日経新聞 政治「JAバンク 地盤沈下」=「農業金融曲がり角」 (上)=

2017年04月21日 06時20分38秒 | 政治
日経新聞 2017年4月19日(水) P.7 金融経済面
特集連載『農業金融 曲がり角 (上)』

『JAバンク 地盤沈下』=農家離れ融資残高が減少=

 農業を対象にした金融ビジネスが、大きな転機を迎えている。

マイナス金利で運用難に陥った地方銀行や信金・信組がこぞって農業分野に参入し、農協の金融機関であるJAバンクからシェアを奪っている。

農業金融の現状と今後を探る。


 「強い危機感を持っている」。
JA信州うえだ(長野県上田市)の金融事業の担当者は肩を落とす。

昨年9月に起きた”事件”がきっかけだ。

「地銀や信組攻勢」
 長野県信用組合(長野市)がJA信州うえだ管内の農業法人「太陽と大地」に2000万円貸し、農業向けの長期融資に参入した。

決め手は日本政策金融公庫の実質無利子の融資制度の活用。
県信組の担当者は「若い農家から相談が増えている」と手応えを感じている。

 先月8日には第一勧業信用組合(東京)など全国9信組が日本公庫と共同で総額3億6000万円規模の農業支援ファンドを設立した。

地域金融機関と農業との距離がぐっと縮まっている。
長引く超低金利で、新たな融資先を探す中、目を付けたのが農業だった。

 国内の農業融資の総額はこのところ4兆1000億円超でほぼ横ばい。

だが、JAバンクの農業融資残高は2016年3月末で2兆3424億円と足元では年1000億円規模で減っている。

5年で日本公庫のシェアは19%から27%に、地銀を中心に銀行のシェアも14%から16%に伸びた。

 JAバンクの地盤沈下は外部環境のせいだけではない。

背景にはJAの上部団体の農林中央金庫や、都道府県組織である信用農業協同組合連合会(信連)に依存する甘えの構造がある。

 東日本の年商20億円の大規模法人は農地にパネルを設置し、農作物を育てながら発電する営農発電(ソーラーシェアリング)の事業化を進めている。

3億円の借り入れを検討しているが、協議しているのは地銀2行のみ。
JAには相談もしなかった。

同法人の社長は「審査能力がないJAはすぐ上部団体の判断を仰ぐ。 前例がないものには冷たい」と指摘する。

「運用は農中頼み」
 力を入れてこなかった原因のひとつが「還元奨励金」だ。

JAは集めた貯金の5~7割ほどを信連を通じ農中に預けている。
農中はそのお金を運用、運用益の一部を奨励金としてJAに還元している。

これが大きな収益源になっている。

JAには「リスクを取って農業に融資するより上部団体に預けた方が確実だ」との考え方が根強く、貸し出しに占める農業分野の比率はわずか5%だ。

 直近(14事業年度)のJAの金融事業の収益がその体質を物語る。
3年前に比べ全体で3%しか下がっていないが貸し出し収益は2割減。

還元奨励金が収益を支えているとみられる。
かさ上げされた実力がJAの危機感を弱めている。


●関連日経記事
:2016年9月17日グー・ブログ「息子たちに読んでほしい日経記事」投稿記事参照
 日経新聞 経済「金融庁、金利変動リスクに警鐘」=銀行による不動産融資偏りにも警戒=』(2016年9月16日付)

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