日経新聞 政治『財政目標「変更」4つの疑問』=「国債の暴落/長期金利の高騰」リスクへの長期の対策が急務=

2017年06月19日 08時57分09秒 | 政治
日経新聞 2017年6月17日(土) P.17 マーケット総合2面
連載コラム『大機小機』

『財政目標「変更」4つの疑問』

 9日に閣議決定された「骨太方針2017」で、財政健全化目標の事実上の「変更」があった。

昨年は「国・地方を合わせた基礎的財政収支(PB)について、20年度までに黒字化、その後の債務残高対国内総生産(GDP)比の安定的な引き下げを目指す」だったのが、「PBを20年度までに黒字化し(=黒字化を目指すとともに)、同時に債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指す」になった。

20年度のPB黒字は、内閣府の極めて楽観的な推計でも、消費税率を19年10月から10%に引き上げた上で、さらに8.3兆円不足する。

達成できないことを事実上認め、新たな指標に変更した。

 だがPB黒字が達成されないままで、債務残高GDP比が本当に低下するのか。
4つの疑問がある。

 第1に、債務残高対GDP比は、日銀が超低金利政策を続け、内閣府が名目成長率を人為的に高く見積もる想定(いわゆるドーマー条件)の下では確かに低下する。

しかし、長期金利と経済成長率は、中期的にはほぼ同じ動きをする。

内閣府の資産でも23年度以降は金利の方が成長率より高くなり、債務残高GDP比もほとんど改善しない。

 第2にPB赤字の下では、経済成長が金利より高くても、成長率と金利との乖離(かいり)幅が小さければ、税収を上回る政策経費が生じ、財政赤字が増えて債務残高GDP比は悪化する。

このことは、財政目標として、まずはPB黒字の達成が先に来なければならないことを示している。

 第3に、建設国債で公共投資を追加してもGDP比は下がる。

債務残高がGDPの倍近くある下で、公共投資の追加分が分母のGDPに加わるからである。

これでは、国土強靭(きょうじん)化グループの圧力に屈しかねない。

しかし、公共投資のGDP押し上げ効果は一時的で、分子の債務残高は確実に増加していく。

これがバブル崩壊後のわが国財政を先進国最悪にした原因であったはずだ。

 最後に、税収と政策経費のバランスを図るというPB比の低下という財政目標では、毎年の予算編成のよりどころがなくなり、財政規律は低下してしまう。

 このように、ハイパーインフレに向けてのマグマをため込むような財政目標の変更には大いに疑問がある。


●関連日経記事:2013年4月24日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 ことば「プライマリーバランス(PB)」=基礎的財政収支=』(2013年4月23日付)

●関連日経記事:2015年3月7日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 国際「ギリシャ危機、第2のリーマンか!」(2011年9月14日付)』

●関連日経記事:2014年5月17日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 経済「世代間協調の不可能性」=財政再建は期待できない・・・=』(2014年5月16日付)

●関連日経記事
:2013年11月28日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 政治「甘やかされる民意」=ツケは結局国民が支払い=』(2013年11月27日付)

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