日経新聞 ことば「ドル調達コスト低下、短期国債市場にも影響」=「ベーシススワップ」取引の上乗せ金利に表れる=

2017年04月21日 09時28分49秒 | ことば
日経新聞 2017年4月20日(木) P.19 マーケット総合2面
連載コラム『ポジション』

『ドル調達コスト低下』=ドル不足緩和、ゆがみ解消へ=

 日本の金融機関が市場でドルを調達する際に支払うコストが低下している。

大幅なコスト高だった昨年末までと様変わりした背景には市場構造の変化がある。

邦銀がドル預金など別の資金調達源を確保できたことや、外債投資が以前に比べて減ったことで市場のドル不足が緩和した。

市場にゆがみをもたらしていたドル調達コストの上昇一服は、短期国債市場にも影響を及ぼしている。


『短期国債市場にも影響』

 邦銀のドル調達コストの動きは金融市場の「ベーシススワップ」という取引に表れる。

この取引では、円とドルを交換したい金融機関が、円の金利とドルの金利の差額をやり取りする。

ドルを欲しがる金融機関の方が多ければ、通常の金利差に加えて、ドルを調達する側が上乗せ金利を支払う必要がある。


 このベーシススワップで円を元手にドルを1年間調達する場合の上乗せ金利は3月下旬から0.4%台と、2015年9月以来の低水準で推移している。

上乗せ金利は昨年11月末には一時0.8%前後と08年の金融危機後を上回り過去最大の水準まで急騰していたが、足元ではほぼコストは半減した。

 ベーシススワップ取引ではドルの需給が金利形成の大きな要因となる。

昨年までは、海外貸し出しや運用を拡大していた邦銀の調達意欲が強く、市場のドルが不足し、コスト高圧力が高まりやすかった。


足元ではこうした環境が変化してきた。

 メガバンクなどは足元でドル預金や外貨建て社債など他の外貨調達手段を拡大し、市場での調達を減らしている。

日銀が19日公表した金融システムリポートによると、メガバンクや信託銀行など大手6行は16年6月末から今年2月にかけて外貨預金を660億ドル分、(外貨建て=)社債を230億ドル分それぞれ増やした。

 外債投資の拡大ペースの鈍化という運用面の変化もある。

財務省の対内・対外証券投資をみると、国内投資家は昨年12月~今年2月の3カ月間で外債を4.5兆円分売り越した。

昨年11月以降に海外金利が上昇したこと(=保有する外債の利回りが金利上昇によって比較劣位となり、債券価格の下落を誘引)に加えて、金融庁などがこのところ外債運用を拡大している銀行のリスク管理体制を検証する姿勢強めていることなども背景にあるとみられる。

 邦銀の外貨の調達・運用の両面で、「市場の構造が急速に変わりつつあることが、最近の調達コストの低下につながっている」とJPモルガン証券の山脇貴史氏は指摘する。

 ドル調達コストの動向は国内の債券市場にもじわりと波及している。

昨年、邦銀のドル調達コストが上昇した局面では、その裏側で円を調達した海外金融機関などは同取引で利益を上げた。

このため海外投資家は0%未満でも国債を買い進める状況になり、国庫短期証券(TB)や2年債など比較的償還が短い国債の利回りは一時、深いマイナス圏へと沈んでいた。

 足元では、ドルの貸し出しで以前ほどのうまみが得られなくなった海外投資家の需要が後退。

日銀がこのゾーンの国債の買い入れを減額していることも加わって金利は浅いマイナス圏に上昇している。

昨年来のドル調達コストの高騰が短期国債市場にもたらしてきたゆがみはようやく解消しつつある。

(浜美佐記者)


●関連日経記事:2013年4月24日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「生保・年金マネー、外債へ」=日本生命、積み増し表明=』(2016年4月23日付)

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