日経新聞 社会「原発ゼロのリスク」

2012年10月31日 19時20分51秒 | 社会
日経新聞 2012年10月29日(月) P.27 
経済教室 連載『時事解析』=原発ゼロのリスク=「倍増する家計負担 ①」   

 政府が、2030年代に原子力発電所の稼動ゼロを目指す「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめた。 

発電量全体に占める原発の比率は、東京電力福島第1原発の事故前の10年時点で26%。 

これがゼロになれば、国民生活や経済活動に大きな影響を及ぼすのは必至だ。 「原発ゼロ」に潜むリスクを探ってみた。   

 再生可能エネルギーのコストなどにもよるが、政府のエネルギー・環境会議の試算では、30年時点で原発ゼロにすれば、

仮定の光熱費負担は最大で3万2243円と、10年実績の約2倍となる。   

 原発に比べて発電単価の高い再生可能エネルギー導入や、原油など化石燃料の利用を増やさなければならないためだ。

30年時点で原発比率が15%となる場合に比べ、ゼロでは国内総生産(GDP)を最大15兆円押し下げ、46万人の雇用が失われる。   

 ほとんどの原発の稼動停止による経済への影響は既に表れている。原発を代替する火力発電用の原油や天然ガスの輸入増大で、燃料費は年間3兆円増える。

日本エネルギー経済研究所によると、火力による原発代替が続いた場合、20年までに累計24兆円が燃料費として日本から流出する。   

 燃料費負担は電力会社の収益を圧迫し、電気料金の引き上げが現実味を増している。 

国富の流出は「貿易・経常収支を悪化させ、企業収益や活動の低下は雇用環境を悪化させる」(日本エネルギー経済研究所の豊田正和理事長)。 

中東での紛争などにより、原油や天然ガスの供給が途絶した場合の影響も大きくなる。 《編集委員松尾博文」》  
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日経新聞 健康「人間ドック:『基準範囲』をもとに病気を疑う」

2012年10月30日 19時17分15秒 | 健康
日経新聞 2012年7月22日(日) P.14 健康面 
連載『人間ドック ③』=「基準範囲」もとに病気疑う=   

 人間ドックでも健康診断同様にある数値「基準範囲」をもとに病気の疑いがあるかどうかなどを決めています。  

 基準範囲は医学的に健康と思われる人を一定数以上集めて検査し、その数値の上位と下位からそれぞれ2.5%ずつを除いた数値の幅を意味します。  

100人いたら95人が当てはまる数値といえます。   

 ただ、基準範囲から外れているからといって、直ちに薬などで治療を始めなければならないわけではありません。  

例えば血圧だと、最高が120以下、最低が80以下に収まるのが理想と考えています。  

最高が140~149、最低が90~94だった場合、生活習慣を見直すよう指導します。 

3ヵ月間続けても数値が改善しなければ、病院に行くよう助言します。  

最高血圧が、160以上の人には、この両方を勧めます。   

 範囲内でも、まったく病気がないとは限りません。 例えば肝硬変などは、病気の初期では検査数値に表れないこともあります。 

その場合、家族の病歴、飲酒や喫煙の状況、過去の病歴などを医師が問診し、総合的に判断する必要があります。  

 このほか、精密検査を受けるように伝える「指示率」という指標があります。  これは全国平均で7%程度です。 

 ただ、実際に精密検査を受ける人は半数ほどだといわれています。 

 回答者:三井記念病院総合健診センター所長 山門 実
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日経新聞 経営「中高年正社員を守るため若年層を犠牲にする日本型経営」

2012年10月29日 19時10分16秒 | 経営
日経新聞 2012年9月14日(金) P.1 
特集連載『働けない若者の危機』=第2部 既得権益の壁 ①=「過保護に慣れた正社員」

