日経新聞 国際「中国、ゾンビ企業増殖 強権も通じぬ経済の持病」=「習近平の支配」 闘争再び ②=

2016年10月20日 01時02分42秒 | 国際
日経新聞 2016年10月18日(火) P.1
特集連載『習近平の支配』=闘争再び ②=

『ゾンビ企業増殖』=強権も通じぬ経済の持病=

 人民元の切り下げや上海株の急落が世界の市場を激震させた昨夏と比べ、足元の中国経済は表向き落ち着いている。

だがその背後では「またか」と思うような問題の先送り機運が漂う。

 「指導であり、命令ではない」。
山西省銀行監督当局トップ、張安順(57)らは9月20日、記者会見で強弁した。

同省政府は石炭業界向け短期融資を中期融資に切り替える(=融資支払期限の先送り)よう銀行に促していた。

不振企業の資金繰りを支えるためだ。

 「多くの人が気にかけている。 中国は改革開放を続けられるのか、と」。

9月3日、国家主席習近平(63)は浙江省杭州で国内外の企業家らを前に、構造改革の遅れに対する懸念を払拭(ふっしょく)しようと努めていた。

 習は2012年秋に中国共産党トップについて以来、景気への配慮か、改革の推進かという2つの課題の板挟みにあってきた。

党支配の体制を守るためには社会不安を招く景気の悪化は容認できず、(政権の不安観を先取りするように地方自治体による=)改革の先送り機運が持病のようにまとわりつく。

しかも中国経済は10年をピークに成長が鈍り続ける局面に入った。

「金融不安の火種」

 「心配するな。 カネはある」。

3月、河北省邯鄲。

地元金融機関「河北省農村信用社」に現金輸送車が横付けされ、窓口に百元札が山積みされた。

住民の周飛(28、仮名)は朝から並び、3万5千元(約54万円)の預金全額を下した。
「農村信用社がつぶれる」との噂を耳にしていた。

 08年のリーマン・ショック後、中国は4兆元対策で銀行融資を膨らませた。

国際決済銀行(BIS)によると、中国の企業債務の国内総生産(GDP)に対する比率は08年9月末の97%から16年3月末には169%まで急上昇した。

過大な借金が金融不安の震源だ。

 「破産させるべきは破産させる」。
5月、共産党機関紙、人民日報の1面で匿名の「権威人士」は訴えた。

習の側近、中央財経指導小組弁公室主任の劉鶴(64)らが描いたとされ、習が改革断行への決意を示したと受け止められた。

だがその威光も絶対ではない。

「なれ合い、壁厚く」
 石炭、鉄鋼など主要産業の不振でマイナス成長に沈む遼寧省。

省内の国有鉄鋼大手、東北特殊鋼は10日、破産した。

一見すると「権威人士」の主張通りだが、同社は社債の元利を期日通り払えない債務不履行を繰り返し、その数は9回に上った。

雇用を守りたい地方政府と救済を期待する銀行のなれ合いの壁は厚い。

 同じ日、北京では国務院(政府)が「債務の株式化」の指針を公表した。
企業の借金を株式に替え、利払いを軽くするという。

だが「権威人士」は「安易に債務を株式化するな」と訴えていた。
経済の非効率という病根は残るからだ。

 中国では上場する鉄鋼業の半分が借金まみれで利益の出ない「ゾンビ企業」とする研究もある。

市場の規律を無視した安易な企業救済がはびこりはしないか。
強権を誇る習も、経済の持病を癒(いや)す処方箋を探しあぐねている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
電子版: 地方政府、銀行に圧力 ▲Web刊→紙面連動


●関連日経記事:2016年10月17日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「政敵の遺物、あらがえば痕跡残さぬ報復」=「習近平の支配」 闘争再び ①=』(10月16日付)

●関連日経記事:2016年6月3日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 国際「消えない元安リスク」=中国悲観論で円高懸念=』(6月2日付)


『習近平の支配』=キーワード=
『指導小組』=党中央に権限集中= 
 

 中国では共産党が政府さえも指導する。
この一党支配の体制を支える仕掛けが「指導小組」と呼ばれる党中央の組織だ。

政府の上に立ち、経済や外交など各分野の事実上の最高意思決定機関となる。

国家主席の習近平(63)は「全面深化改革」と名付けた小組も新設し、自ら「組長」を務め、権限を集中している。

9月24日、全面深化改革指導小組の発足から1000日がたった。
国営中央テレビによると計27回の会議を開き、162件の文書を決めた。

司法、税財政、国営企業の報酬、サッカーと取り上げるテーマは幅広い。

 指導小組が大方針を決め、具体的な施策は首相の李克強(61)がトップに立つ政府(国務院)が担う。

党が意思を決め、政府が従う仕組みだ。

 経済運営を担う中央財経指導小組の組長も習が務め、副組長の李が脇を固める。

実務を取り仕切る事務方トップの弁公室主任は、習の「経済秘書」と呼ばれる劉鶴(64)だ。

副主任として中国人民銀行(中央銀行)副総裁の易綱(58)、財政次官の朱光耀(63)ら6人が仕えている。

 中国の政策決定は不透明な部分が多いが、党の組織である指導小組に関する情報はさらに乏しい。

中国の政策が分かりにくい一因だ。

『「中央財経指導小組」は経済政策の最高意思決定機関』

・「組長」: 習近平
・「副組長」: 李克強首相
  ⇓
『弁公室(事務局)』
・「主任」: 劉鶴
      国家発展改革委員会副主任

(注)中国国内の報道などをもとに作成

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 日経新聞 国際「英が演じる... | トップ | 日経新聞 国際「イラク軍、... »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。