日経新聞 開発「栗のなりわい総合研究社: クリ栽培技術の伝道師」=樹高を低く抑えて品質向上/ブランド化で海外開拓=

2016年10月16日 04時38分34秒 | 開発
日経新聞 2016年10月15日(土) P.35 四国経済面
特集連載『風は西から』=高知発=

『クリ栽培技術の伝道師』=栗のなりわい総合研究社代表理事 伊藤 直弥氏=
「樹高を低く抑えて品質向上/ブランド化で海外開拓」


 高知県四万十町(しまんとちょう)が地元産のクリを生かした地域再生プロジェクトが進んでいる。

同町に移住してクリの栽培技術を指導するのが栗のなりわい総合研究社(四万十町)の代表理事、伊藤直弥だ。

独自の栽培手法によってクリの品質と収穫量を上げ、中山間地域で稼げる仕組みづくりに挑む。

 10月上旬、四万十沿いの十和(とおわ)地区の栗園では収穫が最終盤を迎えていた。

伊藤は大粒の栗を拾い集めながら「クリの廃棄率は5割超ともいわれるがしっかり剪定(せんてい)すれば1割以下も可能」と話す。

 収穫したクリは1粒30~40グラムが多く、中には一般的なクリの2~3倍の50グラムを超す粒も。

同町では今年、伊藤の指導を受けた農家など約20人がサイズの大きく良質の特選栗を出荷した。

特選栗は1キロ600円で買い取ってもらえる。

 伊藤が普及させているのは栗の木の樹高を低く抑えて育てる方法。
花を咲かせる枝や長さを見極めて選定しながら最終的に樹高を2.5メートル以下にする。

木を横に広げることで日照や風通しを良くして品質を上げる。

 四万十町で栽培指導に関わり始めたのは2010年ごろ。

十和地区の道の駅「四万十とおわ」を運営する地域おこし会社、四万十ドラマ社長の畦地履正らから要望を受けたのがきっかけだ。

 栽培のプロとして知られる伊藤だがクリとの出会いは10年ほど前。
様々な職を経験した後、関心のあった農業に転身。

岐阜県恵那市の農業法人で地域の名人たちから貪欲に栽培技術を吸収した。

 恵那での実績を聞いて各地から栽培指導の声がかかった。

多くの産地を回るなかで「恵那とは違う環境で質の高いクリができる四万十で技術を確立したくなった」。

 四万十川流域では40年ほど前の最盛期には年間850トンのクリ収獲があった。
その後人口減に合わせるように現在は約30トンまで減少。

伊藤は荒れ放題になっている栗園再生の先頭に立つ。

 「クリは手がかからないので収穫量や質が安定しなくて当たり前という考えは捨てよう。 栽培次第で安定して稼げる『なりわい』になる」と訴える。

作業は秋の収穫から冬の剪定が主で春から夏の終わりまではほかの仕事にも従事できる。

 「四万十だけでなく日本産のクリは大きさ、味ともに世界トップクラス」と話す伊藤は日本がクリを有望な輸出商品にできると確信する。

なりわいとして成り立つ地域を増やすためにもクリのブランド化と海外市場開拓が欠かせないという。

 8月には伊藤が運営するなりわい研究社に日本航空が出資を決めた。

10月にはさっそく日航の会員向け情報誌などに四万十のクリを使った渋皮煮が紹介された。

力強い味方が増えつつある。

 伊藤は「クリは鮮度落ちが意外に早いので産地で加工品にして販売するのが理想的。 四万十町をモデルに仲間を増やしたい」と意気込む。

栽培指導と産地のネットワークづくりのために、四万十の山あいから全国どこにでも飛んでいく準備はできている。

▲いとう・なおや
 1958年東京都生まれ。

岐阜県恵那市の農業法人でクリ栽培技術を習得し、2014年に高知県四万十町に移住し、16年から現職。

58歳。

(高知支局長 高田哲生)


●関連日経記事:2016年10月10日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 開発「誇れる田舎 描くカフェ」=「HOME8823」: ライダーの聖地 住民と未来語らい=』(10月8日付)

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