 若者の就職難の裏側には正社員ら既得権を持つ年長者がいる。
若い層にだけ重荷を負わせる仕組みは持続しない。 

痛みを分け合う工夫が要る。   

 派遣社員として3年間勤めた食品会社から5月に契約を打ち切られた安永美佐子(仮名、26)。 

派遣先の上司が送別会でささやいた言葉が忘れられない。
「正社員は切れないんだ。 申し訳ない」  

『厳格な解雇規制』 
 社員食堂が使えず、自分だけロッカーもなかったが、正社員以上に働いた。 

「頑張っても真っ先に切られることがよく分かった」とつぶやく。   
 学校を出た15~34歳の2割が契約社員など非正規で働き、なかなか抜け出せない。 

60歳まで雇用が保障され、年功賃金の恩恵を受ける大企業正社員との格差は大きい。    

 (日本経済が毎年拡大していた成長期には=)正社員の長期雇用は、日本企業の競争力の源泉だった。 

時間をかけて育てた人材は組織への忠誠を強め、「カイゼン」など生産効率上昇を担う。 

だが(デフレ経済下で企業活動の縮小が常態化すると=)企業が新規採用を続ける余裕を失い、負の側面が目立ち始めている。   

 「若者の雇用のため、もっとできることがある」。

 経済協力開発機構(OECD)は日本の正社員と非正規の格差を問題視し、何度も改革を促してきた。 

4月の提言では正社員の雇用保護を緩めるよう求めた。   

 OECDによると、日本の正社員の解雇規制は加盟する(先進国が中心の=)34カ国で最も厳しい。 

民法上は「解雇の自由」があるが、過去の判例が企業をしばる。 
会社存続の危機でなければ不当解雇になる。   

解雇の前に新規採用を抑え、非正規労働者を削減するよう義務付けてもいる。

 
業績が悪化すると、中高年正社員を守るために、若年層を犠牲にする構図が浮かび上がる。   

 「会社が働かない中高年を何とかして、後輩を採ってくれたら僕も辞めなかったかもしれない」。

2月にNECから外資系に転職した川島直人(仮名、30)は振り返る。  

 ここ数年は業績悪化で「目標を超える成果をあげてもボーナスが下がった」。 
一方でパソコンで時間をつぶす50歳代は安泰に見え、「会社の先行きが不安になった」。   

 若者の苦境が行き着く先。 
それは25歳未満の失業率が50%を越えるスペインかもしれない。   

 マドリード市在住で医師資格を持つマルチン・モレノ(27)は国内での職探しを断念し、英国に渡ることを決めた。 

高学歴・高技能の若者が職を求めて流出し、経済の活力は低下している。   

 原因の一端は解雇規制にあった。 
「人員整理のコストが膨大で、企業は採用に消極的」(スペイン経団連幹部)。 

今年、改革に踏み切るまで、解雇する社員への補償金は欧州連合(EU)平均より3~4割高かった。  

『北欧に処方箋』
 事態への処方箋も欧州に見ることができる。 

 デンマークの解雇規制はOECD加盟国で最も緩いが、失業率は14%とEU平均(22.5%)より低い。 

情報技術や外国語など数千種類の職業訓練で技能を高め、速やかな再就職につなげる。   

 柔軟な労働市場と手厚い失業対策を組み合わせた「フレキシキュリティ」と呼ぶ政策で、衰退産業から成長産業へ人材を移す。 

「転職や失業を恐れる若者は少ない」(デンマーク労働総同盟)  

 日本が正社員への過保護を続ければ、若者のチャンスはさらに減り、中高年は衰退産業にたまっていく。 

人材の目詰まりを防ぎ、スペイン化を避けるために、正社員の既得権をどこまで守るべきか検証し直す時期にきている。

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日経新聞 続報/法務・犯罪「パソコン遠隔操作事件」

2012年10月29日 19時02分47秒 | 法務・犯罪
2012年10月21日(日) 社会面 
連載『誤算』=遠隔操作事件 (下)
=「海外経由が障壁に」~「公開捜査」求める声も~  

 パソコン遠隔操作事件の合同捜査本部がある警視庁の会議室。 

捜査員が深夜まで、通信履歴とパソコンに残ったデータの照合やウイルスの感染源などの追跡を続ける。   

 警視庁、大阪府警、三重、神奈川両県警から140人を投入、真犯人の特定に全力を挙げる。 

異例の態勢は、遠隔操作という新たな手口に対応できず4人を誤認逮捕した警察の衝撃の大きさを物語る。   

 「威信をかけた捜査」 「警察の失地回復を図る」。 

警察幹部の言葉とは裏腹に、想定外の巧妙な遠隔操作で警察を陥れた真犯人特定までのハードルは高い。 

警視庁幹部も「人海戦術で聞き込みや証拠集めを強化できる殺人事件の捜査とは違う」と漏らす。   

 サイバー空間に国境はない。 この利便性が捜査の壁となって立ちはだかる。 

「海外サーバーを経由すれば、発信元の特定は不可能というのが定説になってしまった」。 捜査幹部は苦々しげに打ち明ける。  

 真犯人が使ったのは、海外の複数の国にサーバーを自動的に経由させる「Tor(注①)」と呼ばれる暗号化ソフト。 

世界中から無作為に複数のサーバーに転送させることで、発信元の特定を妨げる。   

 Torの存在が知れ渡ったのは今から2年前。 警視庁公安部の内部文書と見られる国際テロの捜査情報流出事件だった。 

同庁は欧米など約50カ国に捜査協力を要請。 だが今もなお、発進元は特定できていない。   

 海外サーバー捜査では必ずしも相手国の協力を得られるわけではない。 

通信履歴も暗号化されるため、真犯人を特定することは困難との見方が支配的だ。   

 大手セキュリティー社「ラック」(東京)の西本逸郎専務理事は「今回の事件でも全ての遠隔操作にTorが使われたと見られ、本当の発信源には事実上、たどり着けない」と指摘する。   

