日経新聞 開発「高知県、土佐和紙で修復いかが」=文化財や学術書 需要喚起=海外視察受け入れ=

2016年11月19日 23時49分10秒 | 開発
日経新聞 2016年11月18日(金) P.39 四国経済面
連載『地宝創造』

『土佐和紙で修復いかが』=高知県などPR=
「文化財や学術書 需要喚起」=海外視察受け入れ=初心者向けキット=


 文化財や図書の修復分野で土佐和紙の存在感を高めようと高知県や生産者団体が取り組んでいる。

視察受け入れなどで修復専門家と生産者の結びつきを強めながら特性や品ぞろえを発信する。
初心者にも使いやすい修理キットを作って一般図書館の修復ニーズも掘り起こす。

和紙需要のすそ野拡大につなげる。

「仏ルーヴルから」
 11月初め、仏ルーヴル美術館の紙本修復室の責任者を務めるバレンティーヌ・デュバールさんら6人が土佐和紙の生産現場を訪問した。

3日間にわたって、いの町や仁淀川町などの手すき和紙工房や機械すき和紙の工場を見学した。

 一行は手すきと機械式による違いや使用するのりの特徴など、細かい部分まで生産者と意見交換した。

バレンティーヌさんは「和紙は修復に欠かせない存在だが情報が不足している。 今回の成果をフランスでも伝えていきたい」と語った。

 視察を受け入れた県立紙産業技術センター(いの町)の有吉正明主任研究員は「土佐和紙のバリエーションの多さを感じてもらえたはず。 産地側も修復現場の人たちと直接話すことで強みや課題が見えてくる」と説明。

今後も生産者と利用者の接点を増やす考えだ。

 世界的に有名な美術館でも使われる土佐和紙をより身近な修復でも活用してもらう動きも進んでいる。

高知県手すき和紙協同組合(いの町)は、今月8~10日に横浜市で開かれた国内最大の図書館展「図書館総合展」に出展した。

 約3万1千人が訪れた会場のブースでは土佐和紙を使った修復作業を実演した。
初心者向けの修復紙セットのサンプルも配布した。

セットには厚さや色の違う5枚の土佐和紙が入っている。
粉末のりが付属しており、使い勝手もよくした。

 県によると、多くの図書館では接着剤を使ったテープで本の破れなどを修復するが、逆に本を傷めたり劣化を早めたりする懸念もある。

文化財レベルでなくても簡単に買い替えることのできない高価な学術書や美術書修復などに土佐和紙を採用してもらう狙いだ。

「展示会に参加」

 組合事務局の大原幸さんは「国内には公共図書館だけで3千以上ある。 販売価格など課題はあるが、どの和紙産地も取り組んでいない市場を開拓したい」と話す。

修復キットにはアンケート用紙も入れている。
現場からニーズを吸い上げて、県などと協力して実用化を目指す。

 組合の一員として展示会に参加した手すき和紙職人の田村寛さんは「まず幅広い分野と接点を持つことが市場をつくる第一歩」と話す。

田村さんは写真ギャラリー関係者とのつながりから3年前に特殊な印画紙を開発した経験がある。

展示会に参加して和紙の教育現場への普及なども考えるようになったという。

 高知県内の手すき和紙の生産者は戦後の最盛期には700軒を超えていたが、現在20軒を切った。

アートの分野で存在感を見せる生産者などもあるが縮小が止まらない。

田村さんは「ひとつの分野で大きな需要はつくれない。 小さくても様々な市場を生み出して需要の裾野を広げるチャレンジが大事だ」と強調した。

(高知支局長 多田哲生)

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