日経新聞 経済「商品取引、不正を監視」=検証 価格メカニズム (5)=

2017年07月18日 09時04分15秒 | 経済
日経新聞 2017年7月5日(水) P.20 マーケット商品面
特集連載『検証 価格メカニズム (5)』

『商品取引 不正を監視』=指標の信頼性向上めざす=

 「ロンドン相場の信頼回復に満足している」。

金現物の国際指標である同市場を運営する米インターコンチネンタル取引所(ICE)指標運営部門のマシュー・グレンヴィル最高執行責任者は、復活に手ごたえを感じている。

 ICEが金市場の運営を始めたのは2015年3月。

前年には会員の英バークレイズによる価格操作疑惑が発覚、指標の信頼性が大きく低下していた。

『金の注文量操作』
 ロンドン現物は当時、会員の金融機関4社が電話会議による注文で価格を決める仕組みで、会員が注文量を恣意的に操作して価格を操作できる欠点があった。

 ICEの運営開始後、電子取引の導入に伴ってすべての注文の監視が可能になった。

加えて日々の取引内容の公表や、値決めの途中に会員が注文量を閲覧するのを制限する仕組みを導入。

「特に注文量の閲覧制限は価格操作防止のカギになった」(グレンヴィル氏)と話す。

 一連の対策が奏功し会員企業は4社から11社に増加。

店頭の地金価格が連動する国内地金商からも「電子取引で取引や価格データなど情報が公開され、透明性が増した」(貴金属大手の徳力本店)と評価する声が目立つ。

 商品市場では世界中で取引される国際商品でも、価格操作が起きる可能性がある。

ニューヨーク原油先物など流動性が高い市場(=売りたい時に売りたい量を、買いたい時に買いたい量を取引できる市場)は限られる。

多くはかってのロンドン金現物市場のように相対(あいたい)取引で値決めをしているため、価格操作の温床になりやすい。

 不正防止に向け、証券監督者国際機構(IOSCO)や欧州連合(EU)は12年以降、指標をまとめる価格調査機関に対して透明性を担保するための指針や指令を相次ぎ打ち出した。

『会員監査を徹底』
 世界の航路の運賃を集計し、公表する英バルチック海運取引所。

会員企業が提出する価格を基に日々の海運指数を公表しその指数が海上運賃先物の決済価格に用いられる。

同所のクリストファー・ジョーンズ・アジア太平洋地域担当ディレクターは「会員企業の監査を徹底し、IOSCOやEUの規制に対応している」と強調する。

 日本でも東京商品取引所に上場するドバイ原油先物について、決済価格を提供する調査会社が不正防止に向けた監視体制の強化に取り組む。

 「一連の改革が市場の公平性の担保につながる」(グランヴィル氏)。

相対市場で決まった価格は現物取引の指標になるほか、先物市場の決済価格にも利用され、市場全体への影響は大きい。

対策強化が一時的な取引コストの増大につながるとしても、透明性の高い市場運営はグルーバルマネーを招くための必要条件だ。

▼商品・金融市場での価格操作疑惑と規制の動き
【2011年】
 米司法省などがロンドン銀行間取引金利の不正操作で捜査

【2013年】
・EU、石油市場の価格操作に関して石油会社を調査
・EU、価格指標に関する規制の草案を公表

【2014年】
 ロンドン金現物市場で価格操作疑惑が発覚

(2017年2月)
 米証券取引委員会、米鶏肉の価格操作疑惑で食肉大手を調査

▼ロンドン金市場の値決め
 金の売買を仲介する金融機関が顧客の注文を持ち寄り、売りと買いの注文量が均衡する価格をセリ方式で決める。

売り注文が買い注文より多いと、新たな買い注文が出て売買注文が釣り合う水準まで価格が下がる。

ロンドン市場では午前10時半と午後3時の1日2回、価格を公表する。

(この項おわり)


●関連日経記事
:2016年11月30日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「現物取引が多いロンドン金属取引所(LME)」=来年、景気回復で取引増も=』(11月29日付)

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