日経新聞 経済「REITに損切りリスク」=地銀の売り、下押し懸念=

2017年10月07日 08時42分21秒 | 経済
日経新聞 2017年9月30日(土) P.17 マーケット総合面
連載コラム『ポジション』

『REITに損切りリスク』=地銀の売り、下押し懸念に=

 不動産投資信託(REIT)相場がじりじりと下値を切り下げている。

足元の東証REIT指数は1650前後と7月中旬に付けた年初来安値(1620)に接近し始めている。

毎月分配型などの投資信託の売りが続いているためだ。
ここに来てさらに下押し懸念が高まっている。

アベノミクス相場の高値で買った地銀の損切りリスクだ。

『海外勢は「買い場」探る』
 「出席者の危機感をひしひしと感じる」。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の沢野徳彦アナリストは最近、全国各地で定期的に地銀と開くミーティングで役員クラスが同席するケースが増えたと明かす。

危機感を募らせるのは、REIT相場が各行が定めた損切り基準に近づき始めているからだ。

 損切りの基準は各行で異なるものの、おおむね15~30%程度とみられる。
29日の東証REIT指数は16年4月の高値に比べて16%安の水準まで下落。

「上司に損失状況を報告するリポート作りに追われている」(地銀の運用担当者)と恨み節が聞こえてくる。

 市場が地銀の損切りが出てくる水準と見るのは1600前後だ。

「地銀の損切りが連鎖した場合、一時的に1500台前半まで下落する可能性がある」(国内証券)と警戒する声もある。

 目先の地銀リスクを警戒し、REIT全体の9月の1日当たり平均売買代金は278億円と300億~400億円が平均だったここ数年の水準に比べて減少している。

 地銀は低金利による運用難を背景に相対的に高い利回りのREITを買い進めてきた。
特にマイナス金利政策を受け、REIT投資に拍車をかけた。

現状では地銀のREIT全体の保有割合は2割前後に達するだけに影響は大きい。

 しかし、REIT相場がずっと下がり続けるわけではない。
「買い場」を探る海外投資家の存在があるからだ。

「『あく』が出きれば日本のREITを買ってもいい」。
ある海外の年金系投資家はこう言い切る。

「あく」とはもちろん地銀の損切りだ。

 国内の不動産市況は底堅い状況が続く。

都心のオフィスは賃料の上昇傾向のほか、電子商取引(EC)ビジネスの拡大から物流施設の需要も根強い。

REITの分配金の原資となる賃料収入が増加する一方、投資口価格(株価に相当)は下落している。

東証REIT指数の予想分配金利回りは4%超と「明らかに割安」(モルガン・スタンレーMUFG証券の武村淳郎アナリスト)。

 投信からの断続的な売りが地銀の損切りに連鎖する瞬間を一部の海外投資家は絶好の買い場として待ち構えている。

年初から下落が続いてきたREIT相場が変化する局面が近づいているのかもしれない。

▼投資口価格の下落と利回りの高さが目立つ

(時価総額が大きい主な銘柄)
・Jプライム: (予想分配金利回り)3.8% =(投資口価格下落率)18.3%

・野村マスター: 4.0% = 17.3%
・ジャパンRE: 3.3% = 15.1%

・日本リテール: 4.2% = 14.7%
・ビルファンド: 3.3% = 13.3%

・オリックスF: 3.8% = 12.5%
・アドバンスR: 3.7% = 10.4%

・ハウスリート: 3.6% = 8.9%
・ユナイテッド: 4.1% = 7.4%

・フロロジスR: 3.9% = 0.8%

(注)投資口価格の下落率は昨年末比 

(宮川克也記者)


●関連日経記事:2017年8月27日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「ファンド、REITを翻弄」=毎月分配型投信決算の隙狙い短期売買=』(8月26日付)

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