日経新聞 インターネット「経済苦境、偽ニュース生む」=マケドニア 中部の街「ベレス」=

2017年05月15日 09時30分45秒 | インターネット
日経新聞 2017年5月14日(日) P.7 総合4面
『経済苦境、偽ニュース生む』=トランプ氏勝利に一役?=

『マケドニア 中部の街』

 バルカン半島の小国マケドニア中部にフェイク(偽)ニュース発信の拠点として名をはせる街がある。

2016年の米大統領選の際に100以上も乱立した政治サイトが偽情報を拡散し、トランプ米大統領の誕生に一役買ったとされる。

首都スコピエから南へ50キロにある人口5万人の街ベレス。
4月中旬に訪れると、住民が重い口を開いた。

 「もうけ話がある」。
16年8月、失業中のニコラさん(19、仮名)に友人が持ちかけた。

米政治に関する英語ウェブサイトを作り、サイトに載る広告へのアクセスを稼げば多額の報酬を得られる。

友人の指導を受け、サイトを始めた。

 ニコラさんは片言の英語しか話さない。

ネット上の記事をグーグルの翻訳機能を使って読み、受けそうなものをコピーしたり、自分で捏造(ねつぞう)したりして、毎日10本程度掲載。

「ヒラリー・クリントン氏、大統領選から脱落、重病発見」。
でっち上げへのアクセスは数万に達した。

 一時月550ユーロ(約6万8千円)稼いだ。
マケドニアの平均月収は360ユーロ、ベレスは200ユーロ程度とされる。

ニコラさんは「トランプのためではなくお金のためにやった。 善悪なんて関係ない」という。

 健康食品サイトで広告収入を得ていたアツェさん(28、仮名)も毎日8時間は記事作りに没頭。

大統領選時の収入は本業の10倍、数千ドルに上った。
今も3つのサイトを続ける。

「トランプネタはまだ稼げる」

 なぜベレスで偽政治サイトが広がったのか。
「トランプの勝利を助けた男」。

こんな名刺を持つミルコ・チュセルコスキー氏に首都スコピエで会った。

 自らネット広告で富を築いた同氏はその手法を教える学校を12年に開き、ベレスの若者を指導した。

「偽情報を作る指導をしたことはない」と強調しながら、教え子の何人かは大金を稼いだと語る。

成功者は数人の偽ニュースの作成者や翻訳家を雇うほどだという。

 背景には経済の苦境がある。
マケドニアの若年層の失業率は50%近い。

産業都市だったベレスはユーゴスラビア崩壊とともに廃(すた)れた。

 組織の影もちらつく。
ベレスに住む20代の男性は「”大物”が2人いる」と明かす。

組織に雇われて偽ニュースを作成したというこの男性はいう。

「金銭目当てで親トランプの偽ニュース業が自然に広がったというような、そんな単純な話ではない」

 トランプ氏は9日、米大統領選へのロシア介入疑惑を捜査していたコミー前連邦捜査局(FBI)長官を解任した。

トランプ氏は自身に不都合な報道を「偽(フェイク)ニュース」と断じ、自ら事実に反する情報を拡散する。

偽ニュースの闇(やみ)は深い。

(ベレスで 古川英治記者)


●関連日経記事:2017年1月27日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 インターネット「偽ニュース、世界の秩序揺さぶる」=ポピュリズム SNSが温床か=』(1月26日付)

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