日経新聞 政治「トランプ氏がくれたチャンス」=読めぬトランプ外交、とまどう日本外交=

2017年05月19日 02時33分49秒 | 政治
日経新聞 2017年5月17日(水) P.19 マーケット総合2面
連載コラム『大機小機』

『トランプ氏がくれたチャンス』

 米トランプ政権は発足から100日を過ぎても安定感が一向に見えない。

 ロシア疑惑を巡る捜査を進めた米連邦捜査局(FBI)長官の解任は、同様の決定をして辞任に至ったニクソン政権を想起させる。

 疑いは深く、逆らう者には怒りに任せて罰を与えようとする。
そんな2人の大統領の性格にはかねて共通点があると指摘されてきた。

 類似点は他にもある。
小さな政府や自由市場の尊重など共和党の伝統的な理念にこだわらないことだ。

 ニクソンは財政支出を増やす一方、価格や賃金の統制でインフレを抑えようとした。

トランプも公共投資拡大を提唱し、企業の投資判断に口を挟むなど民間経済への介入も辞さない。

 型破りな外交政策という共通点も気になる点だ。
2つのニクソンショックは今も日本戦後史のトラウマとして残る。

日本に知らせずに中国に接近し、1971年7月に突然ニクソン訪中を発表。
翌月には金・ドルの交換停止や10%の輸入課徴金導入を決めた。

 前者は日本を取り巻く国際政治環境を大きく変え、後者は安定したドルを軸にした戦後の国際経済秩序に激変をもたらした。

 過激なレトリック(=修辞学)を別にすれば、現政権はまだ対外政策を大転換しているわけではない。

だが予測不可能性を強みと自認する大統領の登場は「何でもあり」という心構えを必要とする。

 たとえば対中政策。
中国バッシングを繰り返していた大統領だが最近は、蜜月ぶりの演出に余念がない。

米中の「100日計画」では中国から市場の一部開放を勝ち取る一方、中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」への支持を示した。

米中関係は一変する可能性を秘めている。

 北朝鮮政策も軍事衝突から直接対話まであらゆるシナリオが想定される。
日本に対しても、貿易不均衡是正へどんな取引を迫ってくるのか、不気味である。

 米国は同盟国として大切な存在だ。
ただ、従来通り米国と歩調を合わせていればことが済む時ではない。

 環太平洋経済連携協定(TPP)を前に進めつつ米国に離脱決定の撤回へ再考を促す。
中国やインドも巻き込んで、アジアの経済発展と平和維持への方策を協議する。

「読めぬアメリカ」を、視野の広い外交戦略を自分の頭で考えるきっかけにすべきだ。


●関連日経記事:2017年1月28日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 人物紹介「トランプ氏は不動産業者でありビジネスマンではない」=アーミテージ元米国務副長官=』(1月26日付)

●関連日経記事:2017年5月5日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 海外メディア「ハゲタカ投資家の米政権」=FT米国版編集長 ジリアン・テット氏=』(5月4日付)

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