日経新聞 国際「サウジ改革と地政学リスク」=非アラブ・シーア派のイランVS.アラブ・スンニ派の中東情勢=

2017年07月18日 08時25分54秒 | 国際
日経新聞 2017年7月5日(水) P.19 マーケット総合2面
連載コラム『大機小機』

『サウジ改革と地政学リスク』

 サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、エジプトがカタールと断交し、同国との間の交通や物流を遮断して1カ月。

サウジなどは6月下旬、カタールの独自政策にって各国が受けた損害への賠償金支払いまで要求した。

主権を否定された形のカタール政府は「拒否するしかない」と反発していた。
双方の亀裂は深い。

 断交した側も断行されたカタールも、米国の中東における同盟国だ。

当初、断交を支持するようなツイートをしていたトランプ米大統領も事態の深刻さに気づき、各国に対立鎮静化を促すようになった。

 世界最大の石油輸出国サウジと、世界最大の液化天然ガス(LNG)輸出国カタールが突っ張り合う。

サウジ国内の動きも含めて、新たな地政学リスクを市場は警戒する。

 サウジでは、ムハンマド・ビン・サルマン副皇太子が6月21日に突然、皇太子に昇格した。

指導層の若返りをめざす国王が31歳の子への王位継承の道筋を明確にした形だが、更迭(こうてつ)された前皇太子が軟禁状態にあると米紙が報じるなど、強引な人事の感は否めない。

 新皇太子はイエメンへの軍事介入、イランやカタールとの断交など対外強硬策を主導してきた。

恐らく新皇太子らは、こう考えているのだろう。

 非アラブでシーア派のイランがスンニ派中心のアラブの政治に介入するから、中東が安定しない。

イランに対抗して湾岸協力会議(GCC)諸国が一体化を進めてきた中で、カタールがイランへの融和姿勢など独自の政策を続けると、地域の政治秩序が崩れる。

だから、イランの影響力排除とカタール締め付けを進めなければならないーー。


 サウジ政府は財政立て直しに向け来年から付加価値税を導入する予定で、国民の負担は増す。

新皇太子は国営石油会社サウジアラムコの株式公開を計画通り実施する構えだが、原油の減産を延長して価格を支え、同社の企業価値の評価を高めようとする政策は、必ずしも成功していない。

 地域の緊張につながる対外強硬姿勢には、国内の政治的な求心力を維持するテコという側面もある。

新皇太子への権力集中で、経済改革の推進力は増す。
その半面で、強腰の外交が摩擦を伴うことも留意すべきだ。

(花山裏)


●関連日経記事
:2017年6月23日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 海外メディア「カタール断交 世界に損害」=英FTチーフ・コメンテーター ラックマン氏(6月22日付)

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