日経新聞 国際「政敵の遺物、あらがえば痕跡残さぬ報復」=「習近平の支配」 闘争再び ①=

2016年10月17日 07時18分30秒 | 国際
日経新聞 2016年10月16日(日) P.1  
特集連載『習近平の支配』=闘争再び ①=

『政敵の遺物砕く』=あらがえば痕跡残さぬ=

 8月5日午前0時、中国の遼寧省大連。

闇に紛れ、数十人の男が「星海広場」にそびえる20メートルの石柱「華表」の下に集まった。

突然、電動カッターから火花が散り、重機がうなる。
中国で権力を象徴し、白い玉石に龍の登る姿が刻まれた柱はわずか30分で砕け散った。

「別格の指導者」
 権力闘争への号砲だった。

この石柱を建てたのはかっての大連市長、薄熙来(67)。

2012年秋の中国共産党大会で権力の頂点に上った現国家主席、習近平(63)の政敵の一人だ。

 習への権力移行にあらがった薄は、習の手で獄につながれた。
再び1年後に迫る5年に1度の党大会。

7人いる最高指導部が入れ替わり、習の後継者選びも焦点となる。

習は苛烈な戦いを前に政敵の遺物を撤去し「敵対すれば痕跡さえ残さぬ」と宣言してみせた。

 習は反腐敗を旗印に政敵を次々と追い落とし、党内に「踏み絵」も迫る。
習の側近で政治局員の栗戦書(66)は6月、党内で習を「核心」とたたえた。

別格の指導者を意味する表現だ。
9月、天津市トップについた李鴻忠(60)は「核心である習総書記」と表明。

2代前の国家主席、江沢民(90)に近かったが、表向きへの忠誠を装った。

 だが引き締めすぎた手綱(たづな)への反動は強まる。

 8月、河北省の避暑地で開かれた毎夏恒例の「北戴河会議」で長老らは不満を漏らした。
「いくら反腐敗運動を進めても民衆の生活は豊かにならない」。

習の強権への批判だった。

「ナンバー2と摩擦」
 9月末、党指導部が開いた「勉強会」に中国全土の注目が集まった。

題材は前国家主席、胡錦濤(73)が出版したばかりの全3冊の発言集。
習は「重要な教材だ」と持ち上げた。

国営中央テレビは勉強会の様子を約10分にわたって報じた。

 注目を集めたのは、胡の直系で、政権ナンバー2、首相の李克強(61)と習との摩擦が目立つためだ。

 7月、同じ国営中央テレビは奇妙なニュースを伝えた。
「習と李がそれぞれ国有企業改革で指示」。

習が会議で「大きな国有企業にせよ」と命じると、李は「痩せて健康体の国有企業」をめざせと力を込めた。

「2人の考えの違いはもはや隠せない」(党関係者)

 習はこれまで2代前の江に連なる勢力をたたくことに力を注いできたが、胡や李と同じ共産主義青年団の出身者も反腐敗の標的にし始めた。

胡や李との関係が冷える中、胡をたたえる勉強会を開く。
習の権力集中もすんなりとは進まない。

 習はさらなる権力集中を目指し、24日からの指導部の会議で党内ルールの改定を議論させるという。

習はその日程や議題を詰める会合を李が外遊から帰国する前日に開いた。
ナンバー2を待つことはなかった。

    ◆    ◆

 中国の最高指導部人事を決める共産党大会が1年後に迫る。
「大国」を揺らす権力闘争は、世界経済やアジアの安全保障にも影響を及ぼす。

「習近平の支配」の行方を追う。

▲過去の中国共産党大会に絡む事件

【2012年党大会】 8カ月前に重慶市トップが失脚

【07年党大会】 1年前に上海市トップが失脚
【02年党大会】 最高指導部の「定年」を68歳に

【1997年党大会】 2年前に北京市トップが失脚

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
電子版: 人事はリゾートで決まる ▲Web刊→紙面連動


『習近平の支配』=キーワード=
『共産党大会』=最高指導部人事を決定= 


 中国の指導部人事が大きく動くのが5年に1度の共産党大会だ。
共産党が一党支配する中国では、党大会が次の5年間の国家運営体制を決定づける。

権力闘争は頂点に達し、党の「トップ25」に当たる政治局員が失脚することも珍しくない。

 2017年の次期党大会では、最高指導部である政治局常務委員の「定年」を延長するとの憶測が絶えない。

国家主席、習近平(63)の右腕で、17年に69歳になる中央規律検査委員会書記の王岐山を留任させるとの見方からだ。

02年党大会で「68歳で引退」とのルールが採用されたが、いまも明文規定はない慣習だ。

 常務委員の定員も焦点の一つだ。
現行は7人だが、02年から10年間は9人。

過去には5人の時期もあった。

「習が権力集中を強めるため5人に減らし、後継者となる世代を昇格させない」との見方が取り沙汰される。

 党内情勢は習の盟友や元部下ら「習派」のほか、前国家主席の胡錦濤(73)や首相の李克強(61)につながる共産主義青年団(共青団)出身者、2代前の国家主席、江沢民(90)に連なる「江派」の3つに大別される。

複数のグループと関係を持つ場合も多く、権力闘争の構図をより複雑にしている。

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 日経新聞 経済「黒田日銀の... | トップ | 日経新聞 保険・年金・税金... »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。