日経新聞 国際「トルコのEU加盟交渉 中断要求」=欧州議会: エルドアン政権をけん制=

2016年11月26日 08時39分24秒 | 国際
日経新聞 2016年11月25日(金) P.6 国際1面
『トルコ加盟交渉 中断要求』=欧州議会=

『エルドアン政権けん制』

 欧州議会は24日、トルコとの欧州連合(EU)加盟交渉の中断を欧州委員会などに求める決議を採択した。

法的拘束力はないが、7月のクーデター未遂事件後、度を越した弾圧を続けるエルドアン大統領をけん制する狙いがあるが、トルコ側の反発は必至。

難民流入の抑制を巡る協力合意の崩壊も懸念されており、双方の関係に一段と緊張感が高まる可能性もある。


 欧州議会の決議は、トルコ政府の「弾圧的な手法」が「トルコ憲法で守られている基本権や自由を侵害している」と批判。

EU加盟交渉の一時中断を加盟国や欧州委員会に求めた。
トルコが死刑制度を復活させれば「加盟交渉の正式停止につながる」ともけん制した。

 エルドアン政権はクーデター未遂事件直後に発令した非常事態宣言に基づき、これまでに10万人を超える公務員らを解任・停職処分とした。

政権の批判勢力だった有力左派紙の幹部やクルド系政党の共同党首らが逮捕されるなど言論弾圧も激化。

欧州議会内部ではトルコの人権状況への懸念が強まっていた。

 トルコのチェリキEU相は24日、欧州議会の決議を「テロと戦うトルコに連帯を示す代わりに、不幸にも近視眼的な議論が欧州で行われている」と反発。

エルドアン氏も20日に「EUに固執すべきではない」と述べ、中国、ロシアと中央アジア4カ国が加盟する上海協力機構(SCO)に加わる可能性を示唆した。

EU加盟交渉継続の是非を2017年に国民投票にかける案にも言及する。

 中東から欧州に向かう難民の流入抑制で協力する見返りに、EUが約束したトルコ国民向けのビザ(査証)免除が実現していないことにもトルコはいらだつ。

年末までに進展がなければ、協力合意の破棄も辞さない構えで、「イラクやシリアから多数の難民が欧州に向かうだろう」(チェリキEU相)と警告する。

 非難の応酬が続く状況について、トルコ欧州教育科学財団のファルク・シェン会長は「トルコの対EU関係は05年の加盟交渉開始以来、最も悪化している」と指摘する。

 ただ、EU側も対トルコで強硬姿勢一辺倒ではない。

EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は22日、欧州議会で加盟交渉を停止すれば、EUとトルコの双方にとって不利な「ルーズ・ルーズなシナリオになる」との懸念を示した。

最大の難民受け入れ国であるドイツのメルケル首相も「賢明なやり方でトルコと協力することには利益がある」と対話継続の重要性を指摘している。

 こうした考え方の背景にあるのが、経済、安全保障面での相互依存関係の深さだ。

欧州委員会によると、15年の対トルコ貿易総額は1407億ユーロ(約16兆7千億円)。

EUにとってはノルウェーや日本を上回る第5位の、トルコにとっては最大の貿易相手だ

 北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコは過激派組織「イスラム国(IS)」掃討で米主導の融資連合に空軍基地を提供するなど重要な役割を果たしている。

エルドアン氏もこうした事情は熟知している。

過激な発言は、今後の大統領権限強化をにらみ右派世論の関心を買うのが主な狙いとの見方もある。

(イスタンブール=佐野彰洋記者、ブリュッセル=森本学記者)


●関連日経記事:2016年1月19日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 国際「空洞化する米欧同盟」=ユーラシアG社長 ブレマー氏=』(1月18日付)

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 日経新聞 国際「伊3位銀行... | トップ | 日経新聞 政治「ぬるま湯経... »

コメントを投稿

国際」カテゴリの最新記事