日経新聞 国際「静かなポンド危機の進行」=メイ首相の「移民制限を優先」政策に市場が反応=

2016年10月11日 08時15分31秒 | 国際
日経新聞 2016年10月10日(月) P.8 予定面
連載コラム『羅針盤』

『静かなポンド危機の進行』

 英国の通貨ポンドが歴史的な安値圏に下落している。

対ドルでは一時1ポンド=1.18ドル台に下落し、プラザ合意でドル高の是正を決めた1985年以来、31年ぶりのポンド安水準となった。

92年に大量の空売りで急落したポンド危機時と異なるのは、今回は危機が静かに進行していることだ。

 ポンドは6月の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まって急落した後、しばらく落ち着いて推移してきた。

ところが、ここにきて下げが加速しているのは、メイ政権が強硬姿勢で離脱交渉に臨む「ハード・ブレグジット」の可能性が高まったと市場参加者が見ているためだ。

 メイ首相は、関税同盟などEU単一市場への自由なアクセスよりも、移民の制限を優先する考えをにじませている。

国民投票での離脱決定直後の漠然とした不安が、単一市場から離れて経済の先行きが見通せなくなる、という現実味を帯びた不安へと姿を変えつつある。

 カナダ金融大手RBCキャピタル・マーケッツのサム・ヒル氏は単一市場(single market)から離脱(exit)する「Smexit」がEU離脱の本質だと指摘する。

 ポンド安は対ユーロでも顕著で、1ユーロ=0.9ポンドを超えた。

92年のポンド危機を引き起こした著名投資家のジョージ・ソロス氏が国民投票前に予言した「1ユーロ=1ポンド」の等価も視野に入ってきた。

 これは皮肉にも、ユーロへの加盟を拒んだ英国が、特別な調整の必要なく、ユーロに加盟できる条件が整うことを意味する。

すでに両替商では、1ポンドで1ユーロしかもらえない状況が起こっており、英国民は身をもって貧しくなったと実感している。

 単一市場から離脱すれば英国の孤立は一段と深まる。
かって基軸通貨として世界に君臨したポンドの信認低下は避けられない。

EUから離脱するよりも、むしろ、ユーロを採用しておけばよかったとプライド高い英国人が悔いる日が来ないとも言い切れなくなってきた。

(欧州総局 黄田和宏記者)


●関連日経記事:2016年10月6日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「英ポンド急落、31年ぶり安値」=EU単一市場離脱を警戒=』(10月5日付)

●関連日経記事:2016年6月23日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 政治「英国の交渉術」=EUとの絶妙な距離感に英国流の外交力が見え隠れ=』(6月22日付)

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