移動は12年の加入件数が前年比9%増となったが、同事業の売上高は1%増どまり。
  
通信会社は巨額のインフラ投資を背負う一方、収益がネット企業に流れることに不満で政府に相談を持ちかけたと伝えられる。

 一方、騰訊側は新たな負担増につながることを警戒し、通信会社側からの敵視を避けるのに躍起だ。

馬化騰CEOは20日の決算発表記者会見で、ネット関連のサービスが通信網の利用拡大につながることを指摘し、「通信会社とは協力、共栄の関係だ」と強調した。


 中国政府は既存の通信会社の設備を利用した通信事業の新規参入を認める考えで、騰訊はその有力候補とみられてきた。

だが馬氏は会見で「騰訊は参入しない。 われわれの態度は明確だ」と完全否定し、通信会社との衝突をできるだけ避ける姿勢を鮮明にした。


 騰訊はもともとパソコンなど向けのSNS「QQ」で膨大な利用者をつかみ、オンラインゲームやネット広告、電子商取引など幅広い事業で収入を得ていた。

12年通年の売上高は前年比54%増と急成長を続け、営業利益は売上高が5倍超の中国聯合網絡通信を上回る高収益体質を保つ。

 携帯電話でも使える「QQ」の利用者増は今も続き、12年末に7億9820万人に達した。


 他のSNSでは「微博(ウェイボ)」と呼ばれるミニブログの成長も続き、新浪(上海市)のサービス利用者数は12年末に5億人を突破。

中国では「微信」と「微博」の頭文字をとって「2つの『微』が通信会社を圧迫している」といわれる。


 SNSの拡大に頭を悩ませるのは通信会社だけではない。
微信やQQは住民の抗議活動や労働者のストライキの呼びかけに使われる。

週刊誌「南方週末」の改ざん問題や広東省上浦村民などの抗議活動では、新浪などのミニブログが外部への発信手段となった。

 ブログは書き込みが転送ですぐに拡散。
当局の削除が追いつかない場面が目立つ。

SNSとどう向き合うかは「習近平国家主席ー利克強首相」の新体制の大きな課題だ。

(広州=桑原健記者)



『大手、利用水準なお高く』

 交流サイト(SNS)による収益への影響を最も強く受けているのが中国通信最大手の中国移動だ。

実際、2012年12月期決算の収入は前の期比6%増にとどまり、本業のもうけを示す営業利益は1%減った。
しかし、利益の水準はなお高い。

 中国移動の携帯電話の加入件数は前期末で7億1千万件と世界最大だが、日本ではすでにサービスを終了している旧式の第2世代(2G)の比率がまだ9割近くを占める。

3社の中で唯一、米アップルのスマートフォン「iPhone」を導入できておらず、収入全体でのデータ収入の比率は3割弱と、音声収入の伸びの鈍化を補い切れていない。

端末の値引き販売経費などが重なり営業減益となった。


 重要な指標である1人あたり平均月間収入(ARPU)は68元と4%減。
中国聯合網絡通信、中国電信のARPUがともに上昇する中、中国移動だけ低下が続く。


 しかし、中国移動の純利益は1292億7400万元と円換算で2兆円弱だ。
NTT、KDDI、ソフトバンクの12年3月期の純利益の単純合計のざっと2倍。

現預金残高も前期末で4029億元と6兆円を超える。

 中国政府の情報統制の一翼も担う同社が経営危機に陥ることはまずない。
むしろ寡占体制下での「もうけすぎ」批判の矛先をかわす材料としてSNSの「脅威」を強調しているとも受け取れる。

●中国通信大手3社と騰訊控股の業績
 (社名) (収入、億元、%)  (加入件数・万件)
中国移動  5、604 (6)   71,030
中国電信  2,830(16)   16,062
中国聯通  2,489(19)   23,931

騰訊控股    438(54) QQ:79,820 
                微信:約30,000

(香港=川瀬憲司記者)
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日経新聞 インターネット「情報源 特定図る」=米メディアに中国サイバー攻撃=

2013年03月29日 09時24分41秒 | インターネット
日経新聞 2013年2月16日(土) P.9 国際面
『米メディアに中国サイバー攻撃』

『情報源 特定図る』=米情報セキュリティ企業 ベイトリック氏に聞く=
「素早い発見へ対策を」

  米メディアを狙った中国からとみられるサイバー攻撃が相次いでいる。

最初に被害を報じたニューヨーク・タイムズの対策にかかわった米情報セキュリティ会社マンディアントのリチャード・ベイトリック最高セキュリティ責任者(CSO)に、攻撃の狙いや対策を聞いた。

ーーNYタイムズへの攻撃が中国のハッカー集団によるものと判断した根拠は。
 「当社は2004年の創業当初から、この手のハッカー集団を追跡してきた。

今回の攻撃は使われたIPアドレスやツール、手口、そして盗もうとした情報の種類などから、我々が社内で『APTナンバー12』と呼ぶ中国のハッカー集団の特徴と完全に一致した。

