日経新聞 社会「格安スマホ 物価の重し」=一家に2、3台 影響大きく=

2017年08月22日 10時28分48秒 | 社会
日経新聞 2017年8月20日(日) P.5 総合3面
『格安スマホ 物価の重し』=通信料1割下落なら指数0.2ポイント下げ=

『一家に2、3台 影響大きく』

 格安スマートフォン(スマホ)の普及が、物価の基調を見えにくくしている。

家計の支出に占める割合が高くなり、通信会社の値上げ下げ競争が物価を押し下げやすくなっているためだ。

海外の資源価格によって動くガソリン代や電気代と同じように、企業戦略で大きく動くスマホ料金が物価のかく乱要因になっている。

『乗り換え倍増』
 「予想外の増加だ」。

KDDIの田中孝司社長は1日の決算説明会で驚きを隠さなかった。

auで7月14日からスマホの主要プランを最大3割、平均2割下げるサービスを始めたところ、番号持ち運び制度(MNP)を使った他社からの乗り換えが倍増した。

 KDDIが値下げに動いたのは、格安スマホの普及に対抗するためだ。

調査会社のMMD研究所(東京・港)によると格安のスマホのシェアは2014年4月には0.6%だったが、17年3月時点では7.4%になった。

格安スマホの平均月額料金は2957円と、大手携帯3社の平均月額料金よりも約5千円も安い。


 総務省がまとめる消費者物価指数(CPI)を見ると、今年6月の携帯電話通信料は3年前の14年6月に比べて約7%下がっている。

大和総研の長内智シニアエコノミストは、KDDIの値下げが携帯電話通話料をさらに3.5%押し下げると試算する。

CPI全体に対しても、生鮮食品を除くベースで0.08ポイント分の押し下げになる。

 スマホの通信料が高く、他の消費を抑えているのではないか。
政府内では少し前、消費が伸びない原因をスマホ料金に求める考え方があった。

 安倍晋三首相は15年9月の経済財政諮問会議で「携帯電話などの家計負担の軽減は大きな課題だ」と発言。

総務省はこれを受け、「5千円以下の価格帯を参考にすべきだ」と事業者に値下げを促す報告書をまとめている。

 政府の希望通り、スマホの通信料は下がった。
それが他の商品の消費に結びついたかどうかは疑問が残る。

家計は浮いたお金をまたスマホに使っているからだ。

 内閣府の消費動向調査でみると、今年3月のスマホ保有台数は1世帯あたり1.48台と、3年間で1.5倍近くになった。

お年寄りや子どもの利用が増えたためだ。

高精細な写真や動画を見るため、「使えるデータ量の多い高価なプランに切り替える利用者も多い」(ヨドバシカメラマルチメディアAkiba)。

 1台あたりの通信料は下がったが、世帯で見ると「2台持ち、3台持ち」で通信料の支出が増えた。

総務省の家計調査によると、今年6月まで1年間を平均した月額通信費は1万3163円と、前年比1.4%増。

利用者数とデータ量の増加が支出につながり、所費支出に占める割合は4.7%へと0.1%分拡大した。

『使い道乏しく』
 物価の統計では、通信料の影響が大きくなっている。

CPIの算出に使う品目のうち携帯電話通信料の比率(ウエート)は2.3%で、5年間で2割上がった。

民営物件の家賃や持ち家の家賃相当分、電気代に続くウエートで、物価への影響はガソリンよりも大きい。

仮に通信料が1割下がると、生鮮食品を除くCPIは0.2ポイント強分押し下げられる。

 そもそも今、スマホ以外にお金の使い道が乏しい。

楽天リサーチが5月に1千人を対象にした調査では、格安スマホに変えて浮いたおカネは「貯金」(35.1%)に向かい、使い道が「特にない」(29.3%)が続いた。

スマホが値下がりして浮いたお金はまたスマホに。
スマホに代わる魅力的な商品がない限り、こんな構図が続きそうだ。

(吉田悟巳記者)

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