 三菱重工業や衆参両院などを狙った標的型ウイルス、国際的なハッカー集団「アノニマス」のサイバー攻撃ーー。 

Torの使用は不明だが、海外サーバーを経由しているという点では共通している。 ともに容疑者検挙には至っていない。   

 真犯人を特定するために突破口はあるのか。 捜査当局が注目するのは犯行声明メールだ。 

遠隔操作で閲覧した画面や捜査マニュアルなど複数のヒントを残している外、過去のインターネット掲示板の書き込みなどと文章表現が酷似していれば、真犯人に結びつく可能性はある。   

 捜査幹部は「ネットを舞台にしているといえども人間の犯罪。 どこかにほころびがあると信じて解析を進める」と期待を込める。 

これに対し西本専務理事は「犯人像を絞り込んで書き込みの内容や癖を列挙し、ネットユーザーからの情報提供を求める”公開捜査”など新しい捜査手法が必要」と提案する。   

今回の目的は犯行予告だったが、遠隔操作ウイルスで他人になりすます手口は様々な危険をはらむ。 

 サイバー空間という日常の安全をいかに守るか。 捜査手法の抜本的な見直しが迫られている。  

ことば:
(注①):
暗号化スフト「Tor」は「ザ・オニオン・ルーター」の略称で、

タマネギの皮のように何重にも暗号をかけた上で、世界中のサーバーなどを経由させて送信する技術だ。 無料でダウンロードできるという。         


日経新聞 2012年10月28日(日) 社会面 
連載『検証』 =「正義のハッカー」育成急務=
「ネット犯罪摘発のカギ 政府・企業に危機感」
   

 ネット犯罪が市民生活の「脅威」となる中、高い技術を駆使して犯罪者に対処できる人材「正義のハッカー」の育成は急務だ。   

「Hacker・ハッカー」は英語で本来コンピューターに関する知識や技術に精通した人を指す。 

海外では国が主導して、外部からのサイバー攻撃を防御する人材を育成、政府や捜査機関で活躍しているという。   

 日本では人材育成・登用がほとんど進まなかった。 

 背景には、他人のコンピューターに侵入し、情報を抜き取るなど「ハッカー=悪」のイメージが付きまとい、ハッカ-を育てる環境が整っていなかったことがある。 

 「国が犯罪者を育てるのか」などの批判が起こり、2003年、高校生向けのハッカー大会の開催を断念したこともあったという。   

 今年に入り、経済産業省や民間のセキュリティー会社は人材養成に乗り出した。 

11月に開催する社会人向けハッカー大会「CTFチャレンジジャパン」は初の国主宰。 来年2月の本戦では暗号解読、サイバー攻撃の手法など技術を競う。 

想定するのは、将来、官公庁や民間会社で活躍できる人材の輩出だ。   

 国が人材育成にかじを切ったのは、サイバー攻撃が市民生活を脅かすという危機感がある。 

 米国の大手セキュリティー会社「シマンテック」によると、同社が11年に遮断した悪質なサイバー攻撃は全世界で前年比約81%増の約55億件に上る。  

 暗躍するネット犯罪者に立ち向かえる人材をどう育て、脅威から守っていくのか。 

 セキュリティー会社「ディアイティ」(東京)の青嶋信仁・セキュリティサービス事業部長は「人材不足への国の危機意識は低く、サイバー攻撃の脅威に立ち向かえない状況。 

 国は人材育成の態勢づくりを急ぐべきだ」と指摘する。
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日経新聞 経営「もし今日が最後の日だとしたら・・」ジョブズ氏

2012年10月27日 18時57分15秒 | 経営
日経新聞 2012年10月22日(月) P.11 企業面 
連載コラム『経営の視点』=「守り」を恥じた孫社長=   

 10月5日の午後8時58分、ソフトバンクの孫正義社長はツイッターでつぶやいた。 
「少し守りに入りかけている己(おのれ)を恥じ入る。 もっと捨ててかからねば」.
   