今回の件を捜査している米連邦捜査局(FBI)も独自の分析の結果、同じ結論に達している」

ーー中国のハッカーの特徴は。
 「彼らは非常に攻撃的で、いったん撃退してもすぐに再侵入を試みる。

ロシアのハッカーが撃退されるといったん引き下がって、忘れた頃に再び攻撃してくるのとは対照的だ。

もう一つの特徴は、同じ手口を繰り返し使う傾向があること。

ロシアのハッカーは新しい手法を編み出してくることが多いという意味で、より巧妙といえる」

ーー米メディアを攻撃する狙いは何か。
 「攻撃は5年ほど前から断続的に続いている。

彼らの狙いは3つあるとみている。
1つは西側メディアの中国報道の中身を把握すること。

2つ目は西側メディアに話をしている(中国内外の)情報源を突き止めること。
3つ目は反体制派の動きをつかみ、対処することだ」

ーーどうすればリスクを減らせるのか。
 「侵入された場合、ハッカー集団は社内のすべてのコンピューターにアクセスできると考えなければならない。

従って、まずは全社的にコンピューターのパスワードを再設定する。

もちろん、侵入したハッカーを追い出してからでないと、せっかく再設定してもまたパスワードを盗まれる。

ハッカーが侵入経路として使ったコンピューターは処分しなければならない」


 「ハッカーの侵入をどうやって防ぐかという発想ではなく、侵入したハッカーをどれだけ素早く見つけ出すかという発想で対策を講じることが重要だ」

ーーメディア特有の弱点はあるのか。
 「1つあるとすれば、職業柄、見知らぬ相手と接触することが多い点だろう。

知らない人物から『記事になる情報がある』というメールが届き、文書やリンクが添付されていた場合、記者は文書を開いたりリンクをクリックしたりする。

ハッカーがそのコンピューターを乗っ取るには、そのワンクリックで十分だからだ」

(聞き手はニューヨーク=小川義也記者)




『マンディアント』
 2004年設立の米情報セキュリティ会社。

経営陣には国防総省や米空軍、ゼネラル・エレクトリック(GE)、AOLなどのOBが名を連ねる。

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日経新聞 インターネット「システム開発異変 (下)」=顧客自らソフト作成=

2013年03月29日 06時50分40秒 | インターネット
日経新聞 2013年2月22日(金) P.11 企業1面
連載『システム開発異変 (下)』

『顧客自らソフト作成』=IT各社、手法の転換急ぐ=

 1865年創業、かまぼこの老舗(しにせ)として知られる鈴廣蒲鉾(かまぼこ)本店(神奈川県小田原市)。

グループでレストラン、オンラインショッピングなどを手掛ける同社は、IT(情報技術)業界で知る人ぞ知るシステム活用の先進企業だ。

『部員5人で運用』
 生産・販売管理、会計、ネット通販までグループ全体で約20の情報システムを持つ。

以前は国内IT大手にシステム開発を委託していたが、2010年から5人の情報システム部員で開発・運用のすべてをこなす。

 「グループ各社のニーズにいち早く答えるにはIT企業に頼んでいては間に合わない」。
吉田敏之情報システム部長はこう話す。


 自前開発の秘密は大学の教授が創業したウルグアイのIT企業、アルテッチ社の自動開発ツール「ジェネクサス」だ。

例えば伝票処理なら各項目をどう計算し結果をどう表示するかといった設計情報を入力すると、パソコンで使う伝票処理ソフトやデータベースが自動で出来上がる。

 専門のIT企業が作るシステムに比べ画面のデザインや使い勝手は劣るものの「必要な機能を満たせば十分」(吉田部長)。

使いこなすには一定のプログラミング技術が必要だが、同ツールの導入で年間約4千万円あったIT企業への開発委託費をゼロにした。


 顧客企業が情報システム開発に求めるスピードは高まる一方。
自動開発ツールを使う顧客は今後増えていく見通し。

米国など海外のIT企業もクラウドや汎用ソフトを駆使してシステムを短期間で構築、日本市場を攻める。

国内IT各社が得意としてきた一から作り上げる専用システムを求める顧客は減りつつある。


 「使い勝手のいいシステムにニーズはある。 顧客が求めるスピードにどうこたえるかが競争力になる」(NTTデータの岩本敏男社長)。

NTTデータはマレーシアの拠点で日系企業から請け負ったシステムに新たな手法を取り入れた。

「アジャイル(迅速)開発」と呼ばれる手法だ。

 従来のように数十人以上の技術者がシステム全体の設計・プログラム・テストを順番にこなして作り上げるのではなく、システムをいくつかのブロックに分け、それぞれ5~6人のチームが数週間~1ヵ月で完成させる。

開発中に修正が発生しても必要なブロックだけを直せば済むため影響がシステム全体に及ばず、納期の短縮につながる仕組みだ。

『専門人材を育成』
 NTTデータは昨秋、インドにアジャイル開発の人材育成施設を開設した。

15年3月までに同社の連結ベースの従業員の1割にあたる5千人の専門技術者を全世界に配置する。

海外のプロジェクトでも素早く応える体制を整え、米IT大手に対抗する。


 富士通も社内システムと外販用ソフトの作成にアジャイル開発を取り入れ、新手法のスキルを磨く。

自社開発の自動作成ツールや汎用ソフトも活用し、開発期間を短縮する計画だ。


 過去、システム会社に開発を任せきりにすることが多かった企業。

日本情報システム・ユーザー協会顧問の細川泰秀氏は「稼げるシステムを作るには開発に関わる必要があると企業は気づき始めた」と話す。

顧客の変化にどう対応するか、IT各社が試されている。

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