日経新聞 海外メディア「影響は英のEU離脱上回る」=今後4年間、世界はトランプに振り回される=

2016年11月12日 06時21分16秒 | 海外メディア
日経新聞 2016年11月10日(木) P.11 国際3面
連載コラム『フィナンシャル・タイムズ』=USコメンテーター エドワード・ルース=

『影響は英のEU離脱上回る』

 米国民は声を上げた。

否、叫んだという方が正しいかもしれない。
これまでと同じであることはひとつもないだろう。

米国の民主主義は南北戦争以来、150年間経験したことのない試練に直面する。

対立候補を投獄するとか、共和党で候補指名を争ったライバルを調査するとか、体を触られたと名乗り出た女性を訴えるとか、既存秩序をぶち壊すなどと発言した人間が大統領になるのは初めてだ。

民事訴訟をいくつも抱えながら大統領になる人間もこれまでにいなかった。

 トランプ氏が勝利したという事実そのものだけで、同氏の大統領選への立候補に嫌悪を示したエスタブリッシュメント(支配階級)は激しく打ちのめされた。

「過激政策どこまで」
 過激な政策のうち、同氏が半分は本気で実施するとみると、それを止められるのは共和党議員と政府機関だけだ

共和党が上下両院で過半数を維持したことを考えれば、トランプ氏は来年1月から立法機関と行政機関をコントロールできる。

この結果、三権分立の3つ目で、合衆国憲法の最後の砦である最高裁の判事人事にも強い影響力を持つ。

米国の軍隊も意のままになる。

 三権分立が今後も機能するかどうかは、米国の第45代大統領になるトランプ氏に抵抗しようとする人々の倫理観と気骨にかかる。

トランプ氏は容赦のない人物だが、自分に同調する相手にはおとなしくなる。

同氏と党の候補指名を争い、次期司法長官とも目されるニュージャージー州知事のクリスティー氏や、ジュリアーニ元ニューヨーク市長はそうした人物だ。

 トランプ氏は選挙のためにあのような態度をとったのであり、選挙戦後は現実主義のビジネスマンに戻るとの楽観的な見方もある。

ただ彼の経歴を見る限り、おそらくその見方は正しくない。


 どんな友人を持っているかで政治家も判断されるべきだが、トランプ氏の友人には過去に汚い手段に訴えたものが多くいる。

ブッシュ元大統領は「分断ではなく団結をもたらす」と約束したが、トランプ氏が同じ考えを持っているとは考えにくい。

 新大統領がいかにしがらみがないとはいえ、すべての公約を実行に移すのは難しいだろう。

国境に壁を造るのは技術的には可能だが、メキシコに費用を負担させることはできない。

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長を辞めさせることはできても、選挙結果が判明した時以上に相場が急落する事態は実際、招きたくないだろう。

 北大西洋条約機構(NATO)や北米自由貿易協定(NAFTA)からの脱退も大統領権限の一つだが、時間がたてば、全ての公約を実行するのは難しいと明らかになるはずだ。

「政府に自爆テロ犯」
 トランプ氏勝利の影響がどこまで広がるかはまだ見極めがつかない。

どの世論調査も米国民の意思を読み誤った。

合衆国憲法で慎重に扱うべきことを軽んじると分かっている人物を大統領に選んだ行為は、自爆テロ犯を自分たちの政府に送り込んだのと同じだ。


 トランプ氏が託されたのは既存システムを粉々にすることだ。

同氏は自分が勝てば「英国の欧州連合(EU)離脱の10倍」の影響があるだろうと述べたが、それは過小評価というものだ。

英国は自らを孤立に追い込んだかもしれないが、影響は一定程度にとどまる。

 米国は第2次世界大戦後の世界秩序をつくり、守ってきた。
トランプ氏はその秩序を捨てるとはっきり語って選挙を戦ってきた。

「米国第一主義」の内向き政策をまさにどう実行するかは、現時点ではあまり重要ではない。

米国は他に解釈の余地がないメッセージを世界に送った。
世界はそれに振り回されることになる。



●関連日経記事:2016年11月11日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 人物紹介「トランプ次期大統領」=酒、たばこ、コーヒーを口にしない=』(11月10日付)

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