 
 「守り」とは、どういう意味か。 
孫社長のツイッターを見ていた170万人のフォロワーは首をかしげたはずだ。 

なにせソフトバンクは4日前に国内携帯電話4位のイー・アクセスの買収を発表したばかり。 

株式交換だが時価に換算すれば1800億円の巨額買収だ。 十分に攻めているではないか。   

 10月10日の午後11時41分にはこうつぶやいた。 「目標が低すぎないか? 平凡な人生に満足していないか?」。 

米携帯電話3位のスプリント・ネクステルを買収するとの一報が流れたのは、翌日の11日だった。  

 英ボーダフォンの日本法人を買収したため2兆円を超えていた純有利子負債を「ゼロにする」と、宣言したのが2009年の春。 

それから3年で同負債は5000億円まで減った。 スプリントの買収を見送っても、誰も孫社長を責めはしなかっただろう。   

 「自分はよくやっているではないか」。 
現状に安住しそうな自分を叱ったのが5日のつぶやきだ。 

この日は孫社長が尊敬する米アップルの創業者、スティーブ・ジョブズ氏の命日でもあった。 

 ジョブズ氏は生前、「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定を私は本当にやりたいだろうか?」と自らに問いかけてから仕事に向かったという。   

日本テレコム、ボーダフォン日本法人、ウィルコムと、業績不振の3社を買収して立て直した孫社長だが、米企業であるスプリントの再建は勝手が違うかもしれない。 

1兆5700億円という買収金額も小さくない。 
それでも孫社長は踏み込んだ。   

 それは成長を希求してやまないある種の狂気だ。 

 「毎週テレビ会議を開き、毎月米国に行く」。 
米メディアからスプリント再建の方策を問われた孫社長はこう答えた。  

 飽くなき成長への欲望は、裏目に出れば会社を存亡の危機に追い込むかもしれない。 
だが、リスクを避ける「正気」が会社をむしばむこともある。 

 4期連続の赤字に苦しむソニーの幹部は、その原因を一言でこう言い表した「CFO(最高財務責任者)経営」。  

CFOが悪いという意味ではない。 
バブル経済の崩壊後は、どの会社でもリスクを管理するCFOの権限が強くなった。 

「投資はキャシュフローの範囲内で」 「手元資金は厚く」。 

リスクを避ける経営を続けた結果、多くの企業が成長の目を摘んでしまい、縮小均衡のアリ地獄にはまり込んだ。   

 「ビジネスはゲームだ。 そのゲームに勝つこと、これに勝る快感はない」と言ったのは米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ元最高経営責任者(CEO)。 

 彼はこうも言っている。 

「勝っている会社、そこに働く人々こそが、健全な経済をさえるエンジンだ。 彼らこそが自由で民主的な社会の礎(いしずえ)なのだ」   

 日本企業の多くが「勝つ快感」を忘れて久しい。 
日本経済のエンジンは冷えたままだ。 

責任は経営者にある。 

(編集委員 大西康之)

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日経新聞 社会「企業、官公庁の止まらぬ情報漏えい」

2012年10月26日 18時51分04秒 | 社会
日経新聞 2012年8月13日(月) P.30 社会面 
連載:フォローアップ『止まらぬ漏洩 「情報屋」暗躍』=企業・官公庁に協力者=「低い罪の意識 摘発”氷山の一角”」   

