日経新聞 自己啓発「精鋭が選ぶ国へ」=外国人材と拓く ①=

2017年03月21日 02時41分28秒 | 自己啓発
日経新聞 2017年3月20日(月) P.1
特集連載『外国人材と拓く ①』=多様性 活力の源泉に=

『精鋭が選ぶ国へ』=実力主義 国境を越える=

 茨城県つくば市にある産業技術総合研究所の研究棟7階、研究員のマリウス・ビュークルさん(36)は分子構造の画像をじっと見つめていた。

 ビュークルさんの専門は「ナノテクノロジー(超微細技術)の再生エネルギーへの応用」。
ドイツで生まれ、工学系で同国最高峰のカールスルーエ大を卒業した。

博士号を取った2012年に来日。
3年後に法務省から高度外国人材に認められ、日本に滞在できる期間が5年に伸びた。

 高度人材の認定を受けるには12年に導入されたポイント制に基づいて70点以上が必要だった。

「博士号で30点、研究分野での職歴5年以上で10点、年齢が30~34歳なので10点……」。

ビュークルさんが自己採点してみたところ85点あり「合格ラインをゆうに上回ることはすぐに分かった」。

    ◆    ◆

 日本は今、国を挙げてビュークルさんのような「日本の経済成長やイノベーションへの貢献が期待される高度外国人材」の獲得に血眼になっている。

政府は成長戦略で「20年末までに1万人認定」との目標も掲げた。

 16年6月までに認定を受けた人は5487人。
だが法務省によると同じ時点で日本国内にいたのは4732人。

すでに14%が国外に去った。

 企業や研究機関が高度外国人材を採用する意欲は強い。

日本経済新聞社が国内の主要140社の経営トップに聞いたところ、6割超の89人が「受け入れを拡大したい」と答えた。

うち84人は「多様性が生む活力を重視している」と説明した。

 ではなぜ高度人材は日本に根付かないのか。

 「制度的な障壁は日本にない。 明日にでも採用しようと思えば採用できる」と経済協力開発機構(OECD)のジャンクリストフ・デュモン国際移民課長は断言する。

 「問題は制度ではなく言葉の壁と職場慣行だ」

 3月9日、東大医学部図書館にJR東日本やNTTデータ、日立製作所など有力企業14社が集まった。

三十数カ国・地域から来た約200人の留学生の就職フェアだ。

 「いろいろな国の人がいればそれだけ商機が広がる」(旭硝子)、「優秀なら国籍は区別なく採らないと競争に勝てない」(NTTデータ)。

採用担当者は意気込んだ。

 だが複数の留学生は「人事評価制度が曖昧」「残業が多いのでは」といった不安を寄せた。

 多様性を活力にするためにウチとソトの区別なく実力を認める透明さや公正さはあるか。

デービッド・アトキンソン小西美術工芸社社長は「日本人が優遇されるべきだ」という意識がある限り高学歴の外国人は引きつけられないと指摘する。

 こんな気になるデータもある。
14年に日本から他の先進国に移住した人は3万4000人いた。

6割強は女性だった。

「大卒以上の高学歴女性の1.1%、100人に1人以上が流出している」とデュモン氏は話す。

    ◆    ◆

 7年前に渡米し、ニューヨークで起業した木村仁美さん(37)もそんな一人。
「上下関係が年齢や実力以外の要素で決まる。 日本は大好きだが窮屈さを感じる」。

スイスのビジネススクール、IMDの16年調査では高度人材にとって日本の魅力は世界52位。。

「選ばれる国」になるためには日本はどうすればいいのか

 ヒントは兄弟iPS細胞研究所にあった。
32人いる研究責任者の1人はカナダ出身のウォルツェン・クヌート准教授。

「日本は文化も言語も違う。 分からないことばかりで壁が大きい」と感じたが、カナダの大学から受けた2倍の給与の誘いを蹴り10年に来日した。

 iPS細胞の生みの親でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥京大教授の下で研究できるという「オンリーワン」の魅力、国籍や背景を問わない実力主義、英語も使える研究環境が高度人材を引き込んでいる。

 フランスの経済学者、ジャック・アタリ氏は国境をものともせずに世界を飛び回る一握りの高度人材を「超ノマド(遊牧民)」と呼ぶ。

日本が引き寄せた超ノマドは人口比でまだ0.004%しかいない。
彼らを増やしていけるのか。

選ばれる国、選ばれる企業への転換が求められている。

    ◆    ◆

 人口が減り、技術革新を生む活力にも衰えが兆(きざ)す日本。
停滞を脱し未来を拓(ひら)く外国人材と日本の課題を追う。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『きょうのことば』:
『高度外国人材』=居住最短1年で永住許可へ=


 優れた経営手腕や専門的な技能を持ち、日本の経済成長に資すると期待される外国人。
活動内容によって「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3つに分かれる。

政府は高度人材の受け入れを促すため『ポイント制』を使った出入国管理上の優遇措置を2012年に設けた。

学歴、職歴、年収など項目ごとにポイントを設定。
合計が70点に達したら、高度人材と認定され優遇措置を受けられる。

▼高度人材の認定を受けると、研究の仕事をしながら営利事業にも携われるなど、複数の在留資格にまたがる活動が認められる。

配偶者も働きやすくなる。

日本で永住許可を得るには原則10年の在留期間が必要だが、高度人材は5年の滞在で認めてきた。

法務省は近く、この期間を3年に縮め、さらに80点以上の外国人に限り世界でも最速レベルとなる居住1年での永住資格申請を認める。

またIT(情報技術)などの成長分野に従事する人材や高額投資家、トップ大学の卒業者らには、新たにポイントを加算する措置も設ける。

▼高度人材と認定した件数は16年10月時点で累計6298人。
1年間で53%増えた。

政府は累計の件数を20年末までに1万人に増やす目標を掲げている。

◆高度人材ポイント制のイメージ
(マリウス・ビュークルさんの場合:「高度学術研究分野」)

【学歴】博士号……30点
 ⇓  修士号……20点
 ⇓
【職歴】7年……15点
 ⇓  5年……10点
 ⇓  3年……5点
 ⇓
【(申請時)年齢】~29歳……15点
 ⇓ 30~34歳……10点
 ⇓ 35~39歳……5点
 ⇓
【年収】700~800万円…25点
 ⇓ 600~700万円…20点
 ⇓ 500~600万円…15点 
 ⇓
【ボーナス】研究実績……20点
 ⇓
30点+10点+10点+15点+20点=85点
⇒⇒合計70点に達したので『認定!』

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電子版:
 モテモテの海外IT人材 ▼Web刊→紙面連動


●関連日経記事:2017年2月13日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 開発『「起業の聖地」アジアへ』=トランプ氏の移民制限が転機=』(2月12日付)

●関連日経記事
:2013年6月11日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 自己啓発「世界で競うには英語力」=カリフォルニア大教授 中村修二氏=』(2012年10月25日付)


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