日経新聞 経済学「恋愛に消極的、若者の消費縮小」=家族の衰退と消費低迷 ⑧=

2016年12月10日 06時14分05秒 | 経済学
日経新聞 2016年12月9日(金) P.29 経済教室面
連載『やさしい経済学』=中央大学教授 山田 昌弘=

『家族の衰退と消費低迷 ⑧』=恋愛に消極的、若者の消費縮小=

 若者が消費をしなくなったと言われて久しく、その理由に関していろいろな説が唱えられています。

非正規労働化による収入の減少は大きな要因です。

「さとり化」(原田曜平氏)や「シミュレーション消費」(堀好伸氏)のように、若者の消費マインドの変化を指摘する論者もいます。 

 ただ、雇用状況や家族状況が多様化し、若者をひとくくりにできなくなっていることに注意が必要です。

同じ30歳といっても、一人暮らし、親同居、既婚、一人親などにより消費パターンは異なってきます。

 全体的には、内閣府の調査では、若者の生活満足度は他の世代に比べて高くなっています。

積極的な満足というより、「つらいことがない」という消極的な満足ではないかと思えます。

親同居未婚者や子どもがまだいない夫婦が大多数のため、家族を支える負担がない分、満足と回答しているのではないでしょうか。

 それは恋愛に消極的な傾向からもうかがえます。

出生(しゅっしょう)動向基本調査(2015年)では、交際相手がいない未婚者が多数派です(男性約7割、女性約6割)。

それだけでなく、そのうち交際相手が欲しいという人は半分に満たないのです。
結婚に至らない恋愛は、お金と時間の無駄と考える若者が増えているようです。

ここまで男女交際が衰退すると、デートやプレゼントなどの消費は減少します。

 では、恋人もいない若者の恋愛欲求はどこで満たされるのでしょうか。
筆者はバーチャルな関係性へ向かっていると思っています。

ペットに癒しを求める人が増え、ペット数は子ども数よりも多くなりました。
アイドルに恋をしたり、アニメの登場人物に恋をする人もいます。

一時的な関係をお金で買うメイドカフェやキャバクラに向かう人もいるでしょう。
女性向けに「レンタル彼氏」というサービスもあります。

1000万人以上と推計される恋人がいない未婚の若者の恋愛感情を満たすため、「バーチャル・ロマンス産業」が大発展しているのです。

 こうした消費は、リアルな男女交際や結婚して家族形成がもたらす消費に比べれば、支出額は小さくなります。

その結果、日本全体の消費は縮小するのです。


●関連日経記事:2016年12月9日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済学「高齢者のお金は消費に回らず」=家族の衰退と消費低迷 ⑦=』(12月8日付)

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