 企業や公官庁が管理する個人情報の漏洩事件が広がりをみせている。 

携帯電話の契約者情報やハローワークの職歴などが流出していたことが次々と判明。 

探偵業者に情報を流す「協力者」として現職の警察官も逮捕された。 

個人情報保護の流れの影で「闇のビジネス」が広がっている実態が明るみになってきた。   

 「出会い系サイトで知り合った女の子と連絡が取れなくなった。 探してくれないか」。 

7月、名古屋市内にある探偵事務所の電話が鳴った。   かけてきたのは40代と見られる男性会社員。 

「数回会っただけ」の女性が忘れられず、連絡先を調べてほしいという依頼だった。 

手がかりは女性のかっての勤務先と住所、名前だけだ。   

 費用などの条件面で折り合わず引き受けなかったが、業界歴20年以上と言う探偵事務所の代表者は「こうした依頼は日常茶飯事。 

真意は不明だが、犯罪目的というより人に言えない情事、金銭トラブルなどに絡んだケースが多い」という。   

「車をぶつけられたが警察が動いてくれない。 相手のナンバーで所有車を調べて」 「女性にカネを貸したが連絡が取れない。 携帯電話の番号しかしらない」・・・・・。 

中途採用者の情報を求める企業関係者からと見られる依頼もあるという。   

 こうした需要をくみ、暗躍しているのが「情報屋」と呼ばれる業者の存在だ。  

 「探偵のための探偵」ともいわれ、各地の探偵業者からの依頼をまとめ、企業や公的機関内部の「協力者」につながりを持つ業者経由で情報を入手する。   

 「ドコモ番号から契約者・住所 99%ルート 6万7000円」 「普通ナンバーから氏名・住所(2ルートあり) 2万2500円~」ーー。 

愛知県警が摘発した一連の事件に登場する県内の情報屋のチラシには、様々な個人情報がおおむね1週間以内で入手可能とうたわれている。   

各地の探偵業者は情報屋から買い取った個人情報に数万円程度を上乗せし、依頼者に渡す。   

 業界関係者によると、情報屋の存在が目立ち始めたのは数年ほど前から。 2005年に個人情報保護法が全面施行され、簡単に個人情報が入手しにくくなっていった。 

 別の業界関係者は「かっては『DMをだす』と市役所に行けば住所などを閲覧でき、借金などの情報も金融業者に聞けば検索できた」と明かす。  

 県警の調べでは、一連の事件に登場した愛知の情報屋の口座には07年からの4年間で客からとみられる入金が約8億5千万円あった。 

個人情報ビジネスのニーズは少なくないとみられ、県警幹部も「摘発したネットワークは氷山の一角」と明かす。   

 個人情報保護に詳しい堀部政男・一橋大学名誉教授(情報法)は「形のない『情報』を漏らす行為について、日本は欧米に比べ罪の意識が低い。 

法改正や個人情報の取扱いを監視する第三者機関の創設など、社会全体で個人情報を守る仕組みづくりの議論が必要だ」と話す。   

『戸籍・携帯契約者情報・・・・』=不正取得 手口明らかに=   
 愛知県警は昨秋以降、戸籍謄本や信用情報、携帯電話の契約者情報といった個人情報の不正取得を次々と摘発している。  

 事件の発端は2010年夏、暴力団絡みの捜査などを担当する組織犯罪対策課の警察官が受けた脅迫電話。 

何者かが「どうなってもいいのか」と娘の実名を挙げて捜査の中止を求めるなどしたため、県警が捜査に乗り出した。   

 その結果、司法書士らが職務上の制度を悪用して、この警察官らの住民票や戸籍謄本を不正取得していたことが分かった。 

職歴情報やソフトバンクモバイルとNTTドコモの携帯電話の契約者情報、自動車の登録情報などの漏洩も判明。 

ハローワーク職員や携帯電話販売店の元店長、長野県警の警察官らが国家公務員法や地方公務員法の守秘義務違反、不正競争防止法の営業秘密侵害の罪で起訴された。 
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日経新聞 法務・犯罪「ウイルスでパソコン乗っ取り」

2012年10月21日 18時41分17秒 | 法務・犯罪
 日経新聞 2012年10月13日(土) P.2 総合面 
コラム「真相深層」:『ウイルスでパソコン乗っ取り』=ある日突然「容疑者」に=「日に数万件増殖、検知一握り」   

 遠隔操作ウイルスに感染した大阪府の男性らのパソコンから犯罪予告メールが送られた問題が波紋を広げている。 

 犯罪とは無縁の人がある日突然、容疑者にされかねないからだ。 

 大阪府警などは捜査を続けるが、攻撃者の特定や動機解明には至っていない。 

ネット犯罪捜査の難しさも垣間見え、ユーザーの自衛が欠かせない。   

 大阪府吹田市の男性(43)は8月、大阪市のホームページに無差別殺人の予告を書き込んだとして、威力業務妨害容疑で府警に逮捕された。 

府警はその後、伊勢神宮の爆破予告を書き込んだとして津市の男性(28)を逮捕した三重県警から、協力要請を受けて捜査員を派遣した。 

その中で問題のウイルス感染を発見し、男性2人は先月21日に釈放された。   

 問題のウイルスは不特定多数が取りこめる無料ソフトに紛れていた。 

 男性2人はネット掲示板「2ちゃんねる」経由でソフトをパソコンに取り込んだ際、感染したと見られることが捜査関係者への取材で判明した。  


『掲示板使い命令』 
トレンドマイクロが解析した結果、ウイルスは遠隔操作を許してしまう「トロイの木馬」の一種だった。 

攻撃者がパソコンを自由に操作できるように裏口を設ける「バックドア(裏口)」と呼ぶタイプにあたる。   

 このタイプは「カメラが付いているパソコンだと、パソコンの前に誰も居ないことも確認できる。 

閲覧ソフトを遠隔操作して書き込むことは容易」とセキュリティー会社ネットエージェント(東京・墨田)の杉浦隆幸社長は指摘する。   

 バックドア自体は珍しくない。 2001年に猛威をふるった「コードレッド」 「ニムダ」なども同類で、ウイルス攻撃の中では定番ともいえるタイプだ。   

目新しい点はウイルスの操(あやつ)り方。 

 通常、攻撃者は特定のサーバーから裏口を仕掛けたパソコンを操る。 

今回は「ネットの掲示板に命令を書き込み、感染パソコンがその命令を読んで実行に移した」(トレンドマイクロ)のが特徴だ。   

実行できる命令は13種類。 掲示板の更新やファイルのダウンロードのほか、利用者のキーボード入力やマウス操作を記録したり、最後はウイルス自身を削除したりと、実に多彩だ。   

