日経新聞 国際「EV革命と石油の終わり」=事業の寿命、自問続けよ=

2017年08月09日 06時38分14秒 | 国際
日経新聞 2017年8月7日(月) P.5 企業面
連載コラム『経営の視点』=編集委員 松尾博文=

『事業の寿命、自問続けよ』=EV革命と石油の終わり=

英仏政府が2040年までにガソリン車の国内販売を禁じる方針を決めた。

トヨタ自動車とマツダは電気自動車(EV)の共同開発を視野に資本提携で合意した。

EVの台頭や、再生可能エネルギーの急速なコスト低減が、石油の大量消費を前提とする20世紀型の社会・産業構造を変えようとしている。

 「液化天然ガス(LNG)はいつまで必要か」
 「ずっと続くと信じてやっている」

 三菱商事の垣内威彦社長の問いに、エネルギー部門の幹部は気色ばんだ。
同社の16年3月期決算は資源安の影響を受け、初の連結最終赤字に沈んでいた。

 同年4月に就任した垣内社長がまず手を付けたのは150に及ぶ事業単位の「仕分け」だった。

それぞれの事業を5段階に分類し、ピークアウトしたと判断した事業は撤退も考える。

 三菱商事はLNGビジネスのパイオニアだ。

1969年に投資を決めたブルネイLNGプロジェクトは「失敗すれば三菱商事が3つつぶれる」と言われた。

この決断が花開き、原料炭などとともに三菱商事を支える主力事業に育った。

 だが、「どんな事業、どんなビジネスモデルにも寿命がある」と、垣内社長は言う。
過去に安住して未来はない。

ピークアウトに向き合い、どう乗り越えるのか。
問われているのは変化への対応力だ。

中核事業だからこそ自問を迫った。

 燃料転換にとどまらず、人工知能(AI)やIoT、シェアエコノミーなど、自動車を起点とする革命は全産業に広がる可能性がある。

誰が主導権を握るのか。
垣内社長は「見極めるためにも自動車ビジネスに関与し続ける」と話す。

 石油のピークはいつか。
ここ数年、関心を集めるテーマだ。

「地球上には経済成長を支えるだけの石油がない」とするかっての議論はない。

温暖化対策や、自動車・発電の燃料転換によって石油消費は遠からず減少に転じ、石油が余る時代がくるとの見方だ。

 「石油の終わり」と決めつけるのは早計だ。

英メジャー(国際石油資本)、BPのチーフエコノミスト、スペンサー・デール氏は「現在、200万台のEVが35年に1億台に増えても、失われる石油需要は日量300万~400万バレル。 1億バレル前後の需要全体で見れば小さい」と指摘する。

EVの実力を見極めるにはもう少し時間が必要だろう。

 ただし、国家運営を石油収入に頼る産油国は小さな可能性も見過ごせない。

国際エネルギー機関(IEA)の事務局長を務めた田中伸男・笹川平和財団会長は、「国営石油会社の新規株式公開(IPO)など、サウジアラビアが大胆な改革を進める背景には石油の需要ピークへの備えがあるのではないか」と見る。

 仏トタルの生産量は10年前、石油が7割、天然ガスが3割だったが、今は5対5。

パトリックプ・ヤンネ最高経営責任者(CEO)は「35~40年にはガス比率がさらに上がり、再生可能エネルギーが全体の2割を占めるだろう」と語る。

 メジャーとはもはや、巨大石油企業の代名詞ではない。
エネルギー大転換のうねりは速度をげ、国家と企業に変身を迫る。


●関連日経記事:2017年8月1日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 開発「EV迫る主役交代」=部品や素材、開発加速=』(7月28日付)

●関連日経記事:2017年8月6日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
 日経新聞 国際「米新車減速、構造不況の影」=カーシェア1台増えると19台の購入が消える=』(8月6日付)

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