日経新聞 経済「ファンド、REITを翻弄」=毎月分配型投信決算の隙狙い短期売買=

2017年08月27日 06時43分19秒 | 経済
日経新聞2017年8月26日(土) P.17 マーケット総合2面
連載コラム『ポジション』

『ファンド、REITを翻弄』=投信決算の隙狙い短期売買=

 不動産投資信託(REIT)相場をヘッジファンドが振り回している。

REITで運用する毎月分配型投信の人気低下が響き、「投信発の売り圧力」が強まる。

そんな需給の弱さが表れやすい毎月分配型投信の決算日前後を狙って、ファンド勢が短期的な売買を仕掛けているのだ。

『長期投資家は様子見姿勢』
 「REITに投資する毎月分配型投信の決算日と、多く保有している銘柄名を洗い出せ」。

アジアに拠点を置くあるヘッジファンドの担当者は運用チームのメンバーに号令を飛ばした。

 ファンド勢の影響を示すのがアクティビア・プロパティーズ投資法人(API)の乱高下ぶりだ。

6月16日に50万6000円まで上昇した後は売りが優勢になり、7月14日に43万8500円の安値を付けるまでの約1カ月で1割強下落。

その後は約2週間ごとに上昇基調と下落基調がコロコロ入れ替わる目まぐるしい展開となっている。

 背後には毎月分配型投信の苦境につけ込んだファンド勢の取引がある。

 様々な資産で運用する毎月分配型投信は比較的高利回りのREITも積極的に買ってきた。

だが、金融庁が「顧客のためになる金融商品なのか」と毎月分配型投信を問題視する姿勢を示し、流れは急変した。

REIT以外を組み入れるタイプも含めて毎月分配型投信は4月から資金流出に見舞われている。

 いまや毎月分配型投信はREIT全体の2割を保有するだけに影響は大きく、東証REIT指数は昨年末比9%安に沈む。

相場下落という打撃に加わり、毎月分配型投信の運用者は月々の分配金の原資を捻出(ねんしゅつ)するために保有REITの売却を余儀なくされる。

 ほぼ確実に予見できる需給の変化。
こんなおいしい機会をファンド勢が見逃すはずがない。

投信の保有比率が高い銘柄を決算日に向けて空売りし、投信自身による売りで一段安になったところで、買い戻しに転じて利益を確定するーー。

荒稼ぎを狙えるこんな取引が広がっているのだ。

 乱高下しているAPIも投信の保有比率が高い。

REITで運用する毎月分配型投信では国内最大の「J-REIT・リサーチ・オープン」が最多となる資産の6%(7月末時点)を振り向けている。

このファンド勢の決算日を狙った取引が特に集中している可能性がある。

 「これまで日本のREITに興味のなかったヘッジファンドも進出してきた」(証券会社のトレーダー)。

投信による保有が多いとみられる大和ハウスリート投資法人やケネディクス・オフィス投資法人なども荒い値動きを繰り返している。

 東証REIT指数の予想分配金利回り(加重平均)は4.1%と約4年ぶりの高い水準(=価格は安い)にある。

「明らかに割安」(フィデリティ投信の村井昌彦ポートフォリヲマネージャー)だが、需給主導の相場を嫌って長期投資家たちは動こうとしない。

 ファンド勢に翻弄(ほんろう)され、毎月分配型投信が安値での売りを強いられれば運用には悪影響が及ぶ。

損をするのは一般の個人投資家だ。

金融庁の始動で「アンチ毎月分配型」の流れが強まるなか、REIT市場のひずみは深まっている。


●関連日経記事:2016年5月24日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済『投信「毎月分配」曲がり角』=運用難でシェア低下=』(2016年5月23日付)

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