 なぜ「掲示板経由」なのか。 ある操作関係者は「攻撃者が身を隠すのに都合が良いためではないか」とみる。 

セキュリティ専門家からは「警察のサイバー捜査能力を測る目的ではないか」との声もでている。  


『自衛の意識必要』 
 遠隔操作ウイルスは、感染の「被害者」が犯罪の「容疑者」に仕立て上げられる恐ろしさがある。 

 一方で、捜査に慎重を期すあまり身柄拘束が遅れ、予告した犯罪が実行される危険もはらむ。 

捜査幹部は「サイバー犯罪で成りすましを想定するのは当然だが、今後はより難しい捜査になる」とため息をつく。   

警察庁はサイバー犯罪の捜査体制を強化しつつ、9月には、遠隔操作ウイルスの可能性を視野に裏付け捜査を徹底するよう全国の警察に指示した。 

発見したウイルス情報はセキュリティ会社に提供し、被害の拡大防止にも努めている。 

 しかし、ウイルスの種類は日々数万件のペースで増え続けている。 

「作成ツール」が出回り、一定の技術があれば簡単に作れる。 年内にはウイルスが累計1億種類を突破する見込みだ。   

 セキュリティ各社の対策ソフトは攻撃力の高いウイルスなどから優先的に対応している。 
「検知できるウイルスは全体の10%程度」と話す専門家も。 

 府警の捜査幹部は「対策ソフトが完成する頃には新種が出回り、いたちごっこだ」と漏らす。 最後は利用者が危機意識を高めるほかない。   

 不信なメールを開かない、ブログや掲示板で紹介されるアドレスを不用意にクリックしない、信頼あるウイルス対策ソフトを使うーー。 

 こうした基本を守り、ネットの向こう側から常に自分のパソコンが狙われていると認識することが必要だ。 

「自分だけは大丈夫」はネットには存在しない。 (産業部 井上英明、大阪社会部 西掘卓司)     



日経新聞2012年10月11日(木) P.47 
社会面 『「2ちゃんねる」経由か』 =パソコン乗っ取り 感染ソフト入手=   

遠隔操作ウイルスに感染したと見られる大阪府と三重県の男性2人のパソコン(PC)から犯罪予告メールが送られたとされる問題で、

大阪府警に逮捕・起訴された同府吹田市の男性(43)が感染源とみられる無料ソフトをインターネット掲示板「2ちゃんねる」経由でダウンロードしていたことが10日、捜査関係者への取材で分かった。 

 府警捜査1課は何者かが不特定多数へのウイルス感染を狙って誰でも閲覧できる掲示板を悪用したと見て、ウイルス作成者の特定を急いでいる。   

 捜査関係者によると、男性はパソコンにタイマーなどを設定する機能のあるソフトをダウンロードし、ウイルスに感染したとみられるという。 

 2ちゃんねるに同ソフトが入手できるサイトのアドレスが掲載されており、男性はこのアドレスをクリックし外部サイトに接続、ダウンロードした。   

 一方、三重県警によると、伊勢神宮の爆破予告を書き込んだとして逮捕された津市の男性(28)も2ちゃんねるを経由して写真編集ソフトをダウンロードし、ウイルスに感染した可能性があるという。    


『乗っ取りウイルス』=ホームページに駆除方法を公開/トレンドマイクロ=  
 遠隔操作ウイルスに感染したとみられる男性2人のパソコンから犯罪予告メールが送られたとされる問題で、

情報セキュリティ大手のトレンドマイクロは10日、ウイルスを解析し、インターネットの掲示板にウイルス攻撃者が書き込んだ指示にしたがって不正な動作をするタイプだと公表した。   

 ウイルスの遠隔操作を許す「トロイの木馬」に大別され、その中でも「バックドア(裏口)」と呼ぶタイプに当たる。 

バックドアはその名の通り、攻撃者がパソコンに自由に出入りして操作できるようにする裏口を設ける。   

 同社によるとウイルスは新種。 通常は特定サーバーを介して攻撃者の指示を受ける。 掲示板そのものを削除すれば遠隔操作側の特定は困難になる。   

 同社は自社のウイルス対策ソフトで検知できるように対応した。 感染後の駆除方法も同社のホームページで公開した。
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日経新聞 経営「揺らぐ安全:化学工場の相次ぐ事故」=設備高度化、もろ刃の剣=

