日経新聞 経済『「財務省を信じない」首相』=「日本国債」 見えざる手を冒す ⑤=

2016年10月13日 06時34分53秒 | 経済
日経新聞 2016年10月12日(水) P.1
特集連載『日本国債』=見えざる手を冒す ⑤=

『「財務省を信じない」首相』=「異端」影響力には陰りも=

 「政府の財政政策と、日銀の金融政策の両立が大事です」。

9月28日、首相官邸の執務室。
安倍晋三首相に語りかけたのは一時帰国中の本田悦朗スイス大使だった。

話題は1週間前の日銀金融政策決定会合の講評だ。

 同月13日には内閣官房参与で米エール大名誉教授浜田宏一氏が首相に熱弁をふるった。
「今がロシアと経済で手を結ぶ最大のチャンスです」

本田、浜田氏は、金融緩和による物価上昇を重視する「リフレ派」。

日銀の白川方明前総裁から黒田東彦総裁への交代劇や、2度の消費増税延期など重要局面で首相の判断に関わった。

なぜ厚い信頼を勝ち得たのか。

『リフレ派の接近』
 「リフレ派になったきっかけは?」。

2013年4月、首相は衆院予算委員会で質問を受けた。

 「首相を辞めて時間ができた」。

首相はこう前置きし「山本幸三議員がリフレ派で主張していた。 嘉悦大の高橋洋一教授から話を聞き、浜田教授からも色々と手紙を頂き政策も変わった」とリフレ人脈の名をあげた。

 首相は政権交代前の12年11月の講演で「2~3%のインフレ目標を設定し『無制限緩和』していく」と宣言。

表現を進言したのが本田氏だった。

日経平均が上がると安倍氏は喜び、本田氏に「無制限という言葉は相当効いた」と電話した。

「首相には大きな成功体験だった」(首相周辺)

 当時、リフレ派は主流派経済学からみると「異端」。
首相が異端とのつながりを強めた側面もある。

 「景気が回復しかけると、いつも日銀が妨げるのをみてきた。 財務省も日銀も信じられないからアベノミクスに至った」と首相は周囲に語る。

 アベノミクスが始まって約4年。
財務省と日銀も少しずつ首相官邸との間合いをつかみ始めた。

『緩和の声届かず』
 「呼吸がわかってきた」。

政府が28.1兆円の大型経済対策を詰めた今年7月。
規模は財政投融資で大きく膨らませて見せ、赤字国債は新たに出さないーー。

財務省の演出を首相も採用した。

 日銀が金融政策の軸足を量から金利へ切り替え、リフレ路線からの事実上の転換を図った9月の金融政策決定会合。

リフレ派は「量的緩和の限界を意識させるな」(本田氏)、「国債購入の拡大は可能」(浜田氏)と国債をもっと買わせる量的な追加緩和を訴えたが、声は届かなかった。

 日銀政策委員会のリフレ派、岩田規久男副総裁や原田泰審議委員も路線転換に賛成票を投じた。

 「成果が出ない以上、失敗を認めざるを得ないのだろう」。
日銀内でも冷ややかな声が漏れた

 ホンダ、浜田氏ら側近のベスト・アンド・ブライテストたちと首相の協議はあくまでも非公式な場。

長期安定政権には「主流」の力を引き出す懐の深さも求められる。

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電子版:首相が恨む財務省の原罪 ▲Web刊→紙面連動


『日本国債』=投資戦略を聞く=
『超長期債、持ち続ける危うさ』=みずほフィナンシャルグループ執行役専務 加藤 純一氏=


 我々のような伝統的なスタイルを維持する運用者には難しい世の中になってきた。
単純に分散してリスクを管理していればよい時代ではない。

マーケットの流れが変われば機動的に環境に合わせ、価格が大きく動く予兆をいかに察知するかが大事だ。

 日本国債はずいぶん減らしてきた。

国債は(価格が大きく動く)予兆の状況が足元にあり、(かって2011年ごろに30兆円持っていたが)今では10兆円前後まで落とした。

ただ、ここからは大きく減らせないだろう。
イールドカーブ(長短金利差)をよく見て、期間ごとの保有量を入れ替えなどで調節し、全体像を考える。

 前回の日銀の枠組み修正はかなり踏み込んだと思う。
かなり長い期間、金融が緩和的な環境に維持されることが明確になったからだ。

短期的には変動が出るだろうが、中長期的には日銀の意図が方向感になると思う。
その意味で長く超長期債を持ち続けるのは少し危ない。

 (国債を購入する特別な資格である)プライマリー・ディーラー(PD)を返上する発想は思いつかなかったし、追随はないという決断だ。

みずほ銀行とみずほ証券がPDを保有しているが、それぞれの役割の違いがあり、銀行はポートフォリオとして常に持つ役割。

(財務省という)発行体とも当事者として話ができる。

 そもそも外貨を調達するときなどに担保として国債を使う。
今の10兆円はその必要額だ。

時価の変動で担保価値も動くが、格下げが起きた場合のリスクを見る必要がある。
担保の適格性を見る取引契約であれば、トリプルBに落ちた時の影響は大きい。

=インタビュー詳細を電子版に ▲Web刊→紙面連動

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 奥村茂三郎記者、小園雅之記者、佐藤理記者、上杉素直記者、玉木淳記者、石川潤記者、藤川衛記者、高見浩輔記者、宮本岳則記者、重田俊介記者、久保庭華子記者、東堂絵里子記者、浜美佐記者、飛田臨太郎記者、池田将記者が担当しました。

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