日経新聞 国際「テールリスクは米中対立か」=トランプ氏の狙いは「日銀による異次元の金融緩和」への足かせか=

2017年02月09日 04時27分30秒 | 国際
日経新聞 2017年2月7日(火) P.17 投資情報1面
連載コラム『一目均衡』=証券部 土居倫之記者=

『テールリスクは米中対立か』

 野村証券の調査によると、2017年に世界経済に重大な打撃をもたらすリスクの震源地となる懸念がある地域として、投資家が最も多く上げたのが「中国・新興国」だった。

だがそんな市場の見方に対し、中国の専門家からは疑問の声も出る。

 「中国の共産党幹部層はトランプ米大統領がヒラリー・クリントン氏より望ましいと思っていた」。

日銀出身で昨年7月まで中国人民銀行(中央銀行)に出向していた岡三証券の中国担当チーフエコノミスト、後藤好美氏はこう指摘する。

 オバマ前大統領は中国に民主主義や人権を求め、クリントン氏も同じ考えだった。
しかし共産党支配と百パーセント相いれず、中国が妥協できるはずがない。

    ◆    ◆

 中国にとってトランプ氏の政策は都合がいい。
中国抜きの通商ルールが決まりかけた環太平洋経済連携協定(TPP)は瓦解した。

逆に習近平総書記は1月17日、スイスのダボス会議で中国の広域経済圏構想の拡大を誇示した。

 トランプ氏は中国に民主主義や人権を求めない。
そのかわり批判するのが中国の人民元安や対米貿易黒字だ。

野村の調査でも中国の具体的なリスクは「米国との貿易戦争」と「人民元安・資本流出」が多かった。

 米政権が新設した国家通商会議トップのピーター・ナバロ氏は著書で「わたしたちは中国製品を買うたびに中国の軍事力増強に手を貸している」と米国民に警告。

中国の軍事強国化を避けるため為替操作をやめさせ、対中貿易赤字を「リバランス」させる必要性を訴える。

 トランプ氏は選挙期間中、大統領就任直後の中国の為替操作国認定と中国への45%関税を公約した。

 ところが、トランプ氏は就任後も為替操作国認定を見送り45%関税にも言及していない。

なぜか、SMBC日興証券の趙敏捷中国担当シニアエコノミストは「米中は表面上は対立しているが、裏では手を握っている」とみる。

中国は米国がうかつに手を出せぬよう有力な武器を持つからだ。

 中国にとって重要なのは命綱の3兆ドル(約339兆円)の外貨準備の防衛(=資本流出の防止)であって人民元レートの維持ではない。

為替操作国に認定された中国が人民元買い・ドル売り介入をやめれば人民元は大幅に切り下がる。

その結果、中国の輸出競争力は向上する。
ナバロ氏の警告を無視し、米国民は安くなった中国製品をさらに買うだろう。

ナバロ氏の思惑とは逆にそのお金で中国は軍事力を増強できる。

    ◆    ◆

 したたかな中国に対し日本はどうか。

トランプ氏は1月31日、「他国は資金供給と通貨切り下げで有利な立場にある」と金融緩和すら批判した。

日本株は円高に弱い。

10日にトランプ氏と会談する安倍晋三首相は日本企業の米国での雇用と生産の貢献を粘り強く説明する見通しというが、17年の日本株のテールリスクが米中対立ではないと仮定すると、安倍首相には円高をテールリスクにしないための戦略が必要ではないか。


●関連日経記事:2017年2月9日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「バノン氏を米安保会議常任委員に抜てき」=過激 バノン氏 「右翼」「人種差別」「女性蔑視」=』(2月7日付)

●父さんコメント:
 ロシアのスターリン、中国の毛沢東、二人とも独裁者として有名だ。

二人ともその在任中は猜疑心の塊で、部下が力を持ち始めると「自分に造反する意図があるのでは…」と疑い、部下を切り捨てた人事を繰り返した。

彼ら独裁者の轍(わだち)の後には政敵とされた部下のしかばねが死屍累々だった。
同じ性癖を持つトランプ氏も同じ手法を踏襲して部下からの忠誠を要求するように思える。

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