2012年10月19日 18時33分58秒 | 経営
日経新聞 2012年10月13日(土) P.11 企業面 
連載『揺らぐ安全・化学工場相次ぐ事故 (下)』=設備高度化、もろ刃の剣(つるぎ)=   

 千葉県茂原市にある三井化学の技術研修センター。 
メタノール製造設備をガラス越しに見る中央制御室に、異常を知らせるブザーが鳴り響く。  

「椅子に座っていていい状況じゃないぞ」 「バブル閉めたのか。 声を出せよ」  

 講師役のベテラン運転員の怒声に右往左往するのは入社半年の新人社員。 
5秒間の瞬間停電で緊急停止した設備を再稼動させるという想定だ。  

 「トラブルの怖さとチームワークの大切さを体感してもらう」。 
守山義晴センター長は訓練の狙いをこう語る。 

 センターの開設は2006年12月。 

国内総合化学では安全訓練に特化した初の本格設備で、これまでにベテランから新人まで延べ3300人が能力に応じたコースを受講した。  

『電子化が進展』 
 訓練には「ローラーに手を巻き込む」 「目隠しして助けを呼ぶ」といったメニューも並ぶ。 

現場ではトラブルを体験する機会が激減している。 
あえて体感を重視しているのだという。   

 化学プラントの運転システムはこの20年で電子化が一気に進み、安定した連続運転が可能になった。 

 一昔前は熟練の技を求められた温度や圧力の調整も、パソコン画面のクリック一つで実現できるようになっている。   

安全向上が規制当局に認められると、年1回の定期修理の間隔は最長4年に1回になる。 

運転員はトラブルはおろか、修理で設備をばらしてみる機会にも恵まれない。   

 世代間格差も大きな問題だ。 
化学業界はオイルショックの直後、運転員の採用を絞った。 

石化設備の建設に立ち合い、その後の電子化を指揮してきたベテラン層は5年ほど前から定年退職の時期を迎え、技術やノウハウを継承すべき中堅が手薄になっている。   

「昔の設備はレーシングカーで、運転員はレーサーだった。 今の設備はオートマチック車で、若手もオートマ免許で満足している。 

だから想定外のトラブルに対処できない」(ベテラン運転員)   

 設備が高度化すると人の技能は低下する。 

このジレンマに気づき体感訓練に力を入れてきた三井化学だが、4月に岩国大竹工場(山口県和木町)でヒューマンエラーの色彩が濃い爆発火災事故が起きた。 

 「悔しい。 何をすべきなのかもう一度徹底的に考える」。 
守山センター長は唇をかむ。  


『基礎学力を重視』 
 対処法はあるのか。 

住友化学の愛媛工場(愛媛県新居浜市)では運転員の設備習熟度を示した表が壁に張り出されている。 

 「Aさんはαの設備は良く知っているがΒは不得意。 Bさんはその逆だから一緒のシフトにする」。 

 小中力工場長は、安全を深く考えて小さな工夫を積み重ねることが大切と語る。   

 大卒の工場運転員を増やすことにした三菱化学は、今春から運転要員のための高卒採用を基本的にやめた。 

設備の高度化に対応するには、従来より基礎学力が高い人材が必要との考え方だ。   

 東ソーは昨年11月の事故をきっかけに工場マニュアルを一新し、自分達で書き上げた。 

 「知識をノウハウにとどめず、なぜそうなるかという『ノウ・ホワイ』まで高めてもらうため」(宇田川憲一社長)という。   

 国際競争が激化する中、日本の化学工場は汎用品の整理を加速し、多品種少量の高機能品に切り替える必要がある。 

 運転員に求められる知識やスキルが一段と高度になる中、安全をどう確保するのか、試行錯誤が続く。 
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日経新聞 雑学「アラスカの土地代、わずか1ヘクタール当たり4円!」

2012年10月18日 18時28分56秒 | 雑学
日経新聞 2012年10月18日(木) 1面 
コラム『春秋』  

 破格の安値である。 1867年の今日、米国がロシアから購入したアラスカの値段だ。 

 土地1エーカー当たりで2セントというから、現在の為替相場で単純計算すれば1ヘクタールでわずか4円弱だ。 

 それでも、当時は無駄な投資といわれたそうだが、金鉱や油田が発見されて一変した。  

 ▲アラスカほどではないが、日本でも1平方メートル当たり1円で宅地が買える。 

北海道中部にある人口2700人の街、秩父別町(ちちぶべつちょう)の話である。 

3年以内に家を建てて、住民票を移して暮らすことが条件だ。 

1期分の13区画はほぼ完売し、2期分を現在分譲している。 札幌や旭川のほか、東京や千葉から移り住むシニア層もいる。  

▲さらに格安な例もある。 

栃木県那珂川町(なかがわちょう)などのように土地代はタダという町だ。 

しかし、立地に難があるためか、問い合わせは多くても秩父別のようにはいかないらしい。 

 田舎暮らしにあこがれる人は多いが、見ず知らずの土地では腰が引けるのだろう。 

そこで、将来の定住を狙って知恵を絞ったのが鳥取県智頭町(ちづちょう)だ。  

▲地震などで家を失ったら、年1万円の会費で1週間、町で宿と食事を保証する事業を打ち出した。 

名付けて「疎開保険」。 災害がなければコメや野菜を贈る。 契約者は大阪、東京を中心に350人に上るそうだ。 

契約者に限った疎開体験ツアーもある。 まずは、とにかく縁をつくる。 

やはりそこから始めるしかあるまい。
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日経新聞 自己啓発「私の履歴書:ノーベル賞学者・根岸英一」

2012年10月16日 18時19分17秒 | 自己啓発
日経新聞 2012年10月1日(月) 裏表紙 
『私の履歴書・根岸英一(ノーベル賞受賞、有機化学者)』=有機化学一筋で成果=「1000万人に1人の”夢”現実に」   

 2年前の10月6日。 朝の5時に米インディアナ州ウエストラファイエットの自宅で電話のベルが鳴り響いた。 

 寝ぼけ眼で取り上げた受話器から北欧なまりの英語が聞こえてくる。 

 「ノーベル賞審査委員会です。 根岸博士に2010年のノーベル化学賞を贈ることを決定しました。 まもなく発表しますが、それまでは口外しないようお願いします」   

 全く予期していなかったといえば嘘になるが、まだ「本当かな」と疑う気持ちはあった。 

ちょうど前日、大学の同僚が「今年こそ君だ。 決まったら電話がすごくかかってくるよ。 ニセの電話もあるから気をつけて」と話していたことも頭の片隅にあった。 

 しかし同じ電話口に、私の知っているスウェーデンの研究者が出て「英一、おめでとう」と、祝いの言葉を伝えてくれた時は「これは本当だ」と感慨がこみ上げてきた。   

 慌ただしい1日が始った。 発表から30分後にはパデュー大学のコルドバ学長が我が家にやって来て「すぐに大学に来てください」と請(こ)われた。 

 学長官舎で朝食を済ませると、近くに会見場が用意され何十人もの記者が集まっていた。 1時間ほど会見に応じた。   

 午後の有機化学の講義では、教室にいた300人近い学生に学部長が加わり、私にノーベル賞受賞が決まったと紹介する。 

拍手と歓声で盛り上がり、写真撮影する学生も現れた。 科学研究棟の前には1000人ぐらいの人が集まり、急ごしらえの演説をした。   

帰宅すると、家の前にアンテナを備えた大型車が6~7台並んでいる。 近所迷惑にならなければよいがと心配になった。 

 共同の会見に続いて各社個別のインタビューが始り、結局翌朝まで続いた。 社が交代する合間にうつらうつらしていたようだ。   

 1966年に博士研究員として米国に渡り、有機化学一筋に研究を続けてきた。 

ノーベル賞受賞の対象となった、炭素をつなぐ「クロスカップリング反応」をはじめ、研究や産業に役立つ成果を生み出してきた。 

ひそかに「ノーベル賞に匹敵する仕事はできた」と感じていた。   

 妻のすみれには「10人に1人ぐらいの所にはいると思う。 やるべき研究は十分にやったからノーベル賞をもらえなくてもいい。 

いただけるものなら喜んでいただくが、そんなことは一切考えないようにしよう」と話していた。 

それでも10年ぐらい、頭のどこかに垂れ込めていたもやもやが、発表の日を最後に消え去ったことは事実だ。   

 ノーベル賞をもらう確率はどれくらいだろうか。 

これまでの受賞者は1000人弱。 その間に誕生した世界の人口は約100億人。 確率1000万分の1は高額の宝くじを当てるようなものだ。   

 しかしこれを、10分の1の選抜を7段階通過する計算に置き換えてみるとどうだろう。 

 中学校を上位の成績で卒業し、進学校でも同じように優秀な成績を収めて難関といわれる大学に入学する。 

その大学を卒業した時点で既に3つの段を上っているとみなせないか。 敗者復活の道だってある。 

 高くとも現実味のある夢に見えないだろうか。   ノーベル賞でなくてもいい。 大きなそして高い目標を設定し、その実現に向けて努力を続けることが大切なのだ。 

そんな私の道のりを振り返ってみたいと思う。
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